「CE」と一致するもの

Surya Botofasina - ele-king

 アリス・コルトレーンのアシュラム(僧院)で彼女の演奏を聴きながら育ったというスーリヤ・ボトファシーナ。つまりアリス・コルトレーンの愛弟子ともいえるこのキーボード奏者/作曲家が、めでたくデビューを果たすことになった。ファースト・アルバム『Everyone's Children』は11/23に発売(デジタルは11/4)。プロデューサーはカルロス・ニーニョとのこと。スピリチュアル・ジャズ期待の新星に注目しておきましょう。

Surya Botofasina『Everyone's Children』
2022.11.4(土) DIGITAL Release
2022.11.23(水) CD Release

カルロス・ニーニョがプロデュースする、アリス・コルトレーンの愛弟子である注目のキーボード奏者/作曲家のスーリヤ・ボトファシーナのデビューアルバム。ジャズシンガーのドワイト・トリブルやミア・ドイ・トッドも参加したスピリチュアル・ジャズの傑作!!

キーボード奏者/作曲家のスーリヤ・ボトファシーナは、アリス・コルトレーンのアシュラムで彼女が弾くピアノとシンセサイザーを聴いて育った。だから、ディープリスニングへと誘う、この瞑想的で催眠的な音楽はとてもリアルなものだ。カルロス・ニーニョがプロデュースを担当し、彼がかつて率いたビルド・アン・アークのジャズ・コミュニティが支えていることも、その証である。(原雅明 ringsプロデューサー)

[リリース情報]
アーティスト名:Surya Botofasina(スーリヤ・ボトファシーナ)
アルバム名:Everyone's Children(エヴリワンズ・チルドレン)
リリース日:2022年11月23日(水)
フォーマット:CD
レーベル:rings / plant bass / spiritmuse records
解説:Hashim Bharoocha
品番:RINC96
価格:2,600円+税

[トラックリスト]
01. SuryaMeditation
02. I Love Dew, Sophie
03. Beloved California Temple
04. Everyone's Children (with Mia Doi Todd)
05. Sun Of Keshava
06. Waves For Margie (with RadhaBotofasina)
07. SuryaMeditation (Reprise) Radio Edit
08. SuryaMeditation (with Swamini Satsang) Excerpt

販売リンク:https://diwproducts.net/items/6322eaca7588610001b7ab98
オフィシャルサイト:https://www.ringstokyo.com/items/Surya-Botofasina

岡田拓郎 - ele-king

 先日、とあるミュージシャンがSNSから距離を取り、ライヴの告知を短いラジオのような音声データで配信していることを知った。早速耳にしてみると、しんと静まり返った場所で微かな虫の音とともに、落ち着いたトーンで訥々と間を空けながら語りかける様子が、まるでそのミュージシャンの即興演奏そのものであるようにも響き、わずか10分だが気づけばじっくりと聴き入ってしまっていた。ライヴの告知なのだから音声の内容を手早く知りたければ倍速で流すこともできる。だがわたしは、その音声を倍速で聴こうとは露ほども思わず、むしろ流れる時間に身を委ね、運ばれるがままに任せていた。それは没入感やASMR的な心地よさと似ているようで異なる、いわば時間そのものの体験とでもいうべきものだった。あたかも没入と離脱の両方に開かれたアンビエント・ミュージックのようでもある──わたしたちは多くの場合、それを倍速で聴こうとはしない。音楽をどのように聴くかは聴き手の全き自由だが、倍速にした際に抜け落ちてしまうもの、別様に変化してしまうものがあるのもまた事実だ。メロディや歌詞、コード進行、リズム・パターンなど、形象化し得る情報はある程度速度を変えても同じように取得できる。他方で引き伸ばされた低速度の時間を聴かせるアンビエント・ミュージックは、倍速にした途端にその本質をごっそりと失ってしまう。10分という時間を体験するためにはまさしく10分の物理的時間が必要なのである。ある種の音楽では、音を媒介することによってこのような時間そのものの体験を聴き手にもたらす。それは日常生活に流れる時間を別の時間へと置き換えることとも言い換えられるだろうか──。

 ソングライター/ギタリスト/プロデューサーの岡田拓郎が未曾有のジャズ・アルバム『Betsu No Jikan』を完成させた。むろんジャズといってもいわゆるストレートアヘッドな4ビートのそれではない。だが9月27日に渋谷WWWで開催された特別編成でのリリース記念ライヴを観ても感じたが、ジャズの傍流に位置付けられてきたフリー~スピリチュアル~アンビエントの系譜──奇しくもその3日前に他界したファラオ・サンダースが生涯を通じて歩んだ足跡とも幾ばくか重なる──を、日本のフリー・ジャズから音響系までを踏まえたうえで、岡田流のポップス的感性でアップデートしているように聴こえたのだ。そう、岡田はまずもってポップス的感性を持ち合わせたミュージシャンであった。テン年代前半はバンド・森は生きているではっぴいえんど以降の日本語ロックに新たなページを刻み、バンド解散後はソロ名義で『ノスタルジア』(2017年)および『Morning Sun』(2020年)と、あくまでも歌およびポップ・ソングを中心とした作品をリリースしてきた。だが同時に彼はこうしたポップ・ミュージックと並行して、即興/ノイズ/アンビエントの文脈でも先鋭的な音楽を制作し続けてきた人物である。森は生きているとして活動する傍ら、フルート奏者/作曲家の池田若菜率いる即興トリオ・發展に参加し、同時期に即興的な魅力に溢れたソロ・ギター作『Lonerism Blues』(2014年)を発表。エレクトロニクス/コンポーザーの duenn とはドローン・アルバム『無常』(2016年)およびアンビエント/環境音楽作品の『都市計画』(2020年)を共作し、自身の bandcamp ではとりわけコロナ禍以降、実験的なソロ作品を精力的にリリースしてきている。なかでも昨年はレコーディングから公開までわずか半日で仕上げた、しかしながら奇跡的なまでに高いクオリティを誇る傑作フリー・インプロヴィゼーション作品『Guitar Solos』が少なくないリスナーの度肝を抜いたことだろう。

 そのような岡田拓郎のポップス的感性と実験精神がジャズのムードを纏いながら極上のサウンドへと結実したのが本盤『Betsu No Jikan』である。『Morning Sun』から数えると約2年ぶりのアルバムであるが、すでに述べたようにこの間にも bandcamp で複数のソロ作をリリースしている。制作に約2年を費やし、多数のゲストを交え、録音上の編集を巧みに施した本盤は、制作期間半日・ソロ・一発録音の『Guitar Solos』と好対照を成すアルバムでもある。本盤では、岡田を除いて唯一全楽曲に参加している打楽器奏者・石若駿との即興演奏を主な素材としつつ、他のゲスト・ミュージシャンの録音を交え、マイルス・デイヴィス=テオ・マセロ流の編集作業を経て、いわば想像上のアンサンブルへと編み上げられた。

 ジョン・コルトレーンの名曲 “A Love Supreme” の大胆なアレンジとなった1曲目では、折に触れて同楽曲のテーマをセッションの中で吹いてきたサックス奏者サム・ゲンデルが客演し、柔らかなシンセやサックスの響きと祝祭的な打楽器のグルーヴ、そして水音や鳥の声を彷彿させる音などが渦を巻くように絡み合う。続く2曲目 “Moons” は収録楽曲中唯一の歌ものである。とはいえ囁く歌声は前面に出るというより全体のサウンドに浸透し、谷口雄の煌びやかなピアノや細野晴臣のリズミカルなログ・ドラムと交わってミニマルな反復感を生み出していく。3曲目 “Sand” は岡田と石若のデュオだが多重録音によって万華鏡のような豊かな音のバリエーションと変化を聴かせる。アルト・サックスで大久保淳也、ベースでマーティ・ホロベックが参加したカルテット編成の4曲目 “If Sea Could Sing” は、あたかも森の樹々が風に吹かれてざわめくように音を鳴らし、スピリチュアルかつアンビエントな静けさを醸し出す。アルバム制作の起点になった楽曲でもある次の5曲目 “Reflections / Entering #3” はこれまでのゲストに加え、ネルス・クライン(g)、ジム・オルーク(b, synth)、ダニエル・クオン(vln)、山田光(as)、香田悠真(cello)、カルロス・ニーニョ(perc)、増村和彦(perc)と、総勢12名が参加した10分にのぼる大作だ。その人数に比して前半はむしろ離散的な音の響きが空間性豊かな落ち着きを生み、シンバルの降り注ぐパルスやサイン波のような持続音が張り詰めた空気を奏でると、一転して後半では高速ドラミングを基調としたサウンドに変化し、アルバムで白眉と言っていい苛烈なカオティックさへと至る。そして最後の6曲目 “Deep River” ではピアノの伴奏に乗せて、他の楽曲とは打って変わってヴィブラートを強調した大久保のサックスが宇宙の癒しと交信するように地を揺らすと、ゆったりとしたビートでモンド・ミュージック風の合奏がはじまっていく。

