「S」と一致するもの

The Cure - ele-king

 16年という歳月は、少なく見積もっても16通りの可能性と熟考を伴う16の人生を反映した期間だ。しかしながらこの16年間、ザ・キュアーからの言葉は一切なかった。ザ・キュアーの最後のリリースから16年が経過したというのは、控えめに言っても驚くべきことだ。これほど多作なバンドが、ただ消えてしまったのだ。実際には、彼らは断続的にツアーを行い、Instagramのアカウントを維持するなど、なんらかの発信はあった。しかし、それでもなお、どこか意図的に現実から切り離されていた。
 ザ・キュアーの「多くの現実」は、『Wish』から2008年までのリリースがどこか断片的で、かつての激しさを失っていたことが私に少なからぬ不安を与えていた。彼らのデビュー・アルバム『Three Imaginary Boys』(1979)における軽快で鋭いポップ・サウンドを思えば、その期間のキュアーが「憂鬱のゴスキング」としての最終的な戴冠へと向かっているようには思えなかったし、いまふたたび80年代半ばの明るく軽快なポップ路線へ転向するとも、あるいは、ゴシック・サイケデリアへと見事な弧を描きつつ大人びたサウンドにいくようにも思えなかった。

 そんな私がある寒い静かな夜、外の寒さをしのぐために立ち寄ったタワーレコードで偶然新作を見つけたときに覚えた不安をお察しいただきたい。白黒で不明瞭な、控えめで魅力的とは言い難いアートワークには、バンド名さえ自信なさげだ。それは喜びではなく、私に戸惑いを引き起こした。最初の30秒を聴いても歌がなく、1分経っても、2分経ってもヴォーカルが現れない。レトロでシンプルなシンセサウンドも最初は火花を散らすような魅力は感じられなかった。だが、不思議なことに私はそれを聴くのをやめられなかった。各楽器はじょじょに感情を重ねていき、やがて魔法のように濃厚なスープのようなサウンドが私を捕らえて離さなかった。そして3分20秒後、ロバート・スミスの変わらぬ声がフェイドインすると、1997年から2024年までの弧がおのずと架けられたのだった。

 『Songs of a Lost World』は、私が今年もっとも強く愛着を感じた、もっとも暗く、悲しく、それでいて抗えないほど聴きたくなるアルバムだ。そのリリースは一見すると目立たない一過性の出来事のように見えるが、不安定な世界、トランプ大統領の再登場、喜びとシリア解放への不安定な期待、さらには韓国の驚くべき混乱という状況下においては、なんともその存在感がしっくりくる。スミスは、このアルバムがそんな「タイムカプセル的瞬間」になるとは意図していなかったのだろうが、宇宙に間違いはない。いまこそ人びとはザ・キュアーを必要とし、その必要性は際立っている。スミス自身、シングルらしくないスローテンポの“Alone”が英国のラジオ局で頻繁に流れていることに驚いているではないか。

 エモが誕生する以前のエモ、固定観念の市場において多面的な存在感を放つザ・キュアーは、可愛らしく踊れるポップ・ソングを送り出したかと思えば暗く荒涼とした英国ゴシックへと逆戻りし、感情、愛の危うさ、そして究極的には死の未知なる本質について、荒々しく論じている。
 『Songs of a Lost World』、とくに“Alone”と“Warsong”を聴くと、サイケデリック期の“Burn”を思い出さずにいられない。苦痛に満ちた感情表現と音響的な魅力において、ザ・キュアーはその不在期間中、自らの最良の要素を見直し、それらを集約して最高のものを絞り出したのだ。
 それは単なる作曲だけでなく、バンドのソウルとエモーションに根ざしたものだった。各楽器は録音上でクリアに響き、バンド全体がまるでポップ・ジャズ・バンドのように一体化して機能している。コーラス部分もぎこちなくなく、むしろ強烈で、新規リスナーも古参ファンも歌いたくなるような誘引力がある。この新しいアルバムは彼らのディスコグラフィーに自然に溶け込みつつ、しかし過去の作品のいくつかを凌駕している。

 2020年代は、新しい形でのゴシックが再興した。だからこそ、ザ・キュアーの復活は奇妙にも筋が通っている。運命に間違いがないと信じるならなおさらだ。人びとはいまザ・キュアーを必要としている。『Songs of a Lost World』は、1992年以来初めてビルボード・チャートの数々で1位を獲得した。それは正気の沙汰ではないが、同時にザ・キュアーの音楽がいかに普遍的であるかを物語ってもいるのだ。


16 years reflects 16 lifetimes with at least 16 possible outcomes and ruminations and yet not a word from the Cure. For it to be literally 16 years since the last Cure release is jaw-dropping to say the least. For such a prolific band to just. . .disappear. In reality, they were touring on and off while maintaining an Instagram account among other transmissions. But still somewhat intentionally disconnected from our reality.

The many realities of the Cure has previously created a bit of anxiety for me as the later releases after “Wish” before 2008 were slightly fragmented without the previous coherence and intensity. Peering back at their very first album of flat, agile, angular pop “Three Imaginary Boys,” it would never seem to point toward their eventual crowning as goth kings of sadness and gloom. Nor their coin toss change to bright skippity pop in the mid 80’s. Then their amazing arc to goth psychedelia which would end up truly defining their most adult sound.

So you would have to forgive me my acute anxiety finding their record in tower records purely by accident one quiet cold night while I sought to keep warm from the outside. The unassuming unappealing artwork of unintelligible black and white with even their name somewhat obscured didn’t spark a jump for joy. I reluctantly listened to the 1st 30 seconds with no vocals and then 1 minute with no vocals and then 2 minutes with no vocals with very retro simple synth not creating a spark but i couldn’t stop listening as the band steadily layered more emotions through each instrument creating a thick

soup of magic which refused to let me go. After 3 minutes 20 seconds, Robert Smith’s vocals came fading in and his voice, unchanged, naturally bridged an arc between 1997 and 2024.

“Songs of a Lost World” Is the most bleak, sad but irresistibly listenable record I’ve ever felt so attached to this year. It’s release seems by untrained eyes a blip, an outlier in this incongruent year but feels just so right with a dark unbalanced world, the incoming Trump presidency, joy but uncertain apprehension towards the Syrian liberation, and the surprise instability for South Korea. Smith never meant for the record to be such a time capsule moment but the universe makes no mistakes. People need the Cure and they really need it now. Smith himself felt the surprise of “Alone,” an incredibly un”single”-like slow song being in high rotation on UK radio stations.

Emo before emo, versatile in a un-versatile market, the Cure is a multi-faced burst of energy that squeaks out cute danceable pop songs and then reverses backwards to dark, stark English goth, and stormy dissertations on pure emotion, fraught love, and ultimately the unknown nature of death.

