「P」と一致するもの

Dino Spiluttini - ele-king

 オーストラリアはウィーン出身の電子音楽家ディーノ・スピルッティーニ(Dino Spiluttini)の新作『Heaven』は、クラスター、ハルモニア、タンジェリン・ドリーム、ポポル・ヴーなど70年代のドイツの電子音楽を思わせるものがある。エクスペリメンタルとロマンティックの混合の果てに生まれた戦後世界の陥没地点にして無機質な20世紀電子ロマン派ともいうべき戦後ドイツの電子音楽=クラウトロック。本作は、その音楽的遺伝子を継承する「2019年現在における最新電子音楽のひとつ」とひとまずはいえよう。もしくはこの神なき世界において祈りを捧げるような仮想世界宗教電子音楽とでもいうべきか。じっさい、その分断したようなサウンドにはいまのインターネット以降の特徴ともいえる「断片性がもたらす崇高さが」横溢している。70年代と10年代の交錯? あなたが(いまや瀕死の状態の?)「先端音楽」の聴き手ならば、本作は絶対に聴くべき作品である。われわれが愛してやまかった10年代の先端音楽へのレクイエムでもあるのだから。

 ディーノ・スピルッティーニは「ドローン作家」の枠で紹介されてもいるが、2014年に〈Umor Rex〉(ちなみにこのレーベルは日本でいささか過小評価気味だ。ラファエル・アントン・イリサリ、フェリシア・アトキンソンM.・ゲド・ゲングラス、ドリフトマシン、ジェームス・プレイス、カラ=リズ・カヴァーデール&LXVなど10年代のポスト・エクスペリメンタルな電子音楽レーベルとして重要なアーティストと作品を多くリリースしているのだ)からリリースしたニルス・クァック(Nils Quak)とのスプリットLP『Modular Anxiety』からして、ノイズ、ドローン、クラシカル、アンビエント、テクノなどのフォームが溶け合ったような独自のサウンドを展開しており、ひとくくりの枠で語ることはできなかった。当然、5年も前の作品なので、最新作『Heaven』に比べるとシンプルな構造だが、ノイジーな電子音とアトモスフィアでアンビエンスなサウンドの交錯がもたらすクラシカルで天国的な音響/音楽性はすでに完成されていた。さらに『Modular Anxiety』の名が表すように、モジュラーシンセを駆使しているのが特徴だが、ドローン一辺倒ではなくモダン・クラシカルな音楽性がクロスしている点も特徴であった。最新作『Heaven』では、彼が追及してきたエクスペリメンタル/クラシカルな音楽性が極限まで高まっている。サウンド的には一言でいえばアンビエント・クラシカル化したベン・フロストか。

 アルバムには全8曲が収録されている。分断した「声」の残骸が脅迫的に反復し、鏡のような電子音に反響されていく1曲め“Body At War”、途切れてしまいそうな硬いノイズと透明な電子音が横溢する2曲め“Weakened Centurion”、アルヴォ・ペルトのオーケストラ曲のハーモニーにノイズ音響が空気に浸透する3曲め“Touch Isolation”、一転して穏やかな電子音響空間を鳴らす4曲め“Rainbow Bridge”まで完璧な流れである。アルバム後半の始まりである“Flesh Angel”以降も聴き手の意識に浸透するようなサウンドを展開し続ける。どの曲も極度にデジタライズされた音質の中で、クラシカル、ミニマル、電子音楽の欠片がスムーズかつ歪に接続され、思わずポスト・インターネット時代のモダン・クラシカル・ヴェイパーウェイヴとでも軽薄に形容したくなるが、その音楽のむこうにはアルヴォ・ペルトの音楽に通じるオーセンティックな西洋音楽の反復性が横溢している。

 私としては、ウィーン出身の音楽家によるこのようなアルバム作品が、ウィーンの電子音響レーベルの老舗(?)〈Editions Mego〉からリリースされたことで、同じくウィーン出身の電子音響音楽家フェネス(クリスチャン・フェネス)と比較してしまいそうにもなった。フェネスによるロマンティック・グリッチ音響の傑作『Endless Summer』が、〈Mego〉からリリースされたのはいまから18年も前の2001年だ。『Endless Summer』と『Heaven』を並べてみることで、〈Mego〉/〈Editions Mego〉とその主宰の電子音楽家ピタことピーター・レーバーグの電子音響への一貫した視座を感じ取ることができるのではないか。それは「相反する世界を電子ノイズで繋ぐこと」に思える。叙情から崇高さへ。モダン・クラシカルからモジュラーサウンドへ。ビーチ・ボーイズからアルヴォ・ペルトへ。20年近い歳月をはさみながらも、このふたつのアルバムは、このように相反するものを呑みこみながら、そこに生まれるロマンティックで過激にして美しい電子ノイズの蠢きを生成しているのだ。

 本作を聴くことで70年代のクラウトロック、80年代のテクノ/ニューウェイヴ、90年代のグリッチ、00年代のエレクトロニカ、アンビエント/ドローン、10年代のポスト・インターネット・サウンド、インダストリアル・テクノと、さまざまなフォームに液状的に生成変化してきたエレクトロニック・ミュージック/電子音響音楽の変化の過程を聴き取ることもできた。2019というディケイドの終わりが刻印されたこの年に聴くべきアルバムである。

Kokoko! - ele-king

 エボラ出血熱ではない。はしかでもない。戦争でもなければ性暴力でもなく、なんというかこう、もっとポジティヴなニュアンスで最近「コンゴ」という単語を目にする機会が多い。別エレ最新号をつくる過程で久しぶりにDRCミュージックを聴き返したというのもある。あるいは先月来日を果たしたキシ。彼女は幼いころに旧宗主国たるベルギーへと移住しているから、現地の空気にどっぷりというわけではなかったんだろうけど、それでも音楽に興味を持つきっかけになったのはルンバ・コンゴレーズやドンボロだったと語っているし、それこそ『7 Directions』のテーマは植民地化される以前、かの地に存在していたという部族「バントゥ・コンゴ」とコスモロジーを接続させることだった。なぜだか最近「コンゴ」がキイワードになっている。

 首都キンシャサのブロック・パーティのなかで産声をあげたコココ!は、通常のバンドとは異なり、楽器の発明家たちをそのおもな構成員としている。グループ名はリンガラ語で「ノック、ノック、ノック」を意味し、そこには「ドアを開けて自分たちの音楽に触れてもらいたい」という彼らの願いがこめられている。唯一西洋からの参加者であるデブリュイことグザビエ・トマはブリュッセルを拠点に活動しているプロデューサーで、彼が映画制作会社のベル・キノワーズとともにキンシャサを訪れた際に路上でパフォーマンスする発明家たちと出会い、2016年の夏、コココ!が結成されることになった。
 最初に完成した曲だという“Tokoliana”は2017年6月にシングル化され、彼らの記念すべき最初のリリースとなる。その後セカンド・シングル「Tongos'a」を挟み、翌2018年にはリスボンのDJマルフォックスやダーバンのシティズン・ボーイを招いたリミックス盤を発表、見事昨今のトレンドへの合流を果たす。そのままサード・シングル「Azo Toke」や初のEP作品「Liboso」を送り出し、今年に入ってからもシングルを連発、かくしてお目見えとなったのがこのファースト・アルバム『Fongola』だ。

 コココ!のメンバーはフランコ&OK・ジャズやパパ・ウェンバといったコンゴのレジェンドたちから影響を受けているとのことで、たしかに部分的にそれらしき要素がにじみ出ている、ように聞こえなくもない、が、それ以上に注目すべきなのは、彼らの驚くべきDIY精神だろう。RAのセッション動画を見ればわかるように、コココ!の面々は空き缶やペットボトル、タイプライターやトースターを楽器として用いている。それだけではない。本作を録音するにあたって彼らは、なんとスタジオまで自作してしまっている(素材は卓球台とマットレス)。
 彼らがそのように日常的なマテリアルを楽器として用いるのは、けっして奇をてらっているわけではなく、そもそもコンゴでは楽器が異様に高いという理由からだ。かつてフライング・リザーズもドラムのかわりに段ボールを叩いていたけれど、じっさいに手に入るか入らないかというのは大きなちがいだろう。レンタルですらとうてい手が届かない値段だそうで、おまけにかの地はしょっちゅう停電に見舞われるらしく、ゆえにコココ!は身のまわりにあるもの、路傍で拾ったもので音楽をつくりあげなければならなかった。そんな彼らの創意工夫を最大限に活かすためだろう、デブリュイによるシンセもできるだけ簡素に、良い意味でチープな音を繰り出している。