 “Deep River” の震えるサックスが出現したとき、真っ先に想起したのはアルバート・アイラーの慈愛に満ちた叫びだった。収録された楽曲は岡田と大久保によるオリジナル曲だが、“Deep River” といえばアイラーが非破壊的な郷愁を誘うサウンドで吹き込んだ黒人霊歌の曲名でもある。その意味で『Betsu No Jikan』は単にジャズ的なムードを漂わせているだけでなく、コルトレーンからはじまりファラオ・サンダースを経由してアイラーへと至る、父・子・精霊のジャズの三位一体がアルバムを通じたひとつのモチーフとなっているとも言える。ただしそこで基層を成す即興演奏は通常のジャズにおけるような、共有されているフォーマットからの逸脱やその変形ではない。むしろ即興演奏それ自体がフォルムを生み出すフリー・インプロヴィゼーションに近しいあり方をしている。だがさらに言うなら、音を演奏家のコントロール下に置くことでフォルムを生み出し、あるいはコミュニケーションを図ろうとすることとも異なっている。ここには音をあるがままとするような特異な即興演奏の捉え方がある。岡田はそれを次のように説明していた。

音楽というものが、水とか風とか葉っぱが揺らぐような自然の音……人が手を加えていない、自然がそのまま鳴っている音のような状態になればいいなというのはずっと考えていることで。今回の制作におけるインプロビゼーションというのは、そういう音を発生させる装置という側面で考えていたように思います
(「岡田拓郎、〈言語〉と〈編集〉の先の音楽を追い求めて──『Betsu No Jikan』をめぐるロングインタビュー」)

 「自然の音」を発生させる装置としての即興演奏。するとここでは即興演奏を録音することが、「自然の音」のドキュメント、すなわちあたかもフィールド・レコーディングのように捉えられているとも言える。演奏家がどのような音を発するかということと同等かそれ以上に、発された音をどのように聴き取るかという耳の視点が創作上の要点となっているのである。あるいは録音によって時間を音楽化する行為に焦点が当てられていると言ってもいい──フィールド・レコーディングとは音を記録する以前にまずもって時間を切り出す手段であるからだ。そのようにして収集された無数の「自然の音≒即興演奏」が、本盤では多層的に重ねられ切り貼りや加工が施されながらも、まるで全体が「自然の音≒即興演奏」でもあるかのようにより大きなひとつの時間の流れを生み出している。それは倍速の欲望を喚起する類の時間とはほとんど対極にある、風景としての音楽にも似た可聴化された時間の流れである。ならばわたしたちが本盤を再生するとき、そこには単に興味深い響きが現れるだけでなく、それまで流れていた日常生活の時間が丸ごと別の時間へと置き換えられてしまうのだとも言えるだろう。それが音響結果を付帯的なものとする実験音楽ではなく、あくまでもポップス的感性に根差した岡田流のジャズ・サウンドで提示されていることも付け加えておかねばならない。

interview with Louis Cole - ele-king

 少なくない数のある種の音楽ファンにとって、今年いちばん待ち望んでいたアルバム。前作から4年ぶりとなったルイス・コールの新作『Quality Over Opinion』は、20曲入り(国内盤CDはボーナストラックありの21曲)、70分超の大ヴォリュームで、ファンの期待を上回るこれまた快作だ。
 2010年に、1stソロ・アルバム『Louis Cole』と、LAの名門音楽大学在籍中に出会った女性シンガー、ジェネヴィエーブ・アルターディと組むノウワー(Knower)の1stアルバム『Louis Cole and Genevieve Artadi』でレコード・デビュー。シンガー・ソングライターとして、そして、独創的な超絶技巧ドラマーとして地元ロスアンジェルスで名を上げ続けた彼は、〈ブレインフィーダー〉発となったワールドワイド・デビュー作『Time』一発で、世界中にその名を轟かせた。盟友サンダーキャットと並んで、いま最も聴き手の心を踊らせてくれる音楽家と言っていいだろう。
 「最も影響を受けたのがジェイムズ・ブラウンで、曲づくりの転機となったのがスクリレックス」という発言に、彼がつくる音楽の秘密が凝縮されている。新作について、ルイス・コールについてより深く知るためのヒントが詰まったインタヴューをお届けしたい。

マシンと、人間が正確に叩くものは違う。人間には何らかのエラーがあって、でもそこにはある種のパワーがあるし、すごく感動的なんだ。

前作『Time』と、新作で変わった点、変わらない点は何ですか?

ルイス・コール(Louis Cole、以下LC):変わった点は、新しいサウンドを探求していること。それから、ひらめきやアイデアを追求して、最終的な形にまで持っていくのがうまくなったと思う。これまでに培ったスキルで、最初に浮かんだアイデアを形にする力が増したんだ。ただ2枚のアルバムにおけるミッションは同じだった。それぞれの曲に対して、できるかぎり深く掘り下げて、そうして曲が持つエモーションを最大限引き出すというね。

ドラムスをジャストで聴かせるのが、あなたの音楽の最大のトレードマークで、新作ではそれがより強調されているように思います。どういった考えで「ジャストなリズム」にしているのですか?

LC:もう何年も、正確にリズムを刻むこと、一拍一拍をどう置くかをしっかりコントロールすることに取り組んできたんだ。『Time』以降だから4年くらい、ドラムをより正確に操れるように努力してきたんだ。正確なリズムに興奮するんだよね。

「ジャストなリズム」のおもしろさは、どういったところですか?

LC:何だろうな……そこから生み出される力というか。人間が完全に正確になることはできないよね。音符ひとつずつが違ってくる。打ち込みのビートやドラム・マシンはちょっと無菌というか……必ずしもそうとは限らないけど。とにかくマシンと、人間が正確に叩くものは違う。人間には何らかのエラーがあって、でもそこにはある種のパワーがあるし、すごく感動的なんだ。

レコーディングの際はクリック、メトロノームの類は用いていますか?

LC:使っているよ。ニュー・アルバムでは全曲で使った。バンドと一緒に、ライヴで録る時などは使わないけどね。

「ジャストなリズム」は、J・ディラ以降の大きな流行となった「揺れるビート」へのアンチテーゼとも受け取れます。揺れるビートに対するあなたの考えを聞かせてください。

LC:そういった、ユルい感じのヒップホップも好きだよ。それはそれで美しいと思う。僕がつくるビートとは別の形だけど、ある意味同じことのような気もする。J・ディラのことはよく知らないけど、きっとあの揺れも彼が求めた結果としてそうなっているわけで。つまり彼はしっかりとコントロールしていた。間違いなく、自分がどうしたいのかを把握していたんだ。僕も時々、揺れる感じで演奏することがあるけど、ニュー・アルバムの曲はジャストな演奏の方がいい感じだったんだ。でも、力強く、かっこよくて、魂を込めたものであれば、どんなビートでも全部有効だと思うよ。

9歳、10歳くらい。その頃はもうジェイムズ・ブラウンで頭がいっぱいだったね。

ジャズ以外の音楽的なバックグラウンドを教えてください。どういった音楽を聴いてきましたか?

LC:小さい頃はスティーヴィ・ワンダーが本当に大好きだった。確か4歳とか5歳とか、そのくらい。カセットテープで聴いていたんだ。その後はニルヴァーナとかグリーン・デイにハマって。その後はジェイムズ・ブラウンにどっぷりさ。それが9歳、10歳くらい。その頃はもうジェイムズ・ブラウンで頭がいっぱいだったね。それから、ずっといろんなジャズを聴いてきた。僕の父がピアノを弾くということもあって、いつもジャズかクラシックのレコードをかけていたからね。

ロスアンジェルスで生まれ育ったことは、あなたの音楽にどういった影響を及ぼしていますか?

LC:ひとつ良かったのは、大きな都市だからライヴがたくさんおこなわれていたこと。若い頃からすごく良いライヴを観ることができた。例えばジョシュア・レッドマンとかラリー・ゴールディングスとか。これはすごいぞって、子どもの頃に思ったのを覚えているよ。最近感じるLAの主な利点はふたつあって、ひとつは、様々な種類の自然から近いこと。雪も砂漠も、それからセコイアの森もビーチもある。インスピレーションを得たり、充電できるという意味でも、いい点だね。もうひとつは、LAには素晴らしいミュージシャンがたくさんいること。ライヴやレコーディングをするときに、本当に素晴らしいミュージシャンに声をかけることができるんだ。

「ジャズの本質は混じりっけなしの自由。制限なんてない。無限の純粋な爆発なんだ」と発言されていました。あなたの音楽はジャズと、ポップスのミクスチャーと言えるでしょうか? 自分ではどういう音楽をつくりたいと考えていますか?

