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interview with Acid Mothers Temple

interview with Acid Mothers Temple

アシッド・マザーズ物語

──河端一、超・超ロング・インタヴュー

大久保潤    撮影:小原泰広   Apr 30,2013 UP

観たいんやったらいま来いやと。来年は見れるかどうかわからない、来年も来るつもりではいるけどないかもしれへん。だから見れるときに見に来てほしいという意味も兼ねて、「最後」と書きゃあ来るかもと(笑)。

■コリアンサイケとかも独特ですもんね。

河端:そうそう。語感も面白いけど、音楽的に違いがどうしてもある。自分から出てきたフレーズが何かに似てたとするやん。でも、いろんなものを聴いてやってるわけで、まったくゼロからオリジナルなものを作ってるやつなんて滅多にいないから。たまたま出てきたリフが「なんやどっかで聴いたことあるな」っていうのでも、それはしゃあない。別にレコードを聴いてコピーして作ったわけじゃなくて、自分のなかのフィルターを通って出てきてんねんからそれはもう自分の音やねん。だからと言って鮎川誠がそうやってるとは思えないけどね、俺は(笑)。
 さっきの話に戻るけど、灰野さんが全部の音楽をひとつのバンドでやっちゃえっていう感覚は俺も近くて。アシッド・マザーのファースト・アルバムを出した時はソロみたいなものやったけど、セカンド(『Pataphysical Freak Out MU!!』)を出したときにはハードサイケ路線の、まあ同じようなものが続いて。次に3枚続けて同じ物を出すと客が絶対そう思っちゃうから、3枚目はちょっとドローンっぽい静かなものにして。その後に出したのが『Wild Gals a Go-Go』っていうちょっと映画のサントラみたいなワケのわからんやつで。
 とにかくはじめにおもいっきり振り幅を広げたわけ。ハード・サイケ・バンドと言われたときに、歌のものもありますし、ドローンとかわけのわからないアヴァンギャルドな曲もやりますと。とにかく俺のコンセプトとしては、どんな音楽であれ上に宇宙音が乗ってたらアシッド・マザーだと。それがひとつのキーワードではある。必ずしもではないけども、何をやっても、どんな音楽をやっても宇宙音さえ乗ってればアシッド・マザーとわかってもらえる。古いアルバムは、俺は曲によってはギター弾いてないからね。俺が参加してない曲もあるくらいで。

■へえー。

河端:とにかく三枚続けて同じようなものを出すとイメージが固まるので。それは桑田佳祐から学んだ(笑)。はじめに「勝手にシンドバット」」出して売れたでしょ。2枚目にまた同じようなラテン調の曲を出して、ヒットとしてはちょっと落ちた。でもレコード会社としては3枚目ももう1回その線で出したかったのね。でも桑田は3枚目にはバラードを出したいと。レコード会社は「何を言うてんねん、このままいかなどないすんねん」と思ったけど、もしダメだったら次はまたお祭り曲出したらいいから、このままだと俺らはお祭りバンドだと思われてまう。それで出したのが――

■"いとしのエリー"ですね。

河端:大ヒットで、そこからサザンオールスターズはお祭り曲から泣けるバラードまでできるバンドということになった。それを聞いた時に「これや」と。
 アシッド・マザーは戦略的にかなり考えてやってるんですよ。バンド名つけるときも、頭文字は絶対「A」って決めてて。レコード屋では絶対Aから見るからね。アシッド・マザーより前に来るのはアバとAC/DCしかない(笑)。だって「S」とか「T」になったらもう疲れてきて見ないでしょ。そういう戦略はいろいろあったんですよ。

■じゃあそろそろ締め的に、今後の展開などを。

河端:よくある質問ですね(笑)。いままでのインタヴューでだいたい全部同じ答えですよ。何もないです。

■おお。

河端:だっていまこの店を出た瞬間に轢かれて死ぬかもしれへんから。そらもちろん半年先・一年先のブッキングはしてるよ。レコーディングもするしリリースの予定もあるけど。気持の上では、ここを出たら死ぬかもしれへんし、死んだら終わりなんで、考えることは今のことだけ。でもまあビジネスとして、活動としては来年も同じです。アルバムを出してツアーをして、みんなが楽しんでくれればそれでいいです。身体が続く限り。それだけが問題やね。みなさん身体がボロボロなんで。

■あのライヴをどれだけ続けられるかっていうのはありますよね。

河端:スポーツ選手みたいに身体のあちことが摩耗して疲弊していくんで。一昨年は兄いがヨーロッパツアーが終わったところで空港で倒れて、日本についた時には車椅子やったからね。