 冒頭“Likolo”や“Azo Toke”、ダンサブルな“Buka Dansa”や“Malembe”といった前半の曲たちが体現しているように、アフリカンなヴォーカル、ミニマルな各種パーカッションと、ダブやベース・ミュージック、ハウスなどの手法との組み合わせがこのアルバムの基調を為しているが、他方でひたすらストレンジなムードが続く“L.O.V.E.”や、陶酔的なベースラインの反復とギャング・オブ・フォーを思わせるギター(??)との対比が強烈な“Tongos'a”、加工されているのか生で発せられているのか判然としない独特のヴォーカルがクセになる“Zala Mayele”など、さまざまなアイディアでリスナーを楽しませてくれる表情豊かな1枚に仕上がっている。なかでももっとも彼らの真髄を堪能させてくれるのは、やはり、最初につくられたという“Tokoliana”だろう。この曲をミラ・カリックスサンズ・オブ・ケメットに接続したのも頷けるというか、ベースラインやダビーなドラム処理が高らかに告げているように、これは、まさしくポストパンクである。

 彼らの創意工夫の背景にはもちろん、政治的に困難なコンゴの情勢が横たわっている。西洋のアーティストが趣向を凝らそうとして楽器以外のものに手を出すのとはわけがちがうのだ。だからコココ!の音楽は、DAWがあればいかようにもそれっぽい曲がつくれてしまう昨今の風潮にたいするオルタナティヴであると同時に、創意工夫を重ねなければならない状況へと彼らを追いやった社会なり世界なりにたいするプロテストでもある。
 にもかかわらず。にもかかわらず、たとえば彼らのボイラールームでのパフォーマンスなんかを観ていると、怒りや抗議よりも圧倒的に、喜びや楽しみのほうが勝っているように感じる。なんというかこう、もっとポジティヴなのだ。きっとその正のオーラこそ、コココ!の音楽最大の魅力なんだと思う。

Burial - ele-king

 00年代における最重要作と言っても過言ではない『Untrue』(2007)以降、いっさいアルバムを発表していないベリアルだけれど、10年代に入ってからも「Street Halo」(2011)や「Kindred」(2012)、「Truant」(2012)、「Rival Dealer」(2013)に「Young Death」(2016)に「Subtemple」(2017)にと、〈Hyperdub〉から気まぐれにEPをリリースし続けている。今年の初夏にも「Claustro」が出ているが、レーベルが15周年を迎えるこの年に、それらのEPをまとめたコンピレイションCDが発売されることとなった。収録曲はベリアル自身が選んでいるとのことで、『Untrue』以後の彼の歩みを振り返る良い機会になりそうだ。

artist: Burial
title: Tunes 2011 To 2019
label: Hyperdub
release: December 6th, 2019

tracklist:

CD1
01. State Forest
02. Beachfires
03. Subtemple
04. Young Death
05. Nightmarket
06. Hiders
07. Come Down To Us
08. Claustro
09. Rival Dealer

CD2
01. Kindred
02. Loner
03. Ashtray Wasp
04. Rough Sleeper
05. Truant
06. Street Halo
07. Stolen Dog
08. NYC

https://hyperdub.net/products/burial-tunes-2011-to-2019

Boomkat / Bandcamp

Lanark Artefax - ele-king

 リー・ギャンブルの〈UIQ〉や〈Whities〉からリリースを重ね、昨年はビョークをリミックスしたことでも注目を集めたラナーク・アーティファックスが、新たなEP「Corra Linn」をドロップ。スコットランドにある同名の滝からインスパイアされた作品だそうで、ジャングルの躍動ありピアノの叙情ありと、めちゃくちゃかっこいい3曲が収録されている。レーベルはなんと、グラスゴーの〈Numbers〉。試聴・購入はこちらから。

artist: Lanark Artefax
title: Corra Linn
label: Numbers
release: October 24th, 2019

tracklist:
01. Corra Linn
02. Moo Orphaned Drift
03. Ferthenheap

https://nmbrs.net/releases/lanark-artefax-corra-linn-nmbrs63/

Boomkat / Bandcamp / Spotify / iTunes / YouTube / Amazon

tiny pop fes - ele-king


photo: 堀切基和

 正直に言うと、開催の数日前まで「ホントにやるのかな?」と思っていた。主催のDANGBOORURECORD中条氏曰く、「なんとなく上野公演水上音楽堂の会場使用の応募をしたらなんとなく当選しまったので、やることにした」との由。野外フェスってそんな商店街の福引みたいなノリで出来るんだ!という驚きが先にあったが、ブッキングやステージ制作や各種会場運営含め、じっさいこうして具体化してしまうのだからもっと驚く。多分、というか絶対、音楽ビジネスのプロパーでは実現しない(というかそもそも企画しない)であろう、それくらい横紙破りなイベントなのだった。

 私は、lightmellowbu*注1の一員としてサブステージでDJを担当することになっていたから(なので、当日ライヴを観れなかったアクトも数多い。そのため、この記事では各演奏の詳細に触れることが出来ないことを予めお伝えしておきたい。おそらく近日中にそういった記事もどこかにアップされるだろう……)、サウンドチェック等を兼ねて一般の開場時間より少し早目に現場入りしたのだが、広いステージ上でトップ出演のバンド〈ゆめであいましょう〉のリハーサルが本当に行われていることにまず驚いた。いや、開催当日なのだからリハーサルが行われているのは当然なのだけど、「本当にやるんだな」という感慨が湧き上がってきた。
 会場入口には主催・中条氏やDANGBOORURECORD周辺の関係者が忙しく立ち回っており、まさにこれが正真正銘のDIYスタイルで催される集いであることがヒシヒシと染み渡るのだった。(どうしてもインサイダー的な視点になってしまうのだが)意外にも(?)音響機材や運営面でのオペレーションがしっかりしていそうなのにまた驚いた、というか、良かった……。楽屋もちゃんとあるし、ゴミ袋も用意されているし、導線もわかりやすく整理されているし、と場内を見て回るうちに、なぜか胸に熱いものが(一体誰目線なのか自分でもよくわからない)。
 老婆心全開で感心しているそんな私に、「おはようございますー」と声を掛けてきたのが、hikaru yamada氏。この日の出演者(んミィバンド)にして、本ele-kingでも以前記事にしたためられている通り*注2、〈tiny pop〉というワード(?)を編み出したその人である。 どうやらyamada氏も私と同じような感慨を抱いているらしく、「ついにやるんですねー」などと話しながら、傍らにはステージ進行表のようなものを持っている。訊けば、全日を通しての舞台監督的な役割を与えられているらしく、なるほど、出演者も総出でスタッフを兼ねる形態なのだ。よくよく見回してみれば、スタッフのほとんどが知り合いとインターネット上でつながっている人々(これをインターネット人と呼ぼう)によって占められており、これはもう、極端に規模の大きいオフ会か……?

 そもそもtiny popというものが、山田氏の記事にもある通り、現在のポスト・インターネット的な状況を反映したシーン(のようなもの)なので、自然とこうした雰囲気になるのは当然だとはいえる。けれどこのシーン(のようなもの)は、予てよりあるいわゆる〈ネット・レーベル〉的文化圏とも微妙に違う何かが漂ってもいるのだ。もちろん、インディー・カルチャー圏において2010年代を通して覇権を握ってきた東京を中心としたインディー・ポップの現場感覚とも確実に違う、もっとタイニーで私的な営みであると言える。毎度定義に難渋するこのtiny popとは、一応まとめるならば、インターネット/リアルに関わらず各所に散在していたそれら私的な営みが、たまたま時間や空間上の条件が重なることで、今コロイド状に可視化されたもの、というような理解になるのかもしれない。
 だからこそ、このtiny popに、一般的な音楽ジャンル用語としての効用を期待しすぎてはいけない。じっさい、この日の出演者にしてもその音楽性はバラバラで、山田氏の定義においてtiny popとされるもの(mukuchi、んミィバンド etc.)から、既にtiny pop云々を置いて各々のファンダムを形成しているアーティストまで、さまざまな人たちがステージに上ったのだった。けれども、そこにはうっすらとした共通項として、既存ジャンル意識や前提的なシーンの存在を、自覚的にせよ無自覚的にせよ超えていこうとする新しい律動(例えば、いわゆるこれまでのインディー・ロックを絶対的な価値観とする心性から開放されていること等)が貫いていることも確かなように思われるのだった。
 そういうことを頭に置いてみると、この日会場に漂っていた(それは来場者も共に発散していたのだが)味/熱が実に得難い一回性を湛えたものであったということがわかる。それは有り体にいうなら、「何かが起ころうとしているときの期待感」だったり、「未知のコミュニティーが立ち表れてくるときの連帯感」だったりするのかもしれないが、各アクトによる、(良い意味で)好き勝手に自分たちのペース/マナーでされるステージング、ゆるやかな集散を繰り返しながらプラプラと会場内を周遊する(あまり「ウェーイ!」といった感じではない)来場者の人々の姿をみるにつけ、大きくて強い言葉でその印象を形容するのが憚れるのだ。これはやはり、〈tiny〉としかいいようのない感覚……(ちなみに、ここ水上音楽堂は音量制限にシビアなことでも知られており、この日もイベントを通して耳に心地よいタイニーなデシベル値となった)。