LC:確かにそうだと思う。間違いなく両方に影響を受けているし、ポップスという枠内で曲を書くのが好きだしね。ひとつのセクションがどのくらいの長さになるかに細心の注意が払われるところとか、おもしろいんだ。自分が音楽を聴くときも、集中力が長くは持たない。だからひとつのセクションが短いのが好きなんだよね。基本的にはあらゆる種類の音楽が好きだけど、自分がつくる場合はポップスの枠組みの中でつくるのが気持ちいい。創造する上で制限があるのもいいんだ。焦点が定まるというか。ポップ・ソングにヴァース、サビ前、サビといった型があるのは、自分の労力を流し込むのにすごくいい。でも同時にジャズの自由さも好きなんだ。恐れ知らずで、高エネルギーなところ。そしてヴァリエーションがあるところ。僕も、自分ではポップ・ソングをつくっているつもりでも、実際はもう少し自由で、もう少し野生的かもしれない。

音楽を演じるにあたり、特に影響を受けたアーティスト、作品を教えてください。

LC:いろんな人の影響を受けてきたけど、間違いなく、ジェイムズ・ブラウンが大きかったと思う。彼の『Love Power Peace Live At The Olympia, Paris, 1971』というライヴ・アルバムを子どもの頃に聴いて、そのエネルギーに圧倒された。すべてが美しいんだ。あとはマイルス・デイヴィスのライヴ・アルバムも。70年代初期の『Black Beauty』はすごく好きだったな。狂気的で驚異的な演奏なんだ。それから1969年のトニー・ウィリアムズ・ライフタイムの海賊盤を聴いて、もっといいドラマーになりたいと強く思った。とりあえずいま思いつくのはそんなところだけど、まだまだあるはず。

ソングライトは、その時々の自分の思いを表したもので、基本的には即興ですか? 

LC:良い質問だね。曲の最初のアイデア自体は、そのときに自分が感じているエネルギーが現れたものなんだ。それを曲として使えるように凝縮するというか。だから、その時々に感じていることっていうのは、間違いなくそうだね。曲を完成させるまでには、ときには当然ながら、アイデアをひらめいたときと同じモードではなくなっていることもあるけど、それでも制作を続ける。そして自分自身を当初の気持ちに持っていこうとする。いつも歌詞は後から書くけど、最初の感覚を呼び覚まそうとする場合もあれば、そうではなくて、自分がつくったインストを聴いて感じたことを歌詞にする場合もあるよ。

理論を活用して何十年先にも残るような名曲を書く、といったことには興味がないのでしょうか?

LC:もちろん、これまでに培った知識を道具として活用して、曲を強化することはある。ただ僕はそれほど音楽理論には詳しくないんだ。コードの名前とか、コードの作用とかは僕の得意分野ではないんだよ。だから僕の音楽知識というのはあくまで、長い間音楽をやってきたことによって培われたもので。何度も試行錯誤しながらね。そういう知識を用いてタイムレスな曲を書きたいという思いはあるよ。

あとはマイルス・デイヴィスのライヴ・アルバムも。70年代初期の『Black Beauty』はすごく好きだったな。狂気的で驚異的な演奏なんだ。

「2011年にスクリレックスを聴いて、音楽に対する考え方が変わった。僕の曲づくりは彼の影響を受けてガラッと変わった」とのことですが、スクリレックスの音楽のどこに衝撃を受けたのですか、具体的に教えてください。

LC:そう、2011年に初めてスクリレックスを聴いたんだ。『Scary Monsters And Nice Sprites』を聴いたんだけど、シンセサイザーでつくったモンスター級サウンドだったわけ。とにかくグルーヴがすごくて。ある意味笑えて、ふざけてるのにめちゃくちゃヘヴィでグルーヴィなんだよ。それが、最高の組み合わせだなと思った。そして彼の音楽をライヴで聴いた。その体験が僕の人生を大きく変えたんだ。単にそのエネルギーが好きなだけじゃなくて、彼がサウンド・エフェクトで作曲すること、すごくメロディックにすること、しかもすごく理にかなっていることに、僕はものすごく感銘を受けた。

具体的にはどう変わったのですか?

LC:まず、以前よりずっとプロダクションに注意を払うようになった。純粋なエレクトロニック・ミュージックをつくってみたいと思うようになったりね。というのも僕は基本的に楽器、アコースティック主体でやっていたからね。プロダクション、ミキシング、周波数といった音楽知識を学びたいと思ったよ。

歌詞は、定番の男女の関係を歌ったものはなく、あなた自身の心の揺れ動きを表したものが多いですね。歌詞についてのあなたの哲学を教えてください。

LC:できる限りデタラメをなくして、正直に語るということかな。それから、自分らしいと感じられる言い方を心がけること。他の誰かから借りてきたような言葉使いをしない。たとえ音楽に乗せる言葉としては強すぎたり不快に感じるとしても、自分はこういう言い方をするなっていう言葉を変えないようにしている。そしてとにかく最大限深く掘り下げる。後は、曲なんだから韻を踏めるといいなと。僕が普段の会話で言いそうなことって、メロディに乗せるとイマイチな言葉もあるから、その場合はいい感じに曲に収まるようにする必要があるんだよね。とにかく、できるかぎり正直に書くというのが信条だよ。もちろんときには皮肉交じりの歌詞を書くこともあるけど、その場合はさすがに伝わってるだろうしね。

LOUIS COLE BIG BAND
JAPAN TOUR 2022

12.05 MON - NAGOYA CLUB QUATTRO
12.06 TUE - UMEDA CLUB QUATTRO
12.07 WED - SHIBUYA O-EAST

OPEN 18:00 / START 19:00
ADV. ¥7,150(税込/ドリンク代別途)

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12997

Various - ele-king

 16年前にミニマル・テクノでキャリアをスタートさせたアレックス・シリディス(Alex Tsiridis)がここ3年ほど、つまり、ロックダウンを機にユニークな音楽性の変化を遂げ始めた。複数のユニットを駆使しつつジェフ・ミルズやマイク・インクを踏襲するアシッド・ミニマルから大きく逸れることはなく、手法的な変化はほとんど見られなかったシリディスがRhyw名義で19年リリースの“Biggest Bully”でブレイクビートを導入し、往年のスミスン・ハックのようなサウンドに接近したかと思うと、時間をかけたビルド・アップによってシカゴ・アシッドの醍醐味を保ちつつ“Loom High”や“Just In Case”ではロン・トレント風のワイルド・ピッチ、“Geomest”や“Skend”ではUKガラージとの接点を探り始めた。“It Was All Happening”ではさらに7拍目と8拍目を抜いたジュークというのか、後の“Itso”にしてもいわく言いがたいポリリズムにもトライし、主に自らが主催する〈Fever AM〉からのリリースでは実験色豊かなアプローチを多発する。スリックバックやドン・ジィラといったアフリカン・テクノに慣れてしまった耳にはリズム感に少し難は残るものの、旧態としたフォームに音色の楽しみしか見出せなくなっているジャーマン・テクノにあってシリディスが明らかに突出した存在になってきたことは確か。20年に入ると他のレーベルからのリリースでもその傾向は増大し、ハーフタイムに影響を受けたらしき曲が続く。“Salt Split Tongue”、““Sing Sin”、“Bee Stings”、“Slow Stings”と、シンコペーションの利かせ方もどんどん派手になり、単純にどんどん曲が良くなっていくし、”Termite Tavern”などジャンル不明の曲が出て来る一方、“Spoiler”や”Honey Badger”などアシッド・ミニマルへのフィードバックにも余念がないところはとにかく恐れ入る。これだけダイナミックに変化し続けていたら、その流れでアルバムが出ることに期待するのが普通だろう。〈Fever AM〉からこの4年間にリリースされた4枚のEPを合わせるだけで12曲になるし、ソロではまだ1枚もアルバム・リリースがないというのはどう考えてもおかしい。シングルはどれもよく出来ているのにアルバムとなるとからっきしダメというプロデューサーがテクノ系には津波のようにあふれているので、必ずしもアルバムをつくることがいいとは限らないかもしれないけれど、アルバムしか聴かないというリスナーになにひとつ届かないというのはどうしてももったいない。そして、シリディスがこのタイミングで放ったのはソロではなく、〈Fever AM〉の5周年を記念したコンピレーション・アルバムだった。

