「IR」と一致するもの

Mighty Ryeders - ele-king

 レアグルーヴ史の頂点に輝くとも言われるのがマイアミの8人組ファンク・バンド、マイティ・ライダースのアルバム『Help Us Spread The Message』(1978)だ。同作収録曲 “Let There Be Peace” にはアルバムとは異なるシングル・ヴァージョンが存在するのだけれど、その貴重なヴァージョンが最新リマスタリングを経てオリジナル7インチとして蘇ることになった。7月24日発売、B面にはデ・ラ・ソウルにサンプリングされたことでも知られる “Evil Vibrations” の、MUROによるエディットが収録される。
 またこのリリースを記念し、Tシャツも発売されることが決定。完全受注生産とのことなので、早めにチェックしておきましょう。

レア・グルーヴ“究極”の1枚として燦然と輝くMIGHTY RYEDERS『Help Us Spread The Message』からさらなる謎が解き明かされる! アルバム未収録の「Let There Be Peace」シングル・ヴァージョンが奇跡の再発!

アルバム同様にプレミア化している7インチシングル「Let There Be Peace」が実はアルバムとは異なるヴァージョンでカットされていたことが判明! そのシングル・ヴァージョンをそのままに最新リマスタリングを施したオリジナル7インチ以外ではこの盤でしか聴くことができない奇跡の再発!
さらに楽曲の素晴らしさはもちろんのことDe La Soul「A Roller Skating Jam Named“Saturdays”」でサンプリングされたことでも有名なスーパーキラー「Evil Vibrations」を、日本が世界に誇るKing Of Diggin'ことMUROが新たなグルーヴを注ぎ込んだ最新キラー・エディットも収録!
完全初回限定生産! 即完・プレミア化必至のダブル・サイダー!!

MIGHTY RYEDERS
Let There Be Peace(Single Version) / Evil Vibrations(MURO edit)

2024/07/24
7inch
P7-6613
¥2,420(税抜¥2,200)
★初回完全限定生産 ★ペラジャケット仕様 ★最新リマスタリング


MIGHTY RYEDERSの7インチの発売を記念してTシャツを2種類販売!

レア・グルーヴ史上、最高峰の完成度を誇るアルバム『Help Us Spread The Message』を1枚だけ残してそのまま謎に包まれたマイアミ出身のバンドMIGHTY RYEDERS。

彼らの幻のシングル、「Let There Be Peace」と日本が誇るDJ、MUROによってエディットされた「Evil Vibrations」のカップリング7インチの発売を記念してTシャツを販売します。

Type Aの「Let There Be Peace」ヴァージョンは今回の7インチを元にしたデザイン、Type Bの「Evil Vibrations」ヴァージョンは『Help Us Spread The Message』のジャケットをベースにしたデザインです。
今回も完全受注生産になりますのでお早めにどうぞ。
https://vga.p-vine.jp/exclusive/vga-1043/


Mighty Ryeders
Official T-Shirts

Type A (VGA-1043)
Black / White / Dark Chocolate / Stone Blue / Cornsilk
S/M/L/XL/2XL
¥4,500 (With Tax ¥4,950)


Mighty Ryeders
Official T-Shirts

Type B (VGA-1044)
Black / White / Olive / Mint Green / Sport Gray
S/M/L/XL/2XL
¥4,500 (With Tax ¥4,950)

※1万円以上のお買い上げで日本国内は送料が無料になります。
※商品の発送は 2024年8月下旬ごろを予定しています。
※Tシャツのボディはギルダン 2000 6.0オンス ウルトラコットン Tシャツになります。
※期間限定受注生産(〜2024年8月4日まで)
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。

Lusine - ele-king

 近年ではロレイン・ジェイムズがフェイヴァリットにあげていたことを憶えているだろうか。そうした新しい世代にも影響を与えているエレクトロニカのヴェテラン、〈Ghostly International〉からリリースを重ねるルシーンの来日公演がアナウンスされた。2013年以来とのことなので、じつに11年ぶり。今回はドラマーを従えての公演で、迫力あるパフォーマンスが期待できそうだ。8/30(金)@CIRCUS Tokyo、8/31(土)@落合Soup、9/1(日)@CIRCUS Osakaの3公演、詳しくは下記をご確認あれ(なお落合Soup公演はソロでのパフォーマンスです)。

LUSINE JAPAN TOUR 2024 | エレクトロニカの重鎮11年ぶりにして、初のサポート・ドラマーを率いての来日決定!

昨年6年ぶりのニュー・アルバム『Long Light』をリリースしたエレクトロニカの重鎮LUSINEの、2013年の『EMAF TOKYO 2013』以来となる、およそ11年ぶりの来日公演が決定致しました。

今回はサポート・ドラマーのTrent Moormanを率いての初来日。エレクトロニクスとライヴ・ドラミングを組みわせてダイナミックなパフォーマンスが展開されます。(落合Soup公演はドラマー無しのソロ・エレクトロニック・セットです)
貴重な機会を是非お観逃しなく!

