Home > Interviews > talking with downy & Fragment - 十六月からはじまる話
普通のリミックス・コンペとはちょっとちがう空気感でしたね。 (kussy)
downy - 第五作品集『無題』リミックスアルバム Felicity |
■なるほど。そのあとはちょっとニカ寄りなセクションといいますか、アンビエントな流れが続きますね。AmetsubさんやGeskiaさんも、他の人にはできない仕事をされていて、downyの旋律的な素晴らしさというような部分もとてもロマンチックに引き出されていると思いました。このあたりも印象深いです。曲の配置についてはどんなやりとりがあったんでしょうか?
青木:いったん僕がタタキを出しました。オリジナルの曲順でもいいんじゃないかって思ったんですけど、流れを考えるとこうなりましたね。みんなそれぞれにインパクトを持っているので、それを消したくなかったです。よかったんじゃないかな。
kussy:そこはロビンさんに言われたまま、変わってないですね。もうコレでしょうという感じで。話の蒸し返しになりますけど、“十六月”をどこにもってくるかということだけでしたね、協議したのは。
青木:リミックス・アルバムを謳っているわけだから、ケツがいいんじゃないかと思ったんですよね、最初は。なんか自分たちが一発目というのもおこがましいなと(笑)。
kussy:いや、絶対アタマでよかったですね。
■いちリスナーとしてもそう思います。ところで、今回は「コンペ」という枠も取られていますよね。このアイディアは誰の提案によるものなんですか?
青木:どうだろう、やったことのない取り組みではあって。
kussy:僕らをつないでくれた沖縄のキムさんが、沖縄にもいいビートメイカーがたくさんいるとおっしゃっていて……
青木:あ、そうだね。キム側から言われたのかも。沖縄でリミックス・コンペをやってみたいというようなオファーがあったんだけど、まあ沖縄だけというのもないだろうということで〈felicity〉に相談したんだよね。それでやってみようということになった。
■おもしろいですよね。それでBO NINGENのタイゲンさんが大賞ということになったわけですが、選考理由などを教えていただけますか?
青木:全部で120くらい応募があったんですよ。上がるたびにちょこちょこ聴いてはいたんですが、なかには同じ人が3つくらい送ってくれていたりもして……
kussy:普通のリミックス・コンペとはちょっとちがう空気感でしたね。これだけ同業者が反応するっていうのもめずらしいと思いますし。
青木:結果、プロばっかりが残ってしまったんですが。
kussy:こんなにプロばっかりが応募するというのもなかなかないことだと思うんですよね。そこが本当にすごいなあって。
青木:プロっていうかね。外国の人もけっこういたなあ。でも、裸で素材を渡すっていうのは、けっこう恥ずかしいことでもあるんですよ。
deii:ははは!
青木:ネタバレするしね(笑)。そういうことで応募してくれたりもしたのかな。音だけ聴こうということで。
kussy:あんなバラで聴けることはないですからね。
■そう考えるとたしかにレアな機会でもありますよね。で、プロデューサー・タイプの方が多いなか、タイゲンさんは普段けっこう重心低めなサイケ・ロックをやっている方でもあるわけで、その意味では曲に対する理解やアプローチが他の方と異なっていたりするのかなと思われるんですが、そのへんも大きいのでしょうか。
kussy:たしかに、バンドの人のリミックスだと感じましたね。
青木:正直なところ、まったく選べないくらいのレベルでたくさんの素晴らしい応募があったんですよね。もう誰が何点というような世界ではなかった。でも、やっぱり受賞者を決めなければいけないという立場からすると、インパクトのあるものを持ってこなければならなくなるんですよ。音圧なんかもふくめて。最終的に15曲くらいに絞っていったんですが、インパクトのあるものは選考の対象にしやすいです。どうしても。レーベルの人なんかも入れてそれぞれ3~4選を持ち寄ったんですが、タイゲンくんは全員が挙げていましたね。ロックだし単純にものすごくかっこよかったです。
kussy:そうですね。
青木:僕、面識は一度もないんですよ。
取材:橋元優歩(2014年3月25日)