■ああ、でしたよね。

河端:そのあともライヴ中にぎっくり腰にならはって、それでもそのままライヴが終わるまで叩き切った。うちら最後のほうはメガ加速状態やからね。耳ももうダメで、三半規管をやられてるから平衡感覚もないし。津山さんは右の肩の筋が4本切れてるし。俺は関節が摩滅して、こっちの筋も痛いし。東君も手が痛いとか言うてるしね。あと田畑は痛風・糖尿・脂肪肝(笑)。

■それだけちょっと別な気が(笑)。

河端:でも田畑は人間力よ。自分はアレやのに、周りが田畑を助けるように仕向けられてるねん。田畑はみんなほっとっけないんよ、なんとかしたろうと思うし、田畑のことを悪く言う奴はいないやろ。それが田畑の人徳で人間力やねん。人間力のないやつはダメになってくよね。あいつはやっぱり音楽が好きで、最終的にボロボロになっても音楽は続けたいと思ってるしね。
 俺らの時って情報もあんまりなかったんで、生き様こそがロックみたいに思ってたんやね。特にヴォーカルとかでカリスマ的なものを持ってた奴は生き様が暴走しすぎて廃人になったりとか、ダメになってくねんな。ほんで俺らみたいな裏方の人間のほうが残ってるわけ。
 俺らはバック・ミュージシャンやけど、メインに立つカリスマ的な奴、町田町蔵に続くべきカリスマみたいなのがいっぱいおったはずなのにみんな消えてしまった。結局アイちゃんとかがおるくらいやね。ロックスター言うのはこれくらいいかなあかんのじゃあ! 言うてみんな終わって、気づいたら結局楽器とか演奏したりレコードを聴いたりするのが楽しかった裏方の人間だけが残ってる。

■ああー。

河端:あれがもっと残ってたら俺等の世代はもっと残ってたはずなんよ。社長とかヒデくんとかの世代はけっこう残ってるやん。下のハードコアの世代も残ってるねん。俺等の年代だけスコーンと抜けてるの、全部。当時、俺の2個上くらいからの3年間くらいは独特のシーンがあったんやけど、音源もないんやで。
 主要な人物がどんどん辞めていくから誰も語らない、資料も残らない。そうやってそこが完全に抜けてるわけよ。田畑にしても、のいづんずりはたまたま後から入ってるから残ってるけど。それは今やもう殆ど誰も覚えてへんから語らないでしょ。
 でもそれは仕方のないことやから。残らなかったのは俺らのせいやし。残そうとしなかったわけやし、今も語ろうともしないやろ。ていうか自分の過去に値打つけてどうすんねんと(笑)。やっぱり自分の過去を伝説にしたくないんよ。あの時はこんなに凄かったんやで! とか言うても、現場にいた人間からすると、客5人くらいやったでとか。音楽的にも大したことなかったやん、とか――何の話でしたっけ。

■今後の話ですね(笑)。

河端:あ、今後の話がなんで過去の話になってんねん(笑)。いつまで続けられるかはもうわからないんですよ、自分らも。アシッド・マザーも去年「Last Tour」とつけてワールドツアーをしてましたけど、あれはマヤ暦の話にひっかけて冗談で言ってる部分もあったけど、自分らの肉体的にもあと何年ツアー・バンドを続けられるかはわからない。あとで「見たかった」と言われるのも嫌やから、観たいんやったらいま来いやと。
 来年は見れるかどうかわからない。だから見れるときに見に来てほしいという意味も兼ねて、「最後」と書きゃあ来るかもと(笑)。実際自分らも、もしかしたら去年の時点では来年ツアーできるかどうかわからない状態やったからね、身体は。ツアー中に駄目になるかもしれないし。それくらいのところでずっとやってるんで、そういう意味で先はわからない。だから「また次見に行くわ」っていうのは、俺らのなかではないんやで。

取材:大久保潤(2013年4月30日)

Profile

大久保潤大久保潤/Jun Okubo
1975年東京生まれ。書籍編集者として菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』、佐々木敦『「批評」とは何か』、『アメリカン・ハードコア』『ブラック・メタルの血塗られた歴史』、ミック・ファレン『アナキストに煙草を』などを担当。ポストパンクバンド「大甲子園」、即興ドゥームロックバンド「Filth」、即興ハードロックバンド「Filth Iconoclast 666」等のギター。
ブログ:http://www.noiznoiznoiz.com

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