Listening to “Songs of a Lost World” and especially “Alone” and “Warsong” reminded me immediately of “Burn” from their psychedelic period. Torturous and emotional lyrically and sonically, I feel that The Cure took a look during their absence, at their best attributes, collected

them and squeezed out the best. Not just with songwriting but primarily with feeling and with the soul of the band. Each instrument in the band on record is crystal clear with the band itself united like a motor. Almost like a pop jazz band. The choruses aren`t awkward but intense and inviting to sing for anyone new or old. The new album sits snuggly in their discography without sticking out and actually towers some of their other work. The 2020`s have seen a renewal of goth, in a new way of course. So it does strangely make sense that the Cure have returned, especially if we choose to believe that fate doesn`t make mistakes. The people need The Cure and it shows. “Songs of a Lost World” has gained the number 1 spot on numerous Billboard charts, their 1st in 1992. That is quite insane but also speaks to the universality of The Cure sound.

Fennesz - ele-king

 海、またしても海だ。サーファー映画からヒントを得たという『エンドレス・サマー』(2001)をはじめ、水の都『ヴェニス』(2004)、そして陰鬱な『ブラック・シー』(2008)に前作『アゴーラ』(2019)、そして本作『モザイク』……オーストリア人のギタリスト兼ラップトップ奏者はこれまでも海にちなんだ作品を制作し、アートワークにはたびたび海の写真が使われている。
 さて、まずは振り返ってみよう。いまから30年近く前の話だ。クリスチャン・フェネスは、敢えてこういう言い方をするが——「ポスト・オウテカ/ポスト・エレクトロニカ/ポスト・アンビエント」におけるグリッチ・ミュージックを代表するひとりとして我々の前に現れた。テクノロジーを間違って使うことで発生するサウンドの粒子をパレットとするこのスタイルは、テクスチャの快楽と作者の想像力なしでは楽曲たりえない。フェネスはそれを独自に、深みのある表現へと発展させることができた数少ないひとりだ。

 また、美術学校で音楽を学んだ彼は、90年代後半のウィーンの小さなコミュニティ——ピーター・レハーグ(通称ピタ)による〈Mego〉というレーベルを拠点とした、ユーロセントリックな電子の実験場の主要人物としても知られる。すなわち、英国産のエレクトロニカ台風から離れて、アカデミアでもなければテクノでもない欧州独自の回路を見出した一派、そこにはジム・オルーク、あるいはベテランのキース・ロウ、ブルクハルト・シュタングルのような即興家たちも合流した。この辺境(オルタナティヴ)において、フェネスはそして放浪者デイヴィッド・シルヴィアンと共演し、坂本龍一と共作したことはここ日本ではよく知られるところである。

 ピタ、オルークとのラップトップ・アンサンブルによる即興作品もいまだ根強い人気をほこっているが、彼の初期作品のほとんどはギターとエフェクトを駆使して作られている。そのセットはいまでも彼の主要機材で、彫刻に喩えられる彼の音響工作は、ドラムとベースがないどころか、多くのエレクトロニック・ミュージックと構造が異なっている。そして、なんと言っても彼には、数多の不協和音作品にはないメロディの再発見があり、受け入れるか否かはともかく、楽曲にはヨーロッパ的な美学、とくに古くから日本人が思い浮かべるようなそれが横溢しているようにぼくには思える。フェネスを聴くことはゲーテやトーマス・マンを読むことに近いとは言い過ぎだが、彼の音楽には詩的な美があり、生きることの葛藤があり、そして内的な深みがあることはたしかだろう。ただ、フェネスの音楽を聴いていつも感嘆するのは、その緻密さと大胆さが入り乱れた表現力だ。ロスコの抽象絵画が観る距離や鑑賞時の精神状態によって見え方が異なるように、フェネスの抽象音楽は聴く度に違って聴こえたりもする。

 本作『モザイク』、フェネスにとって5年ぶりのアルバムは、その微細なタッチで描かれる詩的描写と精神性が融和した力作だ。前作よりも、入りやすい。ことにアルバム冒頭の“Heliconia”は出だしが出色で、あざやかな幕開けがある。聴いて数十秒、目の前にはあたかも海(たとえばアドリア海)が広がるようだ。海中には、それこそ無数のテクスチュアがある。光と闇があり、重力と時間は変化する。うねるような音の循環、音の煌めき、複数のレイヤーが並走するなかフェネスらしいメロディが立ち上がる。そのじつに魅惑的な音響工作に対し、2曲目の“Love And The Framed Insects(愛と額装された昆虫)”のドローンは静的にはじまり、内省的に展開する。エーテル状に加工されたサウンドはゆらめき、他方では軋むようなグリッチが遠い記憶の向こうで鳴っている。この曲における速度を落とした感覚はその次の“Personare”にも感じられるが、こちらはよりダビーな残響のなかで抽象化される。 

 『エンドレス・サマー』のようなアルバムを出してしまったフェネスは、それ以降の作品すべてがその傑作と比較されてしまうという、ある意味不幸な状況にある。日本のアンビエント作家と呼ばれる人たちから「『エンドレス・サマー』は好きだけれど……」という言葉をぼくはなんど耳にしたことか。もっとも、そう言われるだけの代表作をもつアンビエント作家が何人いようか、とも言えるわけだが、まあそれはさておき、たしかにカリフォルニア西海岸の情景には、多くの人が感情移入できる牧歌性があった。しかし、海辺の情景がつねに黄金色であるとは限らない。4曲目の“A Man Outside”には寒々しい曇り空が広がっている、そんなふうに思える曲だ。よりミニマルに、しかも茫洋と続くこの曲のどこかでは雨も降っているのだろう。「海にいるのは、あれは、浪ばかり」(中原中也)——そんな感じである。

 終わらない夏は終わりつつある。神妙な響きをもったドローンに導かれながらはじまる5曲目“Patterning Heart(パターニングする心)”もまた感動的な作品だ。いまでも多くの電子音楽家に好まれている映画監督にアンドレイ・タルコフスキーがいるが、その映像におあつらえ向きの曲だと言えるし、ぼくはその重みにおいて坂本龍一の『async』との共鳴を感じた。しかしながら、アルバム最後の、謎めいた曲名の“Goniorizon”の荘厳さに関しては、いまはなんと言ってのかわからない。海に飛び込んで、哲学的な内省に向かっている、そう喩えていいものかどうか。それほどまでに聴いている人間の心に突き刺さる魔力がある。いずれにせよ、美を忘れることはない、奥深いヨーロッパの音楽。そして海、またしても海があると。 

(追記:日本盤のよろすず氏の解説はたいへん勉強になった。ここに書かれていることと一切重ならない。ファンには一読をお薦めする)