photo: 加藤貴文


photo: 加藤貴文

 いきなり大きな話になるが、これまで、「~~ポップ」と名が付いている音楽は基本的に、資本主義/自由主義的体制の中においてその内在的宿命として経済的な覇権を志向するものだった。それは、そのジャンル名を冠された音楽家たちが彼/彼女の恣意性によって付けたり脱いだりできるような類のものではなくて、もっと根源的な、システム上不可避とさえいうべきのものだろう。これは、もちろん(ハードなマルキシストにとってはそうでないだろうが)一般消費者にとっては悪いことではなくて、そのいうシステム上の宿命的ダイナミズムがあったからこそ、今まで永くポップ・ミュージック全般が豊かな実を成らせながらここまで発展してきたのだといえる。
 しかしながら、ポップスそのものが内在するそういったインフレーションへの傾向はまた、少なくないデリケートな表現者たちにとって我慢のならないストレスでもあったのも自明である。あんなにもポップな音楽を作り上げたブライアン・ウィルソンが、その楽曲のポピュラー性に反するように、実に内向的/自省的な人物であることはよく知られている。あるいは、〈ベッド・ルーム・ポップ〉というような撞着語法的表現にみられるように、その矛盾性をむしろひとつのチャームとして逆説的に提示するジャンル用語すら生まれてきたのだった。何がいいたいのかというと、要するにポップスとは、モダン以降いつの時点にあっても、自由主義経済的な自己インフレーションと、私的美意識(作家性)の確保というものの間における苛烈な相克の運動であるということだ。*注3
 翻ってtiny popについて見てみるならば、どうやらそれは、今現在のポップスにおけるそういった相克の最前線に、(あまり派手派手しいわけではないが)極めて批評的な観点を投げかけながら位置しているものであると言えそうだ。いわゆるポスト・インターネットの時代を叫ばれて久しい今、そういったメディア状況がコミュニケーションを強化(時に分断)することによって立ち会わられた新しい時代のポップスとして、tiny pop以上に当世風のものはないのではないか。予てから界隈のインターネット人たちが醸している、社会性と非社会性の淵をゆらめくようなシニック(というと何やら悪口のようだが、そのアンチ・アイデンティティ論的な姿勢は優れて批評的だと思う)や、ハイ・コンテクストなユーモア感覚こそは、ポップというものにおける自由主義的な指向性と、作家的内省性の、最新にして実に興味深い発露としても捉えうると思っている。
 
 かつてyamada氏が私に語ってくれた言葉で面白いものがある。要約するなら、「tiny popは〈商業的〉になった瞬間にその魅力と意義が霧消してしまうだろう」というようなものだった。なるほど、tiny popとは、現在インターネット空間(特にSNS)において極稀にしか現れない健全で建設的なコミュニケーションに似て、実にフラジャイルなバランスによってしか出現し得ない儚い現象なのかもしれない……。
 だからこそこの日、上野公演水上音楽堂に現れたものは、その希少性という意味でも尊いものであったし、意図をもって再現することが難しい類の極めて一回的な経験だったのかもしれない。メインステージで奏でられた各アクトの音楽の繊細な鳴り方/在り方もそうだし、冒頭に紹介したような極めてDIYでコミュニタリアン的な運営スタイルの希少性についてもそうだ(だから、会場の規模感的にも〈無理をしない無理〉という感じで、実に絶妙だったと思う)。また、90年代のオブスキュアなシティ・ポップCDでDJをするという私自身のイベントの関わり方も、よく考えれば(よく考えなくても)相当に珍奇なものだし、そういう「誰かが意図したわけでないのに、ポッと生まれでてしまった不思議な瞬間」が幾度もあった気がする。そして、そうした瞬間はおしなべてなにやら美しくもあったのだった。
 抜けるように青いこの日の空模様について、誰もが「晴れてよかったですね」と挨拶を交わしながらも、どこかで皆その過度の開放感に戸惑っているようなところがあった。そういう連中がこうやってぞろぞろと集まれたことに、このtiny pop fesの意義は尽きているような気もする。

 さあ、これからtiny popはどうなっていくのやら。tiny popを〈商売〉から庇護するのも純粋主義的で心惹かれもするが、一方で〈よりポップになった〉tiny popも見てみたいよな、という蠱惑にも駆られる。何かが生まれるときに立ち会うというのは、言いようのない感慨を催させもする。しかし、それがシーンとして独り立ちするのを、支え、そして見るのも、これまた爽やかな感動を味わえそうではあるが……果たしてどうだろう。


photo: 堀切基和

*注1
lightmellowbuについてはこちらの拙記事を参照。
https://www.ele-king.net/columns/regulars/post_muzak/006751/

*注2
https://www.ele-king.net/columns/006704/

*注3
このあたりの議論については、ジェイソン・トインビー著、安田昌弘訳 『ポピュラー音楽をつくる ミュージシャン・創造性・制度』(2004年 みすず書房)などを参照。
https://www.msz.co.jp/book/detail/07102.html

Colleen - ele-king

 昨年素晴らしいアルバム『A Flame My Love, A Frequency』を送り届けてくれたフランスの音楽家コリーンが、モーグとコラボレイトしたEP「A Flame Variations」を公開した。『A Flame~』収録曲の別ヴァージョンが5曲収められており、バンドキャンプにてフリーでダウンロード可能となっている。

https://colleencolleen.bandcamp.com/album/a-flame-variations-live-in-the-moog-soundlab

Plaid - ele-king

 30周年を迎え大きな盛り上がりを見せている〈Warp〉だけれど、またもや嬉しいお知らせの到着だ。今年6月に環境問題をテーマに掲げた力作『Polymer』をリリースしたヴェテラン、プラッドが来日する。オーディオ・ヴィジュアルにも定評のある彼らだけに、今回のライヴでもきっと素晴らしい一夜を演出してくれることだろう。11月23日は VENT に決まり!

Aphex Twin や Autechre 等と共に〈Warp〉レーベルを支えてきた Plaid が、オーディオ・ビジュアル・ライブセットで登場!

今年の7月には10枚目となる最新アルバム『Polymer』をリリース、30周年を迎えた超人気レーベル〈Warp〉を Aphex Twin や Autechre、Nightmares On Wax などとともに支えてきたPlaid (プラッド)が、話題のオーディオ・ビジュアル・ライブセットを引っさげて11月23日のVENTに登場!

まばゆいメロディ、肉感的なリズム、ヒプノティックなテクスチャーが散りばめられた13曲を収録した最新作品『Polymer』を今年7月にリリースした Plaid。名門レーベルの看板アーティストの1組として長年の活躍は言わずもがな、Björk をはじめ、Mark Bell、Arca、Haxan Cloak、最近では Skee Mask や Daniel Avery などともコラボレーションしてきた。他にも London Sinfonietta や Southbank Gamelan Players、Felix's Machines のロボット・スカルプチャー、サウンドトラックなどジャンルを超えて幅の広い仕事をしてきた。また Berghain などの有名クラブからシドニーのオペラハウスなど様々な場所でライブを繰り広げてきた国際的な輝かしい実績も持っている。

Plaid は過去にも世界各地でオーディオ・ビジュアル・ライブセットを披露しており、その圧倒的なクオリティの高さは大きな評判となっていた。多声音楽、環境汚染、政治などのマニフェストをクリエイティブに昇華し、環境問題や統合性、生存競争や死亡率、人間性の断絶などのテーマがぶつかり合っている最新作『Polymer』は今の時代に聴くべき作品と言えるだろう。まさに今見るべきライブアクトのクリエイティビティを直に体感してほしい!

Plaid - WXAXRXP Mix:https://youtu.be/62B_JAg6jJ0

[イベント概要]
- Plaid -
DATE : 11/23 (SAT)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥3,500 / FB discount : ¥3,000
ADVANCED TICKET:¥2,500
https://jp.residentadvisor.net/events/1326343

=ROOM1=
Plaid - Live -
Mustache X
TUNE aka FUKUI (INTEGRATION / Hippie Disco)
HOWL (DODGY DEALS CLUB)

=ROOM2=
JUNSHIMBO (OTHERTHEQue!)
FLEDtokyo (Tu.uT.Tu./Test Press)
HARUYAMA (RINN∃)
TEA YOUNG DAY
MIDY (YELLOW) × Amber (PARANORMAL)

VENT:https://vent-tokyo.net/schedule/plaid/
Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/772747059842468/

※ VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case. Thank you for your
cooperation.