『エラーじゃないよ。わざとだよ』というアルバム・タイトルはプログラマーのデイヴィッド・ルバルが90年代に書いた本のタイトルで、明らかに彼らがジャーマン・テクノとは異質な領域に進んだことをがっつりとアピっている。ここではあちこちで埋もれていた12の才能をひとつにすることで見え方も変わっていくというニュアンスも含んでいるかに思われる。正直、一度も名前を見たことがないプロデューサーもゴロゴロいるし、最も知名度があるのはペダー・マナーフェルト(Peder Mannerfelt)か、あるいはパライア(Pariah)か。人によってはホルガー・シューカイのバイソンをバックアップしたポール・マーフィー&スティーヴ・コーティとともにディスコ・ダブのアクワアバとして活動していたガチャ・バクラゼ(Gacha Bakradze)なら知ってるという人もいるかもしれない。そう、国籍もバラバラで、シリディスとともに〈Fever AM〉を運営するモル・エリアン(Mor Elian)はテル・アヴィヴ出身。05年からはLAに移動し、ダブラブでラジオホストも勤めている。彼女を含め〈Fever AM〉からのエントリーは5組で、エリアンの“Swerving Mantis”はマティアス・アグアーヨをあたりを思わせる南米寄りのジャーマン・タイプ、マサチューセッツ州を拠点に活動するゼン・クローン(Xen Chron)“1L4U”はスローなベース・ミュージックで、7年前に〈Apollo〉からアルバム・デビューを飾ったバクラゼ“Scum ”はマシナリーなデトロイト・エレクトロを提供。レーベルの新顔らしきアイシャ(Ayesha)“Swim”はエスニックなブレイクビートで、Rhyw“Caramel Core”がやはり出色といえ、ここでもスピード感あふれるハーフタイム・テクノを聞かせる。謎のルース(Ruse)“Kimura(キムラ?)”もマシナリーなエレクトロで、同じく謎のグランシーズ(Glances)“Sleuth”はマスターズ・アット・ワークや初期の〈Boy’s Own〉を思わせる軽快なブリープ・ハウス。さらに謎のサン・オブ・フィリップ(Son Of Philip)“Raleigh Banana”は4つ打ちながらブレイクビートをループさせてベース・ミュージックに近づけたヒネり技。このところ4年に一度しかリリースしない寡作なパライア“Squishy Windows”はオーガニックなエレクトロときてストックホルムからペダー・マナーフェルト“No Sheep”もシリディス同様のソリッドなハーフタイム・テクノを試行する。これらをまとめてジャーマン・ベースと呼びたいところだけれど、そうもいかないので、そのような理念で成り立っているコンピレーションということで。ブレイクビート・テクノのミス・ジェイ(MSJY)“Crab Walk”やエンディングはユニティ・ヴェガ(Unity Vega)“Anamnesis”によるブリーピーなハーフタイム・テクノが緩やかな余韻を残して全12曲を閉じていく。

 もともとシンセサイザーやメカニカルな音楽が好きだったからエレクトロやテクノにのめり込んだわけで、それがレイヴ・カルチャーを機にブラック・ミュージックの踊りやすさに理解が及び、両方を兼ね備えていたデトロイト・テクノにガッツポーズという流れだったりするのだけれど、イギリスに渡ったテクノは泥臭くなり過ぎる面もあって、それはそれでいいんだけれど、ドラムンベースやダブステップといったベース・ミュージックの成果をことさらにメカニカルなテクスチャーに移植しようとするアレックス・シリディスの試みにはがんばれという気持ちしかない。僕は若い時にはブラック・ミュージックに関心がなかったせいか、初めからグルーヴがあって当たり前という感じよりもグルーヴを生み出そうと努力している人たちにシンパシーを覚えるということもある。テクノにダンスホールを取り入れたロウ・ジャック(Low Jack)やブロークン・ビートをレイヴ・サウンドでフォーマットしたプロイ(Ploy)と同じく、このまま誰もついこない道を突き進んで欲しい~。

Nouns - ele-king

一枚の写真をヒントに

 Nouns『While Of Unsound Mind』のアートワークは、メンバーの祖父母の結婚式におけるワンシーンを切り取った写真が使われている。アンティーク品のごとく、朽ちた色合い。人びとが祝福し合い、生きていた証。かつて地球上にこのような瞬間があった──その事実を遺す貴重な一枚のヴィジュアルは、多くの示唆を含み私たちを彼方へと連れていく。

 Nouns は元々2013年に、ヴォーカル/ギターの Hunter Clifton Mann を中心に四人組エモ・バンドとしてアーカンソー州からデビューした。当時から個性的なメンバーが集まっており、各々がパンク/ハードコア・バンド Radradriot やスラッシュ・メタル・バンド Cavort Usurp といった場で活動していたようだ。ノー・エイジやコンヴァージへのリスペクトを公言しながら、そのカオティックでルーズな志向性によって鳴らされるローファイな音楽は、エモ・シーンにおいて一定の注目を集めた。しかし2014年以降は長いブランクに突入、昨年7年ぶりに突如として新たなEPをドロップしたのち、今回ついにアルバムが届けられたのである。彼らの音源が途切れたこの数年の間、シーンは大きく変わった。いや、「エモ」という概念それ自体が多大な変容を遂げることになったと言える。Nounsの『While Of Unsound Mind』は、そういった状況に対するひとつの明確な回答を提示しているように思う。

エモの数奇な運命

 エモが辿ることになった数奇な運命について、時間を巻き戻して整理してみる。1980年代のフガジらハードコア・バンドにルーツを持ち、1994年にサニー・デイ・リアル・エステイト『Diary』によってその歴史を開始することになったエモは、3rd wave emo と呼ばれる2000年代のエモ・ブームで一度完成に向かった。アット・ザ・ドライヴ・イン『Relationship Of Command』(2000年)が見せた激情の発散、マイ・ケミカル・ロマンス『The Black Parade』(2006年)が構築した感情の一大絵巻きを象徴とし、次第にエモはロックの手を離れることになる。エモのリアリティはむしろ2010年代に入りヒップホップに援用され、ポップ・ミュージック全般に影響を与えるようになり、2018年にBBCは「Emo never dies: How the genre influenced an entire new generation」と報じた。そしていまや、“All That’s Emo” の時代へ──ロックを超え、ポップ・ミュージックをも超え、あらゆる文化がエモの影響下に置かれている。

 ゆえに、コミュニティを超えてその定義を肥大化させていったエモを横目に、本来のロックにおけるエモが1990年代の作品を参照しコアを見つめ直すことで、2010年代に 4th wave emo として原点回帰していったのは当然の成り行きだったように思う。けれども、同時にそれは何かとてつもない変化のようにも見える。本来エモとは、瞬間的に立ち上がる喜怒哀楽が混在した、得も言われぬ感情を抽象的なまま具現化するものだった。それは、シニフィアンとシニフィエが手をつなぐ以前の状態で、ある種の曖昧さを持った音楽だったはずだ。けれども、歴史化されエモのあらゆる音がリファレンスになることで、音のひとつひとつは意味性と結託してしまう。自己の記憶ではなく、共同体のデータへ。あるいは、共同体のデータに紐づけられた感情へ。だからこそ、4th wave emo の原点回帰は、危ういものに聴こえた。ザ・ワールド・イズ・ア・ビューティフル・プレイス&アイ・アム・ノー・ロンガー・アフレイド・トゥ・ダイの純化されたような普遍性や、モダン・ベースボールの水しぶきをあげるようなフレッシュさが、どれだけの強度でリスナーに響いたのだろう?──エモ・ラップが、哀しいギターリフと泣きだしそうなラップで、陰影のグラデーションを奏でていた時代に。

 感情消費についての研究でユートピアを紐解いていく社会学者のエヴァ・イルーズは、著書『Consuming the Romantic Utopia: Love and the Cultural Contradictions of Capitalism』(University of California Press、1997年、未邦訳)で、そういった状況に通じる話として次のようなことを述べている。「Emotions are activated by a general and undifferentiated state of arousal, which becomes an emotion only when appropriately labeled.(=一般的で未分化な覚醒状態によって感情は活性化され、それが適切にラベル付けされた場合にのみ感情になる)」「Cultural frames name and define the emotion, set the limits of its intensity, specify the norms and values attached to it, and provide symbols and cultural scenarios that make it socially communicative.(=文化的な枠組みは、感情に名前を付けて定義し、強さの限界を設定し、それに付随する規範と価値を特定し、社会的に伝達するシンボルと文化的シナリオを提供する)」(ともに筆者訳)。

 感情に名前がつくこと。喜怒哀楽に分類できない曖昧な感情を、ラベリングしてしまうこと。

感情が数量化される時代に

 その後2010年代の終盤、エモ・シーンにおいて 5th wave emo と呼ばれる潮流が生まれはじめた頃──感情資本主義が加速し私たちの社会を包囲することによって、エモーションは数量化されるようになった。公的領域における感情は全て可視化され、コントロールすることを求められる。私的領域における感情は効率化/合理化されあらゆるリソースと交換される。一方で、SNS空間では皆が感情を爆発させる。いまこの瞬間も感情は膨張し、タイムライン上でシェア数はスロットのようにくるくると回転し続ける。3,000リツイート、5,000リツイート、1万リツイート……やめて。もう、やめてくれ! 感情はパチンコ玉なのだろうか? ひとつひとつは小さく軽いけれど、1万個集まったパチンコ玉は兵器で……誰かを殺傷する。

 サウンドの特長で言うと、『While Of Unsound Mind』は、5th wave emo に位置づけられるだろう。ノイズ・ロック、マス・ロック、シューゲイザー等のアプローチによりそれぞれの楽曲はより一層エクスペリメンタルに傾き、4th wave をベースにしながらも「いかに多彩な手法を散りばめられるか」という戦いに出ている。けれども、それら音色は多彩と言えどカラフルではない。ひとつひとつの音は錆び、軽くて簡素で、ぶっきらぼうですらある。アニメや漫画からの引用は 5th wave のエモ・バンドに多く見られる傾向だが、本作ではその手法も、無邪気さではない、どこか斜めの視点によって冷静になされている。いくつかサンプリングされるアニメから取り出した台詞、静電気のように小さく弾ける音、コンピュータが制御されず故障した音。荒廃した反理想郷社会のような、無限なるものへの感情の暴走が加速し有限の壁を越えてしまったかのような世界。人間の感情を際立たせ人間らしさを追求していった果てに、人間が消え失せてしまう社会の到来。Nouns の音楽は、そういった廃墟を捉えつつ鳴り響いている。ということは──『While Of Unsound Mind』は感情に突き動かされ朽ち果ててしまった世界を描いた作品なのだろうか? それとも、その世界を受け入れたうえで次の道筋までをも描いた作品なのだろうか?

