ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Mika Vainio + Ryoji Ikeda + Alva Noto - Live 2002 (review)
  2. interview with Toshio Matsuura UKジャズの現在進行形とリンクする (interviews)
  3. BESとISSUGIによる噂の『VIRIDIAN SHOOT』のTeaserが公開。iTunes Storeでのプレオーダー受付、2曲の先行配信もスタート! (news)
  4. 資本主義リアリズム - マーク・フィッシャー 著 (review)
  5. BPM ビート・パー・ミニット - (review)
  6. Georg Gatsas - SIGNAL THE FUTURE (review)
  7. 悪女/AKUJO - 監督:チョン・ビョンギル『殺人の告白』 出演:キム・オクビン、シン・ハギュン、ソンジュン、キム・ソヒョン / The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ - 監督:ソフィア・コッポラ『SOMEWHERE』
    出演:ニコール・キッドマン、エル・ファニング、キルスティン・ダンスト、コリン・ファレル
    (review)
  8. φonon ──EP-4の佐藤薫が新レーベルをローンチ、2月に2タイトルがリリース (news)
  9. Courtney Barnett ──コートニー・バーネットですよ!!!! (news)
  10. Lea Bertucci - Metal Aether (review)
  11. special talk : BES × senninshou特別対談:BES×仙人掌 (interviews)
  12. Various Artists - We Out Here (review)
  13. The Correspondents - Puppet Loosely Strung (review)
  14. interview with IO - KoolBoyの美学 (interviews)
  15. Shame - Songs Of Praise (review)
  16. Youth Code - Youth Code (review)
  17. interview with Tomoko Sauvage 楽器はボウル、水滴、エレクトロニクス (interviews)
  18. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  19. スリー・ビルボード - (review)
  20. interview with Rhye 愛を、あるがままに (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Clap! Clap!- A Thousant Skies

Album Reviews

Clap! Clap!

AfroAmbientElectronicHouseJazzJuke

Clap! Clap!

A Thousant Skies

Black Acre/Pヴァイン

Amazon

野田努   Feb 20,2017 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 1990年、デリック・メイが「ザ・ビギニング」というシングルを出したとき、まさかそれが本当に「はじまり」だったなんて誰も信じちゃいなかった。ぼくもそうだった。『ブラック・マシン・ミュージック』を書いているときもまったく予想できなかったな。ドラム・マシンが、いずれはその多くが、アフリカのリズムすなわちパーカッションをプログラムされるようになるとはね。
 イタリア人ジャズ・ミュージシャン、クラップ!クラップ!は、ビートの蒐集家にしてアフリカン・パーカッション&アフリカ楽器の魅力ある音色の混合者、かつファンタジーの語り部である。彼は、ブリストルのレーベル〈ブラック・エイカー〉からの数枚のシングルにおいて、ベース+ジュークつまりハウスよりもテンポが速めの、電子音によるシャンガーン的アフリカン・パーカッションというコンビネーションの妙技を披露し、脚光を浴びた。
 そして、2014年のファースト・アルバム『タイー・ベッバ』では、リズムにさらに自由度を与え、ゆるめの曲も交えながら全体をある種ファンタジーに変換した。それはネガティヴな小林の精神を照らす光となり、現実からの逃避を手助けし、深夜帰りの病んだ気持ちに優しく作用したのである。ゆえに『タイー・ベッバ』は、アナログ盤のみのリリースだったのに関わらず評判となり、高まるニーズに応えるべく日本ではCD化され、クラブ系では近年のベストセラーの1枚となった……どころの騒ぎではない。ポール・サイモンの2016年のソロ・アルバムにトラックを提供するまでに至った。(ポール・サイモンはその昔『グレイスランド』で南アフリカのレディスミス・ブラック・マンバーゾを起用したぐらいで、それを考えれば……という向きもあるが、にしてもこれは限定で発表されたような真性のアンダーグラウンド・ミュージックなわけで)

 本作『ア・サウザント・スカイズ』はセカンドであり、大躍進後の最初のアルバムだ。前作同様、別の時間軸からの音楽であり、寒々しくも荒廃した世界の住人の心を温める音楽、夢への旅立ちを助ける音楽ではあるが、前作よりもぐっと洗練された作品となった。間口は広がり、ひと言で言えば聴きやすいアルバムだ。いくつか曲名を挙げるなら、“Hope”なる曲ではポップ・センスを、“Ode To The Pleiades”ではエレガントなダウンテンポを、“Lunar Ensemble”ではアフロ・ハウス・フュージョンとも呼べる展開を見せている。完成度は確実に上がっている。
 CDには各曲に付けられた物語が記されている。宇宙の神話、ひとりの女性の夢とアフリカの往復──そのファンタジーは、希望がことごとく揉み消されるこの現実への抵抗の表れであろう。重力も忘れて、この音楽に身を委ねることで現実の惨さを忘れることは、音楽ファン冥利につきる。なお、2曲目にフィーチャーされているボンゲジウェ・マバンドラは、日本盤リリース&来日もある南アフリカのシンガー・ソングライター。ほかはよくわかりませんので、わかり次第追って報告したいと思います。

野田努

RELATED

Clap! Clap!- Tayi Bebba Black Acre/Pヴァイン

Reviews Amazon