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interview with DJ Fumiya

interview with DJ Fumiya

ダンスは人を苦しめない

──DJフミヤ、ロング・インタヴュー

斎藤辰也    Nov 06,2012 UP

ディプロなんかはアメリカなので、雑なんですよね。スウィッチがそれを綺麗にまとめる構図がメイジャー・レイザーはいいですね。僕の今作のリミックスでもディプロはザックリしてますね。


Beats For Daddy

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野田:レコードは中古屋さんに売らないですか?

DJ Fumiya:ヴァイナルは売ったことないですね。全然かけない曲とかでも思い入れがあるというか。CDはちょいちょい友だちにあげたりします。

ヴァイナルの話でいうと、リップスライムは主に『Masterpiece』あたりのちょっと昔のリリースがヴァイナルでも出ていますよね。最近だとフミヤさん選曲のベスト盤ですね。最近の若い世代でも、ヴァイナルとかカセットを聴くというアナログの風習が、アメリカとかイギリスのインディーの精神といいますか、日本にも流れてきてはいるんですよ。

DJ Fumiya:ふーむ。ふむふむふむ。

子供のときからデジタルだった世代にしてみれば、リヴァイヴァルというよりは、アナログの音が新しいものとして受け止められているんです。そういう世代に対して、ヴァイナルのべテランとしてなにかコメントはありますか?

DJ Fumiya:やっぱり、あの音を知ってるか知らないかっていうのはけっこう変わってくるんじゃないかと。とにかく自分が聴いてきたなかで一番いい音なので。箱とかで聴いてもいい音だし。たとえば、レコーディングのとき音の設定で僕は44kHzにするんですが、96kHzとかでやる人もいるんですよね。本当にノイズも聞こえるくらい、違った意味でめちゃくちゃいい音っていうか。僕の趣味はわざと44kHzでやっています。結局CDを取り込んだときに44kHzになっちゃうんですが、でも、アナログを取り込むときはなるたけそのままの音を取り込みたいという気持ちはあります。

アナログのリリースはリップでも一昔前ですし、今作『ビーツ・フォー・ダディ』もアナログではリリースされないですよね。せっかく若い世代がアナログを買いはじめているので、ぜひこれからもアナログを作って欲しいのですが、そういう願望はありますか?

DJ Fumiya:ありますあります! こないだもリップのヴァイナル・リリースのときに、レコードの溝を見るマスタリングの技をイギリスまで観に行きました。本当、手に職っていう感じでしたね。

野田:あれはもう職人芸ですよね。海外だと、プロデューサーの次にクレジットが書かれてるくらいマスタリングは地位が高いというか、認められていますよね。

DJ Fumiya:ヴァイナルは盤にマスタリング・エンジニアの名前が彫られているので、見たりします。

リップスライムのマスタリングはロンドンのスチュアート・ホークス(Stuart Hawkes)という人がずっとやっていらっしゃいますよね。どういう経緯でそうなったんですか?

DJ Fumiya:テイ(・トワ)さんが同じエンジニアさんで、おすすめされたんです。その人はドラム'ン'ベースもやっていて、僕もロニ・サイズ(Roni Size)とか〈フルサイクル〉系のドラム'ン'ベースをずっと聴いていたので、いい音だな、と。その人は4ヒーローもやってましたし。でも、去年くらいにロンドンへ行ってはじめて会ったんです。

あ、そうなんですか(笑)?

DJ Fumiya:飛行機が恐くて。

(一同笑)

どんな人でしたか?

DJ Fumiya:(リップの)イルマリに似てましたね。イルマリに似てるなっていう...。

.........(笑)。

DJ Fumiya:あと、飯が激マズいっていう。「いい加減お前ら聴きにこい」と言われたので、リップのメンバーでその人に会いにいったんです。ロンドンには何回か行っているんですが、マスタリングに立ち会ったのはそのときが初めてでした。イギリスのクラブは音もいいし。でも、日本になんとなく似てるなと思いますね。音楽の好みとか、曲の作り方も緻密な人が多いイメージがありますね。

なるほど。

DJ Fumiya:だから、ディプロなんかはアメリカなので、雑なんですよね。スウィッチがそれを綺麗にまとめる構図がメイジャー・レイザーはいいですね。僕の今作のリミックス("Here We Go feat. Dynamite MC(Diplo Remix)")でもディプロはザックリしてますね。

ロンドンでDJはやらなかったんですか?

DJ Fumiya:ミレニアム・パーティというか、年末にもの凄く広いところでドラムンベースやらテクノやらをかけるパーティに行きました。DJはやらなかったんですけど、レコードは買いました。

ロンドンでやりたいと思いますか?

DJ Fumiya:やりたいと思いますね。もうすこし飛行機が速かったら......。

(一同笑)

DJ Fumiya:一睡もしなかったこともありました。映画を観たり、飯をいっぱい食べたり。でも最初に海外の飛行機に乗ったとき、英語が分からなくて全部「Yes」と答えてたらご飯がでてこなくて。

(一同爆笑)

アメリカではなくロンドンというのも......。

DJ Fumiya:イギリスの音楽が好きだからですね。それこそドラム'ン'ベースですね。

野田:ミックスCD『DJ FUMIYA IN THE MIX』なんかだと、ヒップホップって感じではなかったですよね。

ダンス・ミュージックで。

DJ Fumiya:そうですね。あれはもう本当に四つ打ちでいくっていうのがコンセプトだったんです。

野田:それはDJをやっていくうちに選曲の幅が広がっていったということなんですか?

DJ Fumiya:時期によってはドラム'ン'ベースばっかり回してることもあったし、いまは、四つ打ちカッコいいなあと思ってハウスとかを掘り下げています。打ち込みの音楽だと四つ打ちが一番難しいとずっと思っていて、奥が深いなあっていつも思いますね。

取材:齋藤辰也(2012年11月06日)

Profile

斎藤辰也/Tatsuya Saito斎藤辰也/Tatsuya Saito
破られたベルリンの壁の粉屑に乗って東京に着陸し、生誕。小4でラルク・アン・シエルに熱狂し、5年生でビートルズに出会い、感動のあまり西新宿のブート街に繰り出す。中2でエミネムに共鳴し、ラップにのめり込む。現在は〈ホット・チップくん〉としてホット・チップをストーキングする毎日。ロック的に由緒正しき明治学院大学のサークル〈現代音楽研究会〉出身。ラップ・グループ〈パブリック娘。〉のMCとKYとドラム担当。

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