Ghostly International 25th Anniversary in Japan vol.2
LUSINE JAPAN TOUR 2024

LUSINE 東京公演①
feat. live drumming
日程:8/30(金)
会場:CIRCUS Tokyo
時間:OPEN 19:00 / START 20:00
料金:ADV ¥4,800 / DOOR ¥5,300 *別途1ドリンク代金700円必要

出演:
LUSINE (feat. live drumming)
and more…

前売りチケットのご購入はこちらから:
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/shop/?p=3165


LUSINE 東京公演②
solo set

日程:8/31(土)
会場:Ochiai Soup
時間:OPEN 18:30 START 19:00
料金:ADV ¥4,500 / DOOR ¥5,000

出演:
LUSINE (solo set)
and more…

前売りチケットのご購入はこちらから:
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/shop/?p=3165


LUSINE 大阪公演
feat. live drumming

日程:9/1(日)
会場:CIRCUS Osaka
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:ADV ¥4,500 / DOOR ¥5,000 *別途1ドリンク代金700円必要

出演:
LUSINE (feat. live drumming)
and more…

前売りチケットのご購入はこちらから:
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/shop/?p=3165


Lusine - Full Performance (Live on KEXP)

LUSINE:
テキサス出身のJeff McIlwainによるソロ・プロジェクト。L’usineやLusine Iclなどの名義でも活動を続してきた。デトロイト・テクノと初期IDMの影響を受けて制作を始め、メランコリックでメロディックなダウンビート・テクノとでも呼ぶべき独自のサウンドを生みだしたエレクトロニック・ミュージック界の才人のひとり。1998年よりカリフォルニア芸術大学で20世紀エレクトロニック・ミュージックとサウンド・デザイン、映画を専行、そこでShad Scottと出会い、1999年にL’usine名義でファースト・アルバム『L’usine』をIsophlux Recordsよりリリース。新人アーティストの作品としては異例なほど高い支持を受ける。2002年には、URB誌恒例のNext 100にも選出され、アメリカのエレクトロニック・ミュージックの今後を担う重要アーティストと位置づけられた。その後2002年後半からシアトルに移り現在に至るまで拠点にしている。様々なレーベルを股にかけ活動し、『A Pseudo Steady State』、『Coalition 2000』(U-Cover)、『Condensed』、『Language Barrier』(Hymen)、『Serial Hodgepodge』、『Podgelism』、『A Certain Distance』、『The Waiting Room』、『Sensorimotor』(Ghostly International)などのアルバム、数々の12インチ・シングル、EPなどをリリース。また、Funckarma、 Marumari、Lawrence、School of Seven Bells、Tycho、Max Cooper、Loraine Jamesなどのリミックス、McIlwainは、Mute、!K7、Kompakt、Asthmatic Kitty、Shitkatapultなど様々なコンピレーション、さらにはフィルム・プロジェクトのスコア制作など、多岐にわたる活動を展開。シアトルに移ってからはエレクトロニック・ミュージックの優良レーベルGhostly Internationalを母体にリリースをしており、
2023年にはおよそ6年ぶりとなるアルバム『Long Light』をGhostlyから発表。2017年の『Sensorimotor』で確立したインテリジェント且つエレガントなスタイルをさらにアップデートしたサウンドをみせた。また、Loraine Jamesなど、エレクトロニック・ミュージックの新世代からもリスペクトされている存在だ。

Meitei - ele-king

 首を長くして待っていたみなさんに朗報です。冥丁が無事快復を遂げたようで、本人の急病により延期となっていた最新作『古風III』を引っ提げてのツアー日程が、あらためてアナウンスされている。8月2日から9月22日にかけ、新たに京都も加えた全国11都市での開催(札幌、前橋、東京、名古屋、大阪、和歌山、京都、岡山、福岡、別府、熊本。ただし東京および和歌山公演はすでに完売。詳細は下記より)。同ツアーでは「静」と「動」にフォーカスした2つのセットが披露されるという。各会場によっても変わるそうなので、冥丁の最新パフォーマンスをあなた自身の目で確かめておきたい。

 『古風III』をめぐる冥丁のインタヴューはこちらから。

冥丁 『古風』 完結編 TOUR 〜瑪瑙〜 [明・暮 二演目展開制]

日本の古い文化をモチーフにした唯一無二のオリジナリティーで脚光を浴びるアーティスト・冥丁の『古風』編三部作の最終章となるアルバム『古風 Ⅲ』の発売を記念した国内ツアーが全国11都市で開催!

冥丁の急病のため、開催延期となっておりました『冥丁「古風」完結編TOUR〜瑪瑙〜』ですが、冥丁本人の体調も回復し、延期日程が決定致しました!
 


「失日本」(LOST JAPANESE MOOD) = “失われつつある日本の雰囲気”をテーマに、時とともに忘れ去られる日本の古い文化や心象風景をノスタルジックな音の情景に再構築した作品群が高い評価を得ている冥丁が、『古風』編三部作の完結を記念し、札幌、前橋、東京、名古屋、大阪、和歌山、京都、岡山、福岡、別府、熊本の全国11都市で国内ツアーを開催致します。
 
本ツアーでは『古風』編3部作の動のエネルギーを展開する『明』(あけ)、静のエネルギーを展開する『暮』(くれ)と題した2種類の特別セットをご用意し、各地会場の雰囲気によってセットを変えてお届け致します。さらにヴァージョンアップしたライブセットをご期待ください。さらに、東京、京都公演には冥丁のライブでは初となるオーディオ・ヴィジュアルセットを披露します。(*東京、和歌山公演はすでに完売。)
ぜひこの機会をお見逃しなく!

[ツアー日程]
8/2(金)熊本・tsukimi
8/3(土)福岡・UNION SODA
8/4(日)別府・竹瓦温泉
8/24(土)大阪・CIRCUS Osaka
8/25(日)和歌山・あしべ屋妹背別荘 <完売>
8/26(月)名古屋・新栄シャングリラ
8/30(金) 東京・OPRCT<完売>
8/31(土)前橋・臨江閣 別館
9/7(土)札幌・PROVO
9/16(月・祝)岡山・東山ビル ニカイ
9/29(日)京都・京都文化博物館別館ホール

[全公演詳細 HP]
https://www.inpartmaint.com/site/38738/

[Tour Poster Design]
Ricks Ang (KITCHEN. LABEL)

Mica Levi - ele-king

 去る7月10日、ミカチュー名義でも知られる音楽家、ミカ・リーヴィが12分ある新曲 “slob air” をリリースしている。これまで自身の作品はむろんのこと、ティルザなどのプロデュース、種々のサウンドトラック制作など幅広く活躍、UKのアンガーグラウンド・ミュージックを支えてきたキイパースンのひとりが20周年を迎えた〈Hyperdub〉と契約を交わしたことは、ちょっとした事件といえよう。続報に注目です。

