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All We Are All We Are Double Six / ホステス |
ジアゼパム(催眠鎮静薬)を飲んだビー・ジーズ、というような表現も見かけた。オール・ウィ・アーを名のる彼らは、ライやインクのようなオルタナR&Bのフィーリングを──スムースでヒプノティックなヴァイヴを宿した、リヴァプールのアート・ファンク・トリオだ。
可能なかぎりソフトな、壊れそうに繊細な音やヴォーカリゼーションは、どこか潔癖的な印象を誘い、当時彼ら自身も比較されたようにチルウェイヴの面影を残している。けっして、マニアックで、テクニカルで、ソウルへの造詣が深い、というタイプの人たちではない。しかし、こんなに穏やかながら、ジャムを楽しんでいる感触がつたわってくる。それはそうだ、彼らは3人とも教育を受けたギタリストだったにもかかわらず、バンドをやりたいがためにパート替えまでして、イチから楽器を習得しているのだから。それぞれリヴァプールにやってきて音楽を学び、いっしょにバンドをやりたいがためにかの地に残った、その気持ちのようなものが透けてくる。
オール・ウィ・アーは、そんな「ささやかな」バンドだ。〈ドミノ〉傘下のレーベルと契約したとか、あるいは、クールなR&Bマナーだというようなことにかかわらず、それはあたたかみあるスモール・ミュージックであり、親密な場所で鳴っていてほしいと感じさせる音楽である。
しかし、その優しさと親密さにはもう少しディテールがある。彼らがそれぞれ国籍もバラバラで、帰属する場所を持たないバンドだということだ。以下につづくように、それは「どこにもビロングできない」と語られることもあれば、「ノマディック」だとポジティヴなニュアンスとともに表現されることもある。アイルランド、ノルウェー、ブラジル、故国もまた外国のような感覚になってしまっている彼らにとって、自分たちの居場所は、自分たちの居る場所──ここ、だ。オール・ウィ・アーは、「ここ」をあたためるために優しく、また、同じように「ここ」を持つ人々への繊細な共感と想像力をめぐらせて鳴っている。
彼らの「ここ」が音楽のかたちをしていることを喜びながら、それではこの素敵なトリオをご紹介しよう。今年6月中旬、彼らはフィーリングを同じくする日本の若きバンドThe fin.の招きで来日していた。
■All We Are / オール・ウィ・アー
リチャード・オフリン(Dr, Vo/アイルランド)、グロ・イックリン(B, Vo/ノルウェイ)、ルイス・サントス(G, Vo/ブラジル)からなる3人組。リバプールの大学で出会い、ヒップホップとソウルが好きという共通点をきっかけにバンドを結成。シングルで注目を集め、2014年に〈ドミノ〉傘下〈ダブル・シックス〉と契約。2015年にデビュー・アルバム『オール・ウィー・アー』をリリースした。
ここにいたるまでにわりと時間はかかっていて。……だっていっしょにバンドをやりたいがために楽器を練習したからね(笑)。(リチャード)
■3人は音楽の学校で出会ったんですよね。しかも3人ともギタリスト。ギター・トリオという選択肢もあったんでしょうか(笑)?
リチャード・オフリン(以下リチャード):ははは、次の作品はそうしようか! でも3人の中じゃルイスがいちばん上手かったのは間違いないね。グロはどっちかというとソング・ライティングのためにギターを使うという感じだったかな。学校を出てからもみんなリヴァプールに残りたいって気持ちがあって、そうするためにはもっと幅を広げてバンドのかたちを整えなきゃいけなかった。だからグロはベースに転向して学んで、僕はドラムを学んで、ルイスはそのままギターで……ってなったんだ。
■その編成に落ち着いたのは、セッション性を優先したからではない?