リミナリティとしての『While Of Unsound Mind』

 ひとつ、ヒントになり得るアングルを提案したい。近年ファッションブランドの HATRA が作品のコンセプトに取り入れている事例があるように、パンデミック以降「リミナリティ」の概念が改めて注目を集めている。文化人類学者のヴィクター・ターナーによって論じられたそれは、社会生活の中での過渡にあたるプロセスを「リミナリティ=境界状態」と呼ぶことで、身分の逆転や無差別な解放などが喚起され、日常の社会構造の対極にある反構造が現出するとした。例えば「祭り」などは、「祭り前の日常」と「祭り後の日常」の過渡に位置づけられるまさに境界状態であり、解放されることによっての日常の秩序からの逸脱を成し得るものだろう。その視点に立った際、『While Of Unsound Mind』のアートワークを、結婚式というリミナリティとして捉えることも可能に違いない。なぜなら、眼を凝らして見てみてほしい──祝福とともに騒ぐ人びと、落書きされた乗用車のボンネット……人びとは、秩序に反旗を翻し反構造を実現するような熱気に満ちているではないか。恐らくその熱気によって、革命は成し遂げられていく。式という、境界状態の乱痴気騒ぎによって。

5th wave emo ではなく、ポスト・エモとして

 5th wave emo は「ポスト・エモ」とも呼ばれており、Nouns が現れた以降のいまのエモ・シーンを形容する際、私はその呼称の方が合っているように思う。なぜなら、数量化された感情が社会を支配したいま、5th wave などという順当な波はやってくるはずはないからだ。この波は「感情によって支配された世界」と「その後の世界」の境界に位置するものであり、その点において秩序を乱し革命を起こすものでなくてはならず、ゆえにポスト・エモとして、あらゆる手段を尽くし瞬間瞬間の美しきノイズを鳴らす。1万リツイートのパチンコ玉の重量に打ち勝つために、スロットの雑音に立ち向かうために、『While Of Unsound Mind』のサウンドはボロボロに錆びたスカスカの軽い音によって、感情の連打をひらりと交わしながら世界を打ちのめしていくものでなくてはならない。私たちを、作為なき剥き出しの状態、物理的なものが意味を失ったリミナリティな状況に連れていくこと──本作は、その力を秘めている。

 ポスト・エモの力を、私は信じる。


※参考文献:ヴィクター・W. ターナー(2020)『儀礼の過程』(冨倉光雄訳)ちくま学芸文庫

DJ Stingray 313 - ele-king

 こいつはめでたい。デトロイト・エレクトロの雄、現在はベルリン在住のDJスティングレイ313は、ドレクシアの意志を継承する者である。2007年から2008年にかけベルギーの〈WéMè Records〉よりリリースされた彼の12インチ2作品「Aqua Team」「Aqua Team 2」──前者はスティングレイ名義のデビュー作にあたる──がリマスターされ、3枚組LPとしてリイシューされることになった。今回のリリース元は本人の主宰する〈Micron Audio〉で、11月28日に発売。なお同レーベルからは、それに先立つ11月14日にコンピレーション『MCR00007』のリリースも予定されている。あわせてチェックしておこう。

artist: DJ Stingray 313
title: Aqua Team
label: Micron Audio
release: November 28th, 2022
format: 3×12″ / Digital

tracklist:
A1. Serotonin
A2. Straight Up Cyborg
B1. Star Chart
B2. Silicon Romance
C1. Potential
C2. Wire Act
D1. Binarycoven
D2. NWO
E1. Mindless
E2. Counter Surveillance
F1. LR001
F2. It's All Connected

artist: Various
title: MCR00007
label: Micron Audio
release: November 14th, 2022
format: 12″ / Digital

tracklist:
A1. Galaxian - Overshoot
A2. LOKA - ENERGY WORK (ANYANWU)
B1. Ctrls - Transfer
B2. 6SISS - React

映画とドラマで学ぶイギリス史入門 - ele-king

古代からエリザベス女王まで、知ってるようであまり知らないイギリスの歴史を人気の映画やドラマから楽しく学べる一冊!

百年戦争とバラ戦争が舞台の「ホロウ・クラウン/嘆きの王冠」
20世紀初頭の貴族と使用人の生活を描いた「ダウントン・アビー」
第二次大戦中の兵士救出作戦「ダンケルク」
エリザベス女王の人生をドラマ化した「ザ・クラウン」など、
人気の映画やドラマをもとにイギリスの歴史が学べます。
これ一冊でイギリス映画/ドラマがもっと面白くなる!

目次

はじめに
序章 英国の概要

第一章 古代のイギリス
1. ローマ侵攻 『第九軍団のワシ』
2. アングロ・サクソンとアーサー王 『キング・アーサー』
3. ウェセックス朝対ヴァイキング 『ラスト・キングダム』
コラム 数奇な運命をたどった女性その1 エマ・オブ・ノルマンディ

第二章 中世のイギリス
4. ノルマン征服とノルマン朝 『1066 ザ・バトル・オブ・ミドル・アース』
5. プランタジネット朝のはじまり 『ダークエイジ・ロマン 大聖堂』
コラム 数奇な運命をたどった女性その2 イングランドの女主人モード
6. ヘンリー2 世と息子たち 『冬のライオン』
コラム 数奇な運命をたどった女性その3 エレノア(アリエノール・ダキテーヌ)
7. リチャード獅子心王と十字軍 『ロビン・フッド』
8. ジョン王とマグナカルタ 『アイアンクラッド』
コラム イングランドのキリスト教
9. エドワード1 世のスコットランド侵攻 『ブレイブハート』
10. イングランドとフランスが戦った百年戦争 『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 シーズン1』
11. ヨーク家とランカスター家が戦った薔薇戦争 『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 シーズン2』
コラム 数奇な運命をたどった女性その4 マーガレット・オブ・アンジュー

第三章 近世のイギリス テューダー朝・スチュアート朝・ハノーヴァー朝
12. テューダー朝のはじまり 『ホワイト・プリンセス エリザベス・オブ・ヨーク物語』
13. ヘンリー8 世とトマス・クロムウェル 『ウルフ・ホール』
コラム 数奇な運命をたどった女性その5 アン・ブーリン
14. ヴァージンクイーン、エリザベス1 世 『エリザベス』
15. エリザベス女王のライバル、メアリー・オブ・スコッツ 『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
コラム 数奇な運命をたどった女性その6 ジェーン・グレイ
16. 英国の至宝シェイクスピア 『シェイクスピアの庭』
17. スチュアート朝のはじまり 『ガンパウダー』
18. イングランド内戦と共和制 『クロムウェル』
19. チャールズ2 世と王政復古 『恋の闇 愛の光』
20. 名誉革命と大ブリテン王国の誕生 『女王陛下のお気に入り』
21. ジャイコバイト蜂起 『アウトランダー』
コラム ウェールズ、スコットランド、アイルランド

第四章 近世のイギリス 大英帝国への道のり
22. ドイツからやってきたハノーヴァー朝 『英国万歳!』
コラム 英国とアメリカの関係
23. 大英帝国の黒歴史、奴隷貿易 『アメイジング・グレイス』
24. 七つの海を制したイギリス海軍 『マスター・アンド・コマンダー』
コラム 数奇な運命をたどった女性その7 エマ・ハミルトン
25. 東インド会社とインド植民地 『TABOO タブー』
26. ヴィクトリア女王と産業革命 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
27. ヴィクトリア朝時代の階級格差 『オリバー!』
28. 選挙制改正と女性参政権 『未来を花束にして』
コラム 選挙法改正への道のり

第五章 近代のイギリス 二つの大戦
29. 貴族と階級社会 『ダウントン・アビー』
30. 貴族の没落 『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』
31. 第一次世界大戦 『1917 命をかけた伝令』
32. 2つの大戦の間の時代 『ピーキー・ブラインダーズ』
33. エドワード8 世とジョージ6 世 『英国王のスピーチ』
コラム 数奇な運命をたどった女性その8 ウォリス・シンプソン
34. ヒトラーの台頭と第二次世界大戦 『ダンケルク』
35. 第二次世界大戦の勝利 『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
コラム アイルランドの独立