Cornelius 30th Anniversary Set - ele-king

 正直なところ、ライヴが始まるまでは30年という月日の重なりが何をもたらすのかを想像できていなかった。それは小山田圭吾というミュージシャンの30年であり、私たちの30年の一片でもあった。成熟だけではなく、未熟さも含めた年月だった。すべてが既に過去であり、見ている瞬間はすべてが今の出来事で、現在地を示すための指標でもあり、未来へと続く見通しのいい景色のようだった。それらのひとつひとつの点を線で繋いで描いた輪の中に、コーネリアスは私たちを招き入れてくれた。夢のような美しい時間だった。

 『The First Question Award』から30周年のアニバーサリーセットと題しながらも、ライヴはいつもどおり“Mic Check”からスタートした。ただし、映像は途中から30周年仕様にしっかりアップデートされていた。ステージ上の幕にデビュー時のコーネリアスの象徴でもある©️マークが映し出された瞬間、4人のシルエットが浮かび上がり、そこから音に合わせて歴代の作品のジャケットが次々と目まぐるしく現れる。コーネリアスのライヴのオープニングにはいつだって胸が高鳴る仕掛けが用意されている。他にも“Count Five Or Six”など、いくつかの昔の曲の映像にも過去のアルバムのジャケットを彷彿とさせる色やデザインが散りばめられていた。今回の会場では7枚のオリジナルアルバムのジャケットをモチーフにしたグッズを販売していたが(あまりの人気に開演前にはほとんど完売していた)、それがまるで伏線だったかのようにアートワークの面においてのキャリアも振り返る演出が随所に組み込まれていた。

 東京ガーデンシアターという会場のスケールは、音と映像と照明を連動させるコーネリアスのパフォーマンスの魅力を最大限に引き出すのに非常に効果的だった。特に圧巻だったのは中盤にお披露目された新曲「Mind Train」。『攻殻機動隊ARISE』のサウンドトラックに収録された“Star Cluster Collector”とメタファイブの“Chemical”を掛け合わせたようなハイブリッドで疾走感のあるこの曲は、今公演の2日ほど前に突如配信リリースされ、数週間前に発売したばかりのアンビエント中心の作品集『Ethereal Essence』の心地よさにどっぷり浸かったままのリスナーをあっと驚かせた。近年のライヴの定番で、映像と音をシンクロさせたスタイルの到達点でもある“Audio Architecture”を手掛けた大西景太氏が今回もミュージックビデオを担当している。線路の上を加速しながら走る列車に乗って進んでいく臨場感あふれる映像に合わせて、一糸乱れぬ演奏がさらに迫力を増して続いていく。音の構造を可視化したアニメーションが大きなホールのスクリーンに映し出されるのを目で追っていると、バンドのダイナミズムとの相乗効果で体ごと無重力の世界に放り込まれてしまいそうになる。その没入感たるやすさまじく、まるで未来空間へとトリップしたような感覚。この9分にも及ぶ力作をデビュー30周年のアニバーサリーライヴの最大の見せ場として用意し、客席を沸かせてみせるのが進化を続けるコーネリアスの強みであり、この日の何よりのサプライズだと感じた。

 演奏スタイル的に最近の曲が中心のセットリストになっていたが、30年間の活動の初期の部分は序盤の“Another View Point”で視覚的にもたっぷりと補完されていたし、2010年代の小山田圭吾の活動を示すサイドワークもしっかり組み込まれていた。まさかここにきて"外は戦場だよ”を披露してくれるとは誰も予想出来なかっただろうし、そのうえ大野由美子が歌い出した瞬間は息を呑んだが、他にも意表を突かれたのは “Turn Turn”のカヴァーだった。「スケッチ・ショーのおかげでYMOに入れてもらった」と本人が語っていたエピソードや、この曲をメタファイブで何度もカヴァーしていたことも含めて、YMOのサポートギターやメタファイブのメンバーとしての側面から、自身のキャリアを振り返る一環として選んだのではないかと思う。実際にアレンジはメタファイブの音にかなり近く、映像もメタファイブのステージで使われていたのと同じものを使用していた。いくつもの地球が回転しながら変化していき、途中から少しずつコーネリアス色に乗っ取られてしまう仕掛けはなんとも痛快だった。もう2度と見ることはないはずだった映像をリメイクして蘇らせ、引き継いでいこうとする意志も受け取った。加えて『Sensuous』から唯一演奏された“Wataridori”はこの日も精度が高い。リズムの高揚感に陶酔するあまり、どんな状況でもスピードを落とさずひたむきに前へと飛び続ける渡り鳥の姿にコーネリアスの長年の音楽人生を勝手ながら重ねてしまい、涙が出た。

 本編のラストは“Thank You For The Music”。『Fantasma』の最後を締めくくるこの曲は、アルバムを振り返るように途中で収録曲の短いフレーズが大量にコラージュされている。しかしここでは代わりにデビュー曲である"太陽は僕の敵”のイントロだけを演奏し、そのまま『The First Question Award』の曲を4曲ほどダイジェスト的にワンコーラスずつ披露してみせたのだ。長いこと封印していた扉をやっと開いたその瞬間は、まばゆい光に包まれてとても暖かい光景だった。そこから再び“Thank You For The Music”に戻り、アディオス!という挨拶と共に幕を下ろすという、いかにもコーネリアスらしい遊び心のあるクライマックス。全体を通して感傷的なムードや湿っぽい演出は一切なく、楽しい仕掛けやサービス精神に溢れた楽完璧なショーだった。30周年の節目の大きなライヴにも関わらず、豪華なゲストは特に呼ばずに、それこそ“外は戦場だよ”の歌唱や“Brand New Season”のテルミンのパートでさえ誰もステージに上げずに、4人のメンバーだけで出来ることをやり切ったことにも強く胸を打たれた。今のコーネリアス・グループこそが特別だという証のように見えた。

