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special talk

special talk

“和レアリック”対談

CHEE SHIMIZU×松本章太郎

   Oct 04,2019 UP

和モノがYAS-KAZとかアラゴンとか最初に外国の音楽と同じ耳で聴いていた時期があって。それを5年くらい前からやっていたんですよね。(松本)

松本:CHEEさんひとりでさぶちゃん投げればよかった(笑)。でもそうですよね。理解者がいると強くなってくる。こんなのもありだって。

“和レアリック”のディスクガイドを今回見ていて、ほとんどの曲がスポティファイとか配信で聴けないんですよね。それがすごくおもしろいなと思いました。それだけ“オブスキュア”ということでもあるのかな。

CHEE:レコード会社としてもこんなところをスポティファイに上げようなんて思ってないということですよね。眼中にもないと思いますね。

松本:誰かがいいと言わないとね。

シティ・ポップの中古市場は異常に値上がりましたけど、『“和レアリック”・ディスクガイド』に上がっているのは比較的安価なものが多いように思います。

CHEE:値段的には手に入りやすいものが多いですよね。

松本:そのかわり見つけるのもちょっとめんどくさいものが多いかもしれない。見つけたら安いんだけど、いざ探すとなるとなかなか出ないというタイプ。でもあったら絶対安いでしょってやつ。

CHEE:2割くらいは希少価値が付いているものも忍んでいるね。ただそういうのは当時も売れなかったやつですよ。回収されて破棄されたやつとか。でも、たとえばこういう本が出ると、情報が公開される。そうすると動きだすと思うんです。動き出さないとそのまま誰も見つけられないままで終わっていっちゃうから。重要なのはそういうことだと思うんです

松本:それでついでにいろいろと動き出すわけですね。

CHEE:本当に眠っていたやつが、動き出すので、そうするとみんな発見しやすくなるから健全な動きになってくる。僕も出てくるのを待っているんです(笑)。ヤフオクとかにポンと出てくるかもしれないから。地方のレコード屋さんにいってもいままで眠っていたやつをひっぱりだしてきて店頭に並べてくれるかもしれないし。

松本:そこは大きいですよね。出してこなかったものをね。

CHEE:出してこなかったというか、いままで意味もないものだったから、たぶん捨てられる運命にあったもの。救出するためには情報公開しないと、そのままもうゴミになっていっちゃうので。情報公開にはそういう重要性がはあると思う

あと、雑多といいながらも厳選されていますよね? 王道というか、わりとベタなところは避けていますし。

CHEE:雑多でも、かなり厳選されている。

松本:めちゃんこ厳選されているじゃないですか。

CHEE:たしかにしたけど。

松本:落とすのは泣く泣くでした。なんでこんなの選んでいたのかというのもけっこうあったので、ぽいぽい捨ててったんですけど。疑似和モノコーナーを最後にページの都合上つっこんだんですけど、あれで復活したものもちょっとあって。

この本はCD Eraで終わっていて、90年代前半で終わってるんですけど、“和レアリック”は90年代前半までという理由は何かあるんですか。

松本:全然ないです!

CHEE:僕はけっこうCDも買うんですけど、全然ないですね。

松本:私もCD大好きです。

CHEE:ポンキッキとか、みんなのうたとか、子どもむけのやつはおもしろいのが多い。

松本:一軍の人がやってますもんね。

CHEE:こっちにいくと収集がつかないので。

松本:でもチャンスですよね。おもしろいものがまだまだあるなって。ちょっと箱を開けて読み込むまでの待ち時間がめんどくさいというか(笑)。レコードより時間がかかっちゃうんですよね。レコードはいっしゅんで聴けるけど、CDは待つ時間がある。読み込み遅いなって。

CHEE:でも飛ばせるからいいですよね。

松本:でもレコードのほうが、溝みてこの辺聴けばわかるかなというところに落とせるから。

CHEE:視聴のスピードは、レコードのほうが早い。

松本:ぜんぜん早い。不毛率も高いし。

CHEE:CDはまだまだおもしろいものがいっぱいある。

松本:まだなんでもあると思うんです。カセットテープとかは絶対数が少なそうだけど。録音されている何かだったらひとまず聴いてみたいですけどね。

CHEE:カセットも面白いですからね。

カセットって?

CHEE:とくにCDシングルもそうなんですけど、カラオケ・ヴァージョンとかいわゆるインストが入っているんですよ。歌謡曲でもそれがいい。ヴォーカルいらねぇだろっていうやつはカラオケ・ヴァージョンを探すっていう。

松本:言っちゃった、カラオケ・ヴァージョン。

CHEE:インストじゃないね。カラオケ・ヴァージョン。

松本:でもチャンスなんですよね、カラオケが入っているやつ。

CHEE:ただカラオケだから主旋律が、歌のメロディが、楽器の演奏ではいっちゃっていたりするんですよ。

松本:すごくしょぼくなる場合もよくある(笑)。

CHEE:そうそう(笑)。それがちょっと悲しんです。

松本:たまにいいものがあったりね。でも何もないとすごくシンプルすぎて今度はつまらなかったり。難しいですよね。めったに当たらないですよね。

CHEE:まだまだほりがいがある。

松本:名前はただの冠であってね。

CHEE:基本なんでもいいっちゃなんでもいい。

松本:もうすでにそれに近くなってきてはいるんですよね。せっかくあった冠(かんむり)だったので、今回使っちゃったんだけど。

CHEE:言ったもん勝ちですよ(笑)。

松本:あの頃のCHEEさんは“和レアリック”とかさって(笑)。何にもしらなかったですからね俺らは(笑)。

(構成:野田努)

COCONUTS DISK EKODA
和レアリックの発信源、西武池袋線の江古田駅を降りて2分、松本章太郎さんが店長を務める「ココナッツディスク江古田」は、レジ前に大きく和モノコーナーがあります。ほかにもいろんな面白いものがあるので、ぜひ、お店まで行きましょう。
東京都練馬区豊玉上1-9-10
tel. 03-3948-2388
12:00~21:00 (年中無休)
contact
ekoda@coconutsdisk.com


和レアリックの拠点、COCONUTS DISK EKODAの店内

Organic Music + Planet Baby Physical Store
Chee Shimizuさんが運営する「Organic Music」は西武新宿線の下井草を降りて2分ほど歩くとあります。和モノコーナーには雑多にいろんなものが。山下達郎などの人気盤が都心の中古店よりも安くあります。また、古着を中心に、アクセサリー、Tシャツ、洋服なんかも売っています。
東京都杉並区下井草4-32-17第一陵雲閣マンション108
平日 15:00〜21:00
土日祝 13:00〜21:00
不定休
http://organicmusic.jp/

海外からの来客も多い、Organic Musicの店内(安いです)


和レアリック・ディスクガイド
松本章太郎(監修)
執筆:AZ、Chee Shimizu、Flatic (Cos/Mes)、Gokaine、Rockdown、Willie、浦元海成、松本真伍、吉村和弥
http://www.ele-king.net/books/007112/

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