グロ・イックリン(以下グロ):あたしたちみんな、ソングライターを自認してるんだ。リチャードもあたしも歌を歌うから、いずれ楽器プラス歌っていう編成のものはやることになるかなと思っていたんだけど、ともかくもいっしょにやりたいならこのかたちしかなかった。そのために必要な楽器を習ったの。
■では、きっと曲や音楽性のイメージも頭の中にすでにあったんですね。
リチャード:すごくオーガニックなかたちでいまのバンドができあがっていったんだけど、ここにいたるまでにわりと時間はかかっていて。……だっていっしょにバンドをやりたいがために楽器を練習したからね(笑)。楽器がうまくなるにつれてできる音楽も変わっていったし、いっしょに音楽をつくる過程でも変わっていった。だからあらかじめ考えていたことはとくになくて、ほんとに自然にいまのかたちになったんだ。強いていうなら、人を踊らせたいってことだったかな。グルーヴのあるもの。でもどうやったら人を踊らせられるのかはわからなかったんだけどね。いまもそれは模索中。
ファースト・アルバムは、ここまでにいたる自分たちの人生が──だから、とても長い期間が──反映された作品でもあるから、そう考えると、自分たちのやりたかったこと、言いたかったこと、募った思いなんかが、校舎ってものと反響しあってできた部分はあると思う。(ルイス)
■へえ! ダンス・ミュージックを目指していたとすれば、ずいぶんおだやかですよね。ファーストの『オール・ウィ・アー』(2015)は廃校の校舎で録音したということなんですけれども、それはプロダクションへのこだわりからですか? それとも何か思い入れのある場所だった?
リチャード:廃校の校舎っていうのは、このアルバムをつくるために使った場所ではあるんだけど、録音はちゃんとしたスタジオでやったんだ。ダン・キャリーといっしょに、ロンドンでね。
■ヒプノティックなムードとか、出来過ぎてないプロダクションとかが、ちょっと廃校の校舎のイメージと重なったので、そういう雰囲気のようなものは大切にされているのかなと思いました。
リチャード:じつは、僕の住居なんだよね、その校舎は(笑)。ノスタルジックなあの場所の雰囲気はこのアルバムによく出ていると思うよ。あの校舎の後ろは、昔は幼稚園だったんだ。だからちっちゃなトイレとかシンクがあったり、庭にも古いおもちゃが転がっていたりした。それに170年くらい建っている古いビルだから、ビルそのものが持っているいろんな人の思い出や郷愁なんかが沁みついている部分もあると思う。
ルイス・サントス(以下ルイス):ただ、今回のファースト・アルバムは、ここまでにいたる自分たちの人生が──だから、とても長い期間が──反映された作品でもあるから、そう考えると、この校舎ではないけど、自分たちの過ごした学校とか、自分たちのやりたかったこと、言いたかったこと、募った思いなんかが、校舎ってものと反響しあってできた部分はあると思う。学生時代ってもの自体への郷愁みたいなものがね。
あらためて振り返ってみると、それぞれの国の音楽ってすごく特徴があって。その共通項として、悲しみみたいなものを感じるかな。あたしたちのつくっている曲にもそういうサッドネスは表れていて、それが郷愁につながるのかもしれない。(グロ)
■ここまでの人生がまとまって反映されているというお話でしたけれども、3人は出身国もバラバラですよね。そのへんは、お互いの人生がどのように交叉している作品になるのでしょうか?
グロ:それぞれとても音楽的な家庭に育っているから、楽器もちっちゃい頃からやっていたし、音楽にも馴染んでいたんだよね。でもあらためて振り返ってみると、それぞれの国の音楽ってすごく特徴があって。ノルウェーはフォーク・ミュージックがすごく充実していて、リチャードのアイルランドはチューンと呼ばれる歌のない曲がいっぱいあるし、ブラジルはもちろん音楽の豊かな国。その共通項としては、悲しみみたいなものをあたしは感じるかな。あたしたちのつくっている曲にもそういうサッドネスは表れていて、それが郷愁につながるのかもしれない。
リチャード:アイルランド、ノルウェー、ブラジル、それぞれの音楽には「yearning」──憧れとか強い思慕っていうものがすごくあると思う。僕らのファースト・アルバムについては、そういうところはすごくあると思うよ。
■それぞれの国にはもっとベタな伝統音楽のイメージがありますよね。ブラジルならサンバとか(笑)。みなさんの場合はそういうトラディショナルとはちがって、もっとモダンなところで音楽が溶け合っているのが素敵だと思います。
リチャード:それぞれの音楽のエッセンス、本質みたいなものを取り込んでいるんだ。きっとね。スタイルそのものを寄せ集めるのではなくて、さっきも言っていたような思い焦がれる気持ちとか、ノスタルジーとかっていうものは、音楽が持っているスピリットだと思う。それは僕らの深いところで融合しているんじゃないかな。
ルイス:ただ、それを「わかりやすいかたちではやりたくない」って決めているわけではないんだ。自然とこういうかたちになったというだけでね。僕らの国はそれぞれにちがうんだけど、お互い人間としてわかりあってみると、共通することがとっても多い。そういうところも自然に溶け合った音楽になっていると思う。
リヴァプールのバンドとして認知されたんだなってことが、僕たちにとってはすごく大きいことだった。でも本来の自分たちの出身地ではない。かといって故国に戻ると、そこの人間でもなくなっている……。そういう意味ではノマディックな存在なのかもしれない。居場所は「ここ」。「いま、ここ」だよ。(リチャード)
■なるほど。みなさんの認識として、いまのホームとしてはリヴァプールということでいいんですよね?