P-VINE - ele-king

 レコードにまつわるさまざまな取り組みを実現する「VINYL GOES AROUND」の発足、プレス工場「VINYL GOES AROUND PRESSING」の設立など、近年さまざまな挑戦をつづけてきたPヴァイン。ここへ来てまた新たなプロジェクトがアナウンスされている。
 ひとつは、スマートフォン向けアプリ「VINYLVERSE(ヴァイナルヴァース)」のローンチだ。あなたが持っている実物のレコード・コレクションをデジタルで管理できるのみならず、共有や売買まで可能な新しいサーヴィスとのこと。
 そしてもうひとつ、NFCチップが搭載された次世代レコードの開発だ。「PHYGITAL VINYL(フィジタル・ヴァイナル)」と名づけられたそれは、ブロックチェーン技術を活用し、これまでとは異なるレコード体験をもたらすものになっている模様。その第1弾として、人気の高いザ・ウドゥン・グラス・フィーチャリング・ビリー・ウッテンの『Live』が限定リリース、豪華特典も予定されている。
 Pヴァインが踏み出す新たな一歩に注目したい。

“Always with Your VINYL.” スマートフォンアプリ「VINYLVERSE」と次世代レコード「PHYGITAL VINYL」をリリース

インディーズ音楽シーンの草分け的存在である株式会社Pヴァインは、スマートフォン向けアプリ「VINYLVERSE(ヴァイナルヴァース)」と、ブロックチェーン技術を活用した次世代のレコード「PHYGITAL VINYL(フィジタル・ヴァイナル)」を開発しました。2024年12月25日よりベータ版からサービスの提供を開始いたします。

<レコードの新時代へ>
音楽を楽しむ環境が多様化する中で、一度は注目を失ったレコードが近年再び脚光を浴びています。私たちはレコード市場を活性化させる目的でVINYL GOES AROUNDを2021年に始動し、そのプロジェクトの一環として2024年にレコードプレス工場を立ち上げました。それに続いて、私たちはレコードに秘められた特別な魅力を活かしつつ、現代のテクノロジーと融合させ、新しい価値を創出することに挑戦しました。今回リリースする2つのプロダクトをご紹介いたします。

<VINYLVERSE(ヴァイナルヴァース)でできること>
「レコードの世界」を意味するこのアプリは、あなたの実物のレコードコレクションをデジタルで管理・共有、売買できる新しいサービスです。

コレクションの管理・共有とソーシャル機能
アカウント登録をすると各ユーザーのギャラリーが開設されます。実際のレコードのジャケットをアプリで撮影するだけで、簡単にデータベースから情報を検索してギャラリーに自分のコレクションを追加して披露することが可能です。ギャラリーを通して、他のコレクターをフォローしたり、気に入ったレコードに「いいね!」したりと、音楽を通じたつながりを楽しめます。

マーケットプレイス(2025年開始予定)
ギャラリーに追加したレコードをユーザー同士で売買できるマーケット機能も導入予定。実際のレコードショップがオンラインストアを簡単に開設することも可能です。

PHYGITAL VINYLという新しいレコードの認証機能と新しい音楽体験の付与
アプリによってPHYGITAL VINYLがブロックチェーンと接続し様々な機能をお楽しみいただけます。

<PHYGITAL VINYL(フィジタル・ヴァイナル)とは?>
フィジカルとデジタルを融合した次世代のレコードです。

所有の証明
レコードのレーベル面に貼付されているQRコードが印刷されたNFCチップを、アプリのカメラでスキャンすることで、ユーザーによる所有をNFTで証明できます。

新しいファン体験
所有者限定のギフトやイベント参加権などを後から受け取れたりするなど、アーティストとファンのコミュニティ形成に役立つ、新しい形の継続的なつながりを提供します。

未来への展望
将来的にはメタバースなどの仮想現実との連携を視野に入れ、オンラインでもオフラインでも楽しめる音楽体験を拡張します。

<PHYGITAL VINYL第一弾リリースのご案内>
世界的なヴィンテージ・レコード市場で高い価値を持つ、THE WOODEN GLASS featuring BILLY WOOTENによる『Live』を、PHYGITAL VINYLの第一弾リリースとしてこのたび限定リリースいたします。購入してアプリでスキャンを行った所有者には豪華な追加特典のご提供を予定しております。

<アプリをダウンロードして、新しい音楽の世界へ!>
VINYLVERSEをダウンロードして会員登録するだけで、あなたのレコードコレクションを美しく管理し、音楽ファン同士のつながりを広げることができます。さらに、PHYGITAL VINYLでアーティストとの特別な体験も手に入れられるのです。私たちと一緒に「音楽の未来」を体感してください!

3年前にたくさんのレコードが世界中の皆様に届くようにという願いを込めてVINYL GOES AROUNDチームが発足しました。
この間、細々とではありますが熱狂的なヴァイナル支持者の期待に応えるべく、レコードのみならず、Tシャツやシルクスクリーン仕様のハンドメイドのエクスクルーシヴ商品そしてele-kingを通しての書籍やウェブでのコラムなど、ヴァイナルにかかわる様々な企画をしてまいりました。
今春にはVINYL GOES AROUND PRESSINGというレコード・プレス工場を設立しました。少しずつレコードと音楽とカルチャーが大好きな皆様に我々のヴァイナルに対する想いが届いていればと思っております。

VINYL GOES AROUND発足当初より、我々はヴァイナルが好きな人たちが集うコミュニティーの形成を目指しておりましたが、この度、VINYL GOES AROUNDによる新たなプロジェクト「VINYLVERSE」を開始することになりました。
ヴァイナル好きが自身のコレクションをデジタルの棚(「デジ棚」と呼んでください)にアーカイヴしキュレートすることで、世界中の人々やレコード店とつながりを持つことができ、そして、そこに集まった様々なレコードを手にできるマーケットプレイスへと発展していくことを目指すサービスです。

併せて、少しだけレコードの未来に向けた試みにもトライしております。

まずは、自分のレコードをVINYLVERSEのデジ棚にアーカイヴしてみることから始めてみませんか?
まもなくPヴァインは50周年を迎えようとしております。
我々が掲げてきた「THE CHANGING SAME ~変わりゆく、変わらないもの~」というバリューの元、これからも音楽文化の伝統を大切にしながら、テクノロジーと融合した新しい価値をお届けします。

たくさんのレコードが世界中の皆様に届くように ~Vinyl Goes Around~

株式会社Pヴァイン
代表取締役社長 水谷聡男

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VINYLVERSE Webサイト
THE WOODEN GLASS featuring BILLY WOOTEN『Live』販売ページ

Masaya Nakahara - ele-king

 中原昌也の新刊『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』がじつに面白い、うん、ときに切なくなるけど面白い、です。「生死の淵をさまよう闘病生活の果てに、左側麻痺の身となりながら生還した偉大な作家の驚異的な軌跡(奇跡!)。待望の生還第一作にして、病の前後を記録した前代未聞のエッセイ集」というのが版元による紹介文です。なにぶん、中原氏は以前のような執筆活動はできない状態なので「語り」になりますが、現在の彼の「はじめに」と「おわりに」があります。そのあいだには中原氏の入院前とその後に書いた既発の日記/原稿がエディットされているわけですが、これが編集者の技術によって、まさに中原節と言いますか、ショーペンハウアーも凌ぐペシミズムとリー・ペリーにも匹敵する超越的な眼差しやふさふさした動物のようなものが渾然一体化したひとつの物語として巧妙に構成されいるのです。あらためてこの人間の存在感、輪郭、思想というか習性というか特性というか、そんなものが浮き彫りにされている次第で、いったい中原昌也という人は……最近はライヴ活動も精力的にやっていますが、ガンバレ昌也です(俺もがんばる)。
 ファンの方へ。別冊エレキングの『誰かと日本映画の話をしてみたい』には、三田格との対談があります。(キング・タビーの評伝がどうしても読みたいというので、先日、届けてきました)
 

