ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Robert Del Naja ──マッシヴ・アタックの3D、二度目の逮捕
  2. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  3. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  4. Columns 9月のジャズ Jazz in September 2026
  5. Stones Taro ──京都のハウス・プロデューサーによる新作
  6. Black Marble - Life in Small Spaces | ブラック・マーブル
  7. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50
  8. 忌野清志郎さん
  9. interview with caroline いま、これほどロマンティックに聞こえる音楽はほかにない | キャロライン、インタヴュー
  10. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  11. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  12. R.I.P. 鷲巣功
  13. 食品まつり a.k.a foodman - HIKARIGASASHIKOMU
  14. interview with Cameron Picton (My New Band Believe) 元ブラック・ミディのキャメロン・ピクトン、新バンドにかける想い | ──初のアルバムを送り出したマイ・ニュー・バンド・ビリーヴ
  15. interview with Boom Boom Satellites 明日は何も知らない | ブンブンサテライツ(中野雅之+川島道行)、インタヴュー
  16. Rough Trade ──完売間近、〈ラフ・トレード〉50周年記念公演がいよいよ来週開催、ジェフ・トラヴィスのDJもあり
  17. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  18. Horse Lords - Demand to Be Taken to Heaven Alive!  | ホース・ローズ
  19. Arca - XXXXX
  20. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る

Home >  Interviews > interview with Haiiro De Rossi - ヒップホップ・アゲインスト・レイシズム

interview with Haiiro De Rossi

interview with Haiiro De Rossi

ヒップホップ・アゲインスト・レイシズム

――ハイイロ・デ・ロッシ、インタヴュー

二木 信    photos by 椿 祐輔   Feb 08,2011 UP

「アシッド、MDMA、コケイン、オプションがなきゃ語れないペイン」って言ってるんです。やるのはいいけど、オプションのためにドラッグをやるんだったら、意味ないですね。オレは精神安定剤で内臓ボロボロになって、いま病院に行っている状態なんです。そこにイリーガルもリーガルも関係ない。ドラッグは武器でもなんでもないし、マイナスにしかならないから、オレは思いっきり切り離したいです。


Haiiro De Rossi
Same Same But Different

Slye Records

Amazon iTunes

■「WE'RE THE SAME ASIAN」は歌詞の内容をめぐって議論できるリアリズムがあるのが素晴らしいと思いましたね。

ハイイロ・デ・ロッシ:抉り方は注意しましたね。わかりやすくするためにラップ的には下手に書いたと思いますよ。音楽的な拍のところなんかを詰めずに当たり前のことを当たり前に言うことだけを考えてやりました。そのぶん、歌詞がシンプルになった。だから、show-kさんから誤解を招いた。「渋谷のデモがテロ」なんて言っていないのに、そういう誤解を招いた。それはオレらの表現の仕方が悪かった。オレらがあの曲を発売しない理由もわかって欲しいですね。あれを500円で売ったら多少の金にはなるじゃないですか。でも、オレはあれを発売する気はない。

■それはなぜ?

ハイイロ・デ・ロッシ:あれは曲じゃないから。あれは議論する場ですから。図書館や会議場を作って、そこで金を取るわけにはいかないじゃないですか。

■でも、自分たちの曲という意識はあるでしょ?

ハイイロ・デ・ロッシ:オレらが蒔いた種ではあるけど、そこから育てるも枯らすも人びと次第ですね。唯一国が潰しに来ない場所ができたんだから。

■主張というより問題提起という気持ちが強い?

ハイイロ・デ・ロッシ:主張できるほどオレらは頭良くないですから。オレらより政治的に理解があるヤツらはいっぱいいるから。

■オレはあの曲には十分主張があると思うけどね。

ハイイロ・デ・ロッシ:オレは人としてラップしたし、タクマはそれにたいして勇気を持って協力してくれた。エンジニアやトラックを作ってくれたヤツもそうだし。

■政治的な曲をお金にするのはうしろめたいという気持ちがある?

ハイイロ・デ・ロッシ:いや、そういうことではないです。形が変わってしまったからです。曲ではなくなってしまったからです。音楽を売るなら売るけど、音楽ではなくなってしまった。

■なるほど。ところで、今年は3枚目のアルバムを出すんですよね?

ハイイロ・デ・ロッシ:12インチを先行で切ります。「グッバイ・キッズ・ヒップホップ」という曲です。いわゆる暴力やドラッグにたいして決別する曲です。

■ドラッグを否定するのはどうして?

ハイイロ・デ・ロッシ:オレは歌詞で、「アシッド、MDMA、コケイン、オプションがなきゃ語れないペイン」って言ってるんです。ドラッグを好きにやるのはいいけど、オプションのためにドラッグをやるんだったら、意味ないですね。オレは精神安定剤で内臓ボロボロになって、いま病院に行っている状態なんです。そこまで行っても「ドラッグやってるぜ」なんて言わない。そこにイリーガルもリーガルも関係ない。ドラッグは武器でもなんでもないし、マイナスにしかならないから、オレは思いっきり切り離したいです。「グッバイ・キッズ・ヒップホップ」といっしょに収録するのが、「ドラッグ・バラード」って曲なんです。それがそのチェーンを切ってくれって曲です。

■これまでとはまた違う、切迫感のあるアルバムになりそうだね。

ハイイロ・デ・ロッシ:3枚目は自分のレーベルですべてやります。追い込まれて、擦り切れそうな状態で作ったから、聴きづらいかもしれません。でも、満員電車に耐えられないとか、そういうヤツらって意外といっぱいいると思うんですよ。電車を降りないとヤバイ状態だけど、終電だよ、どうしようって。次のアルバムはそういうヤツらがあと10分乗って頑張れるようなアルバムにしたい。エミネムの『リカヴァリー』の6曲目から7曲目の流れがあるじゃないですか。いち度ぐちゃぐちゃになってからもオレはやるんだって。オレ、あそこで超泣いたんですよ。オレがどうやって乗り越えたのかっていうことを見せたいですね、次のアルバムでは。


取材:二木 信 (協力:野田努)(2011年2月08日)

1234

Profile

二木 信二木 信/Shin Futatsugi
1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。

INTERVIEWS