Home > Interviews > interview with secretsundaze - パーティが続いている!
ジョイ・オービソンとリル・ルイスをブッキングしたんだけど、ジョイ・オービソンはとてもUKっぽいサウンドのアーティストでリル・ルイスとは全然違うから、僕たちがそのバランスを取るようにして、その日の最初から最後までの流れを上手く作るようにしたんだ。
■そんなおふたりが続けてきたsecretsundazeはイビザやベルリンを含むヨーロッパでの評価を確立しながら、トレンドの移り変わりが激しく、飽きっぽい遊び人相手に、11年に渡って良質なパーティを提供してきましたよね。この11年のハイライトは?
G:ハイライトはあり過ぎて挙げ切れないけど...... 強いて3つ挙げると、ひとつはイースト・ロンドンのストリート・パーティだな。元々は小規模のサイクリングのプロモーション・イベントだったんだけど、secretsundazeがそれを乗っ取ったようなかたちになったんだ。あれはたしか、2004年か2005年頃だったと思うけど、道路に3つサウンドシステムが出ていて、他ではレゲエなんかがかかっていて、その一つをsecretsundazeが担当したんだ。その道路に沿って電車の高架があったんだけど、そこにミラーボールを吊るしてね。4000人かそれ以上の人たちが集まったよ。フリーパーティだったから、イースト・ロンドンの地元の人たちが遊びに来ていて、とても特別な雰囲気だった。
ふたつめは、2006年にイビサ島でリカルド・ヴィラロボスを呼んでやったパーティだね。その頃の彼は有名になりはじめたばかりの頃だったんだけど、イビサ島というのは、地元にネットワークがないとパーティをするのがとても難しいところでね、それでも僕たちはパーティの数日前に島へ渡って、とにかく死にものぐるいでパーティをオーガナイズしたんだ。「The Blue Marlin」という島の南側にある美しいロケーションでできることになって、いまは金持ち向けの気取った店になってしまったけど、その頃はとてもシンプルなビーチ・バーだった。サウンドシステムもとても良くてね。この日も2000人くらいが詰めかけて、ビーチが人でいっぱいになって近くの道路も渋滞するほどだったんだけど、そのときの雰囲気が素晴らしかった。イビサでも、他の場所であんなヴァイブのパーティは体験したことはないね。もう6年も前のことなのに、いまでもイビサに行くと、そのときのパーティの話をして来る人が時々いるよ。
3つめは...... どれにしようかな。2年目の「The Poet」でやったシーズンは全て最高だったね。イヴァン・スマッグ、ルチアーノ、ローソウル、トレヴァー・ジャクソンなんかを呼んだけど、どのDJも会場に入ると顎が外れそうに驚いていたよ(笑)。屋外だったけど、壁に囲まれていたから音も良かったし、何人かのDJは、お客さんの勢いや会場の雰囲気に飲まれそうになって緊張していたほどだったよ。僕らは毎回やっていたから慣れていたけど、それくらいパーティに勢いがあったんだ。
■最後の質問です。いま、日本のクラブ・シーンは古くからある法律を振りかざした公権力の過度な取り締まり対象になっていて、箱自体が営業停止に追い込まれたり、極端にいえば、深夜に踊ることが禁止されているような状況下に置かれていて、ダンス・ミュージックというもの、そして、パーティを続けることの根源的な意味が問われています。そこでお聞きしたいのは、ふたりが困難な状況に直面しても続けてきたパーティとは?
J:多くの人にとって、パーティをすること、踊ることは極めて重要な意味を持っていることは間違いないよね。とくに震災のような厳しい体験を経た日本では、厳しい状況のときこそ、多くの人で集まって楽しい時間を共有する体験が必要だと思う。ただ楽しいから遊びに行くというのも十分な動機だけど、日常のことや心配事を忘れて自己を解放したくなるときもあるだろ? そういうときこそ、パーティはより大きな意味を持つんだと思う。
日本が今直面している法律の問題はとても難しい課題だから、向こう数年どんな変化が起こるのかということにも興味があるよ。今回の僕たちのツアーも早めにはじまって深夜に終わるスタイルだから、それがどう受け入れられるのかも気になるね。例えば、ここ数年ロンドンではナイトクラブではなく、ウエアハウスのパーティが主流になってきている。そういう単発のイベントの方が、クラブを営業するよりも規制が緩いからだ。そのせいで、クラブの営業が厳しくなって来ている現実があって、実際に何軒ものクラブが閉店してしまった。クラブ営業だけでやっていける店は本当に少なくなって来ているんだ。新しいお店の多くは、クラブだけではやっていけないので日中はアートスペースとして運営しているよ。それは面白い動きだと思うけれど、残念なのはクラブとしての設備投資が十分にできないから、音響などに資金が回らないこと。この経験が日本でどう応用され得るかはわからないけど、いま起きている問題のせいで日本の素晴らしいサウンドシステムを持ったクラブが存続できなくなるとしたらとても悲しいね。日本のクラブの素晴らしいところ、そして世界中のDJから愛される理由は、妥協を許さない音作りにあると思うから。
とはいえ、みんなの音作りの情熱が消えることはないだろうから、ロンドンのようにアンダーグラウンドなウエアハウス・パーティが主流になっても、仮設の素晴らしい音響を実現してくれるのかもしれないけどね。あるいは今後、時間帯を早めた、日中のパーティが多くなってくるのかもしれないよね。少なくともロンドンではそうなって来ているし、僕らが最初に日曜の日中のパーティをはじめた動機のひとつに、ロンドンの土曜日の夜だと多くのクラブが3時に閉店してしまって、ひとつのパーティを作り上げるには時間が短過ぎるという不満があった。だから日曜の午後2時~10時半までの時間があれば、もっと色んなことができると思ったんだ。だから、そうやって遊び方を変えてみるのもひとつの方法かもしれない。
■つまり、secretsundazeみたいなパーティをやってみれば? と(笑)。
J:その通り(笑)!
■インタヴューの完璧な〆をどうもありがとうございました。それでは日本でお待ちしてますね。
J:ありがとう。パーティで待ってるよ。
11/8(木) 21:00~ secretsundaze presents Giles Smith and James Priestley @ Dommune
観覧の予約はこちら:http://www.dommune.com/reserve/2012/1108/
11/10(土)20:00~ secretsundaze tokyo @ Galaxy
出演:Giles Smith, James Priestley & Kez YM
http://www.thegalaxy.jp/programme/secretsundaze.php
11/11(日)19:00~ secretsundaze osaka @ Circus
出演:Giles Smith, James Priestley, Ageishi & Ono
http://circus-osaka.com/events/secretsundaze/
文:小野田雄(2012年11月07日)