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interview with Plastikman

interview with Plastikman

ミニマルだが、繰り返しではない

──プラスティックマン、インタヴュー

野田 努    通訳:栗原泉  photos: Joseph Cultice   Jul 24,2014 UP

エレクトロニック・ミュージックの成功と熱狂的に支持された理由のひとつは、ここ10年くらいで考えると、デジタル・ディストリビューションとデジタルDJテクノロジーが先行した部分にもあると思う。デジタル・ディストリビューションはエレクトロニック・ミュージックを活性化するひとつのアドヴァンテージだと思っている。

■あなたがいままで経験した他のアーティストのライヴのなかで、とくに印象に残っているものがあったら教えてください。

RH:最近は、あまり他のアーティストとコラボレーションしていない。あまり興味がないんだ。プラスティックマンとしてのライヴで良かったのは、1995年のグラストンベリーかな。プラスティックマンの新しいサウンドにみんなが熱狂し、大きなインスピレーションを与えた。それとソナーやグッゲンハイムも素晴らしかった。2〜3年前のモントリオールのミューテック・フェスティヴァルでのショウも印象に残っている。僕の誕生日で、地元カナダだったから、友だちがたくさん集まってくれた。

■ここ数年、アシッド・ハウスやテクノの需要が上昇していると思いますが、あなたは時代性とか、シーンの変化ということにどこまで意識的なのでしょう?

RH:全然意識していない。音楽シーンはすごいスピードで変化し続けている。だから僕は、DJとして音楽をプレイし続ける限りは自分が好きなように冒険していければいいと思っている。自分でこれが良いと思うものをやればいいと思っている。それがたまたまトレンドとして盛り上がったらそれはいいかもしれない。だけどわざわざトレンドに乗る必要はない。

■ミニマル・テクノのスタイルの音楽がポピュラーなものとなり、かれこれ20年以上も人びとに求められている理由は何だと考えますか?

RH:ミニマル・テクノはトレンドからどんどん遠ざかっていると思う。ただ、ミニマル・テクノ、ミニマル・ハウス、ミニマル・ミュージックは、ほどほどのバランスを保って人びとの注目をある程度集められるくらいの情報量があって、それで熱心に聴いてる人たちがある程度いるということだと思う。だけど、熱心に聴いてる人はそんなに多くはいないと思うよ。みんなが熱心に聴く、そのときにトレンドが起こる。みんなが熱心に聴いて口コミが広がり、話題に上って……そうしてトレンドの隆盛が繰り返されていく。しかし、音楽というのは、そこに愛があって作られる。音楽とは、そうあるべきだと思うんだ。そういう音楽が僕は好きだし、そういう音楽を僕は追っている。

■ミニマルは、この10年で東欧にも広がっています。興味深いレーベルやアーティストがたくさん出てきていますよね。

RH:たしかに2004年から2008年はミニマル・テクノの当たり年というか、ハイプ・トレンドになった年だと思う。もうそういうトレンドがやってこないとは言わないけれど、それ以降の年はトレンドとは逆の方向にいったと思う。だけど僕はハイプ・トレンドになる前からミニマル・テクノをやっていた。ハイプ・トレンドのあいだもずっとミニマル・テクノをやっていたんだ。ハイプ・トレンドが去った後も、変わらずにミニマル・テクノをやっている(笑)。それでいいと思う。それが僕だから。自分の個性を見つめながら少、しずつその個性を発展させていけばそれでいいんだよ。
 東欧のシーンは、他の欧州のシーンと同じように変わり続けている。発展し続けてると思うけど、ロシア、ウクライナはとくにエレクトロニック・ミュージックが浸透していってる気がする。だけどピンポイントでは語れないな……もっと広い目で見ると、こっちでは浸透していきつつ、こっちでは廃れているみたいな、ひとつのスタイルがこっちで人気になっていると思うと、あっちではそのスタイルが廃れていくみたいな……。波と同じで、行ったり来たりだ。満ち潮もあれば引き潮もある。太陽と同じで、昇ったり沈んだりしている。だから結局、自分の道を進むしかない。自分の道を進んでいくなかで同じ道を、同じ場所を共有する人に出会う。それでいいと思う。

■〈M_nus〉では積極的に新人(もしくはあまり知名度のない)アーティストを紹介されていますが、彼らはどのような基準で選ばれているのですか?

RH:僕にとって面白くてインスパイアされるアーティストで、この先成長するだろうアーティストを少しでも手助けできたらと思っている。探してるのは、自分の個性を大事にしている人たち。デリック・メイみたいなサウンドとかリッチー・ホーティンみたいなサウンドを目指すんではなくて、自分のサウンドを大事にしている人たち。
 だけど、そういう音を探すのは難しいんだ、誰だって最初は誰かの模倣からはじまるから。だけど、そこから試行錯誤して、自分のアイデンティティを見つける。そこからだね、僕の出番は。そういう人たちと接するとすごく刺激を受けるよ。

■〈M_nus〉の最近のシングル作品に関して、ヴァイナルでのリリースがなくなっていますが、それはアナログをカットする魅力/必要性を感じなく なったからでしょうか?

RH:そういうわけではない。より多くの人に届くには、どうすればいいかと考えるとデジタルになる。デジタルの方がディストリビューションがしやすいし、デジタルならどこでもダウンロードできる。
 エレクトロニック・ミュージックの成功と熱狂的に支持された理由のひとつは、ここ10年くらいで考えると、デジタル・ディストリビューションとデジタルDJテクノロジーが先行した部分にもあると思う。アナログみたいにNYのレコード屋に行かないと買えないってものではなく、iTunesでも買える。デジタル・ディストリビューションはエレクトロニック・ミュージックを活性化するひとつのアドヴァンテージだと思っている。ヴァイナルはいまでも支持してるし、いまでもヴァイナルでプレイするのが好きなDJはたくさんいるから、今後もなるべくリリースしていくつもりだよ。だけどそれ「だけ」ってわけにはいかない。CDだけとか、デジタルだけとか、ヴァイナルだけとか。すべてを駆使して少しでも多くの人に届くように、そして少しでも多くの人に楽しんでもらえるようにというのが本来の目標なんだから。

■日本でもライヴの予定はありますか?

RH:実は10月にRedbull Music Academyで来日予定なんだ。京都や東京でもライヴができたらいいなと思ってる。

■現在あなたとDEADMAU5とのコラボレーションが噂されており、意外な組み合わせだと思う人が多いと思います。それは偶然意気投合したの か、それともあなたのなかで以前からアイデアとしてあったものなのでしょうか?

RH:ジョーは同郷のカナダ人だから、もともと交流もあったし、去年のSXSWでも一緒にDJした。楽しかったから、また一緒に何かやりたいねって話をしている。ふたりの違うタイプのカナダ人が一緒に何かやったら楽しいだろう。彼も忙しいし、僕も忙しいから実現できるのかどうかよくわからないけど。でも、意外な組み合わせに見える人脈を見せるプロジェクトは良いと思う。積極的にやっていきたい。

■そういう意味ではEDMには肯定的なんですね。

RH:EDMは良いと思うよ。ここ数年、人びとがEDMに注目することで、エレクトロニック・ミュージックに興味を持つ人が増えているんだから。作り手として、僕たちはいつも新しいものをシーンに持ち込んで、新しい人たちに門戸を開いて、僕たちのシーンに、僕たちのスタイルに呼び込んでいる。EDMのアーティストは新しいエレクトロニック・ミュージック・ファンを呼び込んでいる。そして彼らがドアを開けたら、僕は彼らとは別のドアを開く。そういうことなんだろう。

質問:野田努+山崎真(2014年7月24日)

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