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interview with Sleaford Mods(Jason Williamson)

interview with Sleaford Mods(Jason Williamson)

UKのジョーカー(つまり現時点での最強カード)

──スリーフォード・モッズ、ロング・インタヴュー

取材・質問:坂本麻里子+野田努    歌詞訳:高橋勇人 photos: Roger Sargent   Mar 01,2017 UP

『イングリッシュ・タパス』という言葉は、いまのイギリスの現状を大いに物語るものでもあるよな、と思ってね。だから、無学だし、チープ。そんな風に、人びとはとりあえずのありもので間に合わせざるを得ない状態にある、と。


Sleaford Mods
English Tapas

Rough Trade/ビート

PunkModRapElectronicMinimal

Amazon Tower HMV

■「英国的」と言われているスリーフォード・モッズですが、自分たちの音楽が英国以外で聴かれることについてどう思いますか?

JW:(即答)グレイトだと思うよ!  

■(笑)なるほど。

JW:うん、最高。だって、自分たちとしては「きっと俺らはノッティンガム止まりに違いない」とばかり思ってたしね。

■あっはっはっはっはっ! そうだったんですか?

JW:(ややムキになった口調で)いや、マジにそう思ってたんだって! ってのも、俺たちの音楽ってのは、こう……とてもローカルで地方限定なものなわけじゃない? 他の地では通じないような言葉だらけ、ローカルな通語でいっぱいな音楽だしさ。

■ええ、そうですよね。

JW:だから……「地方喋り」そのまんま、なわけ。それに、俺が歌のなかで語っている事柄にしたって……ぶっちゃけ俺以外の誰にも理解できないであろう、そういう話を扱ってるんだし。

■(苦笑)なるほど。

JW:もちろん、その「正直さ」が伝わる、ってところはあるんだろうけどね。だから……うん、俺たちとしても、(英国以外の国の人びとが聴いている、という事実に)本当にびっくりさせられたよ。

■そういえば、あなたたちはドイツで人気が高いなって印象を受けてるんですけども。

JW:ああ、あっちでは人気だね。

■それってどうしてなのかな、なんでドイツ人はスリーフォード・モッズに反応してるんだろう? と不思議でもあって。やはりドイツだと、「言葉の壁」はあるわけですし。

JW:うん、それは間違いなくあるよ。ただ、俺が思うに……ドイツってのはパンク、あるいはポストパンクのあれだけ長い歴史がある国なわけで。だから、ミニマリストな国なんだよな。で、彼らが俺たちに惹かれるのは、俺らの音楽にあるミニマリズムもひとつの要因なんじゃないか? そう、俺は思っていて。で、んー……俺自身としては、自分たちの音楽にはかつてのなにかを思い起こさせる面もあると思う。と同時に、この歌い方のスタイルにしても、おそらく聴いていると昔いた誰かを思い出させるんだろうし……だからまあ、これってちょっと奇妙なバンド、なんだ。ただ、考え抜いた上でこういう音になったわけじゃない、っていう。うん、色々と考えあぐねたりはしないよ。

■新作を『イングリッシュ・タパス(English Tapas)』と命名した理由を教えていただけたらと思います。

JW:まあ、俺たちはこれまでも「スペインのタパス」は体験してきたわけだよね。「スパニッシュ・タパス」と言っても、そのバリエーションの一種、ということだけど。だから、スペインのバーで出てくるタパスといえば、一般的にはピンチョス(※パンを使ったカナッペ風、あるいは楊枝を刺したバスク風の軽食。屋台他でも供される)なんかがそれに当たるよね。でも、その一方でもっと高級な「タパス」なんてのもあって……だからまあ、とにかく俺たちはスペインのタパスは経験豊富、色々と触れてきたわけ。で、ある日、アンドリューがイギリスでどっかのパブに入ったとき、そこのメニュー板に「イングリッシュ・タパス」って書かれているのを目にしてね。それがどういうシロモノかと言えば、スコッチ・エッグ(※ゆで卵を味付けしたミンチでくるみ、衣をつけて油で揚げた庶民的なスナック)にお椀に入ったフライド・ポテトが添えてあります……みたいな、(さも可笑しそうにクククッと半分吹き出しながら)とにかく、あーあ、これってマジにしょぼくてクソじゃん、(苦笑)、そういうメニューでさ。

■(笑)。

JW:だから、俺たちも「これは笑える!」とウケたけど、と同時に、このフレーズってある意味、いまのイギリスの現状を大いに物語るものでもあるよな、と思ってね。だから、(タパスのなんたるかを知らないで「タパス」という言葉を使っている意味で)無学だし、(料理そのものも安上がりで)チープ。そんな風に、人びとはとりあえずのありもので間に合わせざるを得ない状態にある、と。そんなわけで、「これってどんぴしゃなフレーズだな」、俺たちにはそう思えた、というだけのことなんだよ、ほんと。

■なるほど。フィッシュ&チップスみたいなありふれた料理のミニチュアでイギリス流に「スペインの伝統」をやっているのが滑稽に映った、と。

JW:うんうん、ほんとひどいよ! あれはひどい。せっかくタパスをやるんなら、もっと他に色んなやりようがあるのにさ……。ただまあ、これって一部のイギリス人にある態度だったりするけどね。だから、他のカルチャーに存在する美しいアイデアを引っ張ってきて、それをすっかり粗悪なものに歪曲してしまう、という。

■ああ。でも、それがまたイギリス人の長けているところ、でもあると思いますけどね? 粗悪にしてしまうとは限らず、他のカルチャーから影響を受けて、それを自分たちなりに解釈し直す、という。

JW:うん。

■たとえばレゲエのUK音楽への影響は大きいし、アメリカのブルースを、ローリング・ストーンズのようなバンドは1960年代のアメリカにある意味「逆輸入」したわけです。

JW:あー、うん、それはそうだよね……。たしかにそうだ。

■その意味で、他文化の翻案はイギリスの遺産でもあるのであんまり恥じなくてもいいかな、とも思いますが?

JW:いやいや、全然、そういうつもりじゃないんだ! だから、そうしたイギリスの遺産を恥じるっていうのは、俺にはあんまりないんだよ。ってのも、俺がこういう音楽をやってるのも、主にそうしたかつてのイギリス産のバンドたちのおかげなんだしね。ただ……最近の自分たちってのは、この国の持つ良い面よりも、そのネガティヴな側面の方ともっとつながってしまっていて。

■ああ、なるほど。

JW:だから、俺の考え方もネガティヴなそれになってしまうわけ。人びとに失望させられたって感じるし――保守党に投票した連中に裏切られた、EU脱退に賛成票を投じるのが得策だと考えた人びとに失望させられた、そう感じるっていう。というわけで、イギリスをネガティヴに捉えるのは俺個人の問題っていうか、うん、きっと俺の側にバイアスがかかっているんだろうね。

■でも、その感覚はもっともだと思います。自分の周辺の正気な人間、イギリス人の友人はみんな、いまが大変な時期と承知していますし。聖ジョージ旗(※白地に赤いクロスが描かれたイングランド国旗で、連合王国フラッグの意匠の一部)だのユニオン・ジャックを誇らしげに振り回す時期ではない、と。

JW:まったくその通り。そういうのをやるには、実に悪いタイミングだよな、いまってのは。

取材・質問:坂本麻里子+野田努(2017年3月01日)

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