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interview with YKIKI BEAT (Nobuki Akiyama)

interview with YKIKI BEAT (Nobuki Akiyama)

“東京インディ”は世界のインディ

──YKIKI BEAT(秋山信樹)、インタヴュー

   Jul 29,2015 UP

英語の受験用教材で発音記号を見つけて、「このθみたいなやつは舌がここなんだ」って。勉強のためじゃなくて、歌のために勉強してました。


YKIKI BEAT
When the World is Wide

Pヴァイン

Indie Rock

Tower HMV iTunes

あと、ヴォーカルのスタイルは最初からいまみたいな歌いかたをしているの。

秋山:いまみたいというと、どういう感じに聴こえるんですか?

すごくいいなぁと思います。声質の魅力もあると思うんだけど、日本人がやっている英語詞バンドに独特の「洋楽やっていますよ」的な違和感がぜんぜんない。

秋山:ありがとうございます。

研究したの?

秋山:したと思います。高校のときからバンドをやろうとしていて、単純に普段から英語のバンドをたくさん聴いていたから、英語で歌うバンドをやろうって流れでやっていただけなんです。でもバンドをやるにあたって、いかにも日本のバンドで「英語でやってます」みたいなのはすごく嫌だったので。

じゃあ、たぶん何が嫌なのかを研究したってことだよね(笑)。

秋山:実際それはあると思います。歌はすごい研究しましたね。英語の発音記号表を見つけて、「あ、こんなのあるんだ」と思って。発音の舌の位置が書いてあったりするやつなんですけど、「このθみたいなやつは舌がここなんだ」ってみながら歌のためにずっと勉強していましたね。

でも、対バンするのは日本語詞のバンドも多かったりするわけじゃない。そこで横並びでいっしょにやることって、そんなに違和感はないの。

秋山:難しい質問ですね……違和感はあると思います(笑)。

はははは(笑)。なんか違うかなって思ったりするわけだ。

秋山:東京のインディ・シーン以外の場所でやると、ジャンルは関係ないじゃないですか? 呼ぶ基準っていうのが、どれくらい名前が知られているかってことなので。そのぶん、いろんな場所やお客さんの前でライヴをする機会が増えてきていると思うんですけど。

もうひとつ大きなシーンの中では、浮いていると。

秋山:中学生のときとかは絶対に自分たちでやりたいイメージがあって、日本のゼロ年代のいろんな洋楽バンドに影響を受けてますみたいなバンドをiTunesで聴きながら、なんか違うなって思ってました。自分は絶対によりよい形でアウトプットできると感じていて、そういう野心を持っていたんです。でも考え過ぎてしまうと、ヘンな形で影響を受けてしまうと思うので、自分の納得いかないものに注目するよりは自分たちのやりたいことに集中したいなと。いまは対バンがどうであれ、どのシーンにいると言われようが、自分たちのやりたいことにフォーカスできればと思っていますけど。

じゃあ、逆にいま日本で共感できるバンドはいるの。

秋山:そういう意味ではすっごく難しいですけどね。好きな音楽の話をしたりする友だちとかではバットマン・ウィンクスとか、グルーミーとか。コンドミニマムっていう自分たちで映像なんかを発信している集団がいて、そこのひとたちとかとはすごく話が合うんですけど。それでもピッタリ合うひとがいるかと言ったら、たぶんそこまでいないかなと思います。

俺たちのことを洋楽っぽいと認識せずに、日本でやっているおもしろいバンドとして聴いてくれている人もたくさんいて。

居心地が悪いわけでもないんだろうけど、東京で活動していることにプラスの部分っていうのはあるの。

秋山:それもときどき感じるんですけど、チャンスは多いというか。ザ・ドラムスの前座をやったときに思ったんですが、これがもしアメリカだったら、いいバンドがたくさんいて、ドラムスのオープニング・アクトなんかに選ばれるバンドはすごく成功したり注目されているバンドだったりしますよね。日本だったら母数が少ないので、やっぱりそこは得かもしれません。それでいて世界的に見ても日本の音楽マーケットの大きさはアメリカに次いで第2位だったりしますし。まあ、それはAKBが助けているだけかもしれないんですけど、それでも日本は特異な立ち位置にいると思います。
でも俺たちのことを洋楽っぽいと認識せずに、日本でやっているおもしろいバンドとして聴いてくれている人もたくさんいて。“フォーエヴァー”のYouTube再生回数が16万いく現象っていうのは、アメリカでやっていたらまた違った形になったかもしれないと思います。そういう意味でも、アジアの中でも大きな都市である東京で活動するというのも、おもしろい状況だとは思うんですけど。

今回のアルバムが出たことで、また活動の拡がりかたは大きく変わっていきそうだよね。

秋山:いったんは様子を見てみようというところではありますけど、個人のレベルで言えば、自分で納得できる曲を書くか書かないかというところだけなので。それこそさっき言ったみたいに、野心があって「シーンを変えてやる」って時期もあったし。そういう野心も悪いことではないと思うんですけど、いざ注目される状況になってみて、べつにこれがやりたかったわけじゃないなと思って。いろんなひとが聴いてくれるのはおもしろいけど……なんだろうな。自分の好きな音楽をやって、それを発表して、その先のひとりひとりが音楽を楽しんでくれたらいいなっていう。知名度どうこうと言うよりは、自分のやりたい音楽ができるかだけです。

フェニックスとか、テーム・インパラのように、英米とは別の地域出身でありながら世界で活躍するバンドのようになれたらと思っています。

ひとまず自分たちの音楽性を突き詰めていきたいと。

秋山:そうですね。いまに限らず、これからもずっとそうでありたいと思うんですけれど。インディに落ち着きたいということではなくて、いい曲を書いて出して評価されることがいちばんいいと思うので。理想としてはフェニックスとか、テーム・インパラのように、英米とは別の地域出身でありながら世界で活躍するバンドのようになれたらと思っています。

スタンスはずっと一貫しているバンドだよね。

秋山:メジャーっぽいことを特別やっているわけでもないし、イギリス出身でもアメリカ出身でもないのに、フェスのヘッドライナーをやるみたいな。あのバランスはすごくいいなと思っていて。自分たちが本当に納得できる音楽にフォーカスしていきながら、バンドの下地を作っていけたらいいなと思います。

取材:中村義響(2015年7月29日)

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