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M. Geddes Gengras

AmbientNew Age

M. Geddes Gengras

Ishi

Leaving

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倉本 諒   Jun 04,2014 UP

 2013年暮れ、久々に再会したゲド・ゲングラスはいまだに興奮冷めやらぬ様子でアクロン・ファミリーとしての初来日の思い出を語りまくっていた。「モスバーガーはバーガーの形をしているけどバーガーじゃないよな!」「公衆便所キレイ過ぎ!」僕は彼が存分に日本を満喫してくれたことを確信し、安堵した。

 ゲドは変わらず多忙な男だ。いやむしろさらにクソ忙しくなっている。サン・アロー(Sun Araw)のプロデュースやサポートはもちろんもちろんのこと、同じくサン・アローのキャメロン・スタローンと主宰するダピー・ガン(Duppy Gun)、数多くのLAローカルのアーティストのプロデュース、最近はピュアX(Pure X)のサポートとしてもツアーを回り、その合間を縫ってはテクノ・プロジェクトであるパーソナブル(Personable)と本人名義での活動をフェスティヴァルでの演奏からアートギャラリーでのインスタレーションまで拡大させている。誰もが彼をリスペクトするのがおわかりになるであろうか?

 ゲドと出会って間もない頃、僕はおそらくこれまで彼の人生で頻発しているであろうやりとりをした。「ゲドってクールな名前だよな。だって……」「ウィザーズ・オブ・アースシー(邦題:ゲド戦記)だろ?」「……そう。あの本は子どものときに読んでトラウマになったよ」「ありゃドープ・シットだぜ」なんたらかんたら……。
 マシューデイヴィッド(Matthewdavid)が主宰する〈リーヴィング・レコーズ〉より今月末にLPがドロップされる『イシ(Ishi)』は、『ゲド戦記』の著者であるアーシュラ・K・ル=グウィンの母親、シオドラ・クローバーの著書『イシ 北米最後の野生インディアン』を下地に彼のモジュラー・シンセジスによって紡がれた壮大なアンビエント叙事詩だ。高校生のゲド少年がこの著書に出会い、衝撃を受け、後に自身のフレーム・ワークの中に落とし込んでいったというのはなんともロマンティックだ。いい意味で生半可でないニュー・エイジ思想をプンプンに感じさせる近年の〈リーヴィング〉からのリリースというのも納得だ。