第六章 戦後のイギリス
36. 英国が誇るNHS 国民健康サービス 『コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語』
37. エリザベス女王と英王室 『ザ・クラウン』
コラム 数奇な運命をたどった女性その9 エリザベス2 世

索引
あとがき

著者
名取由恵
イギリスを基盤にフリーランスで活動するライター。1993年渡英。UKロック、海外ドラマ、TV、映画などの英国エンタメを中心に執筆を行う。英国エンタメ・英国文化研究家でもある。

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interview with Sorry - ele-king

 シェイムゴート・ガール、HMLTD、それらに続くブラック・ミディブラック・カントリー・ニューロード、振り返ってみるとサウス・ロンドンのインディ・シーンはライヴ・バンドのシーンだったように思える。そのなかにあってソーリーは少し異彩を放っていた。このノース・ロンドン出身のバンドはシーンのなかで一目置かれ中心的な役割を果たしながらもそれと同時にベッドルームのSSWの側面も持ち合わせていた。ギターとヴォーカルを担当するアーシャ・ローレンス、ルイス・オブライエン、ふたりのソングライターの創作のルーツは SoundCloud にあってそこからソーリーははじまったのだ。

 2020年にリリースされ高い評価を得た前作『925』に続きリリースされた 2nd アルバム『Anywhere But Here』はポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーをプロデューサーに迎え、ブリストルのアリ・チャントのスタジオで録音されたそうだが、このアルバムを聞いて頭に思い浮かべるのはソーリーの持つそのもうひとつの側面だ。孤独と虚無感、陰鬱なムードが漂うこのアルバムはしかし絶妙な重さをもって心のなかにえも言えぬ余韻を残していく。このバランス感覚こそがソーリーの持つセンスで、それが深みと奥行きをもたらし、たまらないバンドの魅力を生み出しているのだ。

 あるいはそれはロンドンのコミュニティのなかで育ったソーリーの内側からにじみ出てきたものなのかもしれない。ともにクリエイティヴな活動をしてきた仲間たち、アーシャは彼女の学生時代からの友人フロー・ウェブと一緒に FLASHA を名乗りソーリーのすべてのビデオを作り上げ、音楽の世界にもうひとつのレイヤーを付け加える。1st アルバム後に正式にメンバーとなったエレクトロニクス奏者のマルコ・ピニ(マルコも同じく学生時代からの友人だ)は〈Slow Dance〉のコミュニティを築き、ベース奏者のキャンベル・バウムもロックダウン中にトラディショナル・フォークのプロジェクト〈Broadside Hacks〉を立ち上げた。そこからどんどん矢印が伸びていき、いまのUKのアンダーグラウンド・シーンを盛り上げるインディペンデントなバンドや人物と重なり合う。積極的に前に出るタイプではないのだろうけれど、ソーリーは現在のインディ・シーンのなかで一目置かれ、重なり合うその円のなかで重要な役割を果たしているというのは間違いない(それが刺激になってお互いにどんどんクリエイティヴになっていく。たとえばアーシャの声は今年の夏に出ウー・ルーのアルバムでもスポーツ・チームのアルバムでも聞くことができるし、〈Broadside Hacks〉の活動のなかにキャロラインのメンバーの姿を見つけることもできる)。

 そんなソーリーのルイス・オブライエンに 2nd アルバム、DIYのスタイル、敬愛するSSWアレックス・Gの影響、ロンドンのインディ・コミュニティ、SoundCloud の世界についての話を聞いた。遊び心に好奇心、飄々と皮肉とユーモアをそこに交えるソーリーのクリエイティヴなスタイルはなんと魅力的なことだろう。

「シンガーソングライター」という表現は、ここ最近本来の意味が少し失われてきているようにも感じているんだけど、僕たちはシンガーソングライターの本質を意識していたと思うよ。カーリー・サイモンやランディ・ニューマンをよく聴いていたし、エリオット・スミスは僕もアーシャも大好きだから。

2nd アルバムのリリースおめでとうございます。前作『925』から2年半の間が空いてのリリースで、その間ライヴができない状況が続くなどありましたが、2nd アルバムを作るにあたってその影響はありましたか?

ルイス・オブライエン(Louis O’Bryen、以下LO):『925』をリリースした後、全くライヴやツアーができなかったから、(アルバムをリリースしたという)実感があまり湧かなかったんだよね。だから 2nd アルバムの制作に入るときも特に何も期待せずにはじめることができた。おかげで 1st アルバムの重みを感じずに頭でっかちにならないで制作に取り掛かることができたよ。リリースされていたけど、この世には出ていないみたいな気がしてたから 1st アルバムをもう一回作るみたいな感じだったんだ。それでストレスが軽減されたから僕たちにとって良かったと思う。

今作はクラシックなサウンドにモダンなプロダクションを加えることを目指したそうですが、ポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーとアリ・チャントとのレコーディングはいつ頃、どのような形ではじまったのですか?

LO:アルバムの作曲が終わった時点で、アーシャは「今回のアルバムの曲はすべて、昔ふうのソングライティングのスタイルからできたものだったね」と言っていたな。そういう意味でクラシックと言ったんだろうね。今回のアルバムは僕たちがいままでやってきたソングライティングのスタイルに忠実でありつつも、モダンでみんなが共感できるような音楽にしたかった。ポーティスヘッドは僕たちが参考にしていたアーティストのひとつで、エイドリアン・アトリーと連絡を取ったら、意気投合して、彼と一緒にアルバムを仕上げようということになり、エイドリアンがアリ・チャントを紹介してくれた。あのふたりはよく一緒に仕事をしていて、良い作品をいくつも手がけているからね。アルバムの曲には個別じゃなくて、全体でひとつのものとして一体感を持たせたかった。エイドリアンとアリはアルバムのサウンドに一貫性をもたらしてくれたんだ。それぞれの曲が同じソース(源流)からきているような感じにしてくれたよ。

アリ・チャントは今年リリースされたヤード・アクトやケイティ・J・ピアソンのアルバムも手がけていますが、ブリストルのアリ・チャントのスタジオはどのような場所でしたか?

LO:アリ・チャントのスタジオはとてもクールだったよ。彼は父親的存在なプロデューサーで、とても感じの良い人だった。スタジオによっては、コントロール/ルームがひとつ、ドラムの部屋が別にひとつ、さらにバンドがまた別の部屋で演奏するという構造でバラバラな感じがすることもある。でもアリのスタジオはすべてがひとつの部屋に収まっているんだ。だからみんながひとつの場所に一緒にいるという状態。それが素敵だと思った。僕とアーシャは以前ベッドルームをスタジオにしていたからね。いまは僕も自分のスタジオを持っているんだけど、それでも小さな部屋がひとつだ。そういうセッティングに慣れていたからアリのスタジオでもみんなが同じ部屋にいてレコーディングできるというのが良かった。自然な感じがしたんだ。アリのスタジオはその点が素敵だと思った。

先日、アレックス・Gの新しいアルバム『God Save the Animals』のリリースを祝うツイートをしていましたよね?

LO:ははっ(笑って頷く)

〈Domino〉と契約したのはアレックス・ Gのいるレーベルだからとジョーク飛ばしていたこともあったりと、様々な方面から敬愛ぶりがうかがえますが、アレックス・Gのどのようなところに魅力を感じていますか?

LO:僕たちが16、17歳の頃、周りの友だちはみんなアレックス・Gの音楽を聞いていたんだ。それが僕らの共通点だった。アレックスがUKに来たとき、彼は僕たちの友人の家に泊まっていて、それでアレックスと少し仲良くなることができたんだ。彼は本当に多作な人で、〈Domino〉と契約する以前から6枚くらいアルバムをリリースしていた。それが僕たちに大きなインスピレーションを与えてくれたんだ。彼のソングライティングにはつねに一貫性があってメロディや歌詞がもの凄く面白くて、本当にうまく作られているんだ。アーティストである僕にとって彼のそういう点にインスパイアされる。あんなふうに一貫性を保っていられるのは凄いことだと思うよ。

ちなみにアレックス・Gの新しいアルバムはどうでしたか?

LO:良かったよ。最高だった!

Photo by Peter Eason Daniels

子どもの頃MTVばかり観ていたんだけど、その当時のミュージック・ビデオはめちゃくちゃ格好良かった。あのアートは失われてしまいいまでは YouTube の動画などに変わってしまった。YouTube 動画とミュージック・ビデオは全くの別物だよ!

アルバムのなかの1曲 “There’s So Many People That Want To Be Loved” はアレックス・Gの他にもエリオット・スミスの特に『Figure 8』の空気を感じさせるような曲で、孤独感と疎外感、それと虚無感が混ざりあったようなフィーリングがとても印象的でした。2nd アルバムはこうしたシンガーソングライターの影響を強く感じますが、意識していた部分はありますか?