中原昌也
偉大な作家生活には病院生活が必要だ

河出書房新社
12/27発売

aus - ele-king

 昨年2023年、15年ぶりの新作『Everis』をリリースした東京出身のエレクトロニカ・アーティストのアウス(ヤスヒコ・フクゾノ)が、前作から僅か一年にして、はやくも新作アルバム『Fluctor』を私たちの元に届けてくれた。
 前作『Everis』ではモダンなエレクトロニック・ミュージックを展開し多くのアウス・ファンを喜ばせてくれたが、本作『Fluctor』はストリングスやピアノなどを用いたクラシカルな音楽性を展開する。どうやら映像作品につける音楽がベースになったようで、そこから自身のピアノと高原久実のヴァイオリンを中心としたクラシカルな室内楽へと再構築していったらしい。美しい響き、メロディが横溢し、彼の作曲家・編曲家としての才能が十二分に展開したアルバムといえる。
 ゲストにはエスパーズ(Espers)のメグ・ベアード、アンビエント・アーティストとしても知られるジュリアナ・バーウィックを迎え、くわえて旧東ドイツ出身のピアニスト/作曲家ヘニング・シュミート、マンチェスターのチェロ奏者ダニー・ノーベリー、グリム、横手ありさ、元シカーダのユニス・チュン(Eunice Chung)など、ポスト・クラシカル界隈の名手が多く参加している。

 多くのゲストが参加している『Fluctor』だが、前作以上に「作曲家アウス=ヤスヒコ・フクゾノ」の側面が全面的に展開したパーソナルな音楽作品のようにも感じられた。旋律、響き、音、残響。そのすべてに彼の美意識と意志が流れている。
 それは何もクラシカルな作風だからというわけではない。そうではなくて、ここには音楽家の耳と魂のありうようがピュアに展開されているように感じられたからだ。アウスの旋律と和声の感覚がまるで透明な水のように展開しているのだ。
 その意味では前作以上に2006年のエレクトロニカの名盤『Lang』を聴いたときの印象に近いものがあった。もちろん本作にビートは入っていないし、グリッチ的な音響処理も最小限だし、なによりサウンドが異なる。それなのに『Lang』を聴き終えたような感覚を持ったのだ。なぜだろうか。
 それは本作に満ちた透明な光のような「清涼感」にあったように思える。本作はクラシカルでミニマルな作風・サウンドゆえにアウスの本質である「透明な清涼感」が全面化しており、それゆれ彼のエレクトロニカ・サウンドの代表作『Lang』に横溢していた「清涼感」と共振するような感覚を得たのである。
 もちろん同様の感覚は15年ぶりの新作でもあった前作『Everis』にもあったが、より混じり気の少ないクラシカルな編成の本作には、彼の作曲家としての本質が、まるで透明な結晶のように全面に出たのではないかと想像してしまうのだ。

 1曲目 “Another” が流れだした瞬間、その澄んだ響きに恍惚となってしまう。2曲目 “Dear Companion” はメグ・ベアードをヴォーカルに迎えたピアノとヴォーカルと弦によるしっとりとした美しいフォーク・ミュージックだ。シンプルなポスト・クラシカル風ではあるが、弦楽器のレイヤーの感覚にエレクトロニカを経由したサウンドを聴き取ることができる。
 3曲目 “Stipple Realm” は一転して軽快かつミニマルなピアノの旋律から始まる。そこに細やかなサウンドが折り重なり、エレクトロニカとクラシカルが融合されていく。
 4曲目 “Silm” も同様にミニマルなピアノに微細な音響と弦楽器が美麗に折り重なっていく曲。ピアノと弦によるアンサンブルに環境音や高音域の電子音がレイヤーされていく。その精密にしてエモーショナルな音楽世界は、まさにアウスの音楽だ。

 以降全12曲、アルバムはピアノと弦楽器と電子音の繊細なレイヤーと大らかな旋律を反復することで展開する。じっと聴きこんでいくと音楽による本当の「安息と平和」を感じ取ってしまう。世界中探してもこれほど穏やかな音楽は稀ではないか。
 もちろん現実から目を背けているわけではない。悲しいことや辛いことがある世界を十二分にわかった上で(彼の奏でる旋律には微かな悲哀がいつも流れているのだから)、アウスは、穏やかな安息を心から希求している。
 その意味で本作を代表する曲は、ジュリアナ・バーウィックが参加した6曲目 “Circles” ではないかと思う。まるで聖歌隊のようなジュリアナ・バーウィックのコーラス、美しさと安息と喜びと微かな悲哀が入り混じる美しい弦の旋律、澄み切ったピアノの和声、電子音がドラマチックに折り重なり、聴き手の感情を音楽の波の中に連れて行ってくれる。
 この6曲目以降、アルバムは次第に現実から浮遊するように音はよりシンプルにミニマムになっていくだろう。そして12曲目 “Ancestor” でアルバムが穏やかに幕を閉じるのだ。聴き終えたものは、まるで耳が浄化されたような感覚を持つだろう。
 この浄化してくれそうなほどの「清涼感」こそ、アウスの音楽の本質ではないかと私は思う。これは彼の音楽すべてに共通する。音楽の形式は変わっても、長い時を経ても、その本質は変わらない。彼の音楽には類稀な清涼感がある。純粋さと言い換えてもいい。本作にはそれがもっとも美しい形として結晶しているように思えた。これから長い時間をかけて多くの人の耳と心を潤してくれる作品となるだろう。

12月のジャズ - ele-king

 先月はムラトゥ・アスタトゥケとフードナ・オーケストラとの共演作を紹介したが、今月もそうしたレジェンド級アーティストの新作が登場した。正確に言えば未発表レコーディングなのだが、ラップの元祖とも言えるポエトリー・リーディング集団のラスト・ポエッツと、アフロビートのオリジネーターである故トニー・アレンとの共演作である。録音は2018年で、『Understand What Black Is』を遺作としてラスト・ポエッツのジャラール・マンスール・ナリディンが死去した後に、残されたメンバーであるアビオダン・オイェウォレとウマー・ビン・ハッサンがブライトンにあるプリンス・ファッティのスタジオに赴き、そのときレコーディングをしていたトニー・アレンとセッションをおこなったというものである。当時のトニーのバンドであるエジプト80にはコートニー・パイン、カイディ・テイサン、ジョー・アーモン・ジョーンズらが参加し、ロンドンのアフロ・レゲエ・バンドであるスーズセイヤーズがホーン・セクションを固めていた。