 アンコールは5年前の再発時の『Point』再現ライヴで久しぶりに演奏され、客席が歓喜の渦に包まれた初期の名曲“The Love Parade"をしっかりとフルで歌った。あれから様々な経験を重ねて『夢中夢』を経由したコーネリアスは、30年前のこの曲を違和感なく演奏していた。ノスタルジーではなく、今までの30年をもれなく肯定し、まるごと受け止めるような潔さと強さで。音楽には心をつなぐ瞬間がある。それが何度も何度も続けば30年になり、いずれ永遠になるかもしれない。エンディングの“あなたがいるなら”がこの日はまた少し違って聴こえた。

John Carroll Kirby - ele-king

 2010年代後半、ニューエイジとジャズのあわいを行く作風で徐々にその名を広めていったジョン・キャロル・カービーソランジュのプロデュースからコーネリアスのリミックスまで幅広く手がけるこのLAの鍵盤奏者、近年は〈Stones Throw〉から着々とリリースを重ねている彼の単独来日公演が決定した。しかもバンド・セットと聞けば、どんなパフォーマンスが披露されるのか気になってしかたがなくなる。《朝霧JAM 2024》への出演を控える10月11日、渋谷WWW Xでそのステージを目撃しよう。

ジャズ、ソウル、アンビエントからエレクトロニックまで横断するメロウなサウンドに、どこか癖になる不思議な魅力を携え注目を集めるJohn Carroll Kirby。フルバンドセットでは初となる単独公演が10/11(金)東京・WWW Xにて決定!

SolangeやFrank Oceanのコラボレーターとしても注目され、多くのソロ作を世に送り出し、多方面の音楽ファンやミュージシャンから愛される音楽家・John Carroll Kirby。今年、USではKhruangbinのツアーサポートを務めライブパフォーマンスの実力を示し、またYMOのメンバー細野晴臣のトリビュート企画への参加や、高円寺の街中で撮影したミュージックビデオの公開で話題を呼ぶなど、日本のシーンとの交流も窺える中での待望の来日公演が決定した。昨年のフジロック出演以来の来日となり、フルバンドセットでの初の単独公演となる。

出演が予定されている朝霧JAM 2024直前となる10月11日(金)、東京・WWW Xにて開催。チケットはただいまより抽選先行予約の受付を開始。

John Carroll Kirby
出演:John Carroll Kirby (Band Set)
日程:2024年10月11日(金)
会場:WWW X https://www-shibuya.jp/
時間:open 18:30 / start 19:30
料金:前売 ¥7,800(税込/ドリンク代別/オールスタンディング)

<<チケット>>
先行受付(抽選)
受付期間:7月9日(火)17:00~7月15日(月祝)23:59
受付URL:https://eplus.jp/johncarrollkirby/

一般発売:7月20日(土)10:00-
e+ https://eplus.jp/johncarrollkirby/
Zaiko https://wwwwwwx.zaiko.io/e/johncarrollkirby (English available)

主催:WWW X
協力:SMASH / STONES THROW

お問い合せ:WWW X 03-5458-7688
公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/018045.php


John Carroll Kirby(ジョン キャロル カービー)
LA出身の鍵盤奏者/プロデューサー/作曲家のジョン・キャロル・カービー。
これまでR&B界のイノベーターでもあるソランジュやフランク・オーシャンとのコラボ、多作のソロ作品リリース、2023年フジロックの出演、クルアンビンとのUSツアーなどで、ジャズ~ソウル/R&B~アンビエント~ニューエイジ~エレクトロニックなど多方面の音楽リスナーから大注目のアーティストの一人である。
2020年、LAの優良レーベルStones Throwからデビューアルバム“My Garden”をリリース。メロウでドリ-ミーなサウンド、ジャズからアンビエントまで飲み込んだこれまでにないフレッシュなスタイルで大きな話題を呼んだ。その後も不思議な魅力に溢れたバンドサウンドや、独創的なエレクトロニックなど、様々なスタイルを取り入れたアルバムやサウンドトラックを次々と発表。現在、6作の作品がリリースされている。2023年には、各方面から称賛されたエディ・チャコンの最新アルバムのトータルプロデュースを行ったほか、自身の最新アルバム”Blowout”も立て続けにリリース。本作はインディー音楽界のグラミー賞と呼ばれる「A2IM Libera Awards」で、Best of Jazz Albumを受賞し高く評価された。2024年にはYMOの細野晴臣氏のトリビュート企画に参加し、カバー曲をリリースしたばかりだ。

Spotify
Apple Music

"Rainmaker"
"Sun Go Down"
"Mates"
"Oropendola"
"Blueberry Beads"

John Carroll Kirby - Fuku Wa Uchi Oni Wa Soto (feat. The Mizuhara Sisters)
*Haruomi Hosono cover song 細野晴臣トリビュート企画 カバー曲
https://youtu.be/TLxa-jEgAgY?feature=shared

The Stalin - ele-king

 70年代にJamやHEAVENといった雑誌をサポートしていた群雄社という出版社があり(84年に倒産。ニューアカで有名な冬樹社が表なら、こちらが仮に裏とでも思って下さい)、そこで出版部長を務めていたYさんから「ミチロウがテクノに興味を持っていて、彼のスタッフから連絡が行くと思う。電話があったら相談にのってあげてくれ」と言われたことがある。ラフィン・ノーズのYOSU-KOとPONがCOW COWというハウス・ユニットを始めた頃で、パンクからハウスへの変化は必然だったと彼らから聞いていたこともあり、ミチロウがテクノというのもありえない話でもないのかなとは思ったものの、結局、スタッフから電話がかかってくることはなく、次の年にはテクノどころか「遠藤ミチロウがギター一本で全国ツアー」みたいな告知文を目にすることとなった。ザがつかないスターリン解散直後のことで、ミチロウが次に何をやろうか迷っていたなかに何パーセントかはテクノという可能性もあったのかなと(スタッフの勘違いでなければ)。