TNGHT - ele-king

 UKのベース・ミュージックとUSのヒップホップが幸福な婚姻を果たした2012年の「TNGHT」、その大ブレイクにより一躍ときの人となったトゥナイトは、ハドモーことロス・バーチャードとルニスことルニス・フェルミン・ピエール2世から成る2人組で、勢いそのままに翌年カニエ・ウェストとコラボするまでに至ったわけだけれど、しかしメジャーになりすぎることを警戒したのか、はたまたたんなる気まぐれなのか、同年新たに1曲を発表したのみで長い沈黙に突入する。そんな彼らがふたたび制作に着手した、と報じられたのが2017年の6月。早2年の月日が流れ……ようやく復活である。件の「TNGHT」と、今回新たにドロップされる「II」とをカップリングしたCD『TNGHT I & II』が〈Warp〉と〈LuckyMe〉との共同でリリースされる。発売は12月13日。

[11月7日追記]
 怒濤の来日ラッシュで大きな盛り上がりを見せた〈Warp〉30周年企画ですが、その一環としてリリースが決定した独自企画盤『TNGHT I & II』より、新曲“First Body”が公開されました。キャッチーかつストレンジなメロディがクセになりますね。

[11月13日追記]
 新情報です。上述の「同年新たに1曲を発表したのみで」の1曲、“Acrylics”が急遽『TNGHT I & II』に追加収録されることになりました。つまり同盤には、これまでトゥナイトが送り出してきたすべての楽曲が収録されることになります。コンプリート達成!

[11月20日追記]
 新たに“Gimme Summn”のMVが公開されました。カナダの映像作家/アニメイターのコール・クッシュによる、3Dキャラクターが印象的なヴィデオです。トゥナイトのふたりからコメントも届いています。

コールのシャープな色使いと3Dアニメーション・スタイルの大ファンなんだ。絶妙な不快感と混乱を与えてくれる感じが好きなんだ。興味深くずっと見ていられる。 ──Lunice

ジュリアン・アサンジのケンタウロスを見てみたかったんだよ。 ──Hudson Mohawke

TNGHT

ハドソン・モホーク × ルニス
ついに再始動したトゥナイトがEP作品2枚をまとめた独自企画盤CD『TNGHT I & II』のリリースを発表!
新曲“DOLLAZ”を公開!

TNGHT - DOLLAZ
https://youtu.be/XagzSNnr1h0

2011年から2013年までのたった3年間の活動の中で、セルフタイトルのEP作品「TNGHT」(2012)でシーンに強烈な衝撃を与えたハドソン・モホークとルニスによるエレクトロニック・ユニット、TNGHT (トゥナイト)。当時フライング・ロータスら多くのアーティストが“Higher Ground”をDJセットに組み込むなど、そのユニークなサウンドを絶賛し、その一人であったカニエ・ウェストが、自身のアルバム『Yeezus』に TNGHT の楽曲“R U Ready”をサンプルするなど、多くの実績とインパクトを残したのちに突如を活動を休止。しかし、トラップを取り入れた彼ら独自のスタイルは、アメリカを中心としたその後のポップ・ミュージックのトレンドに大きな影響を与えた。

その後はそれぞれのソロ・プロジェクトに集中していたが、今年に入って TNGHT の Twitter アカウントから再始動を予感させる投稿が相次ぎ、ついに先月、新曲“Serpent”のリリースと共に6年ぶりに活動再開を発表した。今回それに続く新曲“Dollaz”のリリースに合わせて、EP「II」のリリースが決定。さらに、盛り上がりを見せている〈WARP〉30周年企画の一環として〈WARP〉と 〈LUCKYME〉のダブルネームで、2枚のEP作品を合わせた独自企画盤『TNGHT I & II』のCDリリースが決定した。

これは俺たちにしか出せない音だ。 ──Lunice

変な音が聴こえたらそれは良い兆候で、俺たちにはすごくエキサイティング なことなんだ。聴いてる時に悩ませてくれるくらいじゃないとね。 ──Hudmo

TNGHT (トゥナイト)の初CD作品『TNGHT I & II』は、12月13日(金)にリリース! 初CD化となるEP「TNGHT」、新作EP「II」を全曲収録!

label: BEAT RECORDS / WARP / LUCKYME
artist: TNGHT
title: TNGHT I & II
release date: 2019.12.13 FRI

商品情報
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10621

TRACKLIST
01. Top Floor
02. Goooo
03. Higher Ground
04. Bugg'n
05. Easy Easy
06. Serpent
07. Dollaz
08. First Body
09. Club Finger
10. What it is
11. Im In A Hole
12. Gimme Summn

CFCF - ele-king

 今年、ニューエイジとジャングルを組み合わせたアルバム『Liquid Colours』をリリースし話題を呼んだ CFCF が、同作を引っさげ来日ツアーをおこなう。11月2日から11月6日にかけて、東京、新潟、大阪を巡回。ライヴではいったいどんなサウンドが繰り広げられるのか。あなた自身の耳で確認しよう。

CFCF JAPAN TOUR 2019
– LIQUID COLOURS RELEASE TOUR –

・11/02 (Sat) – TOKYO | CIRCUS Tokyo
・11/03 (Sun) – Niigata | Kiageba Church
・11/06 (wed) – OSAKA | CIRCUS Osaka

https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/top/news/cfcf-japan-tour-2019/

■東京公演

CFCF JAPAN TOUR 2019 – Tokyo –

日程:11/2(土)
場所:CIRCUS Tokyo
時間:開場 19:00 / 開演 19:30
料金:前売 3,500円 / 当日 4,000円(別途1D代金600円)
チケット:チケットぴあ (Pコード:167133) / Peatix / e+

LIVE:
CFCF
dip in the pool
Daisuke Tanabe


■新潟公演

CFCF JAPAN TOUR 2019 – Niigata –
experimental room #30

日程:11/3(日)
場所:新潟・木揚場教会(新潟市中央区礎町通上一ノ町1957)
時間:開場 17:00 / 開演 17:30
料金:前売 3,500円 / 当日 4,000円 / 新潟県外からの方 3,000円 / 18才以下無料!
チケット:メール予約
info@experimentalrooms.com
(件名を「11/3チケット予約」としてご氏名とご希望の枚数をご連絡下さい)

LIVE:
CFCF
dip in the pool
Yojiro Ando

DJ:
Jacob

SHOP:
Oohata Coffee


■大阪公演

CFCF JAPAN TOUR 2019 – Osaka –

日程:11/6(水)
場所:CIRCUS Osaka
時間:開場 19:00 / 開演 19:30
料金:前売 3,000円 / 当日 3,500円(別途1D代金600円)
チケット:チケットぴあ (Pコード:167135 ) / Peatix / e+

出演:
CFCF
speedometer.
Dove



■CFCF
モントリオールを拠点に活動するコンポーザー Michael Silver によるソロ・プロジェクト。これまで〈Paper Bag〉、〈Acephale〉、〈RVNG Intl.〉、〈1080P〉、〈International Feel〉など、様々なレーベルから作品をリリースしている。インディ・ディスコ~ポスト・ダブステップ~アンビエントなど幾多のエレクトロニック・ ミュージックを横断しつつも、常にクウォリティの高いサウンドを披露し、ジャンルを超えて高い支持を得ている。また、リミキサーとしてもその手腕を発揮しており、Crystal Castles、HEALTH、Owen Pallett など多岐にわたるアーティストのリミックスを手がけており、現代のエレクトロニック・シーンで重要な人物の一人として地位を確立している。日本の音楽にも精通しており、dip in the pool との交流も深い。
cfcfmusic.com / Twitter / SoundCloud


■dip in the pool:(東京、新潟公演に出演)
1983年に作/編曲を担当する木村達司(track)と、作詞担当の甲田益也子(vo)が結成したデュオ。独特の音楽センスとファッショナブルなヴィジュアルが話題を呼び、86年にイギリスは〈ROUGH TRADE〉よりデビュー。
マイペースな活動と並行して、甲田益也子が89年に映画『ファンシイダンス』で役者としてもデビューし、映画『白痴』では主演をつとめた。木村達司は他アーティストのプローデュース、アレンジやCM、映画音楽制作等、個々の活動も多彩に展開している。
一時の活動休止を経て2011年に本格的に再始動、14年ぶり、8枚目となるアルバム『brown eyes』をリリース。
2013年には木村達司がモーガン・フィッシャー、安田寿之と共にアンビエント・エレクトロニカ・アルバム『Portmanteau』をリリース。甲田益也子がゲスト・ヴォーカルとして4曲参加している。
2015年1月に伊藤ゴロー、古川初穂らをゲストに迎えた10枚目のアルバム『HIGHWIRE WALKER』をリリース。
2016年にアムステルダムに本拠を置き世界中に多くのファンを擁する復刻レコード専門レーベル〈Music From Memory〉から89年に発表した「On Retinae」が12 inch・シングルとしてリイシューされ世界的に再評価される。
2017年にはアメリカのアンビエント・デュオ Visible Cloaks からの依頼を受けシングルを共作リリースし、来日イベントでは共演も果たしている。
2018年、オーストラリアはメルボルンでのフェス、シドニーでのDJ/ライヴ・イベントに参加。
2019年、ヨーロッパツアーを行い、パリ、ストックホルムにてライブを行い好評を博す。また、年内には日本、オーストラリア、フランスのアーティストとのコラボレーションを行い、作詞、作曲、歌唱、トラックメイクを提供したシングルが連続してリリースされている。
https://dipinthepool.com/