E王

The Last Poets feat. Tony Allen & Egypt 80
Africanism

Africa Seven

 2018年と言えばサウス・ロンドンのジャズ・シーンが注目を集めはじめた時期で、そうした中にいたジョー・アーモン・ジョーンズがトゥモローズ・ウォリアーズ(ジャズ・ウォリアーズ)の先輩格にあたるコートニー・パインや、ウェスト・ロンドンのブロークンビーツ・シーンでも活躍してきたカイディ・テイサン、そしてモーゼス・ボイドエズラ・コレクティヴなどに多大な影響を与えたトニー・アレンと会したという非常に興味深いセッションである。ジョー・アーモン・ジョーンズやエズラ・コレクティヴはヒップホップやグライムの要素を持つ作品もやっているが、そうした点ではラップの元祖であるラスト・ポエッツとの共演も彼にとって大きなものだったろう。レゲエやダブのエンジニアとして名高いプリンス・ファッティのスタジオというのも面白く、『Understand What Black Is』はかなりレゲエに傾倒した部分もあったが、コートニー・パインにしろ、ジョー・アーモン・ジョーンズにしろ、レゲエやダブの影響も大きなアーティストであり、UKのジャズ、レゲエ、ヒップホップが集積したようなセッションだったと思われる。

 基本的に新曲をやるのではなく、“This Is Madness”、“When The Revolution”、“Gash Man”、“Niggers Are Scared Of Revolution” など、ラスト・ポエッツの過去の代表曲を再演するものとなっている。かつて公民権運動ともリンクしていたラスト・ポエッツの作品には人種差別などを痛烈に批判したメッセージが込められていて、近年のブラック・ライヴズ・マター運動とも重なり、改めて彼らのやってきたことは再評価されるべきと思うのだが、この『Africanism』のリリースにはそうした意義もある。そして、“This Is Madness” に顕著なように、トニー・アレンの叩き出す強烈なアフロビートとラスト・ポエッツのメッセージはとても相性がよい。そもそもトニー・アレンもフェラ・クティと共にナイジェリアの軍事警察に対抗するべく音楽活動をおこなっていたわけで、そうしたレベル・ミュージックとしての同志が共演したセッションだったと言える。


E王

Sun Ra Arkestra
Lights On A Satellite

In+Out

 サン・ラー・アーケストラの草創期からのメンバーで、サン・ラー亡き後のおよそ30年に渡ってバンド・リーダーを務めるマルチ・リード奏者のマーシャル・アレンが、今年5月に100歳を迎えた。100歳という高齢ながら現役で演奏活動をおこなうことが信じられないことなのだが、その誕生日からおよそ半年後、個人名で初のソロ・アルバムとなる『New Dawn』をリリースする(予定では来年2月頃)ということだから全くもって驚かされる。そんなマーシャル・アレンの生誕100年を祝ったトリビュート的なアルバムが『Lights On A Satellite』である。サン・ラー・アーケストラとしても今年6月にニューヨークで録音された新作アルバムであり、マーシャル・アレン以下、アルト・サックス奏者でアレンと共にバンドのアレンジャーを務めるノエル・スコット、テナー・サックスのジェイムズ・スチュワート、フレンチ・ホルンのヴィンセント・チャンセイ、トランペットのマイケル・レイ、セシル・ブルックス、ベースのタイラー・ミッチェル、トロンボーンのデイヴ・デイヴィス、ロバート・ストリンガー、パーカッションのエルソン・ナシメント、ギターのデイヴ・ホテップ、ヴァイオリンとヴォーカルのタラ・ミドルトンなど、前作『Living Sky』(2022年)や前々作『Swirling』(2020年)と同じようなラインナップとなっている。

 表題曲は1960年代からの楽団のレパートリーで、『Fate In A Pleasant Mood』(1965年)、『Art Forms Of Dimension Tomorrow』(1965年)、『Live In Paris At The Gibus』(1973年)、『Live At Montreaux 1976』(1976年)などで度々録音されてきたサン・ラー代表曲のひとつ。『Swirling』でも演奏していたほか、クラブ・ジャズ世代にはトゥー・バンクス・オブ・フォーがカヴァーしたことでも知られる曲だ。美しいバラード・タイプの曲で、ほとんどワン・フレーズのメロディをアーケストラが重層的に重ね合わせていく。シンプルに統一された楽曲構成であるが、その循環されるフレーズの中で奏者たちの即興性やアイデアが積み重なり、壮大なドラマが展開される。“Friendly Galaxy” も1960年代からの代表曲で、『Secret Of The Sun』(1965年)や『Disco 3000』(1978年)などに収録された。スペイシーなSEを交え、サン・ラー・アーケストラらしい宇宙旅行へ誘うような楽曲となっている。マーシャル・アレンの100歳を祝うにふさわしいラインナップと言えよう。


Richard Spaven
Sole Subject

Fine Line

 リチャード・スペイヴンにとって『Sole Project』は、2020年にリリースしたサンデューンズとの『Spaven x Sandunes』以来、久々のアルバムである。この間は、アルファ・ミストの『Bring Back』(2021年)、クラークの『SUS Dog』(2023年)、ロイル・カーナーの『Higo』(2024年)などのレコーディングに参加するなど、ジャズに限らず幅広く活動していた。また、盟友のギタリストであるスチュワート・マッカラムやジョーダン・ラケイなどが参加したEPの「Spirit Beats」(2022年)をリリースしているが、これなどはドラマーというより人力ビートメイカー的な視点に立ったものである。このEPにはラッパーのバーニー・アーティストとコラボした曲もあり、よりクラブ・サウンドを意識した内容となっていたのだが、『Sole Project』もそうした延長線上にあるビート・クリエイター的なアルバムと言えよう。

 参加メンバーはスチュワート・マッカラムのほか、ネイティヴ・ダンサーなどで活動してきたキーボード奏者のサム・クロウ、ブラジル系のパーカッション奏者でダ・ラータなどで長年活動してきたオリ・サヴィル、アルファ・ミスト、ロイル・カーナー、ジョーダン・ラケイらの作品に参加するトランペット奏者のジョニー・ウッドハムといった面々で、シンガーのナタリー・ダンカンやネイティヴ・ダンサーのヴォーカリストだったフリーダ・ツアーレイ、DJのワイルドチャイルドなどもフィーチャーされる。スチュワート・マッカラムのメロウなギターや哀愁に満ちたワードレス・ヴォイスが空間を埋める “Spirit Quintet” は、かつてのシネマティック・オーケストラジャザノヴァあたりに代表されるクラブ・ジャズのエッセンスを感じさせる楽曲。実際にリチャード・スペイヴンやスチュワート・マッカラムはシネマティック・オーケストラに在籍していたこともあるので、そうした要素は自然と表れるのだろう。

