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Interview with Ryu Okubo

Interview with Ryu Okubo

「もう進化しないで!」

──オオクボリュウ、インタヴュー

聞き手:野田努    写真:小原泰広   Apr 15,2016 UP

その当時王道のベスト・ワンされていた音楽にはやっぱり力強さを感じられるんですよね。漫画に関しても似たものを感じます。もちろん例外はありますけど。

■2〜3年前だっけ? 快速東京のライヴで知り合って、カタコトのカセットを買って、ドラゴンくんの絵をいろいろ見せてもらったんだよね。ドラゴン君にはすごくたくさんある引き出しのなかで、今回の初めての個展で、いろんな自分を見せるんじゃなくて、ひとつのコンセプチュアルな作品を見せたじゃない?

D:それは意識しましたし、現実的にも出せる作品が溜まっていなかったんです。僕、普段はクライアントワークばかりやっているんで、いざ個展をやろうとしたとき、そんなに作品は溜まっていないというか。だから個展やるときに、ひとつコンセプトを決めて展示するってアイディアにいきがちな部分もあります。

■クライアント仕事へのストレスが作品に表れていたりする?

D:それはあるかもしれないです。とはいえ、仕事のようにスケジューリングをして、全部作るのに2ヶ月くらいかかりましたね。終わったのは個展が開始する1週間前でした。普段のクライアントワークで時間は厳守していたので、そこはきっちり守れましたね(笑)。

■クライアントワークではどういう仕事が多いの?

D:東京メトロのCMで使われるような絵の仕事とかですかね。

■アイフォンとかアマゾンとかって、現代の消費生活を象徴しているものだと思うんだけど、そういうものを屈託無く描くよね?

D:そう思いました(笑)?

■うん。例えば僕なんかはアイフォンもアマゾンも利用するけど、複雑な気持ちになるもんね。むちゃくちゃ頭にきたりするけどね。でも仕方がねぇから使うか、みたいな。

D:僕は全然複雑な気持ちじゃないんですよ。でも、そう言ってもらえて良かったです。僕はこれが批判的に捉えられていたら嫌だなと。見方によればすごくベタな現代批判みたいに思われそうで。

■あまりにも屈託が無さすぎると思ったくらいですよ(笑)。

D:でも僕はいつもそういう感覚ですよ。否定も肯定もせず、みたいな。

■話は変わりますが、カタコトはどうなっているんですか?

D:セカンドは半分くらい進みました。やる気はあるんですが、忙しくて……(笑)。1回アルバム制作を経験しているから、もう1回あれをやるのかぁっていうか(笑)。サクッといかなかった思い出が強いんです。メンバー同士の話し合いもストレスになるし。ひととモノを作るってストレスが溜まりますよね。

■カタコトの屈託の無さが好きなんだよね。ストリート系ヒップホップに対するリスペクトもすごくあるんだけど、ヒップホップは幅広いモノだから。でも、カタコトみたいなものは変種だよね(笑)。

D:もうちょっと頑張らないとダメだな(苦笑)。

■いま普段聴いている音楽って何?

D:相変わらず何でも聴いていますね。ヒップホップも聴くし、新しいものも聴いていますよ。カニエの新作とか(笑)。聴いてもあんまりなんとも思わなかったですけど。

■ドラゴンくんはPSGのMVをやったじゃない? あれはどうやってやったの?

D:あれはPUNPEEくんに「お金はないけど、一緒にやってみませんか?」みたいな感じで誘われたんです。

■それはどこでどう繋がったの?

D:これも不思議な話なんですけど、ユーチューブに自分の短いアニメーションを何個か上げていたんですよ。そこに何も考えず、自分の好きなアーティストをたくさんタグ付けしました。例えば、鎮座ドープネスの下に自分のアニメがきたらいいな、ぐらいの気持ちです。そうしたら、PUNPEEくんがたまたま見てくれたんですよ。それが2009年ぐらいなんですけど、その頃ってPSGも出たばっかりのときで。僕はスラックのファーストを予約して買うぐらい好きだったんですよ。『My Space』のときです。だからけっこう早かったというか。

■PSGとドラゴンの世界観がハマっていたよね。

D:いまでもあれは言われますからね。相変わらずあの動画の再生回数は伸びてます。



■アニメーションはそのときから自分でやっているんだよね。しかもコマ撮りで。

D:やってますね。最初、アニメは能動的に作っていたんですけど、PSG以降は全部頼まれて作るぐらいなので、あまりアニメーションを研究している感じではないんですけどね。だからアニメの絵は見るひとが見れば下手くそだとバレるというか。上手く動かせるひとってもっといるんですよ。いわゆるアニメの作法とかは僕は無視してるんで。

■レトロスペクティヴな感覚があるよね。現代の消費生活を象徴するものが描かれていながら、アニメで再生されているのはある意味懐古的だけど、ドラゴンくんのなかに失われてしまったものに対する郷愁ってあるの? 

D:どうなんだろう。無意識的にはあるかもしれないですね。

■ドラゴンくんから見て、昭和的な面白さってなんだと思う? 

D:難しいな。何なんでしょうね。でも古いものが好きなんじゃなくて、時間が経っても残る普遍的なものが好きなんです。

■古いものが好きなわけじゃないと。

D:スヌーピーって造形もかわいいですけど、ここまで残っているからには、それなりの強度も持っていると思うんです。そこに僕はやられちゃう。ビートルズももちろんそうですけど。

■スヌーピーの絵がグッとくるの?

D:絵ももちろんですけど、考えさせられる部分でもグッときてますよ。願わくば、自分の作品においても百年後のことを考えてしまうというか。音楽も、その当時王道のベスト・ワンにされていた音楽にはやっぱり力強さを感じられるんですよね。漫画に関してもそうで、もちろん例外はありますけど。

■そう言われると、やはり水木さんは大きな存在なんだね。

D:水木しげるの魅力って絵だけじゃないですよね。

■ドラゴンくんの作品は同世代に向けて描いている?

D:特に対象を考えているわけではないです。子供向けに描いてみたいとも思いますけどね。でも、自分が子供の頃を考えると、子供むけじゃないものも面白がっていたので、そこはあんまり子供に合わせる必要はないと思ってます。

■映画では何が好きなの? 

D:うーん、何だろう……。映画はいろいろ見ますよ(笑)。タイのアピチャッポンとかすごい好きです。世界観が水木しげる的ですよ。ありえないことが起きているけど、誰も驚かないみたいな。

 

■オオクボリュウ「Like A Broken iPhone | アイフォン割れた」開催中

2016年4月8日(金)- 4月24日(日)
トーク・イベント:4月16日(土)19:00-21:00 進行:安部憲行(本展キュレーター)】
時間:12:00-19:00  
休廊日:月曜日
会場:CALM & PUNK GALLERY (東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル1F)

Tel: 03-5775-0825
URL:http://calmandpunk.com/
facebook:https://www.facebook.com/events/1860614200832209/

聞き手:野田努 (2016年4月15日)

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