 遠藤ミチロウは何度か音楽性を変えていて、『Fish Inn』はそのことが最初に議論を呼んだアルバムだった。『TRASH』から『虫』までザ・スターリンはずっとパンクだったし、その次に出た『ベトナム伝説』はソロで、しかもカセットだったから、音楽性が変わってもそういうこともあるだろうぐらいの感じだったから、変わったことに関してはザ・スターリン名義でリリースされた『Fish Inn』に議論は集中した。『Fish Inn』が変わったといっても歌詞に大きな変化があったとは思わなかった。サウンドは勢いがなくなった。もしくは重くなったというのが最初に出てくる感想だろう。客席に臓物やゴミをブチまけるステージが評判になり始めた頃、ミチロウが「音楽誌は最後でいい」とコメントしていたのが印象的で、社会と対峙するのがパンク・ロックだからまずは一般紙誌で取り上げられることが目標だったと。そして、それはすぐに達成され、いよいよ音楽誌がスターリンに裁定を下すという段階で『Fish Inn』が俎上に上げられた。批評に熱があったとは思わないし、そもそも自分の気持ちもよくわからなかった。ミチロウやザ・スターリンについて決定的な言葉というのを読んだ記憶がなく、なるほどと思える批評に出会わなかったことで自分の気持ちもどこかへ散ってしまったままになった。パンク・ロックが音楽性を変えてしまうことはすでに前例がたくさんあり、ジョン・ライドンがセックス・ピストルズからPILになり、ポール・ウェラーがザ・ジャムからスタイル・カウンシルになるなど驚くようなことは出尽くしていた感があったので、ザ・スターリンがどう変わろうと驚くことはなかっただろうし、むしろ驚かせてみろという気持ちだったかもしれない。そういう意味では『Fish Inn』の変化は中途半端で、『TRASH』のスタジオ・サイドに収められていたラストの “溺愛” だとか、同じく『虫』のタイトル曲など既視感がなかったわけではない。人がいうほどの変化ではなかったというか、『虫』までの演奏でPIL『Metal Box』も随所で取り入れられていたから、『Fish Inn』はもしかすると最初はザ・スターリンからパンクを差し引いたら何が残るかという実験だったのかもしれない(といいつつ、ソニック・ユースやカスパー・ブロッツマン・マサカーのようなポスト・パンクはどうしても思い出す)。もしくはザ・スターリンはその前に自閉体と名乗り、自衛隊がディフェンスに徹している様をうまくとらえた名義を使っていたということだったので、外よりもうちへ向かうエネルギーに集中したという解釈は可能かなと思ったり。『虫』に収められていた “アザラシ” ですでに無力感は訴えていたので、それもまったくの新しい局面ということではなく、 “T-Legs” で「お前は空白 落ち込むことさえできない」とさらに追い打ちをかけることに。それでも外にエネルギーは漏れ出してしまったというか、基本的な力強さという意味ではなかなか並ぶもののない存在だった。

 後年になって知ったのは『Fish Inn』は「ザ・スターリンを終わらせる」というコンセプトを持っていたということ。なるほど。これで終わりという気持ちは確かに感じられる。整地された空き地のような落ち着きがあって、どこへ飛んでいくのかわからない無邪気さは皆無。「ザ・スターリンを終わらせる」とは、しかし、どういうことか。ザ・スターリンは最初からインパクトがあって、ソリッドな演奏と暴力的な言葉遣いが魅力だった。言葉が汚ならしいだけでなく、立て看でしか見たことがない言い回しや「コミュニスト」とか「インテリゲンチャ」といった思想家を罵倒する言葉の使われ方が新鮮で、佐野元春やダウンタウン・ブギ・ウギ・バンド、あるいはパンタ&HALが社会全体に風刺の言葉を向けたり、漠然と世の中全体に文句を言うのではなく、社会について何か考えを持っている人に攻撃の矛先を向けたということに興味を掻き立てられた。いま思うと “ロマンチスト” などは俗流の構造主義解釈で、当時の流行りだった相対主義に落ち着いただけなのに、何か思想を持つことに対する否定的な感情というだけでものすごい感じがしたものである。ミチロウ本人が自分自身に向けた言葉も多かったのだろうけれど、なんというか、ユース・カルチャーが政治性を失い、「敵が誰だかわからない」という常套句がまかり通っていた時代に攻撃対象が明確にあるというだけで他とは決定的に違っていた。 “玉ねぎ畑” “解剖室” “アレルギーβ” “虫” と忘れられない曲は多く、 “Stop Girl ” の「おまえは帰るとこがない だからここにいる オレは行くべきとこがない だからここにいる」という歌詞もなぜか好きだった。「ザ・スターリンを終わらせる」というのは、だから、ザ・スターリンもついに攻撃対象を見失ったということではないだろうか。たとえば “メシ食わせろ” で「おまえらの貧しさに乾杯!」と歌っても80年代後半に意味するビンボーはもはや集団就職や全共闘時代のそれではなく、ザ・スターリンが想定する対立点はことごとく、そして巧妙に隠蔽されるようになっていた。実際には原発労働や国鉄民営化など労働問題はむしろ重厚さを増していたのに、それは「おいしい生活」(©︎糸井重里)という認識の変換がすっかり見えないものにしてしまった。ザ・スターリンが、もしくは遠藤ミチロウが政治運動ではなく、ポップ・カルチャーに止まり続けるにはスタンスを変える必要があり、実際、『Fish Inn』後にミチロウが取るスタイルはニュー・グロテスク・ポップと名付けられたレトロ・フューチャー感覚で、寺山修司の表現を手掛かりとし、歌詞に政治色はなく、セックスを連呼するような不道徳路線がメイン、曲調はリズム・ギター全開の60s回帰だったり、プリンスを思わせるファンク・ビートやビートルズのダムド風カヴァーなどだった(そして、ブルーハーツが “リンダ リンダ” をヒットさせた2年後にザがつかないスターリンとして復活し、和光大学の卒業試験で行ったデビュー・ライヴによって再び新聞沙汰に)。