 “Stellar” では人力ブロークンビーツ的なドラミングを披露し、ナタリー・ダンカンのディープな歌声をフィーチャーした表題曲ではダブステップ的なドラムにより、サブモーション・オーケストラのような世界を導き出す。“Find Peace Within” はブロークンビーツ調のドラムスと、アフロ・ラテン的なパーカッションが絡み合ったグルーヴィーなリズムが特徴だが、これもプログラミングではなく全て生演奏によるもの。“Faders” のドラムンベースでもブロークンビーツでもテクノでもない有機的なビートは、マシンでは出すことのできないスペイヴンのドラムスの真骨頂と言える。プログラミングと生演奏の境界線が曖昧になるアルバムだ。


Tomin
A Willed and Conscious Balance
International Anthem Recording Company / rings

 トミンはフルネームをトミン・ペレア・チャンブリーといい、ニューヨークのブルックリンを拠点に活動するマルチ・プレイヤーである。主に演奏するのはフルート、トランペット、アルト・クラリネットなどで、即興演奏家であり作曲家であると共に、詩人としても活動する。ジャズ・アット・リンカーン・センター・ユース・オーケストラのトロンボーン奏者として出発し、ジャズ、ヒップホップ、パンクなどをミックスしたアーティスト集団のスタンディング・オン・ザ・コーナーの出身者でもある。以前は個人で作品発表をおこなってきたが、今年に入ってからシカゴの〈インターナショナル・アンセム〉と契約を結び、『Flores Para Verene / Cantos Para Caramina』と『A Willed and Conscious Balance』の2枚のアルバムをリリースした。『Flores Para Verene / Cantos Para Caramina』はこれまでの自作曲をまとめたコンピで、全くのひとりで作った作品集となる。エリック・ドルフィー、アルバート・アイラー、チャールズ・ミンガス、マル・ウォルドロン、デューク・エリントン、ローランド・カーク、カル・マッセイなど、彼が影響を受けたジャズ・ミュージシャンたちに捧げた楽曲が収められていた。一方、『A Willed and Conscious Balance』はセプテット編成のグループによる録音で、〈インターナショナル・アンセム〉における正式なデビュー・アルバムという位置づけである。

 バンド・メンバーはニューヨークのミュージシャンとシカゴのミュージシャンが混在し、なかでもベーシストのルーク・スチュワートとドラマーのチェザー・ホームズはイレヴァーシブル・エンタングルメンツのメンバーで、チェリストのレスター・セント・ルイスは故ジェイミー・ブランチのバンド・メンバーとして活動してきた。トミンはジェイミー・ブランチが存命中の2021年にシカゴを訪れ、ジェイミーやエンジェル・バット・ダーウィッドらと共演をするが、そのときにルーク・スチュワート、チェザー・ホームズ、レスター・セント・ルイスやキーボード奏者のティアナ・デイヴィスらと会し、このグループの結成へと繋がった。アルバム収録曲はブッカー・リトル作曲の “Man of Words” とカラパルーシャことモーリス・マッキンタイア作曲の “Humility in the Light of the Creator” を除いて全てトミンのオリジナル曲。“Movement” は軽やかなリズムに乗せてトミンのフルートが優しく奏でられる牧歌性に富む作品。スピリチュアル・ジャズとして語られるフルート奏者のロイド・マクニールの作品を彷彿とさせる楽曲だ。“Life” も疾走感のあるリズムを持ち、エレピの力強い演奏やチェロのスリリングな音色も光る。ストリングスが印象的な点では、ジャズ・ヴァイオリン奏者のマイケル・ホワイトを思い起こさせるところもある。“Humility in the Light of the Creator” はモーリス・マッキンタイアがシカゴのAACM在籍中に発表したデビュー・アルバムのタイトル曲で、シカゴのフリー・ジャズ・シーンに対するトミンなりの敬意の表われとも言える。“Man of Words” の原曲はほぼブッカー・リトルによるトランペットの独奏だが、ここではトミンなりのアンビエントな解釈で再現している。

ele-king vol.34 - ele-king

 1994年、テリー・ライリーがサンフランシスコのテープ・ミュージック・センターにて “In C” を初演してから30年、ジェフ・ミルズは「サイクル30」という究極のミニマル・テクノ作品をリリースした。それから30年後の2024年、ミニマリズムの30周期説に則して同シングルはリイシューされ、テリー・ライリーの“In C” も60周年の記念盤『In C‐ 60thバースデー・フルムーン・セレブレーション・アット・清水寺』を出したばかり。2024年、エレキングが「ミニマリズム」特集をやらない理由はなかったのです。
 もっとも時代のトレンドは「マキシマリズム(てんこ盛り音楽)」であるという主張が、2010年代にはあった。火付け役はカニエ・ウェスト(2010年の『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』)というのが定説になっている。ぼくはアニマル・コレクティヴがビーチ・ボーイズ(『ペット・サウンズ』と『スマイル』)にアクセスしたときだと考えるが、まあとにかく、それからいっきに、いちぶのインディ・ロックにもいちぶのエレクトロニック・ミュージックにもその傾向は受け継がれていったと。近年のUKインディとかOPNとか、ね。
 しかしながら、だからといって「ミニマリズム(引き算の音楽)」がなくなったわけではない。いや、むしろオルタナティヴなインディペンデントなシーンでは、そぎ落としているサウンドが輝いている。たとえば、もしいま「アンビエント」がブームだとしたら、その音楽は「ミニマリズム」に基づいていなければならない。2024年は、ジャズとポスト・パンクとが接続したようなサウンドもひとつの傾向として見られたが、それも「ミニマリズム」に基づいている。「ダブ」は基本、「引き算」から来ている——。

 とまあ、そんなことを思いながら「サイクル30」に則した「ミニマリズム」特集を企画した次第です。自分で言うのもなんですが、面白いですよ。たとえば、テリー・ライリーのインタヴュー記事は過去にいろいろありますが、今回はひとつ、かなり良い話を引き出せたと思います。それは読んでのお楽しみ。
 もちろん、年末号なので「年間ベスト・アルバム」特集です。アルバム30枚をはじめ、ジャンル別ベスト/ライター・チャートがあります。そして毎回お願いしているのですが、どうかこれを「ドネーション(寄付金)」だと思って買っていただけたら幸いに存じます。 レコード店ではすでに発売中、書店発売は25日です(地域によって遅れることもあります)。それでは皆々様、よきクリスマスを。

ele-king vol.34

特集:テリー・ライリーの“In C”、そして、ミニマリズムの冒険

マキシマリズム時代のミニマリズム(野田努)

インタヴュー テリー・ライリーを訪ねて——“In C”誕生60年(高橋智子)
『In C - 60th バースデー・フルムーン・セレブレーション・アット・清水寺』制作話を今作のプロデューサー、中村周市氏に訊く