■Daisuke Tanabe:(東京公演に出演)
偶然の重なりから初ライヴはロンドンの廃墟で行われた大規模スクウォット・パーティー。06年、紆余曲折を経てリリースした初のEPが BBC Radio1 Worldwide Award にノミネートされ、その後も世界最大規模の都市型フェス Sónar Barcelona への出演、イタリアでのデザインの祭典ミラノサローネへの楽曲提供等幅広く活動中。釣り好き。
https://soundcloud.com/daisuketanabe
https://twitter.com/daisuketanabe
https://www.facebook.com/Daisuke-Tanabe-157676610954408/


■Yojiro Ando:(新潟公演に出演)
安藤洋次郎 | 新潟県新発田市在住の作曲家。4歳から17歳までピアノを習い、その後、クラブ音楽に傾倒。22歳からトラック製作を開始し、2016年にエレクトロニカを軸とした自身初となるアルバム『Cube Day Love』を旧名義(Yojiro Chiba)で発表。その後、2018年にはインスト・ヒップホップを軸としたアルバム『Keshiki』を発表。現在、トラック製作の他にライブ活動にも力を入れている。
YOJIRO ANDO
YOJIRO ANDO “KESHIKI”
YOJIRO CHIBA “CUBE DAY LOVE”


■ヤコブ:(新潟公演に出演)
国内外の先鋭的なアーティストを招聘し、アート・エキシビションやクラブ・イベントなどを行う、新潟のアンダーグラウンド・シーンを牽引する red race riot! を主催し、DJとしてもプレイする。また様々なイベントでもDJとして精力的な活動を行い、盟友 le とのDJユニット、Ixalods の名義も持っている。
RED RACE RIOT!
Interview with JACOB


■speedometer. (高山純 a.k.a. slomos):(大阪公演に出演)
1990年代より speedometer. として活動、6作のアルバムをリリース。中納良恵(ego-wrappin')、イルリメとのユニット「SPDILL」、山中透(ex. Dumb Type)とのコラボレーションから、二階堂和美の編曲、ビッグポルノ楽曲担当、故市川準監督作品への楽曲提供など。近年はAUTORA(山本アキヲ+高山純+砂十島NANI+森雄大)としても2作のアルバムをリリース、アパレル・ブランドのコレクションに楽曲提供、台湾・蔡健雅のアルバムに編曲者として参加。
​オフィシャルサイト
https://takayamajun.com/


■Dove:(大阪公演に出演)
大阪拠点のシンガー/プロデューサー。2018年にリリースした1st EP「Femm」、2019年にリリースした2nd EP「irrational」が各地で話題となり、今までにデンマークのシンガー Erika de Casier やレーベル〈PAN〉の M.E.S.H や Toxe などと共演。自主レーベル〈Pure Voyage〉も共同で主催しており、各方面から今後が期待されているアーティストの1人である。
https://soundcloud.com/doveren

interview with Michael Gira(Swans) - ele-king


Swans
Leaving Meaning

[解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録]
Mute/トラフィック

Experimental RockPost Punk

Amazon

 ニューヨークのノー・ウェイヴ勢がその崩壊型のアート虐殺行為を終えつつあったシーン末期、1982年にスワンズは出現した。1983年のデビュー作『Filth』のインダストリアルなリズムと非情に切りつけるギターから2016年の『The Glowing Man』でのすべてを超越する音響の大伽藍まで、彼らは進化を重ね、長きにわたるキャリアを切り開いてきたが、次々に変化するバンド・メンバーやコラボレーターたちの顔ぶれの中心に据わり、スワンズの発展段階のひとつひとつを組織してきたのがフロントマンのマイケル・ジラだ。

 実験的な作品『Soundtracks for the Blind』に続き、スワンズは1997年にいったん解散している。そこからジラはエンジェルズ・オブ・ライトでサイケデリックなフォーク調の音楽性を追求した後、新たなラインナップでスワンズを再編成しこの顔ぶれで2010年から2016年にかけて4作のアルバムを発表。じょじょに変化を続けるジラのサイケデリックからの影響を残しつつ、それらを音の極点のフレッシュな探求に融合させた作品群だった。このラインナップは2017年に解消されたものの、それはバンドそのものの終結、というか長期の活動休止を意味するものですらなかった。そうではなく、ジラは自らのアイディアの再配置を図るべく短い休みをとった上で、『Leaving Meaning』に取り組み始めた。クリス・エイブラムス、トニー・バック、ロイド・スワントンから成るオーストラリアの実験トリオ:ザ・ネックスから作曲家ベン・フロスト、トランスジェンダーの前衛的なキャバレー・パフォーマー:ベイビー・ディーに至る、幅広い音楽性を誇るコラボレーターたちが世界各国から結集した作品だ。

 マントラ調になることも多い執拗なリズムとグルーヴ、トーン群とサウンドスケープの豊かな重なり、ゴスペル的な合唱によるクレッシェンドとが、今にも崩れそうなメロディの感覚で強調された、霊的な音の交感の数々へと統合されている。このアルバムおよびその創作過程の理解をもう少し深めるべく、筆者はアメリカにいるジラとの電話取材をおこなった。取材時の彼はこれまでも何度かコラボレートしてきたノーマン・ウェストバーグを帯同しての短期ソロ・ツアーに乗り出す準備を進めているところだったが、それに続いて彼は2020年から始まる『Leaving Meaning』ツアー向けの新たなスワンズのライヴ・ショウ作りに着手するそうだ。(坂本麻里子訳)

わたしはドアーズを聴いて育ったんだ。大げさな音楽だったかもしれないけど、その当時はすごくいいと思ってた。いまでもその頃聴いてたレコードのことを思い出すよ。

アルバムを聴いたのですが、かなり手の込んだプロセスだったのではないでしょうか。参加したアーティストも30人以上います。

ジラ:6ヶ月やそこらかかったんじゃないかな、いや、8ヶ月だったかも。ようやく作り終えたのがたしか3ヶ月前。かなりの作業だった。

大部分をドイツで録られましたね。なぜドイツだったのでしょう?

ジラ:メインで参加してくれてるアーティストがベルリン在住だった。ラリー・ミュリンズ、クリストフ・ハン、ヨーヨー・ロームとまず元になるトラックを録って、その後サポート(と言えども、重要な役割の)ミュージシャンを呼んだわけだけど、彼らもベルリン在住だったからね。ベルリンには他にも何人か呼び寄せて、素晴らしきベン・フロストと作業するためにアイスランドに飛んだよ。ニューメキシコ州のアルバカーキにも行って、A Hawk and a Hacksawのヘザーとジェレミー、昔からの友人のソー・ハリスとも作業した。で、ブルックリンでダナ・シェクター、ノーマン・ウェストバーグ、クリス・プラフディカのパートを録って、またベルリンに戻ってオーヴァーダブとミックス作業をしたんだ。

以前とはかなり異なるプロセスだったのですか?

ジラ:うーん、2010年から2017年、18年くらいまでは固定のバンド・メンバーがいた、メンバー間の仲も良かったし、みんないいミュージシャンだった。スタジオに入って、ライヴ演奏してきたものや、わたしがアコースティック・ギターで書いた曲に肉付けしたものを録ったりした。いつも一緒にやっている人は決まっていて、外部から人を連れてきたりもしたけど、ベースになる部分はずっと同じだった。スタジオに入って、全てをレコーディングしたりもした。わたしが不在のこともよくあったけど、いまみたいに大世帯ではなかったんだ。その当時のバンドを解散してからは、曲に見合って、作り上げてくれる仲間を選ぶようにした。

アルバム、『My Father Will Guide Me up a Rope to the Sky』(2010)から『The Glowing Man』の流れでいくと、先に広がりを持つ曲作りをされたということでしょうか?

