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interview with Yo La Tengo

interview with Yo La Tengo

フリーホイーリンなライヴと新譜!

――ヨ・ラ・テンゴ、インタヴュー

澤田裕介    Dec 11,2012 UP

Yo La Tengo - Fade
ホステス

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 1日限りではあるけれど「ザ・フリーホイーリング・ヨ・ラ・テンゴ」と題されたライヴで3年ぶりの来日を果たしたヨ・ラ・テンゴ。今回の来日公演は通常のライヴとは違い、通訳を介したQ&A形式で観客とのトークを挟みながら、その場のフィーリングで選曲を決めていくという特殊なスタイル。ヨ・ラ・テンゴのライヴといえば、本編で圧倒的なサウンドを奏でて観客をうっとりさせ、アンコール・タイムではリクエストを募ったり、嬉々として自分たちの好きな曲のカヴァーを披露したりして、アットホームな雰囲気を醸し出すのがいつもの流れなのだけれど、この日は観客とのQ&A(微笑ましい質問もあれば、マニアックな質問もあり)に半分くらいの時間を割いていることもあり、全編通してアンコール・タイムのような和やかな雰囲気。この晩、ステージにセッティングされた楽器はアコギ、ベース、シンプルなドラムセット(スネアとタム、それにシンバル)だけで、数曲演奏して客電がつき、質問タイムを挟み、また演奏するという構成は、いつものヨ・ラ・テンゴのステージを期待していた人にとっては肩透かしだったかもしれないが、コアなファンにとっては満足のいく極上の公演だった。

 その翌日、インディー・ロック界随一のおしどり夫婦であるアイラ&ジョージアに、今回のライブの裏話や、来年1月に出る新作について話をきくことができた。

 自分としては10年前くらいに書いていた曲のような感覚もあったりするし。自分たちでそれらの違いを発見したり、説明したりするのが難しいだけなのかもしれないわ。

昨晩のライヴでは観客からの質問に、冗談で「プレゼントをくれないと質問に答えないよ」と言っておられたので、プレゼントを用意してきました。どうぞよろしくお願いします。

アイラ:ありがとう。昨日言っておいてよかった(笑)。

メンバーと同じシャツにヅラをかぶったコスプレ姿の通訳3人も笑いをとっていて、大活躍でしたね。あのアイディアは日本に来る前からあたためていたんですか?

アイラ:そうだよ。来日する前から考えていたアイディアだね。通訳を入れることで他の国でやるよりもショウのペースがゆるんだり、間が空いてしまったりしないようにと思って、メンバーひとりひとりに通訳をつけようっていうのは最初から考えていたんだけど、さらにショウを面白くするために通訳のみんなに僕たちのコスプレをしてもらおうと思ったんだ。実際にカツラとかを買いに行ったり、準備したりするのはすごく楽しかったよ。

アイラ役の通訳の方は、お揃いのボーダーのTシャツを着ていましたね。あれは日本で調達したんですか?

アイラ:そうだね。日本で買ったよ。

ユニクロですか?

アイラ:違うよ。H&Mだよ(笑)。自分が着ようとしていたTシャツを僕の担当の通訳の人に前もって伝えていたんだけど、彼はそんな種類のTシャツは持ってないって答えたんだ。実際に彼が当日着てきたTシャツを見たらそれでもまったく問題はなかったんだけど、招聘元のスマッシュのスタッフがこのコスプレのアイディアを気にいってくれて、どうせならお揃いのシャツを買いに行こうということでH&Mに連れてってくれて、そこで買ったんだ。

英語圏以外の国で今回みたいなQ&A形式のライブをやるのは大変そうだなと思っていたのですが、とてもユーモア満点で素敵なライブだったと思います。このような形式のショーを観て、思い浮かんだのがアメリカのテレビ番組『アクターズ・スタジオ』だったのですが、もしかして、これがインスピレーションの元になっているのですか?

アイラ:ハッハッハッハ。違うよ(笑)。それは思いもしなかったな。そこからアイディアをとったわけじゃないよ。他の国でやるとみんな好き勝手に同時にいろんなところから発言したり、おしゃべりしたりしていたりして、何が質問されているかまったくわからない状況が多いんだけど、昨日のライブを思い返してみると、みんなマナーがちゃんとしていて、きちんと挙手してマイクを持った人が質問する感じだったから、たしかに『アクターズ・スタジオ』っぽかったかもね。

 ※『アクターズ・スタジオ』......アメリカの俳優・監督・演出家らを養成する演劇の専門学校、アクターズ・スタジオが運営するテレビ番組。俳優・映画監督らをゲストに招き、同校の生徒を前に、インタヴューに答えるという形式。番組終盤には毎回決まった10の質問と、会場の学生からの質問に答える。日本では佐野元春が司会を務める『ザ・ソングライターズ』が近い雰囲気。

昨晩のトーク・セッションのなかで「新作では何か新しいことがしたかった」と言っていましたね。前々作の『アイ・アム・ノット・アフレイド・オブ・ユー・アンド・アイ・ウィル・ビート・ユア・アス』と前作の『ポピュラー・ソングス』はこれまでの集大成的なバラエティに富んだ内容でした。なかでも"ミスター・タフ"はファルセットで歌っていたり、"イフ・イッツ・トゥルー"はモータウンっぽいストリングスが入っていたりしていたので、ヨ・ラ・テンゴの新機軸はソウルっぽいサウンドなのかと思っていたのですが、新作で新しく取り入れた要素はありますか?

ジョージア:ちょっとこれまでと違うところもあるかもしれないけど、際立って新しい要素はそんなにないかなって思うわ。自分としては10年前くらいに書いていた曲のような感覚もあったりするし。自分たちでそれらの違いを発見したり、説明したりするのが難しいだけなのかもしれないわ。

アイラ:きみが言うように、たしかに"ミスター・タフ"とか"イフ・イッツ・トゥルー"みたいな曲はモータウンっぽい感じがするし、それが新機軸になっているっていう考えも理解できるよ。あの頃のアルバムの特徴を話すとすると、いろいろなジャンルっていうものをフォローしてみようって気持ちがあった時期だね。たとえば、"イフ・イッツ・トゥルー"とかはモータウンってコンセプトにもとづいて曲を書いてみようと思って、ストリングスを入れてみたりして、ジャンルをなぞっていた部分はあったんだけど、今回に関しては、特定のジャンルを意識するって感じじゃなくて、自分たちから自然に生まれてきた曲をそのまま収録した感じかな。

澤田裕介(2012年12月11日)

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