リチャード、グロ、ルイス:そうだよ。
ルイス:リヴァプールに残ることにしたのは、自分たちにとって特別な場所だったから。音楽のコミュニティにおいても、やっぱり自分たちはここの一員だなって思えるところなんだ。昨年(2015年)、「ベスト・リヴァプール・アクト」っていう賞をもらったんだけど、リヴァプールのバンドとして認知されたんだなってことが、僕たちにとってはすごく大きいことだった。といって、出身もバラバラだし、どこにもビロングできていない感じもまたつねにあるんだ。国を離れてリヴァプールに来て、そこが居場所だとは思ってるんだけど、本来の自分たちの出身地ではない。かといって故国に戻ると、そこの人間でもなくなっている……。どこにも帰属しきれていない僕たちというのが拭いがたくあるから、そこはもしかしたら特徴かもしれないね。そういう意味ではノマディックな存在なのかもしれない。居場所は「ここ」。「いま、ここ」だよ。
■すごくよくわかります。みなさんはこう呼ばれるのが嫌かもしれないですが、シーンに登場した当時はよくチルウェイヴに比較されていましたね。チルウェイヴもまた、地域性に拠らないムーヴメントでした。世界中のベッドルームやドリーミーな空間を拠点としたというか。音楽的な比較とは別に、あなた方のノマドなありかたというのは、それに並行するものではありますね。
デビュー・アルバム『All We Are』収録の“Utmost Good”MV
リチャード:それはおもしろいね。僕たちがいろんな国から集まっていて、それぞれの国の音楽の影響を取り込めるということは間違いないんだけど、以前以上にリヴァプールでの生活も長くなっていて、リヴァプールにかぎらず北イングランドの音楽の伝統も身体として理解しはじめていると思う。次のレコードでは、そのひとつの成果が反映されると思うよ。というか、じつはセカンドのレコーディングがもうほとんど終わっているんだけど、音楽としてはよりハードに、よりファストになってるよ! だからもう「チル」ではないんだ(笑)。だけど、それはたぶん、リヴァプールで──北イングランドで生活した時間が長くなってきたからだね。
ルイス:ファーストの頃は、ただ自分たちが言いたかったことをそのまま表現しただけだったんだけど、たぶんいまは表現したいことも変わってきて、伝えたいエネルギーも変化している。好きなものも変わったかな。そういう成長が自然に表れてくるのが次のアルバムだと思うんだ。だから、リチャードの言葉に加えるなら、よりエネルギッシュで、ちょっとダークなところがあって、前作のハートはそのままに──ポジティヴなメッセージは変わらずに、それとはちょっと違う部分が表現されるアルバムになると思うよ。
いま振り返ると、最初に指摘されたように、たしかに僕らのダンス・ミュージックは穏やかなんだよね。でもいまはまた変化しているんだ。
(次の作品は)ポストパンクのムーヴメントに触発されている部分があるんだ。あの時期の音楽は、じつはつらい時代を経て生まれてきたものでもあるんだよね。政治的にも、経済的にも。それはいまの時代にも連なってくる問題だと思うんだ。(リチャード)
■それは楽しみです。自作に参照されるかもしれない「北イングランドの伝統音楽」というのは、起源の古いもののことでしょうか? それとも60年代くらいからのポップ・ミュージックを含む新しめの音楽のことですか? それから、あなた方は、いわゆるレコードおたくというか、音源を掘る欲求を制作にフィードバックさせるタイプではない?
