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Yamagata Tweakster x Wedance Japan Tour 2013

Yamagata Tweakster x Wedance Japan Tour 2013

@EARTHDOM

Jan 27, 2013

文:野田 努  
写真:小原泰広   Jan 29,2013 UP
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E王

 クライマックスは彼がドアを開け、階段を勢いよく駆け上がり、車が往来する大久保通りに飛び出たときだった。ライヴの最中にステージを飛び降り、客席で踊る音楽家はたくさんいる。が、歌い踊りながら会場を後に、公道に躍り出る音楽家はこの日初めて見た。彼の後を追いかけるようにオーディエンスもだだだだと通りに出た。道のど真ん中で彼はみんなと騒いでいる。走っていた車は止まらぜるえない。何が起きたんだい? フルクサス流のハプニング? 前衛舞踏? アナーキーなフリー・レイヴ? それともこれっていわゆる占拠? 
 ほんの数分の出来事だった。それでもこれは、新宿のコリアンタウン、大久保通りのレイヴであり、占拠だった。こんなことを言うと君は過激な運動家を想像するかもしれない。だが、ちょっと待って。たぶん君のイメージとは違っていると思うよ。
 彼はステージでラーメンを料理しながら、イタロ・ディスコで激しく踊り(僕にはDAFを思わせたが、本人はイタロ・ディスコとハウスのつもりだと話している)、そして服を脱ぎながら歌う、韓国のソウルのホンデからやって来たヤマガタ・ツイックスターなる音楽家。彼の隣には、サングラスをかけたセクシーな美女がロボティックなダンスを続けている。ヤマガタが路上に出たときもひとりはレオタード姿のまま、同じように外に出た。
 What fuck was going on? この晩、いったい何が起きたっていうんだい? 僕の頭はいまもモーレツな躁状態を維持したまま、混乱している。いまの僕を路上で見たら不審人物として署に連れて行かれるかもしれない。電車に乗ったらやばい人だと思われ、満員電車のなかでさえ、さーっとまわりから人が遠のくだろう。そんな状態であるからして、うまく説明できる自信がないけれど、この晩に起きた小さくて大きな出来事を知ってもらいたいと思ってキーボードを打ち続けている。僕がぶっ倒れるか、キーボードが壊れるか、身体をはった勝負だ。

 結論=ヤマガタ、まったく素晴らしい。ウィダンス、まったく格好いい。
 ウィダンスから書こう。イルリメの後にステージにはふたりの男女。長髪のメガネをかけた細身の男性はギターを抱えて、おかっぱの女性は革ジャンを着て、マイクの前に立っている。「準備はいい?」と、言ってはじまった彼らの演奏は、グルーヴィーなダンス・ビートをバックにギターがぐわんぐわんと絡みつき、女性はメリハリあるヴォーカリゼーションで会場をがっつりロック、ふたりとも激しく身体をゆさぶって、ゆさぶって、ゆさぶっている。はあ、はあ、はあ......。曲が終わると息が切れている。
 WeDance=私たちは踊る。そのバンド名のように、ふたりは踊る。韓国でビーチ・ハウスの前座を務めたという話もうなずける演奏だった。ドリーミーで、心身ともに揺さぶるダンス・ロックだ。見た感じ、ふたりとも若い。実際はどうか知らないが、気持ちの良い、好感の持てる人柄に思えた。これがいま注目の、韓国の若いDIY主義者の音楽家が集まるホンデと呼ばれる町からの、もっともフレッシュな一撃なのだ。何を歌っているかわからない。それでも彼らのエモーションはばっちり伝わる。格好いい。
 そんなわけで、久しぶりに会った友人に泡盛をおごった。面白い人たちが会場には集まっていた。無鉄砲な連中から音好きな連中、変わったモノ好き、日韓のアンダーグラウンド集会。ヤマガタ・ツイックスターは、そのトリを務めるのに相応しい男だ。市の再開発によって撤去を命じられたうどん屋をめぐる闘争から政治運動に発展したという、ホンデ・インディ・シーンの重要人物であるこの紳士は、黒い笑いと辛辣な社会批判を歌詞に託しながら歌い、踊る。踊るといっても、こちらはウィダンスと違って、いかがわしい動きを見せる。ニルヴァーナで音楽に目覚め、ペット・ショップ・ボーイズとフィッシュマンズを愛するヤマガタは、じょじょにその本性である笑いと知性と反抗心を見せ、巧妙なパフォーマンスで我々をまんまと虜にすると、背中から羽が生えたようにふわふわと踊らせた。
 想像して欲しい。ライヴハウスで汗かいて踊っている人びとが、そのまま路上にトランスポートされたところを。信じられないだろう。ステージにはラーメンだ......その信じられないことが起きた。鶴見済がニマっと笑っている。僕もニマっと合図した。
 翌日の昼過ぎ、品川のルノアールで、飛行機の搭乗手続きまでの1時間ほどの時間をもらって話を聞いた。最後の残り5分で写真撮影。すると......またしても彼は、駅前の4車線の大通りに飛び出した。そして、路上にばたんと寝そべる。忙しい町に寛容さなどない。多くの車からは怒りのクラクション、それでも彼は白昼堂々と......いっしょに路上に放り出されてシャッターを押し続けている小原泰広が終わってから「恐かったです」とひと言。彼は残されたわずかな時間も無駄にすることなく、路上を占拠したのだった。
 Kポップなどクソ食らえ。ヤマガタ......君こそ真のスターだ。
 (日本盤、2枚とも歌詞対訳あります。限定盤ですよ!)

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文:野田 努

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