LO:もちろん。「シンガーソングライター」という表現は、ここ最近本来の意味が少し失われてきているようにも感じているんだけど、僕たちはシンガーソングライターの本質を意識していたと思うよ。カーリー・サイモンやランディ・ニューマンをよく聴いていたし、エリオット・スミスは僕もアーシャも大好きだから。それにアルバムのレコーディングに入る前に、作曲が完成している状態で曲をすべて人前で披露できる状態にしておきたいと考えていたんだ。70年代のシンガーソングライターたちは、90年代もそうだったかもしれないけど、みんなそういう状態でスタジオに入っていた。彼らはスタジオに入ってから曲を完成させるという有利な状況にはいない人たちだった。つまりレコーディングに入る時点で曲をすべて完成させていなければならかったんだ。僕たちも今回、サンプルの音なんかでも、スタジオに入ってレコーディングする前に完成させて演奏できるようにした。そういう意味では作曲や構成、メロディが完成されたシンガーソングライターと呼ばれているアーティストたちのアプローチにインスパイアされていると言えるね。

“There’s So Many People That Want To Be Loved” のビデオはロンドンの街の人びとが抱える孤独が、街の風景のなかに投影されているように感じました。このビデオも含めアーシャとフロー・ウェブの作るビデオについてお聞きしたいです。今回ルイスは宇宙飛行士役を演じていましたが、いつもどのような形でビデオの制作ははじまるのですか? アーシャは曲を聞くと色やヴィジュアルが見えるという話をしていましたが、曲作りの段階でそのイメージは共有されているのでしょうか?

LO:色やヴィジュアルが見えるというのは、何て言うんだっけ……「シナスタジア(共感覚)」って言葉があるんだよね! 僕は、嘘くさいと思うけど(笑)。適当に言ってるだけなんじゃないかな(笑)。

(笑)。アーシャは色が見えると話してくれましたけど。

LO:はは、そうだよね。僕たちの曲はイメージがベースになっているものが多いのは確かだよ、曲にヴィジュアルがついている感じというか。ビデオはすべてアーシャが作っているから僕じゃなくて彼女の言葉を信用するべきだけど。でも僕たちが曲を書いているときにはもうすでに曲のヴィジュアルがイメージできているんだよ。アーシャはそのアイデアを展開して歌詞として浮かび上がらせるのが得意なんだと思う。“There’s So Many People That Want To Be Loved” のビデオに出てくるイメージはすべて曲の歌詞が表現されたものなんだ。僕たちにとってミュージック・ビデオはとても重要なものだから。子どもの頃MTVばかり観ていたんだけど、その当時のミュージック・ビデオはめちゃくちゃ格好良かった。くだらないと思っていた人たちもいるかもしれないけど、僕たちにとっては最高だったんだ。あのアートは失われてしまいいまでは YouTube の動画などに変わってしまった。YouTube 動画とミュージック・ビデオは全くの別物だよ! だから僕たちはミュージック・ビデオに忠実でありたいと思っている。

“Screaming In The Rain” はルイスの物悲しげな歌声がとても魅力的で、理解することができないコミュニケーションの不全を唄っているようで印象に残っています。この曲の背景にあるものはどのようなものなのでしょうか?

LO:この曲は、愛する人と一緒にいる状況で、自分がどうすれば良いのかわからない感覚や、友人が助けを必要としているときに、自分がどう対応すれば良いかわからない感覚を歌っている曲なんだ。そういう絶望感がモチーフになっているけれど、同時に助けになりたいという思いもある。この曲は僕たちのお気に入りで、たくさんのヴァージョンを経てこの形になった。別のヴァージョンとして今後、発表していきたいと思ってるよ。僕とアーシャのヴォーカルが物悲しげなのが特徴的だよね。

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イラストはアーシャが描いているんだけど、僕たちはそれを「曲のロゴ」と呼んでいて。曲それぞれにキャラクターというかロゴがあるようにしているんだ。

この2ndアルバムには収録されていませんが、タイトルとして名前が残った “Anywhere But Here” という曲があって、その曲がアルバムの出発点になったとお聞きしました。その曲はどのような曲なのでしょうか? 今後リリースされることはありますか?

LO:どこから聞いたんだい!?

アーシャが話してくれたんですよ。

LO:そうだったんだ(笑)。けどこれはまだ秘密にしておきたいから、どこまで話せるのかわからないな。でもアーシャが話していたなら、まぁいいか。うん “Anywhere But Here” という曲を書いたんだけど、それがアルバムの焦点となったんだ。それでアルバムをレコーディングしているときに、アルバム名を『Anywhere But Here』にしようと決めたんだ。最終的にこの曲はアルバムにフィットしなかったから収録しなかったんだけど。でも名前だけは残ったんだ。他のアルバム名も考えたけどしっくりこなかったからこの名前のままにした。今後この曲をリリースしたいとは思っているけど、「アルバムのリード・トラック(タイトル・トラック)がアルバムに収録されていない」というのが結構気に入っているんだ。面白いんじゃないかって思って(笑)。

1st アルバムにしてもミックステープにしてもソーリーは作品全体に一貫した雰囲気を持たせるということにこだわっているように思います。それは今回も同様だと感じたのですが音作りに関して、あるいは曲順など 2nd アルバムの制作で意識した点を教えてください。

LO:いままでは自然にそうなっていたんだと思う。でもさっき言ったみたいに今回のアルバムに関しては、ひとつの完全なものとして作り上げたかったんだ。アルバムの曲をレコーディングするとき、僕たちはバンドとして一緒にレコーディングしたんだ。曲の大部分を2週間という期間でレコーディングしたことで、すべての曲が同じソースからきているようなサウンドにすることができたんだと思う。エイドリアンとアリも、サウンドに一貫性を持たせるようにしてくれた。アルバムのソングライティングが完成した時点で一貫した雰囲気が感じられるっていうのは僕たちにとって大切なことなんだ。今作の全体的なサウンドについては、意識した部分もあるけれど、ギターの音だったり、僕たちのソングライティングのやり方もあって自然にそうなっているところもある。あまり考え過ぎると本質が失われてしまうと思うんだ。

前作、『925』もそうでしたがソーリーはアルバムそれぞれの曲についてモチーフ的なイラストをつけていますよね? “Key To The City” の鹿だったり、“Willow Tree” の切られた木に寄りかかる人だったり、それがとても魅力的で。これは音楽だけではなく、ビデオやアートワークを含めヴィジュアルを通した表現としてアルバムをとらえているからなのでしょうか?

LO:アートが音楽と絡んでいるというのが好きなんだと思う。イラストはアーシャが描いているんだけど、僕たちはそれを「曲のロゴ」と呼んでいて。曲それぞれにキャラクターというかロゴがあるようにしているんだ。子どもの絵本とか、いろんなキャラクターがいるアニメみたいだろ? 曲を展開させるひとつの方法というのかな。こういうものがあると曲に独自の世界観を持たせることができると思うんだ。

僕たちは何らかの忘備録的存在になるということが好きなんだと思う。それがインターネット上の YouTube にミックステープをアップすることであれ、ヴァイナルをリリースすることであれ、僕たちの作ったモノが世に出ているということだから。

アルバムのリリースの前に7インチを2枚リリースしましたよね? サブスク全盛時代のいまはアルバムの前にこの様な形でフィジカルのシングルをリリースするバンドも少なくなってきたように思うのですが、リリースのスタイルにこだわっているところはあるのでしょうか?

LO:僕たちは何らかの忘備録的存在になるということが好きなんだと思う。それがインターネット上の YouTube にミックステープをアップすることであれ、ヴァイナルをリリースすることであれ、僕たちの作ったモノが世に出ているということだから。みんなが集めることのできるいろいろなモノのなかに僕たちが作ったモノが加わった感じ。ヴァイナルについてはスタンプを集めるスタンプ帳みたいな感じがあるしね。イギリスでは子どもの頃みんなが夢中になるサッカー選手のカードを集めるゲームがあるんだ。カードを集めてカード帳に入れていく。いちばんの困難は母親にカードを買ってもらうことだったけどね(笑)。カード帳が1ページ埋まったときはすごく嬉しかったよ。ヴァイナルもそれに似たようなものだと思っていて、ヴァイナルを全部集めることができたら見栄え的にもクールだと思うんだよね。それに僕たちはアートワークを重要視しているから、ヴァイナルやヴィジュアル・ミックステープをコレクトするということは、僕たちの芸術性とマッチしていると思うんだ。だからいろいろなモノをリリースするということに関しては今後もどんどんやっていきたいって思ってる。

フィジカルを手に入れなければ見られないイラストに YouTube で公開されるビデオと、このような部分はクラシックなサウンドにモダンなプロダクションを目指した 2nd アルバムのコンセプトと共通しているような感じがします。

LO:そうかもしれないね。曲のロゴを YouTube のビデオや他の箇所に登場させたら、面白いと思ったんだ。聞く側にとってはある種のゲームみたいな感じで「あ、曲のロゴ見つけた!」って思ってもらえたら楽しいと思って。

アーシャもコンピレーション・アルバムに参加していましたが、メンバーのキャンベル・バウムが立ち上げた〈Broadside Hacks〉というトラディショナル・フォークのプロジェクトがありますよね? あるいはマルコの〈Slow Dance〉があったりと、ロンドンにはこうしたインディ・コミュニティが根付いているように思いますが、その点についてどのように感じていますか? クリエイティヴな活動が分野を超えて重なりあっているという点で特に〈Slow Dance〉とソーリーは近い部分があるのではないかと感じているのですが。

LO:(ロンドンのインディ・コミュニティは)とてもクリエイティヴなところだと思うよ。一緒に育った仲間の多くがクリエイティヴな活動をする人だったり、あるいはクリエイティヴな人だったっていうのはラッキーだったと思う。それが環境によるものなのかはわからないけれど、クールで面白いことをやっている人たちが周りにいるっていうのは恵まれていることだと思うんだ。僕たちは彼らからつねに刺激を受けているから。それは僕たちのためにもなっているし、僕たちも彼らにも刺激を与えているはずだって思っているし、互いに刺激しあっているんだと思う。ロンドンのような大都市で青春時代を過ごすのはキツいこともあるから、似たような考えや価値観を持つ人たちを求めるようになるんだと思うんだ。だからいまでは周りに才能を持つ仲間がたくさんいるということはとても恵まれていることだと感じているよ。

ルイスにしてもアーシャにしてもソーリーとは別に現在も SoundCloud に個人名義の曲をアップし続けていますよね? ふたりにとって SoundCloud というのはどのような意味を持つプラットホームなのでしょうか?