 『Fish Inn』は2年後にビル・ラズウェルによるリミックス盤がリリースされ、05年にCD化されたものはアナログ起こしだったそうで、今回が初めてマスターテープからのCD化。オープニングの “廃魚” が「腐った魚が食いたくて」という歌い出しだったので、東北大震災が起きた4ヶ月後の真夏に気仙沼に行き、屋根の上まで腐った魚で埋め尽くされていたことを思い出した。あの凄まじい悪臭のかたまりをステージからぶちまけられたら……(ちなみにスターリンというバンド名だと中国では発売禁止だそうです。みんなで風船にCDをくくりつけて中国に向けて飛ばそう!)。

VINYL GOES AROUND - ele-king

 このサブスク時代、アナログ・レコードにまつわるさまざまな試みを展開し、「レコード・カルチャーの再定義」をコンセプトに活動している「VINYL GOES AROUND」。同プロジェクトが監修と選曲を手がけたコンピレーション『How We Walk on the Moon』がリリースされることになった。テーマは「静かな夜」とのことで、アンビエントやジャズをはじめ、ソウル、ライブラリー・ミュージックなどからメロウで美しい曲が選び抜かれた1枚となっている。仕様もこだわり抜かれていて、「ORIGAMI」なるまったく新しいタイプのオビを使用。CDは発売済み、LPは8月7日発売です。
 なお同作の制作のきっかけになったというミックス音源も公開されているので、ぜひそちらもチェックを。

 https://anywherestore.p-vine.jp/en/products/plp-7443

VINYL GOES AROUND Presents
V.A. / ハウ・ウィー・ウォーク・オン・ザ・ムーン
V.A. ‒ How We Walk on the Moon

LP : PLP-7443 / Release: 2024年8月7日 4,500円 + 税

サブスク時代における "レコード・カルチャーの再定義" をコンセプトに活動するプロジェクト「VINYL GOES AROUND」が選曲・監修を手がけた新しいコンピレーション・シリーズの第1弾『How We Walk on the Moon』は “静かな夜” をテーマにしたアルバムです。ヒーリング/イージーリスニングに寄りすぎず、美しい緊張感と、ピュアでメロウなムードに浸る、月明かりの下で聴きたくなるような幻想的なサウンドスケープが環境に溶け込みます。

アンビエントやジャズはもちろん、ソウル、ライブラリー、オルタナティヴなど、種々のジャンルから美しいピースを選りすぐって編み上げた選曲は、敷居を高く感じている人も多い「アンビエント」へのポップ・サイドからの入門としても役目を果たすであろう、すべての音楽ファンに聴いてもらいたい内容です。

また、LPは「VINYL GOES AROUND」が監修した『ORIGAMI/折り紙』と名付けられた全くの新しいタイプの帯を添え付けました。アルバムの世界観を更に深めるような、こだわりのデザインとなっています。

収録曲は、スウェーデン・グラミー賞2024のJAZZ部門にノミネートされた気鋭のアーティスト、スヴェン・ワンダーによる7インチ・オンリーの楽曲「Harmonica and...」や、舐達麻やNujabes、ビョークにも引用されたジジ・マシンの「Clouds」、2000年代以降、数多くの楽曲にサンプリングされたウェルドン・アーヴィンの人気曲「Morning Sunrise」などを収録。DJユースとしても重宝するであろう、従来のヒーリング/アンビエント系コンピレーションとは一線を画する面子が揃います。

このレコードと夜を過ごすことがとても贅沢に感じられるような、心が自由な旅へと解き放たれるひとときを味わえる、そんな1枚です。

スヴェン・ワンダーからのコメント

It is an honor to be included in this compilation alongside so many other talented artists who
have been an important part of my musical journey and hold a special place in my heart.
私の音楽遍歴の大切な「ひとかけら」であり、心の中で特別な位置を占めている才能のあるアーティストと同じアルバムに収録されたことを光栄に思います。
SVEN WUNDER

LP収録曲

SIDE A
1. yanaco - Arriving
2. Chassol - Wersailles (Planeur)
3. Brian Bennett & Alan Hawkshaw - Alto Glide
4. Sven Wunder - Harmonica and...
5. Ditto ‒ Pop
6. 新津章夫 ‒ リヨン

SIDE B
1. Lemon Quartet - Hyper for Love
2. Gigi Masin ‒ Clouds
3. Johanna Billing - This Is How We Walk On The Moon (It's Clearing Up Again, Radio Edit)
4. Weldon Irvine - Morning Sunrise
5. Shigeo Sekito ‒ The Word II