ジラ:まずわたしがアコースティック・ギターのみで録って、そのあとみんなでスタジオで作りこんでいった曲もあるよ。他の曲はライヴでやったものを使ったりもした。アコースティック・ギターから生まれたグルーヴをスタジオでみんなとプレイして、エレクトリック・ギターを乗せて、バンドとして曲を作りこんでいく感じ。そこから、ライヴ演奏して、わたしひとりじゃなくて、曲が展開するに従って、バンドとしてインプロしていく。こういった断片的なものを生でプレイして、積み重なって、どんどん構築される──30分の曲もあれば、50分の曲もある。ある曲を演奏しているうちに、新たな流れができて何かが生まれて、元にあった部分を切り捨てたりとかね。わたしたちの曲は常に進化系だから、その先の流れも見えてくる。なかなか面白いやり方だったと思う。

かなり前に作られた曲の断片を再度使い、新しいものに生まれ変わらせる、といったプロセスなようにも取れますね。例えば、『The Glowing Man』内の“The World Looks Red/The World Looks Black”は80年代にサーストン・ムーアのために書かれた歌詞が引用されています。

ジラ:音楽が完成することは決してないと思っている。今回のアルバムの曲にしても、新しいバンドと演奏すれば、また新たに進化していくものだろうし。むしろそうであってほしい。アルバムと全く同じように聴こえるのではつまらない、新しいかたちでで演奏できる術を見出したい。常に崖っぷちにぶら下がってる感覚が大切なんだ。まがりないものを作り出すにはいい刺激なんじゃないか。

そういった意味では、今回のアルバムを作る過程は以前とは逆のやり方だった、と?

ジラ:そうかもしれない。ただ、今回のアルバムの構成・作曲に関していうと、作りはじめはむき出しの状態。いままでに演奏したことがあるものじゃないから、構成、作曲、ミックス、プロダクションという流れだった。以前に存在していたものではなかったから、だから自分のよく知るやり方でベストなアルバムを作ったのみ。で、想像つくと思うけど、このでき上がったものを思い切りぶち壊すのが次のステップ(笑)。

ご自身のアコースティックのデモを事前にリリースし、今回のアルバム制作資金を調達しました。以前にもこのやり方をされたことがありますね。

ジラ:何度もね。曲が反復する部分があるんだけど、そこからその曲のごく初期のヴァージョンや、アウトラインが見えてくると思う。ただ、こういう曲をアルバムと比べると、相当変化を遂げている。あるものが常に進化段階だという事実は重要だ。

レコーティングされたものとライヴ音楽の関係性について。ライヴ体験は独特の身体的若しくは直感的な何かがあるように思えます。

ジラ:そうだね、特に前作から感じ取れたと思うけど(笑)。音量重視だったからね。それには訳があって、ただ単に音量をあげたかったのではなくて、そこまでの音量にしないとしっくりこなかったっていうのがあった。これからのライヴではもうそのやり方はしないけど。それなりの音量にはなるが、以前のように音量に圧倒される体験ではなくなるね。

それを聞いて、以前ブライアン・イーノが言ったことを思い出しました。何かが限界ギリギリになったときにこそ、クリエイティヴィティが生まれる、と。例えば、スピーカーを最大音量まであげたときに、ディストーションという新しい音の形が生まれるように。

ジラ:ああ、想定外のものが生まれるのをみるのは楽しい。わたしも最初に作ったものを捨てて、予想外の産物を使うことがよくある。そっちの方が熱がこもってる気がするから。

かなり冒険的なアプローチですよね。それはご自身が元々ミュージシャンとしての訓練を受けていないことに起因していると思いますか?

ジラ:そうだな、わたしがギター・プレイヤーと曲作りをしているとする。わたしが自分のギターでコードを弾いて、「もうちょっとオープンコードっぽく弾いてみて」と頼んで、弾いてもらう。で、「あー、ちょっと違うな。もっと高いコードでやってみようか。それかハモってみるか」って具合に。その曲にしっくりくるものを探すのみ。だいたいわたしが曲を書くときはアコースティック・ギターを使うんだけど、ギターに腹が触れてるもんだから腹で音を感じるんだよ。わたしが弾くコードにはオーヴァートーンや共鳴があって、曲を組み立てていく段階になると、むしろコード主体というよりもコードを取り囲むサウンドがメインになること多い。そうすると、「そうか、そこに女性ヴォーカルかホーンを入れたらこの共鳴部分を引き出すことができるのかもしれない」ってなるから、そうやって曲が作り上げられていく。

だから自分のよく知るやり方でベストなアルバムを作ったのみ。で、想像つくと思うけど、このでき上がったものを思い切りぶち壊すのが次のステップ(笑)。

ギターの共鳴を身体で感じるとおっしゃっていましたが、音楽の身体性について思い出しました。

ジラ:ああ、まあ、わたしはある意味、サウンドにのめり込んで消えてしまいたいっていう、こう、青臭い衝動に駆られるから、スケールはでかければでかいほどいいんだけど。ただ当然、長いこと生きていれば、でかいサウンドにしたいんだったらそれなりにサイズ感を合わせていかなきゃいけないことを学ぶわけで。青臭いっていったのは、若かりし頃に音楽に没頭して、そのなかに埋もれるとどこか新しい場所に辿り着けたことを思い出したから。だから、ステレオの音量をグッと上げるんだよ、しばしのあいだこの世から消えてしまいたいと思うから(笑)。

わたしの青春時代はいつもシューゲイザー・ミュージックでしたね。音の渦に飲み込まれますから、音楽的にはひどいものだったかもしれませんけど。

ジラ:申し訳ないけど、中身のない音楽だな(笑)!

その当時は自分自身の中身も空っぽだったんだと思います!

ジラ:わたしはドアーズを聴いて育ったんだ。大げさな音楽だったかもしれないけど、その当時はすごくいいと思ってた。いまでもその頃聴いてたレコードのことを思い出すよ。

そう考えると、最近のスワンズのサウンドはドアーズ特有のエコーを彷彿させるものがありますね。サウンドそのものというよりも、雰囲気ですけど。

ジラ:まあそうだな、ドアーズはわたしの一部になってるから。ジム・モリソンみたいに歌えたら、もう死んでもいいや、だってそれ以上の幸せなんてないだろ(笑)。

ノイズやノイズ・ロックのような音楽の極限を追求する音楽は多々ありますが、80年代、90年代のアーティストがもともとこの音楽的な限界を作り始めたように思います。どのようにしてご自分の限界に挑み続けられているのでしょうか。

ジラ:その当時、スワンズは“ノイズ”音楽だと言われてたみたいだが、そう思ったことは一度もない。“サウンド”──純粋なサウンド、と捉える方が個人的にはしっくりきた。“ノイズ”と言われてたことを気にすることもなかったが、常に自分のやり方で、自分にとって唯一無二の、本物の音を追求してきたつもりだ。

そういった意味でこのように音楽に限界を設けるのは、音楽的な違反を犯すということなのかもしれません。

ジラ:他人が何をしようと関係ないさ。ルールを破りたいのあれば、どうぞご勝手に(笑)! そうしたところで、結局またそのルールとやらに縛られることになるんじゃないかと思うけど。やりたいことは自ら見つけるべきだし、それが人を不快にさせるなら仕方ないこと。ただそうと決めても、またその事実に結局は囚われることになる。誰かが決めたルールのなかで音楽は作りたくはない。

今回のアルバムに話を戻します。『The Glowing Man』に比べると、歌詞重視なように思えます。

ジラ:かなり意図したものだ。特に過去の『The Seer』、『To Be Kind』、『The Glowing Man』の3作に関しても歌詞はそれなりに重要だったんだけど、若干陰に隠れていたのかもしれない。歌詞がゴテゴテしすぎたり、奇抜すぎたりすると、サウンド体験の妨げになりうると思ったから。今回はこのサウンドに見合うものを生み出すことに挑戦した。ある意味、ゴスペルみたいな感じだよね。何度も繰り返されるフレーズがあって、それが昂揚していくような。だから、物語調のものより、サウンドに意味をもたせてくれるようなアンセムとかスローガンみたいなフレーズを見つけようと思ったんだ。今回の新しいプロジェクトでは、もっと歌詞を書くと決めて、アコースティック・ギターを持って自分をなかば強制的に歌詞に集中させるところからはじまった。湧き出てくる言葉もあれば、どうしてもうまい具合に出てこないこともあったけど。

インプロを多用し、生で演奏し作り上げていくというスタイルから、より構造的なものにしていこうというプロセスの変化の一端だということですか?

ジラ:ああ、そうだね。歌詞は明らかに完成してるけど、そこからまた曲が進化していくっていうときもあったね。歌詞ができていないときでも、イメージしているものがあがってくるまで、適当なフレーズで歌ってたときもあった。で、そのイメージと他のイメージの相乗効果で曲ができたり。その場合、全ての曲はすでに完成していて、あとはその曲を演奏してる人たちと詰めていくだけだった。

このアルバムの制作過程で歌詞から何かテーマが生まれてきましたか?