LO:SoundCloud は僕たちにとってとても重要なプラットホームだよ。SoundCloud をはじめたとき、僕はギターを弾いていたんだけど、ギターに飽きていたというか、ギターに限界を感じはじめていた。その頃から僕とアーシャは、個別にだけど、パソコンを使って音楽を作るようになった。FL Studio というプログラムを僕がダウンロードしたんだ。FL Studio は音楽制作のプログラムだったんだけどビデオゲームみたいな感覚でやっていて。14歳くらいのときだったかな。凄く楽しくてふたりでいろんな音楽を作って SoundCloud にアップして、どっちが友だちからの「いいね!」をたくさん得られるか競い合っていた(笑)。それがはじまりだったね。さっきの話と同じで、インターネット上の隅っこに僕たちのスペース(=音楽)が存在している感じで、みんながそれを見つけることができるみたいなイメージだよ。アレックス・Gもそれと同じ感じで作品を公開している人で、YouTube をチェックすれば YouTube の「アルゴリズム・ホール」(*ブラック・ホールにかけている表現)に入り込んで、アレックス・Gの音楽を無限に発見することができる。ファンである僕にとっては、アレックスの奇妙で面白い世界に足を踏み入れる楽しさがあるし、SoundCloud もそれに似たような架空の世界を拡張できるもののように捉えているんだ。

SoundCloud にアップされているルイスの曲は悲しげなメロディの曲が多く、しみじみと感じ入るようなその感覚が好きなのですが、ルイス個人としてはどのような音楽に影響を受けてきたのでしょうか? あるいはインスピレーションを受けた映像作品やカルチャーなどがありましたら教えてください。

LO:最近はレナード・コーエンをよく聴いているよ。ニーナ・シモンも大好き。あとはエリオット・スミスやソングス・オハイアなど。好きな映画もたくさんあるよ。かなり変わってるかもしれないけど、『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』がすごく好きなんだ。僕はどういうわけか昔の映画が好きでね、強いカタルシスを感じるんだ。特にベトナム戦争を題材にした映画はすごく強烈だし、皮肉だけどクールだと思ってしまう。

今後も以前リリースしたミックステープのような形で曲をリリースすることはありますか?

LO:じつは秘密のミックステープというものがあるんだよ。でも詳しくは教えられない。聞きたい人はそれをどうにかして見つけないといけないんだ。面白いだろう? 今後もミックステープはリリースすると思うけど、前回のは僕たちが昔に作った曲があってそれらをリリースしたかっただけのことなんだ。ヒップホップのミックステープという感じではなくて。昔はよく自分の好きな曲を何曲も入れたCDを作って友だちや好きな人にあげたりしていたよね? 僕たちのはそういう感じのミックステープに近いんだ。好きな曲を集めて好きな人たちにあげる。そういう形のミックステープは今後ももちろん作っていきたいよ!

1st アルバムのリリース時はパンデミックでUSツアーが途中で中止になるなど満足にライヴができなかった状況でしたが、最近のライヴ活動はどのような感じでしょうか? 2nd アルバムの曲はもうライヴで演奏していますか?

LO:今年の夏は少し休みを取っていたからあまりライヴをやっていなかったけど、3月と4月にUSとUKをツアーしたんだ。2nd アルバムからの新曲もたくさん演奏して楽しかったんだけど、まだライヴで披露していない曲がたくさんあるから、今後アルバムの曲を多くの人に演奏して世に広めていくのが楽しみだよ。

ありがとうございます。いつか日本でライヴが見られることを願っています。

LO:こちらこそありがとう! 僕たちも日本でライヴができる日を楽しみにしてるよ!

Ryuichi Sakamoto - ele-king

 来る12月2日、〈Milan〉より坂本龍一のトリビュート・アルバムが発売される。題して『To the Moon and Back』。彼の70歳の誕生日を祝してのリリースだ。アルヴァ・ノトフェネスデヴィッド・シルヴィアンコーネリアスに大友良英といったおなじみの顔ぶれに加え、ザ・シネマティック・オーケストラなどが参加しているのだけれど、目玉はやはりサンダーキャットだろう。なんと坂本78年のソロ・デビュー作収録曲 “千のナイフ” をカヴァー。大胆に彼流のサウンドにアレンジしています。要チェックです。

title: To the Moon and Back - A Tribute to Ryuichi Sakamoto
label: Milan
release: December 2nd

Tracklist:

A1. Grains (Sweet Paulownia Wood) - David Sylvian Remodel
A2. Thousand Knives - Thundercat Remodel
A3. Merry Christmas Mr. Lawrence - Electric Youth Remodel

B1. Thatness and Thereness - Cornelius Remodel
B2. World Citizen I Won't Be Disappointed - Hildur Guðnadóttir Remodel
B3. The Sheltering Sky - Alva Noto Remodel
B4. Amore - Fennesz Remodel

C1. Choral No. 1 - Devonté Hynes Remodel (Featuring Emily Schubert)
C2. DNA - The Cinematic Orchestra Remodel
C3. Forbidden Colours - Gabrial Wek Remodel
C4. The Revenant Main Theme - 404.zero Remodel

D1. Walker - Lim Giong Follow the Steps Remodel
D2. With Snow and Moonlight - snow, silence, partially sunny - Yoshihide Otomo Remodel

ryuichisakamoto.lnk.to/tothemoon/

ディガー待望の一冊、2022年だからこそレアグルーヴを特集する!

2020年代になり世界各地でじわじわと盛り上がっている「レアグルーヴ」。ヴァイナル・ブームとあいまって、まさにいまや「レアグルーヴ」の時代。ディガー待望の「レアグルーヴ」特集です!

DJや著名ディガーのインタヴューにディスクガイド、様々な切り口の記事を通し、「レアグルーヴ」の背景や歴史、その現在に光を当てます。

インタヴュー:MURO/Jazzman Gerald/橋本徹
レアグルーヴ・クラシック・ディスクガイド130選/ランダム・ラップやモダン・ソウルの代表盤紹介/〈Tribe〉レーベルやウェルドン・アーヴィンの基礎知識/ヒップホップとサンプリング文化/70年代音楽が90年代以降のクラブ・ミュージックに与えた影響/コンピレーションの果たした役割/レコード・カッティング・レポートなど、盛りだくさん!

目次

[インタヴュー]
MURO (原田和典)
ジャズマン・ジェラルド (原田和典)
橋本徹 (原田和典)
イハラカンタロウ (VINYL GOES AROUND+編集部)

[ディスクガイド]
レアグルーヴ必聴盤130選
(橋本真志、B.V.J.、DJ Pigeon、TOMITA、CHINTAM、秋葉裕介、DJ Yama、長澤吉洋、マサキオンザマイク、水谷聡男、山崎真央)

[ビッグ・レガシー]
ウェルドン・アーヴィン (若杉 実)
トライブ (若杉 実)

[レア盤探勝]
ランダム・ラップの10枚 (DJ BUNTA)
モダン・ソウルの20枚 (Mr. Disco Kid)

[コラム]
ヒップホップとレアグルーヴ (小渕 晃)
クラブ・ミュージックとレアグルーヴ (小川 充)
レアグルーヴとシティ・ソウル (小渕 晃)
レアグルーヴ・コンピレーション10選 (小川 充)
最近のサンプリング事情 (金澤寿和)

書籍『ヴァイナルの時代』を紹介する
Tax Scamレコードとは (葛原大二郎)
日本コロムビアの技師に聞くカッティングの神髄

[エッセイ]
力をくれた2枚のレコード (大塚広子)
米国の若きDJが綴る、レコード・ディギングの思い出 (グレッグ・ナイス)

[アフタートーク]
そもそもVINYL GOES AROUNDって何?

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