https://anywherestore.p-vine.jp/en/products/plp-7443

Kronos Quartet & Friends Meet Sun Ra - ele-king

 何年か前に、ザ・スリッツのギタリストだったヴィヴ・アルバーティンによるゴシップ満載の自伝が刊行されたが、ぼくにとっては本のなかで興味深かったのは、バンドが初のアメリカ・ツアーをした際にアリ・アップとヴィヴがフィラデルフィアのサン・ラーの家を訪ねていったというエピソードだ。読んでいて、思わず「へー」と声を上げてしまった。結局ツアー中で会えなかったとはいえ、彼女たちはマーシャル・アレンの父親のサポートでアーケストラ全員が暮らしていたという伝説の住居(そこではサターン盤のジャケットの制作や梱包などもおこなわれていた)まで行ったわけだ。ここに、ポスト・パンク時代の日本ではあまり語られてこなかった事実がひとつ確保された。当時ザ・ポップ・グループのマネージャーが運営していた〈Y Records〉からサン・ラー作品がリリースされたのは「意外」なことではなかったのだ。
 サン・ラーとアーケストラの影響の大きさ、その多様さは、経済的な成功とは無縁だった彼らのキャリアを思えばこれまたじつに興味深い。人はなぜ、いつまで経ってもこんなにもサン・ラーに惹きつけられるのだろう。なぜ、彼の死後(いや、彼がこの地球を旅だってから)、これほど多くのアーティストたちが彼の曲をカヴァーしたがるのだろう。理由のひとつには、サン・ラーの曲はじつは親しみやすいものが多いということがあるだろう。本作冒頭に収められたジョージア・アン・マルドロウの歌う“Outer Spaceways Incorporated”は、大ざっぱに言って、村上春樹の小説に出てきてもおかしくはない、上品でレトロな(そして幻想的な)ヴォーカルもののスウィング・ジャズに思えなくもない。だが、歌詞は壁抜けどころではなく大気圏抜けだ。曲は歌う。「地球に飽き飽きしたなら、いつまでも変わらないとうんざりしたら、さあ、サインアップしよう、宇宙へ飛びだそう」

 本作はAIDS医療援助活動のための非営利団体、レッド・ホット・オーガニゼーションによるサン・ラー・プロジェクトの最新盤だ。1990年の設立以来、女性とLGBTQ+コミュニティを中心に活動してきたレッド・ホットには、これまで多くのミュージシャンが協力してきている。2002年には、AIDSの合併症で亡くなったフェラ・クティに捧げる『Red Hot + Riot: A Tribute to Fela Kuti』によって、その音楽マニアなところも広く知られるようになった。レッド・ホットは昨年、サン・ラー・プロジェクトを開始し、まずは『Nuclear War: A Tribute to Sun Ra: Volume 1』、そしてサン・ラーのブラジル音楽解釈版『Red Hot & Ra:SOLAR - Sun Ra In Brasil』をリリースした。前者は、エンジェル・バット・ダウィッド、ジョージア・アン・マルドロウイレヴァーシブル・エンタングルメンツらが、くだんの〈Y Records〉からリリースされた反原発曲“Nuclear War”をそれぞれがカヴァーしたものだった。そしてさらに、レッド・ホットは最近2枚のアルバムを発表した。そのうちの1枚がここに大きく取り上げるクロノス・クァルテットと複数のミュージシャンによるカヴァー/再構築集なのである。

 まず、参加ミュージシャンの顔ぶれがele-kingのためにあるようで(笑)、すばらしい。上記のアン・マルドロウほか、ジェイリンララージローリー・アンダーソンRPブー、アーマンド・ハマー、ムーア・マザーと700 BlissDJハラム、テリー・ライリー&宮本沙羅ほか、オークランドの即興演奏家ザカリー・ジェイムズ・ワトキンス、サンフランシスコの実験音楽家のEvicshen、同所の前衛集団シークレット ・チーフス3M、カナダの実験音楽家ニコール・リゼ。現役アーケストラーのマーシャル・アレンも参加している。これだけのクレジットを見れば、聴かずにはいられないでしょう。

 それでぼくの感想だが、クロノス・クァルテット(これまでスティーヴ・ライヒやフィリップ・グラス、テリー・ライリーなどとの共演を果たしている)の存在がこのアルバムの魅力の土台を作っている。周知のようにサンフランシスコのこの楽団は弦楽器奏者のグループで、アーケストラは主に管楽器と鍵盤(そしてある時期からはシンセサイザー)のグループ。だから、“Outer Spaceways Incorporated”が良い例だが、ヴァイオリンやチェロで演奏されるサン・ラーの曲はじつに新鮮に感じる。ジャズとクラシカルな響きとのなんとも美しい融合だ。また、やはり、エレクトロニック・ミュージックのいちファンとしては、ジェイリンとRPブーがここに名を連ねていることに反応してしまう。20年前に〈Kindred Spirits〉がセオ・パリッシュ、マッドリブ、フランシスコ・モラ・カルテット、ジミ・テナー、ビルド・アン・アークなどをフィーチャーしたサン・ラーのトリビュート・アルバム『Sun Ra Dedication』(このときのメンツも良かった)を出したことがあり、I.G.カルチャーやセオ・パリッシュのリミックス盤(名盤だ)も当時ずいぶんと話題になった。ただしあれはクラブ系のレーベルからのリリースだったし、言ってしまえば、90年代のクラブ系をずっと追い、90年代後半以降のジャズに寄ったデトロイト・テクノやジャングル〜ブローンビーツ、インストゥルメンタル・ヒップホップを聴いているリスナーに向けられてのものだった。
 今回のアルバムがより広範囲なリスナーに向けられていることを実現させたのは、間違いなくクロノス・クァルテットの演奏力やアイデアによるところが大きい。ジェイリンやRPブーのエレクトロニクスが曲全体をコントロールするのではなく、あくまでも曲のいち部として機能している。それはララージでもムーア・マザーでも同じことだ。
 そういう点で、ローリー・アンダーソンとマーシャル・アレン(とクロノス)との共同作業は面白かった。この組み合わせのみが2曲収録されているが、ほんとうにアンダーソンならでは声の響きがそのままサン・ラー宇宙とドッキングした音楽になっている。RPブーのビートとアーマンド・ハマー(とクロノス)の共演もぼくには嬉しかった。が、本作はラーの宇宙を楽しむ至福の1時間、という内容ではない。どの曲にも各々の光沢があり、ラーの宇宙空間の多次元を楽しめることはたしかだ。しかし700 BlissとDJハラムによるエレクトロニック・ノイズもさることながら、ササクレだった曲、緊張感みなぎる曲もある。
 アルバムを締めるテリー・ライリー&宮本沙羅の“Kiss Yo Ass Goodbye”は、あの“Nuclear War”のいち部を切り取って、別の物に作りかえたものだ。この、深みのあるトリビュート曲は、リスナーによって感じ方はさまざまかもしれないが、ぼくはラーの怒りをあらためて表現しているように思えて、ライリーのあまり語られていない一面を感じ取った次第である。(当たり前の話だが、ラーはニコニコした宇宙案内人などではない。たとえばセオ・パリッシュにとってラーとは、“Saga Of Resistance(抵抗譚)”なのだから)


