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Aru-2

Hip Hop

Aru-2

Little Heaven

DOGEAR RECORDS / AWDR/LR2

disk union

大前至   Aug 03,2020 UP

 ビートメイカーとしてキャリアをスタートし、ビートテープのリリースやプロデューサーとして様々なアーティストへのトラックを提供する一方で、Notology という名義でヴォーカル作品も発表し、さらに昨年11月にはラッパー/ビートメイカーの NF Zessho とジョイント・アルバム『AKIRA』をリリースするなど、実に多彩な活動を繰り広げてきた Aru-2。そんな彼がビートとヴォーカルという、自らのふたつの武器を見事に駆使して作り上げたのがこのアルバム『Little Heaven』だ。

 Aru-2 の作り出すサウンドはシンセ/キーボードが軸となって空気感を作り出し、さらに下地となるビートは実に不規則なパターンを描き、彼にしか作り得ない独特なグルーヴが完成している。また全体を通して、アナログ的なザラザラした感触が保たれる中で、音数も決して多くはなく、どこか引き算の美学というのも強く感じとれる。ジャンル的にはヒップホップというフィールドにいるのは間違いないのだが、ヒップホップという音楽だけを聴いていたら決して生まれないサウンドであり、それは彼のヴォーカル・スタイルにも共通している。ヴォーカルも楽器のひとつとして、他の楽器と見事に混ざり合い、心地良く耳に響いてくる。先行リリース曲の “Sen” などはその典型とも言えるが、曲の中でシンセとヴォーカルが並列に存在し、見事なアンサンブルを奏でている。そんな中、“Hentai NIpponjin” という曲に関しては、彼の言葉が実にダイレクトに届き、少々異彩を放つ。シンセベースが実にファンキーに響くトラックに乗って「現代日本人はみんな変態」というシンプルなメッセージにニヤリとさせられながらも、どこかふっと腑に落ちるような曲でもあり、不思議な魅力に包まれている。

 本作のもうひとつの目玉は、Aru-2 とも繋がりの深いラッパーのゲスト参加だろう。乗りこなすのは決して容易ではない Aru-2 のトラックであるが、全員がそれぞれスタイルの異なるビートに自らの個性をストレートにぶつけ、曲のグルーヴ感を最大限に引き出している。完成度が高いのは曲の構成が一番作り込まれ、展開も見事な JJJ とのタイトル曲 “Little Heaven” であるが、KID FRESINO、Campanella との “Go Away”、ISSUGI との “Bye My Bad Mind” も、甲乙つけがたい強い存在感を放っており、Aru-2 のヴォーカルとのコンビネーションも実に聞き応えがある。少々贅沢な願いかもしれないが、Aru-2 のビート&ヴォーカルを駆使した上で、さらにもっといろんなラッパーとの組み合わせによる楽曲を聞いてみたい。そんなことさえ思わせてくれる、無限の可能性を感じさせるアルバムだ。

大前至