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interview with DJ Fumiya

interview with DJ Fumiya

ダンスは人を苦しめない

──DJフミヤ、ロング・インタヴュー

斎藤辰也    Nov 06,2012 UP

ピート・ロックとDJプレミアはコスリも上手かったですね。当時はコスリのコピーばっかりやっていました。DJプレミアのコスリは、いまでも口ずさめるコスリですね。


Beats For Daddy

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「楽しそう」という面についてですと、リップスライムの『Masterpiece』がリリースされた頃、NHKの『トップランナー』に出演なさっていましたよね。そこでファーサイドの"ソウル・フラワー"を流していらっしゃったのが、当時エミネムしか知らない中学生だった僕にはすごく衝撃的でした。90年代のヒップホップというのはなかなか知りえなかったですし、「こんなに楽しそうでカッケえヒップホップがあるんだ!」と思うと同時に、リップスライムがそれを標榜していたのかなというのも感じました。

野田:僕もファーサイドは好きだったんですけど、でも、微妙ですよね、日本でも(笑)。昔「ヒップホップで何が好き?」って訊かれて「ファーサイド」って答えて怒られたこともありますね、硬派な人から。

そうなんですか...! 本国でも叩かれていたらしいですしね。

DJ Fumiya:ファースト・アルバムが売れて、本人たちもちょっとハードな感じに変わっていったりもしたんですけどね。それでメンバーやめちゃったりとかもあって。

アルバムを発表順番に並べると、メンバーがだんだんと減っていったのが目に見えてわかりますよね。

DJ Fumiya:やっぱり、ジェイ・ディーが参加していた頃が最高ですね。本当、5人揃って好きだって言えるグループってファーサイドくらいしかいなかったですね。

ソロをやるにしてもファットリップなんかもファーサイドをやめてからだったわけで。そういう意味ではリップスライムって、バラバラになっていったファーサイドとは対照的に、ソロ活動と並行してちゃんと5人揃ってグループが長く続いていますよね。それって凄いことだと思うのですけど、どういう実感がありますか?

DJ Fumiya:そうですね.........みんな、あんまり、深く考えてないのかもしれないですね。

フミヤさんはなにか考えていることってありますか?

DJ Fumiya:曲自体にはありますけど、「これからリップはこう変わっていくんだ」みたいなことは考えてないですね。俺だけ考えても絶対無理なんで! また具合悪くなっちゃうんで、そんなこと考えても。

なるほど。最近だとリップのペスさんもソロ活動をしてイルマリさんもバンドを始動させていますよね。リップスライム以外の横の活動が積極的に行なわれているように感じますが、そういう流れは自然にあるいは同時多発的に起こったりするものなのですか?それとも「ちょっとしばらく休もうか」とみなさんで決めていたりとか?

DJ Fumiya:どっちもと言いますか。たぶんこのタイミングで、休憩じゃないですけど、自分で違う場所に行ってみて呼吸して戻ってみて、またリップスライムの活動に活かすこともあるんだと思います。ちょっと、リップの一番最近のアルバム『STAR』を作り終わってから、それからどういう曲を作ったらいいのか個人的にわからなくなっていた時期でもあったので。次をすぐ作れって言われても無理だな、と。他の刺激が欲しかったんですね。

ソロ作品をつくることはメンバーと話してからでしたか?

DJ Fumiya:いちおう言いましたが、みんなも同じことを考えいたのではないかと。

リョージさんがツアーDVDのなかでリップスライムはスライムみたいに柔軟なんだというようなことを言っていたと思うんですが、まさにそのとおりですね。その柔軟さの出処はどういうところでしょうか?

DJ Fumiya:たとえば楽曲制作でいうと、どんなトラックを持っていってもラップを乗せてくれるので柔軟だなと思います。ふざけて作っためちゃくちゃ速い曲とかリズムがない曲とかでも、みんな詞を頑張ってつけてくれるので、自分の遊びを引き受けてくれる柔軟さがありますね。

そもそもトラックはいつから作られてたんですか?DJ活動は14歳からということですけども。

DJ Fumiya:トラックは16歳くらいからですね。

野田:最初のサンプラーはなんだったんですか?

DJ Fumiya:最初はAKAIのS01っていう、8個しか音が出ないし、ツマミが一個しかついてないもので、本当にただのサンプラーでした。ただ音が出てくるだけっていう。それからAKAIのS900とか950とかヒップホップの名機に戻ったっていう感じですかね。ピート・ロックだとかが使っていたような。

DJやトラックをはじめた時の模範の音っていうのはありましたか?

DJ Fumiya:やっぱりヒップホップでしたね。90年代前半の......。

ニュー・スクール的な?

DJ Fumiya:そうですね。それこそピート・ロック、DJプレミア、ジェイ・ディーとかですね。あと、トライブ。あそこら辺のひとたちはいまでも聴きますね。ピート・ロックとDJプレミアはコスリ(※スクラッチ)も上手かったですね。当時はコスリのコピーばっかりやっていました。DJプレミアのコスリは、いまでも口ずさめるコスリですね。

それを聴きながら、当時はどういう現場でやられてたんですか?

DJ Fumiya:DJでよくプレイしていたのはライムスターさんたちとの「FG NIGHT」が中心ですね。

野田:ああ、クラブは渋谷のFAMILYですよね。僕も行ったことあります。

その時からすでにFGの中にいらしたのは、ダンサーだったお兄さんとの繋がりがあってですか?

DJ Fumiya:ですね。リップのスーっていうやつとウチの兄が同じチームでダンスをしていて、イースト・エンドのダンサーになって、そこからですね。中二とか中三の頃だったと思います。

野田:黄金時代ですね。

DJ Fumiya:黄金時代ですね(笑)。まだイースト・エンドも売れる前の時代ですね。

取材:齋藤辰也(2012年11月06日)

Profile

斎藤辰也/Tatsuya Saito斎藤辰也/Tatsuya Saito
破られたベルリンの壁の粉屑に乗って東京に着陸し、生誕。小4でラルク・アン・シエルに熱狂し、5年生でビートルズに出会い、感動のあまり西新宿のブート街に繰り出す。中2でエミネムに共鳴し、ラップにのめり込む。現在は〈ホット・チップくん〉としてホット・チップをストーキングする毎日。ロック的に由緒正しき明治学院大学のサークル〈現代音楽研究会〉出身。ラップ・グループ〈パブリック娘。〉のMCとKYとドラム担当。

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