ジラ:どうだろう。いつも自分自身の存在に惑わされ、驚かされてるからさ。自分の精神、一般的にいう精神というものがどういうものなのか、意識とはどういう仕組みなのか理解しようとしているんだけど、もしテーマがあるとしたらそれかな。君が若い頃にこういう経験があったかどうかわからないけど、わたしには間違いなくあった、とくにLSDをやったときにね。鏡のなかの自分の姿をある一定の時間眺めていると、自分が肉体から離れていくのが見えて、鏡のなかの人物は自己というものを失う、この現象。こういった心理状態は興味深いものだ。

歌詞やサウンドについて。“Amnesia”を例にとります、もしかしたらわたし自身の不安を投影しているだけかもしれませんが、世のなかが制御不能に陥っていくような印象を受けました。

ジラ:さあ、いまの世のなかについてどうこう言えるほどの立場にないからなんとも言えないけど、自分の頭のなかがどうなってるかはよくわかってるつもりだ(笑)。

まあ、わたしはある意味、サウンドにのめり込んで消えてしまいたいっていう、こう、青臭い衝動に駆られるから、スケールはでかければでかいほどいいんだけど。

先ほど、ゴスペル音楽についてお話されていましたが、今回のアルバムにもその要素が入っているように思えました。このような音楽は、宗教的な救済を彷彿させるのではないでしょうか。

ジラ:うーん、救済、ではないかな。救済っていうんだったら、まずは呪われていることが前提じゃないか。恍惚的な何かに解けこんでいくっていう考え方は、もちろん音楽の本質だけどね。それは常に追い求めている。曲ってシンプルなものだったり、短編的なものだったりするんだけど、サウンドのなかで我を見いだしたり、見失ったりってことを同時にやっているってことでもあるんじゃないか。

“Leaving Meaning”では最近話題のドイツの「Dark」というテレビ・ドラマのサントラを担当してるベン・フロストが参加していますね。映画ファンなんですか?

ジラ:映画オタクってわけでもないし、すごく詳しいわけじゃないけど、映画はよく観るよ。近代では一番わかりやすい芸術の形なんじゃないか。個々の持つ力をうまく引き出して、自分のヴィジョンを維持しつつ、そこから芸術作品を作り出すって、とてつもないことだと思うんだ。まとめていかなきゃいけない人たちからあれこれ言われたり、経済的な困難だとか、それを全て乗り越え、ものすごく手の込んだ何かを生み出すのはとてつもない労力だ。

いまお話にあった、手が込んで、包括的な芸術作品である映画のように、あなたが音楽的に成し遂げたいなにかはありますか? アルバムを聴いていると、単に個々の曲を寄せ集めただけではないような気がします。

ジラ:80年代後半か、もしかしたら80年代なかばくらいから、アルバムをサウンドトラックとしてとらえるようになった──エナジー、わたしたち独自のサウンドそして昂揚感が詰まったものとして。音を通じて、完全なる体験を作り出したかったんだ。自分が映画を撮ったり、脚本を書いたりなんて腕は全くないが、こういった体験に音を落とし込んでいくことだけはできる。

それは曲や音楽の欠片が他のものに移り変わっていく過程なのではないかとわたしも思います。

ジラ:以前のアルバムだと、音の継続性や遷移性は少し掘り下げてみるだけだったこともあったが、『Soundtracks for the Blind』(1996)あたりから、それを実際に採用してみたら面白いんじゃないかと思うようになった。だからその流れに乗って、曲を作ってみようってなったんだ。「お、面白いやり方が見つかった、遷移的で形のない瞬間を紡いでいこう」って思ったのを覚えてる。

最後になりますが、次のステップとして今回のアルバムをライヴで実現したいとおっしゃっていましたね。どのようにして実現されるか、若しくはどのようなセットアップにされるか決めているのですか?

ジラ:まだあまり公にするつもりはないんだけど、6人編成で、座っての演奏になる予定。延々と伸びた音の洪水がポイントになって、そこから曲が展開していくっていう変わった編成の予定だけど、どうなるかね! リハの期間は3週間あるから、なかなか面白いことになりそうだ。このツアーで新しいバンドと一緒に作り込もうと思っている曲はあるんだ。これからはじまるソロ・ツアーが終わったら、彼らとのツアーだけでプレイ予定の新曲が完成しているはず。いいサウンド体験にできればいいんだけど。

現在のセットアップにインプロを取り入れる予定は?

ジラ:ああ、そうだね、それもいいなとよく思ってる。それにはまずコード構成をちゃんとおさえて、それからどうやってそれをぶち壊すかを考えないとだな(笑)!

Emerging in 1982 into the disintegrating art-carnage of the New York no wave scene’s dying days, Swans have carved out an enduring career that has evolved from the industrial rhythms and harsh guitar slashes of their 1983 debut Filth through to the transcendent sonic cathedrals of 2016’s The Glowing Man, with frontman Michael Gira orchestrating each evolutionary step from the centre of an ever-shifting lineup of bandmates and collaborators.

Swans disbanded in 1997, following the experimental Soundtracks for the Blind, with Gira pursuing a psychedelic folk-tinged direction with Angels of Light before reforming Swans under a new lineup for a run of four albums between 2010 and 2016 that retained Gira’s evolving psychedelic influences and fused them to fresh explorations of sonic extremes. The dissolution of that lineup in 2017 didn’t herald the end of the band though, or even an extended hiatus. Instead, Gira took a short break to reconfigure his ideas and began work on Leaving Meaning, bringing together a worldwide cast of musically divcerse collaborators ranging from Chris, Tony Buck and Lloyd Swanton of Australian experimental trio The Necks through composer Ben Frost to transgender avant-cabaret performer Baby Dee.

The album synthesises insistent, often mantric rhythms and grooves, richly layered tones and soundscapes, and gospel-like choral crescendos into moments ecstatic sonic communion underscored with a frequently fragile melodic sensibility. To try to understand a bit more about the album and the process behind it, I spoke with Gira by phone from the United States, where he was preparing to embark on a short solo tour with occasional collaborator Norman Westberg before working on creating a new live Swans show to tour Leaving Meaning in 2020.

IM:
Listening to this album, it feels like it was quite an involved process, and looking at all the people you collaborated with, there’s more than thirty people on the album.

MG:
It took six months or something – maybe eight months – and I finished three months ago, maybe. It was quite involved.

IM:
You recorded a lot of it in Germany. Why did you take that decision?

MG:
Some of the main players lived in Berlin. Larry Mullins, Kristof Hahn and Yoyo Röhm were the people with whom I first recorded the basic tracks, and then other ancillary musicians, although ultimately of equal importance, also lived in Berlin. I flew some people into the studio in Berlin as well, and then I travelled to Iceland as well, to work with the wonderful Ben Frost. I also travelled to Alberqurque, New Mexico, and worked with Heather and Jeremy from A Hawk and a Hacksaw and my old friend Thor (Harris). And then I travelled to Brooklyn and recorded Dana Schechter, Norman Westberg and Chris Pravdica and a few other things, and then I went back to Berlin and did some more overdubs and mixed.

IM:
Is that a very different process from the way you’ve worked previously?

MG:
Well, from 2010 to 2017-18 I had a fixed band for a while – great friends, great musicians – and we had a thing, so we’d go into the studio and record the material we had worked on live perhaps, or things that I had written on acoustic guitar we fleshed out. I had a set group of people with whom I worked, and then I would bring in other people to add orchestrations, but I had a basic group. We would go into the studio and record everything – I’d travel around a bit, but there weren’t as many people involved. Since I decided to disband that group, I just chose the people, whomever they might be, that served the song and helped orchestrate the song.

IM:
So on that run of albums from My Father Will Guide Me up a Rope to the Sky through The Glowing Man, the songs were built up live to a greater extent?

MG:
There are songs on there that I wrote exclusively on acoustic guitar and then we orchestrated them in the studio. Other ones came through playing live. I would have maybe a groove on the acoustic guitar and then I would go and rehearse with those gentlemen and I’d play electric guitar and then as a group we’d build it up and develop the song. And then we’d play it live and we had a tendency to improvise as a group – not solo, but improvise as the music unfolded. These long pieces developed just through performing, some of them thirty minutes long, sometimes fifty minutes long – it would just grow and grow. And sometimes what would happen is we’d have a song we were playing and a new thing would happen, which would become a new song and we’d leave the old bit behind, so it was always evolving and we’d find a new path forward. It was an interesting way to work.

IM:
There also seemed to be this process where fragments of old songs from a long time ago would re-emerge and gain a new lease of life. For example, on The Glowing Man using lyrics you’re written back in the ’80s for Thurston Moore in the song The World Looks Red/The World Looks Black.

MG:
I don’t look at the music as ever being finished. Even the songs from this album, I’m going to perform some of them with a new group and I expect that they’ll change considerably. I want them to – I don’t want them to sound like the record: I want to find a new way to perform them. It’s always important to me to be dangling over the cliff and having failure nipping at your toes. It’s a good impetus to make something authentic happen.

IM:
So in that sense, was the process behind Leaving Meaning almost in some ways the reverse of the ways you’d been working previously?

MG:
Maybe so. However, the way that this was composed and orchestrated was naked at the beginning. There wasn’t a history of playing it, so it was composing, orchestrating, mixing and producing this thing in and of itself. It didn’t have a life previous to that, so I just made the best record I knew how to do. And now, of course, the next thing to do is to fuck things up as much as possible (laughs).

