Home > Interviews > BO NINGEN × COMANECHI - 対談:タイゲン(BO NINGEN) × アキコ(COMANECHI)
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コマネチ You Owe Me Nothing But Love Knew Noise Recordings |
グローバルな現代において、海外に音楽を届けること自体は簡単なことのかもしれない。ただ、実際に足を運び、さらに海外を拠点に活動をするとなると、そう簡単にはいかない。
だからこそ、ボー・ニンゲンとコマネチがイギリスを拠点に活動し、『NME』からも評価され、ザ・ホラーズやザ・ドラムスなどからも認められているという事実に、僕たちはもっと注目すべきだろう。ボー・ニンゲンに関しては、新作『ライン・ザ・ウォール』の国内リリースが2月27日に決定しているので、今後、日本でもより幅広く注目されることになりそうだ。
ロンドンを拠点に活動をしているアキコは、近年、ザ・ビッグ・ピンクを辞め、コマネチの活動に専念。2月14日には、セカンド・アルバム、『ユー・オゥ・ミー・ナッシング・バット・ラヴ』をリリースしている。グランジからの影響を強く感じさせ、ボディソニック・ビートとヘヴィなギターがいろんな角度から飛んでくる。ノイジーで、ハードで、パンキッシュだが、多くのリスナーがアプローチしやすい音楽でもある。
スタイリッシュだが型にまったくはまらないクールさという点では、ボー・ニンゲンと似ているのかもしれない。
去る2月、同時期に新作もリリースし、共通点も多いボー・ニンゲンとコマネチが日本でツアーした。これは、バンドでヴォーカルを務めるボー・ニンゲンのタイゲン、そしてコマネチのアキコとの対談。言いたい放題過ぎるふたりの対談、どうぞ、お楽しみください。
やっぱね、人生、リスク背負った方がええよ。理由つけて親があかんとかお金ないとかそんなんばっかり。たしかに現実問題で無理なんかも知らんけど、ほんまにそれくらい真剣に考えてんやったら、飛び出せっ!!!
■イギリスを拠点に活動をする日本人、そしてリリースもほぼ同じタイミングということで共通点の多いおふた方ですが、せっかくの機会なので、今日はおふたりが普段あまり話せないことや、訊けないことを対談という形式でやれたらと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。早速なのですが、イギリスの嫌いな点を思いつくだけ挙げてください。
タイゲン:うわ、それたぶん100個くらい出てくる! だってコマネチのイギリス人のふたりが言ってたもんね(笑)。
アキコ:そう、だってドラムのチャーリーなんか日本に住める言うてたよ。
■(笑)
タイゲン:とりあえず皆パッて言うのは、間違いなくご飯。
アキコ:ご飯! 例えば、今回帰って気づくんは、24時以降とか、お腹空いたらイギリスやとケバブかチップスしかないのよ。 お惣菜とかおにぎり一個食べたいなとかそういうのがないもん。
タイゲン:あとイギリスってライヴ後の打ち上げにご飯を食べにいくっていう文化がなくて、飲むだけみたいな。
アキコ:わかる!
タイゲン:そのくせにあんまり飲まないし。
アキコ:そうそう。 あれ疲れるよなぁ、結構。
タイゲン:あと単純にイギリス・ツアーしててもご飯の替えがない。どこ行っても同じっていうか。
アキコ:そう。 名古屋やったら、うなぎとか、手羽先とか、あるでしょ? 大阪やったら、たこ焼き、お好み焼きとかさ、そういうのないもん!
タイゲン:まったくないね。コマネチのイギリス人のふたりも、日本に着いてサービス・エリアの時点で感動してたからね(笑)。
アキコ:なんか、「なんでこんな美味しいの!」って、いままで朝ご飯っていったらベーコン・エッグしか知らんかったとか言うてたわ。
■(笑)
タイゲン:食文化っていうのがまずあって、バンドで言うと僕はあれですね、イギリスって怠く演奏するのがかっこいいみたいなの多くない?
アキコ:たしかに。
タイゲン:日本のバンドはイギリスに比べるとまじめじゃん?
アキコ:それはある!
タイゲン:まじめすぎるのは良くないにしろ、テクニック、モチベーション、アティチュードにしろ、心持ちというか、音楽に対する向かい方というかさ、なんか惰性的な気がする......。
■イギリスで活動をするということは、必然的に同業者はイギリス人が多いわけですよね。実際、日本人とイギリス人の相性みたいなものはどうなんですか?
タイゲン:意外と合う......かな? どっちもシャイだよね。
アキコ:うん。 シャイ。
■長く滞在するうえで、人間関係などはあまり苦にならないのですか?
アキコ:いやでも、なんていうか......。
タイゲン:雑だよね。
アキコ:めっちゃ雑!!
タイゲン:時間ルーズだし、適当......。
■では逆に、イギリスの良い点はなんでしょうか?
アキコ:え、ちょっと待って、あたしらまだ2個しか言うてないやん。
■(笑)
アキコ:あとはね、汚い。
タイゲン:汚いねー(笑)。
アキコ:道も汚いし、バスも汚いし、食べたゴミとかポイ捨てするし、こっち帰って来たら、ゴミなんか絶対捨てたくないって思うもん!
タイゲン:紳士の国と言われていますが、紳士の割合は相当低い! あと教育が行き届いてないですね。
アキコ:マナーとか礼儀みたいな。
タイゲン:格差もある。親が金持ちでプライヴェート・スクールというか、それと公立とのね。
アキコ:食べ物も凄いよ。
タイゲン:また食べ物になっちゃうけど(笑)。
■しかし、おふたりはそんなイギリスに拠点を置いて実際に生活しているわけであって(笑)、良いところももちろんありますよね?
タイゲン:うん(笑)。とりあえず音楽活動に関しては、凄いやりやすい。
アキコ:やりやすい! やりやすい!
■具体的にどういったところがですか?
タイゲン:例えば、日本だとノルマというものがあって、えっと、ちなみにアキコちゃんは日本で活動してた?
アキコ:してない。 ちなみにノルマってどういう意味?
タイゲン:「ペイ・トュー・プレイ」。
アキコ:うそー!!! 自分らでお金払って演奏させて貰うの?!
タイゲン:というか、チケットが売れないと自分たちで払うの。
アキコ:えーーーーーー!!!!! あ、でもイギリスにもそういうセコいプロモーターおるよね。
タイゲン:セックス・ピストルズがDJするからとか言って釣ってくる奴とかいるけど、でもだいたいはないじゃん? ちょっとはお金貰えるかもしれないし、赤にはならない気がする。
アキコ:たしかになー。
タイゲン:あと人がよく混ざってライヴに来るよね。ホラーズがぽつっと来たりさ、ファッションの人とか、アートの人とかが普通にお客さんとして観に来てくれて、それがコラボに繋がったりするし。
アキコ:日本やったら、上下関係みたいなのあるでしょ? そんなん関係ないもん、イギリス。日本だとあれがあるじゃん、えーっと、ほら、あれ、なんやったっけ?
タイゲン:ごますり?
アキコ:そうそう。
司会:菊地佑樹(2013年3月01日)