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interview with GING NANG BOYZ (Mamoru Murai)

interview with GING NANG BOYZ (Mamoru Murai)

銀杏BOYZの世界/銀杏BOYZと世界、のその後

──村井守(ex.銀杏BOYZ)、インタヴュー

   取材:九龍ジョー/写真:寺沢美遊   Jan 24,2014 UP

当然さみしいですよ。ただ、どこかでいつか戻ってくるだろうっていうのもあったし、それ以上にアルバムの完成が見えてきたから、とにかくその進行を止めたくなかった。

2011年の初夏、東北ツアー(〈スメルズ・ライク・ア・ヴァージン・ツアー〉)の頃にすでに村井くんはバンドを辞めようと思ったことがあったそうですね。

村井:ええ、たまたまその時期だったっていうだけで、ツアーが関係しているわけじゃないんですけどね。あびちゃんが中心になって進めていたライヴ盤のほうが具体的に曲順も決定して、タイトルもいまとは違うんですけど決まり、それからスタジオ盤のほうも曲がほぼほぼカタチになって、両方とも着地点が見えてきたなってときに、ふと辞めることを考えたんです。それがたまたま東北ツアーの時期だったっていう。でも、その気持ちは自分の中でなかったことにした。気の迷いだと思って。

その気持ちを他のメンバーに伝えることはなく、やがてチンくんがバンドを離れますね。

村井:怪我でギターが弾けなくなってね。2012年の夏か。

チンくんは精神的にも追い詰められていた?

村井:それもあったと思います。ただ、そのことにオレは気づいてあげられなかったってことを最近すごく思うんですよ。チンくんとはよくふたりで飲みに行ったりもしたんですけど、飲み方が尋常じゃないときが何度かあって。思い詰めてたのかなぁ……って。

それでも2007年から2009年にかけての時期よりは、バンドの状況はよかったわけですか。

村井:うん、なんかもうトンネルは抜けたなっていうのはあった。ようやく足並みが揃ってきたと思ってたんだけど……いま思うと、たぶんチンくんはそうじゃなかったんですよね。

その後、チンくんと話をしました?

村井:最後に会ったのが2012年の秋かな。「他のメンバーやスタッフとは会えないけど、村井くんとは話したいわ~」って連絡がきて、吉祥寺の喫茶店で会って。で、顔見たらやっぱわかるんですよ。「ああ、もう続けていく気はないな」って。これがまだ一緒にやってた頃なら、「アルバムも、もうすぐできるからさ!」ってハッパをかけられたんだろうけど、そのときはもうバンドのことはほとんど話さずに、エロビデオの話とかでゲラゲラ笑って、30分ぐらいで別れましたね。峯田にも、「チンくんの顔見たら、やれる感じじゃなかったわー」って報告して。

2013年の春に、今度はあびちゃんもバンドを離れますね。

村井:あびちゃんは何年も前からたまに体調が悪くなるときがあって——。

よく、霊に取り憑かれてるんじゃないかなんて冗談で言ってましたもんね。

村井:そうなんですよ。でも、それがここにきて作業に参加できないぐらい体調が悪化して。蕁麻疹とか出ちゃうんですよ。で、しばらく家で休んでもらってたんだけど、その後もなかなかよくならない。喫茶店とかで会うんですけど、毎回、「もうちょっとしたらよくなるから……」って。で、あびちゃんも顔色を見ると、チンくんと一緒で、スイッチが切れちゃってる感じなんです。やっぱり、ずーっと集中して作業をしてきたので、ちょっと時間を置いたら、プッツリ切れちゃったんだろうなって。

そうやってメンバーがひとり減り、ふたり減り……村井くんとしてはどういう心境だったんですか?

村井:当然さみしいですよ。ただ、どこかでいつか戻ってくるだろうっていうのもあったし、それ以上にアルバムの完成が見えてきたから、とにかくその進行を止めたくなかった。だからチンくんが戻ってこれなくなったとき、峯田とあびちゃんに「(アルバムの制作を)進めよう」って話したのはオレだったし、あびちゃんの体調が悪くなったときにも、やっぱり峯田に「進めよう」ってメールして。オレはとにかくアルバムを出すことが目標になってたから。


村井がアルバムのレコーディングで使っていたノート。その混沌とした筆致から制作の難航ぶりがうかがえる

銀杏BOYZというバンドを外から見ていると、村井くんはムードメーカーというか、メンバー間の調整役を担う局面もあるのかなって思ってたんですけど。

村井:いや、それぞれ峯田との関係性もありつつ、峯田以外の3人でもわりとシビアにぶつかることが多かったですね。なので、オレがそれぞれの間を取り持って、って感じではなかったです。

どういうところでぶつかるんですか?

村井:たとえば事務所であびちゃんが泊まり込んで作業をしていたとして、オレが横で「この音、あまり面白くないわー」って言っちゃうんですよ。あびちゃんが数日間かけて作った音なのに。あびちゃんからすると、「なんで打ち込みができない村井さんにそんなこと言われなきゃならないんですか?」って。

それは言い方の問題?

村井:そうです。そんなレベルですよ、オレらが揉めるのって(苦笑)。ま、オレがパットを使って音をつけて、あびちゃんはあびちゃんでLogicで音を作って、そこでディスカッションがあったりもするわけですけど、でも、ぶつかり合ったりするのはもっと些細な言葉遣いとかなんですよ。

まあ、ずっと顔を合わせてますしね。

村井:だって……ねぇ? 恋人や夫婦だってそうじゃないですか。最初は楽しかったのが、だんだん相手のイヤな部分も見えてきて。一個の音を作るにしても意地の張り合いなのよ、全員が。それはいい悪いの話じゃなくて、意地張っちゃうんですよ。それで進まなくなる。そのうちゴールも見えなくなって、「オレらどこに立ってるんだろう?」って。それはみんなキツかったと思います。

生活の大半を事務所での作業に費やしている感じだったんですか?

村井:事務所にいる時間はあびちゃんがいちばん長かったですね。オレはちょくちょく帰ってたし、チンくんも自宅のProtoolsで音を作ってたから。だから、夕方ぐらいにフラッと事務所に来て、「じゃあ、あびちゃん聴かせてもらっていい? ……うん~、なんか違うねこれは」って、そりゃムカつきますよね(笑)。

峯田くん以外は家庭もありますよね。

村井:チンくんとあびちゃんは子どもいるし。でも、オレはそういう面で生活が厳しいと思ったことは一度もない。チンくんとあびちゃんからも、そういう話は一度も聞いたことがないですね。逆に峯田は言いますけどね。「お前らは奥さんがいる。その違いはデカい」って。でも、奥さんがいても、彼女がいても、音楽を作るときにそこは関係ないと思ってましたね、オレは。ま、ウチの奥さんは「どうぞ好きなことやってください」っていう人なので、あまり干渉もされないし。で、また峯田が言うんですよ、「こんな生活してたら、お前が知らないだけで、浮気されてるに決まってっから」って(笑)。

はははは! ちなみに村井くんは奥さんには脱退することは相談したんですか?

村井:しましたね。「もう銀杏辞めて、違うことやるわ~」って。そしたら「辞めてもいいけど、次もやりたい仕事をやってね」って言われました。自由にさせてくれるのはありがたいですよ。

取材:九龍ジョー(2014年1月24日)

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