IM:
You helpeed fund this album with a collection of your acoustic demos as well, right? You’ve done similar things in the past too.

MG:
Many times, yes. There’s one iteration of the songs and you can see the skeletal, nascent version of the songs, but as you compare those to the album, they’re obviously transformed quite a bit. Things are always in process, I think that’s important.

IM:
In terms of the relationship between recorded and live music, there’s also something physical or visceral that is unique to the live experience.

MG:
Yeah, particularly with the last version of Swans you felt it (laughs). It was very volume-intensive. And for a reason: it wasn’t just to be loud, it was that it didn’t sound right unless it was loud. But I’m leaving that behind in the next performances. It’ll have some volume, but it won’t be the overwhelming experience that it was in the past.

IM:
That reminds me of something that I think Brian Eno once said, about how creativity often emerges when something is pushing against its limits, for example in the way that volume pushing against the maximum carrying capacity of the speakers creating new sounds in the form of distortion.

MG:
Yeah, I enjoy that. I enjoy when unexpected results occur, and oftentimes I will discard the original thing and go with these unexpected results because they seem to have more fire in them.

IM:
That seems like quite an exploratory approach, and do you think it has something to do with you not being a formally trained musician?

MG:
Well, say I’m working with a guitarist and I’ll have a chord on my guitar and I’ll say, “Why don’t you try this, more of an open chord?” and then they’ll try something and I’ll say, “Ahh, not quite. Maybe move up the neck or let’s do a harmony.” It’s just searching for what works with the song. Usually, if I’m playing a song with an acoustic guitar, which I do when I’m writing, I can feel it in my belly because the guitar’s resting against my belly and there’s these overtones and resonances that are in the chords I play, and often the orchestration is inspired by what I hear around the chord rather than the chord itself. So I might think, “Oh, maybe I can bring out that resonance if I added some horns or some female vocals,” so things start to grow in that way.

IM:
What you said about the resonances of the guitar against your body brings me back to the idea about the physicality of music.

MG:
Yeah, well, I have a kind of adolescent urge to disappear in the sound, so I usually want things bigger and bigger. Of course, I’ve learned over the years you actually have to make things small also in order for something to sound big. I say adolescent because I associate it with my younger days listening to music, and just to disappear in the music and it kind of takes me somewhere. That’s why you turn up your stereo really loud: because you just want to be erased for a while, you know? (Laughs)

IM:
That reminds me of when I was a kid and my teenage crybaby music was always shoegaze. Even when the music was horrible, I could just disappear into the sound.

MG:
Unfortunately, the music had no content! (Laughs)

IM:
Probably back then I had no content myself either!

MG:
I grew up listening to The Doors. Maybe melodrametic, but it was pretty fantastic. I still think about those records sometimes.

IM:
I can definitely feel some echo of The Doors in recent Swans, at least in the feeling if not exactly the sound.

MG:
Yeah, I mean it’s there in me, for sure. If I could sing like Jim Morrison, I’d immediately kill myself because I’d be so happy. (Laughs)

IM:
With a lot of music that explores sonic extremes, like noise or noise-rock, it sometimes feels as if those limits were already charted by artists in the 1980s and ’90s. How do you keep on being able to challeenge yourself?

MG:
Well, I realise the word was bandied about in regards to Swans back in the olden days, but I never agreed with the term “noise” as applied to us. “Sound” – pure sound would have been a better term for me. But I’ve always followed my own path, and what I think sounds real and not redundant or phony is what I pursue.

IM:
In that sense, maybe thinking of sonic limits in these terms is similar to the idea of transgression, which I know is an idea you don’t necessarily agree with.

MG:
Oh, I don’t care what people want to do. If they want to transgress, all power to them! (Laughs) It just seems like that puts you in the position of a captive in a way, nipping at the heels of your master. To me, one should just choose their own destiny and if that bothers people, fine, but if you make that the point, then you’re necessarily beholden to the people that you’re trying to bother.

IM:
To return to Leaving Meaning, it felt like a more lyrically dense album than, say, The Glowing Man.

MG:
That’s very intentional. The thing is, with the last three records in particulat – that would be The Seer, To Be Kind and The Glowing Man, the lyrics were important, but they took kind of a back seat because if the words were too baroque or ornate, it tends to distract from the experience of the sound. So my challenge was to create signifiers that worked with the sound. Sort of like gospel in a way – you know, you’ll have a phrase that keeps repeating and that ties in with the crescendo. So the challenge was to find words that were more like anthems or slogans rather than someone telling a story, and that would just add meaning to the sound. In this new project, I decided I wanted to write more, so I sat down with an acoustic guitar and forced myself to keep working on the words and they develpped. Sometimes the words flowed and others it was just hacking away with an icepick at a mkountain.

IM:
Is that then partly a function of the change in process from building up the songs live with a lot of improvisation to something more compositional?

MG:
Yeah. I mean, there are some instances in that period where I had clearly finished words and then the songs grew from that, but in other things I wouldn’t have words, and even live I’d be singing nonsensical phrases until an image appeared, and then gradually that image would inspire other images and then I’d have a song. But in this instance, the songs were all there, written, and it was a case of finding life in them with the people that interpreted them.

IM:
Did you notice any themes emerge from the lyrics through thr process of writing this record?

MG:
I don’t know. I’m perpetually befuddled, flummoxed and astonished just by the fact of my own existence, you know? Trying to figure out how my mind works or how a mind works, how consciousness works, and if there’s any theme, it’s that. I don’t know if you had this experience when you were young – I certainly did, particularly when I took LSD – but staring at your face in the mirror long enough, you become disembodied and this person in the mirror loses all sense of being you: it’s just this phenomenon. That kind of frame of mind interests me.

IM:
In the lyrics and music of some songs, for example Amnesia, and I may be projecting my nown anxieties here, but I got the impression of a world spiralling out of control.

MG:
I don’t have an authoritative enough perspective enough to make comments about the world in general, but as far as questioning the reality of my own mind, I’m pretty good at that. (Laughs)

IM:
You also brought up gospel music earlier, and that’s also a soun d and feeling that ceme through on this album. That’s a kind of music that traditionally has been concerned with the idea of salvation.

MG:
Well, I don’t know about salvation. Salvation would presuppose that you’re damned to begin with, but the idea of dissolving into something ecstatic of course is inherent in music, so I’m always looking for that. Sometimes the songs are simple and it’s just a little vignette, but sometimes it’s about simultaneously finding and losing yourself in the sound.

IM:
On Leaving Meaning you worked with Ben Frost, whose work on the soundtrack to the German TV drama Dark was very well received recently. Are you a big fan of cinema?

MG:
I’m not a cinephile – I’m not an expert or anything – but I definitely enjoy movies. I think of the last century, it’s the most comprehensive artform. I have tremendous admiration for an auteur director who can harness all these different forces, keep a vision and manage to forge a work of art out of it. You can imagine all the things tugging at you from every direction from all the people you have to pull together, all the financial travails you have to endure, and making this completely immersive out of it I think is just tremendous.

IM:
In creating these immersive, all-encompassing works of art, is there a parallel with what you try to achieve musically? Increasingly your albums seem to be aiming for something more than just a collection of discrete songs.

MG:
Since the late ‘80s or even mid-‘80s I started to look at albums in a way as soundtracks, replete with all the dynamics and signature sounds that might appear, the crescandos, and just trying to create a total experience through sound. I certainly don’t have it in me to direct a film – or write a film, for God’sb sake! – but I can forge sound into these experiences.

IM:
That’s about the way one song or piece of music transitions into another I guess, too.

MG:
There was a period in Swans, on the album Soundtracks for the Blind, where in previous albums I’d been exploring just that – these segues or transitions – and then I decided around Soundtracks for the Blind that the more interesting thing was the segues or transitions, so I sort of followed those to make the music rather than trying to have songs – or too many songs, anyway. So I thought, “Oh, there’s an interesting avenue to pursue: these transitional, amorphous moments.”

IM:
So lastly, as you mentioned, the next stage is to take this album live. Do you have a plan for how you’re going to do that or what sort of setup you’ll employ?

MG:
I guess I’m not supposed to talk about it yet, but it’ll be six people, and we’ll all be sitting down. The instrumentation is kind of odd, and I think the emphasis is going to be on extended waves of sound punctuated by moments where a song arises, so we’ll see what happens! We have three weeks of rehearsals to make a band, so it should be interesting. I have songs that we’ll work on and hopefully after I finish this solo tour I’m about to embark upon, I’m going to have a couple of new songs written just for the tour with these people in mind that will be playing live and hopefully we’ll make a great experience.

IM:
And will you still be trying to incorporate space for improvisation into the setup you’re buiolding?

MG:
Oh, yeah, that always interests me. First people have to learn the chord structires, and then we have to learn how to destroy them! (Laughs)

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