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interview with Kazuki Tomokawa

interview with Kazuki Tomokawa

間断なく友川カズキ

──友川カズキ、インタヴュー(前編)

松村正人    撮影:小原泰広   May 28,2014 UP

枷のなかでの飛び跳ね飛び散らかりじゃないと自由じゃない。自由というと手足を伸ばしてだらだらしている状態だと思うひともいるけど、あれじゃあないんですよね。

■そうですか。でもそうやってコード譜を書いてバンド・メンバーにわたすというのは、それまではやっていなかったということですか?

友川:それはやっていましたよ。

■今回はレコーディングの前にリハーサルをやったということですね。

友川:そう。ふだんドラムのひとやピアノひととも音楽の話はしないから。ライヴの前にラーメン屋に入っていても音楽の話なんて出ませんよ。私が知らないのもあるんだけど、それが今回スタジオで音楽の話をしたりしてね。

■具体的にはどういうことを話したのか憶えていますか?

友川:ギターのひとがイントロはこういう感じでいいですか、とかそういうことを活かしたり、いろいろでしたね。そしたらちゃんと技があるんだよなあ。それがおもしろかったですね。

■バンドには長くいっしょにやられてきたメンバーも多いですが、それまで友川さんはメンバーのどこに信を置いてお願いしてきたんですか?

友川:お願いするということでもないよね。

■それも縁のようなものですか?

友川:そうだね。トシはね、あのテンションだね。私、頭脳警察のファンだったんですよ。前座も何回かやらせてもらってね。トシのコンガがよくてね。バンドをやるならいっしょにやりたいな、と思っていたのがもう何十年にもなっているだけですよ。

■テンションというのは?

友川:狂気ね。表現というのは悪魔と天使、大胆さと繊細さがないとダメだと思うんですよ。トシには見事にそれがある。その量が大きいのよ。悪魔も大きければ天使も大きい。それがすばらしいバランスなのよ。すごく凶暴だしすごく繊細。どっちかひとつだったら誰にでもあるのよ。こいつは悪魔は大きいけど天使は小さいなとか、天使はすごいけど悪魔はないなとかね。その量が(どちらも)すごいの。キンタマも大きいけどね。2倍だよ。

■なんの2倍なんですか(笑)?

友川:ポイント2倍(笑)。いや、あれは大きい。

■キンタマの話はさておき。

友川:いやね、松村さん。話というのは枝葉末節のほうがおもしろいのよ。

■おっしゃるとおりです。細部というのはなににおいても大切だと思います。

友川:ディテールね。

■なぜ英語でいいかえたんですか。

友川:どこかに英語をいれとかないとね(笑)。

■天使と悪魔の配分の話ですが、友川さんとしては一方だけはものたりないということですね。

友川:つまらないんですよ。

■友川さんの表現もそういうものだと思います。

友川:私は自分のことはわからないけどひとのことは見えますからね。こうやって話していても見えるでしょ。ただ自分のことって意外とね、見えないからわからない。誰でもそうでしょう。

■自分のことは見えないということは自分なりの確たる方法論もおもちではない?

友川:方法論ということではないけれども、さっきからの話を集約すると、またひとの言葉になるんだけど、寺山修司が「枷のない自由は自由じゃない」といっているんですよ。枷のなかでの飛び跳ね飛び散らかりじゃないと自由じゃない。自由というと手足を伸ばしてだらだらしている状態だと思うひともいるけど、あれじゃあないんですよね。

■枷というのは、歌をつくるときの枷というのはどういうものだと思いますか?

友川:3分半で歌詞は3番までとかね。20分30分する歌もあるかもしれないけど、生理的に3分から5分が限界だと私は思いますよ。

■それが友川さんにとっての決めごとになるんですか?

友川:そういったことは……考えたことないなあ。むしろ自然にやっちゃっている感じがある。ただこの言葉はマズいなというのはあるんです。“一人ぼっちは絵描きになる”という歌があるんですが、これはもとは“一人ぼっちは画家になる”というタイトルだったの。ところが「画家」だと「バカ」に聞こえるのよ。これはマズいと思って“一人ぼっちは絵描きになる”に変えたの。だから歌詞の語呂がちょっとおかしいんだよね。気をつけるのはそういうことだね。書いた詩で読んでもらうなら「画家」でいいんだけど私の場合耳から入る詩だからね。あとはむずかしくてわからない言葉でもいいやというのはいっぱいある。わからなければわからないでぜんぜんいい。さっきの平明な言葉と矛盾するかもしれないけど、わからなくてもいいんです。総合的に感じるか感じないかであって、あの言葉はわからないからこの歌はダメだということにはならない。

■書く言葉と歌う言葉は――

友川:完全にわけている。私はいまは書きませんけど、むかしは書いていましたから書く詩はなんでもいいわけ。歌はまずひとに聴いてもらう前提があり、歌うという前提があり、人前に出るという前提がある。書いた詩は人前に出なくても読もうが読まれまいが関係ないという気持ちで書くし、読むひとの顔もみえない。歌は見えるんです。聴いているひとの顔が。コンサート会場ではなくともね。

書く詩はなんでもいいわけ。歌はまずひとに聴いてもらう前提があり、歌うという前提があり、人前に出るという前提がある。書いた詩は人前に出なくても読もうが読まれまいが関係ないという気持ちで書くし、読むひとの顔もみえない。歌は見えるんです。聴いているひとの顔が。


友川カズキ
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■歌詞をつくるのは時間がかかりますか?

友川:私はなんでも早いですよ。粘ったりしないの。すぐできないのはできないの。絵もそう。できるときはすぐですよ。

■でも絵を描くのは地道なコツコツした作業のような気もしますが。

友川:それは絵描きによるし、どういう絵かにもよるね。私は努力とか嫌いだし、地道なんて一刀両断に切って捨てたい言葉だね。

■地道に歌いつづけていらっしゃるじゃないですか?

友川:それはちがうな。歌だって2年くらい止めていた時期があるんだから。もういいやと思っていたんだから。飽きっぽいしそういうのはないの。そうしたら渋谷時代の〈アピア〉にあるファンから電話がきて、「友川さんにまた出てほしい」と。毎日のように電話がくるんだっていうのよ。それでまたやることになったんですよ。(お客さんが)10人以下になったらもう止めるとも決めていたんですけどね。それがいつも12、13人だったりするのよ(笑)。これがむずかしいところですよ。

■それこそ神の差配なんじゃないですか?

友川:いやいや、神なんかいるもんか。

■それでも、すくなくとも10人以上はお客さんはいたわけですよね。

友川:そうだね。これだけ長く歌っているといろんなひとがいるね。

取材:松村正人(2014年5月28日)

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