リチャード:最初の質問だけど、むしろ80年代くらいからのことかもしれない(笑)。ポストパンクのムーヴメントに触発されている部分があるんだ。あの時期の音楽は、じつはつらい時代を経て生まれてきたものでもあるんだよね。政治的にも、経済的にも。政府のやり方を見ていても、それはいまの時代にも連なってくる問題だと思うんだ。もちろんポリティカルな作品になるという意味ではまったくないんだけど、バンドで言うならば、ニュー・オーダーとかジョイ・ディヴィジョン、初期のU2とか。あとはもちろんいまのエレクトロニック・ミュージックもたくさん聴いているから、そういう要素も多分に入ってくると思う。時代的にはそのあたりのことだね。
グロ:二つめの質問は、そうね、あたしはスポティファイをよく使ってるけど。簡単にいろいろ調べられるし。でも、やっぱりヴァイナルも大好き。手に取って開く、あの感覚は何ものにも代えられないものがあるなって思う。ひとつのアートだよね、あれは。
ファーストの中に“フィール・セイフ”っていう曲があるんだけど、あれはリール・トゥ・リールのテープ
ルイス:すごく面倒くさいんだけど、アナログ・レコードをオープンリールのテープに録って聴いたりしてたよ。オープンリールは普通はなかなか家にあるものじゃないと思うけど、たまたま父親が持っていたんだ。そっちで聴いたほうが音がいいって言うから、わざわざ音源を移してね。時間はかかるし、聴くたびにメンテナンスが必要なんだけど、楽しいし、音もいいし、そういうこともまた愛着を生んでいくというか。よくアナログ・レコードの音には温かみがあると言うけれど、そういうことと似ているんだろうね。
■あなたたちの音にもそのウォームな感じは反映されていると思いますよ。
ルイス:ファーストの中に“フィール・セイフ”っていう曲があるんだけど、あれはリール・トゥ・リールのテープ
で録っているんだ。
リチャード:僕の場合もほぼオンラインだね。この間までアップル・ミュージックをやっていたんだけど、またスポティファイに戻ろうと思ってるよ。ただ、ヴァイナルの音は僕も大好きだよ。袋を開けて、かけて、ひっくり返して……って手間が、音楽に意味合いを感じさせてくれる気がする。MP3だ、ストリーミングだ、って、音楽が軽んじられているというか、使い捨てにされているいまの時代だからこそ、そうやって手間をかけるというのは音楽にとっても大事なことのような気がするよ。
All We Are - Feel Safe (Official Video)
きっと最終的には人間が勝つって思っているよ。一度辛いめに遭っている国だから、そこからどう切り抜けるかということは身体でわかっているんじゃないかって。(ルイス)
■そうですね。先の質問で、みなさんはジョイ・ディヴィジョンやポストパンクが出てきた社会的な背景について興味を持ちながら音楽を制作していると答えてくれましたね。それは、要はサッチャリズムというか、貧困や格差についてのいまの状況を作り出した根本を考察することで、何か現在の状況に対して働きかけられると考えたんですか?
リチャード:そうだね。前提として、僕らはけっしてポリティカルなバンドではないんだ。だけど、当然ながら周囲の状況やものから影響を受ける。これもまたミュージシャンにとっては当然のことだと思う。その中で自分たちが現状に対して何かできることがあるとすれば、それは何なのか──僕らがつくり演奏する音楽にはけっこうへヴィなものもあるけど、その一方でとても楽しい、喜びを感じさせるものでもある。そのことがひとつのカタルシスとなって、僕らだけじゃなくて聴いているひとにも同じ感覚を味わってもらえて、それが何かにつながっていけばいいなと思うよ。直接的なかたちで、政治的な状況に何か介入できるとは思っていないけれどもね。けど、ヒューマンなレベルでポジティヴなものを発信していければ、って感じてるんだ。それが変化につながっていくかもしれない。僕らにはそういうやり方しかわからないな。
■なるほど。ルイスさんとグロさんにとっては、UKはひとつの外国でもあるわけで、おふたりにとってはUK国内の問題はどんなふうに感じられているんですか? それからおふたりにとってはポスト・パンクの体験はどんなものなんでしょう?