テリー・ライリー、60年を越えるその歩み——“In C”以外の重要作品(杉田元一)
アメリカン・ミニマリズムの系譜——テリー・ジェニングス、スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラス(杉田元一)
ラ・モンテ・ヤング——永遠に鳴り続ける始原としてのドローン(松山晋也)
アフロ・ミニマリズム——ブルースにおける反復の文化(緊那羅:デジ・ラ)
「ファンク」は魔法、地球を支配したウィルス(野田努)
カン——いまなお世界中に広がり続けるミニマル・ロックの地下茎(松山晋也)
アンビエントのはじまりにミニマルあり──ブライアン・イーノの呼び水(杉田元一)
パンク・ミニマリズムの究極の境地——ワイアーの探求(イアン・F・マーティン/青木絵美)
サン・ラーの“Rocket Number Nine”に見るミニマルな高揚(野田努)
アシッド・ハウスが切り開いた「ミニマリズム」の行方(野田努)
ヨーロッパの旅——クラフトワークからポスト・パンクを経由してミカ・ヴァイニオへ(野田努)
もうひとつの行き先——マラリア!からカラ‐リス・カヴァーデイルへ(三田格)
ひとかけらの永遠、ヒップホップのミニマリズム──DJプレミア、J・ディラ、アルケミスト(吉田雅史)
アフリカン・ドラムを初めて西欧世界に聞かせたババトゥンデ・オラトゥンジ(三田格)
リスニング術——グリッチからアンビエント/ドリーム・ポップへ(野田努)
Minimal Nation——ミニマリズムのさらなる冒険のご案内(野田努)

非ポストモダン的ミニマリズムに向けて(仲山ひふみ)

2024年ベスト・アルバム30選
2024年ベスト・リイシュー23選
ジャンル別ベスト——テクノ(猪股恭哉)/インディ・ロック(天野龍太郎)/ジャズ(小川充)/ ヒップホップ(高橋芳朗)/ハウス(猪股恭哉)/エクスペリメンタル(ジェイムズ・ハッドフィールド/青木絵美)/ポスト・ハイパーポップ(松島広人) /レゲエ/ダブ(河村祐介)/アンビエント(三田格)

2024年わたしのお気に入りベスト10——24名による個人チャート(青木絵美、天野龍太郎、小川充、小山田米呂、Casanova.S、河村祐介、木津毅、緊那羅:Desi La、篠田ミル、柴崎祐二、杉田元一、高橋智子、髙橋勇人、つやちゃん、デンシノオト、橋本徹、ジェイムズ・ハッドフィールド、二木信、ジリアン・マーシャル、Mars89、イアン・F・マーティン、松島広人、三田格、吉田雅史)

VINYL GOES AROUND PRESENTS そこにレコードがあるから 第5回 「THE CHANGING SAME」レーベルの節目とレコード文化の未来(水谷聡男×山崎真央)
 

C.E presents Josey Rebelle, PLO Man, Rezzett, Will Bankhead - ele-king

 ブランドの発足以来、さまざまなパーティを開催してきた〈C.E〉。その2025年最初のパーティがアナウンスされている。選曲からストーリーのつくり方までそのDJスキルが評判のジョージー・レベルを筆頭に、PLOマン、レゼット、ウィル・バンクヘッドが出演。1月24日はVENTに足を運びましょう。

C.E presents
Josey Rebelle, PLO Man, Rezzett, Will Bankhead

2025年度初となるC.Eのパーティが1月24日金曜日、VENTにて開催。
洋服ブランドのC.E(シーイー)は、2025年1月24日金曜日、表参道VENTを会場にパーティを開催します。
C.Eは、2011年のブランド発足以来、不定期ながらミュージシャンやプロデューサー、DJと共にパーティを開催してきました。
約4ヶ月ぶり、2025年初の開催となる本パーティでは、Josey Rebelle, PLO Man, Rezzett, Will Bankheadを招聘致します。

C.E presents

Josey Rebelle
PLO Man
Rezzett
Will Bankhead

開催日時:2025年1月24日金曜日11:00PM
会場:VENT vent-tokyo.net
料金:Door 3,000 Yen
Advance ticket 2,000 Yen
https://t.livepocket.jp/e/vent_20250124

Over 20's Only. Photo I.D. Required.
20歳未満の方のご入場は固くお断り致します。年齢確認のため顔写真付きの公的身分証明書をご持参願います

■Josey Rebelle
Josey Rebelle(ジョジー・レベル)は、「世界中の一流ダンスフロアを席巻するジャンルの垣根を超えるDJ」(Mixmag)、「UK音楽シーンのヒーロー」(The Face)と評されるロンドン出身のDJ 。
DJ Magの「100 of the World's Best DJs 2022」、BBC Radio 1の「Essential Mix of the Year 2019」、DJ Magの「Best of British Award for Best Compilation 2020」、Resident Advisorの「Mix of the Year 2020」、DJ Magのカバー、DJセット、ミックス、ラジオ番組で毎年恒例の「Best Of」リストに掲載されるなど、数々の受賞歴を持つ。
ダンサー、DJ、サウンドシステム・オペレーターというカリブ海の文化の中で育ち、幼い頃からデッキに親しみ、13歳の頃に兄からハウス、テクノ、ジャングルのコレクションでミックスを教わった。彼女がベッドルームDJからクラブのブースに立つまでの自信を得たのはそれから数年後のことで、数え切れないほどの練習を重ねた上でのこと。最終的には、ロンドンの伝説的なクラブであるPlastic Peopleのレジデントとして、またロンドンの先駆的ラジオ局Rinse FMにおいて10年にわたり毎週番組のホストを務めた。
また、世界で最も象徴的なクラブやフェスティバルで魅惑的なセットをプレイし、フェスティバルのステージからBerghainのメインフロアまで、あらゆる場所でオーディエンスを魅了している。加えて、BBC Radio 1、The Trilogy Tapes、Resident Advisor、The Face、Fader誌に提供したミックスで高い評価を得ている。
2010年にはBoiler Roomの初放送出演し、2020年2月にはDJ Magの表紙を飾った。
2020年、Beats in Space Recordsからリリースされた自身初のコンピレーション・アルバム『Josey In Space』には、彼女の大切なレコード・コレクションの奥底から掘り起こされたエクスクルーシヴ音源や、これまでレコードでしか聴くことのできなかった楽曲の数々が収録されている。『Josey In Space』は、「DJ Mag Best of British Awards 2020」のベスト・コンピレーション賞とResident Advisorのミックス・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
自身がティーンエージャーだった頃へ捧げられ、丹念にキュレーションを行った2021年にThe Trilogy Tapesからリリースされたカセットテープに収められたミックスは、ピッチフォーク誌に「ヴィンテージのUKパイレーツラジオを最も忠実に再現した」と評された。
ニューヨーカー誌はこう述べた「ジョジー・リベルは稀有な存在だ」、 「プロデュースではなく(彼女はプロデューサーではない)、デッキにおけるプレイだけで名を馳せるDJだ」。
ソーシャルメディアにおいて存在を示さないジョジーは、長年にわたり選りすぐりの情熱と信憑性に基づいた評価を築くため努力してきた。ノイズから自分自身を切り離し、彼女が最も愛するもの以外に何も必要とされない場所、つまりはDJブースの暗闇に足を踏み入れ、ただプレイすること、それだけにたどり着くために。
www.joseyrebelle.com

