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Home >  Interviews > interview with a editor of Pitchfork - ひとつの音楽に支配されることは、私たちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、良いこともたくさんあると思う。

interview with a editor of Pitchfork

interview with a editor of Pitchfork

ひとつの音楽に支配されることは、私たちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、良いこともたくさんあると思う。

――『ピッチフォーク』のエディターに話を訊く

沢井陽子 、 野田 努    Apr 27,2010 UP

アニマル・コレクティヴのようなバンドの価値を高めたのは『ピッチフォーク』だ言われていますが、アメリカではどれほどの人気なのでしょうか?

エイミー:アニマル・コレクティヴがアメリカで人気なのは驚くべきことだと思うわ。一般的には、難しい音楽で、簡単に受け入れられる音楽だとは思わないけど、人びとがこの手の音楽に興味を持ちはじめて、『ピッチフォーク』にも、突然アニマル・コレクティヴのようなバンドが増えだした。たしかに『ピッチフォーク』は彼らをサポートしているけど、それが彼らの人気の理由のすべてではないわ。彼らはたくさんのツアーをするし、コンスタントに新しい音楽を発表しているからね。

あなたがとくに気に入っているバンドやアーティストは誰ですか?

エイミー:M.I.A.、ナイフ、フィーヴァー・レイ、もう少しクラシカルなところで言うと、ブルース・スプリングスティーン、プリンス、さっきも言ったように、10代の頃好きだったのはソニック・ユース。彼らがいままでやって来たことをとても尊敬しているの。

最近の若いバンドではお気に入りはいますか?

エイミー:いま期待しているのは、スレイ・ベルズね。

ブルックリンのバンドですよね。

エイミー:彼らは何の音源もリリースしていないし、マイスペースのみなんだけど、最近M.I.A.のレーベルと契約したばかりなの。これからが楽しみよね。

あなたのゼロ年代のアルバム・トップ5を挙げてみてください。

エイミー:えー、M.I.A.の『アルラー』と『カラ』。アーケイド・ファイヤーの『フューネラル』、ナイフの『サイレント・シャウト』、ダフト・パンクの『ディスカヴァリー』、PJハーヴィーの『ストーリーズ・フロム・ザ・シティ、ストーリーズ・フロム・ザ・シー』。

サイモン・レイノルズがこの10年を"フラグメンタル・ディケイド"という言い方をしていますが、実際の話、もう大きなムーヴメントはずいぶんとありません

エイミー:それはたしかにその通りだと思う。コンピュータ、インターネットなどは、音楽へのアクセスを簡単にしたし、音楽を作るのを簡単にした。だから、ひとつの音楽に支配されることは、私たちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、良いこともたくさんあると思う。私はたくさんの人が、同じ音楽を聴いているアイディアが好きだし、美しいことだと思うけれど。

ムーヴメントのないこの現在、そして将来において、カウンター・カルチャーとしての音楽はどうなると思いますか? 

エイミー:いまの時代は、ひとつの大きなムーヴメントというものはなく、すべてが断片的で、たくさんの小さなムーヴメントがあるのよ。カウンター・カルチャーが大きな影響を与えるとは思わないわ。

アメリカにはグリール・マーカスをはじめ、レスター・バングスなど、偉大なロック・ジャーナリストの系譜がありますが、とくにあなたが影響を受けたのは誰ですか?

エイミー:最初にライターをはじめた頃は、アン・パワーズというライターにとても影響を受けたわ。彼女は、元『NYタイムス』のライターで、いまは『LAタイムス』のライターをやっている。アン・パワーズは、『彼女が書いたロック:Rock She Wrote(women write about rock, pop and rap)』という、女性が書いたロック・ジャーナリズムのコレクションを出版しているのよ。90年代なかばに出版された本なんだけど、私はとても影響を受けたわ。

それはとても興味深い本ですね。ところで音楽ライターにとって重要な要素は何だと思いますか?

エイミー:たくさんあるけど、いちばん大事なのは、良いライターであること。強い声を持ち、スタイルに良いセンスを持ち、正確であり、自分の話していることがわかっている。きちんと、締め切りに間に合わせること。音楽に対してパッションがあり、自分の記事が何を書いているか注意することよね。

ちなみにアメリカでは音楽ライターをやって食べていけますか?

エイミー:良い質問ね(笑)。ほとんどは、一般的に言って難しい。私や『ピッチフォーク』のスタッフはこの仕事で食べていけて本当にラッキーだと思う。でもこれはレアで、ライターだけやってフルタイムで生活するのは本当に難しい。ほとんどのフリーランスのライターは別の仕事をもっている。それだけでやっていくことは可能だけど、とても難しいのよ。

日本の音楽についてはどの程度知っていますか? 

エイミー:そんなに多くは知らないけど......若い頃は少年ナイフを聴いたわ。彼女たちはとても楽しいわね。そしてボアダムス、彼らは天才ね。アシッド・マザー・テンプル、彼らもアメイジングね。ディア・フーフには日本人のメンバーがいるわよね。私は大ファンではないけれど、彼らのことは尊敬している。他にも......、ゆらゆら帝国、トクマルシューゴなどは、とても楽しく聴かせてもらったわ。

日本の音楽シーンに期待することはありますか?

エイミー:とくに何かを期待することはないわね。いまの時代は、すべてがとても断片的で、ひとつの特別なシーンが何かを作るということもないので、日本の音楽も、アメリカの音楽も、ただたんに、世界のなかの断片的な部分だと思うのよ。私たちは、自分たちの手の届くところにある断片的な音楽を紹介しているだけなのよ。

ちなみに6月にはトーク・ノーマルが来日ツアーをやるんですよ。

エイミー:彼女たちのことはいろんなライターがカヴァーしているし、とても良い評判を聞いているわ。いつもチェックしたいと思っているのだけど、私はまだ聴いたことがないの。来週シカゴでプレイするから見に行くわ。とてもエキサイティングね。

沢井陽子+野田 努(2010年4月27日)

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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