グロ:うん、変化はリアルに感じているんだよね。友だちを見ていても社会保障を受けられなくなっていく人、住むところを追われる人、それから街もゴミが散らかったままになっていたりとか、そういう部分にも政治的に荒んだ状況がよく表れてる。リヴァプールに住んでいるけど、そこを含む北イングランドの街の雰囲気の変化は、悲しいことだなって思う。
ルイス:ずいぶん変わったよな、って僕も思う。怒りと恐怖が人々の間にあるなって感じるよ。投書住みはじめた頃はぜんぜんちがってたんだ。
グロ:そう、当時はまだハッピーな、楽しい雰囲気があったと思う。
ルイス:とはいっても、この国は素晴らしいっていう思いも変わらないんだ。きっと最終的には人間が勝つって思っているよ。一度辛いめに遭っている国だから、そこからどう切り抜けるかということは身体でわかっているんじゃないかって。
(The fin.は)演奏しながら自分たちだけの世界や空気をつくっていく感じも僕らと近いかもしれない。(リチャード)
■ブリット・グリットってやつでしょうか。一方で、ノマディックなバンドであるというキャラクターも持っている。とってもおもしろいと思います。さて、今回の来日はThe fin. (ザ・フィン)に招かれてですよね。The fin. もひとつの音楽的ノマドかもしれませんが、彼らのことはご存知でしたか?
リチャード:楽しくやらせてもらってるよ(笑)。彼らの音楽はBBCのラジオでも流れてたんだ。それで、聴いたこと自体はあったんだよね。EPを手に入れて聴いてみたりもしたな。昨日は仙台(2016年6月16日/仙台CLUB SHAFT)だったんだけど、だんだんお互いのことがわかって、仲良くなってきたところだよ。最初に東京で遊んだけど、それも楽しかったな。
■へえ、東京ではどこで遊んだんですか?
リチャード:新宿だよ。なんとか横丁みたいな場所。……「ゴールデン街」って言うんだ?
■あはは、飲んだんですね。
ルイス:何時間もいたね。とっても気が合ったよ。着いたのが遅かったこともあって、レコード屋とかは行けなかったけど。
■音楽的な部分で気の合うところはどんなところでしょう?
リチャード:ユーモアのセンスが似てるかな。いつか機会があったら、曲をつくったりしていけたらいいよね。音楽的にも似ているところは感じるよね。
グロ:そうだね。シンガー(Yuto Uchino)のメロディ感覚はすごいと思う。素晴らしくセンスがあると思うな。
リチャード:演奏しながら自分たちだけの世界や空気をつくっていく感じも僕らと近いかもしれない。
音楽もそれ自体が言葉だもんね。(ルイス)
■なるほど、それではお時間になってしまいました。新しいアルバムはいつごろ出るんです? ヒプノティックじゃないオール・ウィ・アー、楽しみにしています。
リチャード:来年の頭に、って思ってるよ。何事もなければね。
ルイス:僕からもひとつ訊いていい? 僕らの、どこにも属さない感覚についてすごくわかってくれたよね。それは、あなたもそう感じている人のひとりだってこと?
■ああ、うわ、質問されてみると難しいですね。そうですね……この国を出たことはなく、またこの国を愛してもいるんですが。国籍以前に、日常のいろんなレベルで、何かに属しているという感覚が薄いのかもしれないですね。
ルイス:仲間になれるかも(笑)。
■うれしいです。このネット時代、そう言ってくれる人とか、共感のある仲間を見つけることも容易ですしね。だから、強いていうなら私もベッドルームの帰属民ですね(笑)。
ルイス:それはいいね(笑)。音楽もそれ自体が言葉だもんね。僕たちの音楽に共感してくれる人がいるのは本当にうれしいよ。
取材・文:橋元優歩(2016年7月07日)