※同時に、USのシンガー・ソングライター、マルチ・インストゥルメンタリストのMeshell Ndegeocelloによる『Red Hot & Ra: The Magic City』もリリースされている。もちろん『The Magic City』(1973)は〈Impulse!〉からも出たということもあって、ラーの有名作のひとつだ。彼女は歌を挿入しながら、同作をより甘美で魅惑的なものへとうまくまとめている。ファンはこちらもぜひ聴いてください。ぼくのような『The Magic City』好きから見ても、数曲、すごく魅力的な演奏(解釈)がある。

Martha Skye Murphy - ele-king

 マーサー・スカイ・マーフィの音楽を聞くと胸の中に恐ろしさと美しさが同時にやってくる。ひんやりとしていておごそかで、何かよくないことが起きそうな不安を覚える緊張感と、ゆらぐロウソクの灯を見つめているようなやすらぎがあって、それらちぐはぐな感情がわからないものとして頭の中で処理されてそのまま出る。彼女の音楽は調和のとれた風景の奥にある違和を表現するかのように美しく不安に響くのだ。

 マーサー・スカイ・マーフィと聞いてスクイッドの “Narrator” のヴォーカルを思い出す人も多いだろう。あるいは〈Slow Dance Records〉のことが頭に浮かんだり、10代の頃にニック・ケイヴのツアーに参加したということ思い出す人もいるかもしれない。初期の作品のクレジットにはジャースキン・ヘンドリックスことジョセリン・デント=プーリーやデスクラッシュのベーシスト、パトリック・フィッジラルド、ブラック・カントリー・ニュー・ロードのルイス・エヴァンスなどの名前が並ぶ。こうしたことからも彼女の立ち位置が見えてくるのような気もしてくるが、しかし彼女はそれらの人物と関わりながらそこから少し距離を置いてどのようなシーンにも属さないような音楽を作り続けてきた(それはゴシックの香りがするアート・ポップのような音楽だった)。美しく、恐ろしく、孤高で孤独、イーサン・P・フリンと共同プロデュースで作り上げたこの1stアルバムは現実の向こうから何かを見出そうとするようなそんな空気が漂っている。それはおそらく気配と呼ばれるようなもので、見えないがそこに何かが確かにあると感じられる類いのものだ。

 テープレコーダーのスイッチが押される音と「開始」という声とともにアルバムははじまる。ハミングともやのかかった楽器の音で空間が歪んでいくような、ゆったりとしたイントロダクション “First Day” によって幕が開くこのアルバムはピアノが中心にあり、フルートやストリングスといった柔らかいアコースティックな楽器で組み立てられている。そこにエレクトロニクスの固いサウンドのテクスチャーが重ねられ緊張と緩和を繰り返しながら進んでいく。そうしてそこに声がのる。マーサ・スカイ・マーフィのこの声こそがこのアルバムの気配を作り上げているといっても過言ではないだろう。ヴォーカリストというよりかはメッセージを伝える占い師、あるいは心を深層に向かわせる催眠術師のような声、細くそれでいて芯があり、ゆらぎ、言葉と響きの間にある意味をたぐり寄せる。それが音と重なり聞き手の感情を迷子にさせる。身体の支えとなるようなものはなく、どこに軸足を置いていいかわからずに、方向感覚を失う。しかし不思議と不安はない。フルートのささやきとアンビエント・ドローン、ピアノとフィールド・レコーディングされた物音でノスタルジックな空気を作る “Theme ParKs” の中で、彼女の声は遠くで瞬く光のような、何もない砂漠での道しるべのように感じられる。幾重にも重なった音のテクスチャーが頭にぼんやりとした考えを浮かばせ、そうして砂をかぶせるようにして消していく。それが浮遊感ともまた違う、音の空間の中で迷子になったかのような感覚を生み出すのだ。
 “The Words” においてもそれは顕著で、アコースティック・ギターの上でヴォーカルが人工的に処理されて、声の重なり、楽器の重なりの中で所在を不確かにさせる。ここにいる彼女の奥、遠くで聞こえるその声はまるで過去に存在した人物の声のようでもあり、あるいは未来におこりうることを予見したかのような声でもある。そうやっていくつもの像が重なり、万華鏡のように広がっていくのだ。
 クレア・ラウジーが参加した最終曲 “Forgive” はピアノとフィールド・レコーディングされた物音と気配の音楽だ。それが頭の中のおりを洗い流すかのように響いていく。ぼんやりと何かを思い出すかのように、あるいはこれから起こりうる未来のできごとを感じるかのように。「that’s enough」という声とともにレコーダーの停止ボタンが押され現実に突如引き戻されるまで、この不思議な感覚は続いていく。

 アルバムのミキシングを担当したマルタ・サローニはこのアルバムを初めて聞いたときに「まだ起きていない経験の、その記憶を体験しているかのようだ」というコメントを残したというが、まさにこれは体験の音楽なのだろう。重なる響きの中で方向感覚を失い、声を頼りにゆっくりと糸を手繰るように深層に潜っていくこの奇妙な体験はしかし不思議とやすらぐものでもある。恐ろしく美しい迷路のようなやすらぎに、気付けばハマりこんでいる。

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