■PLO Man
2015年よりACTING PRESSの共同運営及び代表を務める。ソロ、C3D-Eとの共同作品、INTe*raやGlobex、CC Not等のグループとして音楽を発表している。2024年、Doo loreのSnP 500と共にテクノレーベルPinを立ち上げ、SnPLOのEPを2作リリースした。
ヨーロッパ、北米、アジア、オセアニアにてDJを行っており、キャリアはおよそ15年に亘る。ベルリン在住。
2013年から2019年まで、今はなきBerlin Community RadioでPLO Radioのホストを務めた。その後、Lot Radio、Refuge Worldwide、Rinse.fm、IDAなどで番組を担当。現在はロンドンのNTSにてレジデントとしてバイマンスリー番組Drizzle.FMを担当。
DJのレコーディングについては、C.Eからリリースされた2作のテープ、ACTING PRESSとTerraformaから発表されたCDに加え、Youtubeにアーカイブされている。
www.tracksplease.com
soundcloud.com/p_el_oh

■Rezzett
TapesことJackson Bailey(ジャクソン ベイリー)とLukidやRefreshersとしても知られるLuke Blair(ルーク ブレア)の2人組によるRezzett(レゼット)。
2013年に楽曲をYouTubeへアップロードしたのち、Will Bankhead(ウィル バンクヘッド)の音楽レーベルThe Trilogy Tapes(ザ トリロジーテープス)より、歪みが特徴的なテクノとジャングルのEPを5枚リリースし高い評価を得た。
Rezzettは現在のダンス ミュージックにおいて珍しいものでなくなくなった「ローファイ」サウンドのパイオニアと言っても過言ではない。
2018年には前述したThe Trilogy Tapesよりデビュー アルバムをリリースしたのち、突如としてリリースは止まり、時折ライブをおこなうことだけがRezzettがまだ存続している証拠だったが、2023年6月、記念すべきThe Trilogy Tapesのレーベル100番目のリリースとなる2ndアルバム『Meant Like This』を突如リリースし、ライブパフォーマンスを収録したカセットテープ、4曲を収録したEP『Boshly』を発表した。
最新の音源は2024年5月に自主リリースで発売したEP『Puddings』。
rezzett.bandcamp.com/

■Will Bankhead
イングランドのインディペンデント音楽レーベル、The Trilogy Tapes(ザ トリロジー テープス)主宰。
Mo Waxでメイン ヴィジュアル ディレクターを務めたのち、洋服レーベルであるPARK WALKやANSWER、音楽レーベルのPKを経て、2008年にThe Trilogy Tapesを立ち上げる。
Honest Jon's Recordsをはじめとする音楽レーベルのためのスリーヴデザイン、Palace Skateboardsなどの洋服ブランドのグラフィックデザインも手がける。
www.thetrilogytapes.com
thetrilogytapes.bandcamp.com

Wendy Eisenberg - ele-king

 ニック・ドレイクの曲に “River Man” がある。アコースティック・ギターの弾き語りに近い曲だが、何気ない5拍子のリズムと不協和音がジャズを感じさせるという、シンプルだが単純な曲ではない。西東京の自分が住んでいるエリアには、多摩川までに仙川と野川という小さな川がある。自転車を降りて、川沿いを歩いているときに“River Man” を思い出してしまうのは、自分も黄昏れている人間だからなのだろうか。はあ……出るのはため息ばかりだが、音楽のことを考えよう。
 そう、ジャズとフォークだ。年明けにはティモシー・シャラメ主演のボブ・ディランの若き日々を描いた映画が上映されることなので、現代のニューヨークから熱狂的なジャズを我がものとし、雑食性とフリー・インプロヴィゼーションに興じる若き前衛による、冬の空気のように澄み切ったアルバムを紹介したい。
 ウェンディ・アイゼンバーグはギターの名手で、「音楽シーンにおいて、私は女性として扱われ、私の性別は神話化されている。『あなたは女性ギタリスト』だとか、『かわいいから雇っただけ』といった感じで、それに対抗するために私がとった方法は、その楽器をとんでもなく上手に演奏することだった」——とアイゼンバーグは『Tone Glow』のインタヴューで語っている。が、しかしながらこの人物は、自分の技術をひけらかすことよりも音楽のなかの自由を拡張し、思索することに長けている。たとえばアイゼンバーグは、セシル・テイラーあるいはモートン・フェルドマンの領域、レインコーツにロバート・ワイアットあるいはジョアンナ・ニューサム、ときにはジョアン・ジルベルトやエグベルト・ジスモンチへと、そしてデレク・ベイリーとデイヴィッド・シルヴィアンの回路を自由に行き来し、ジョン・ゾーンのレーベルからも作品を出している。ジャズを流暢に演奏しながら、アイゼンバーグにはソングライターとしての側面があって、だからヴォーカリストでもある。詩を書き、歌を歌う。メアリー・ハルヴォーソンとの大きな違いはそこで、ジャズでSSWといえばジョニ・ミッチェルの名前も出てくるだろうが、この人はもっとオルタナティヴに尖っていて、ずいぶんな読書家でもあるアイゼンバーグは音楽を感覚的なものであると同時に思考の契機としても捉えている。

 音楽は言葉では語れないというミュージシャンに限って言葉で語れるような紋切り型の音楽をやっていることが多い。そもそもそ言葉で語れない音楽を聴きたいから我々はこうして音の海を探索している。そして、紋切り型の音楽に限って音楽を視覚化する(MVを作ったりする)傾向にあるわけだが、この世界には、視覚化しようがない音楽もある。2024年、アイゼンバーグは2枚のアルバムを出している。1枚は『Viewfinder』で、これは彼女のレーシック手術を契機として生まれたソロ作品、もう1枚はサックス奏者のキャロライン・デイヴィスとのコラボレーション作品、まずは前者からいこう。
 『Viewfinder』、カメラで撮影のさいに視覚的に確認するため目で覗く部分のことで、比喩的に言えば「ものごとの視点を決めるもの」、すなわち「世界の見方」のようなことになるのだろうか。作中でもっとも人気のある曲は冒頭の“Lasik”で、これは視力を矯正して見えるようになったはずが治癒にはなっていないという暗喩的な歌詞が歌われている。「自分が愛することもできない物語に向けて/視線を定めているわけにはいかない/さてと、次なるポップショーを観るため/お気に入りのアーティストのチケットを取ろう」。こうしたウィットが、トロンボーンとベース、ピアノの神妙な絡み合いに溶け込んでいる。
 アルバムには、“Two Times Water”のような華麗な室内ジャズがあるいっぽうで、“HM”や“Afterimage”では透き通った空間におけるポスト・パンク的な遊び心があり、作者が言うようにレインコーツの『オディシェイプ』と共鳴しているように思える。これらは個人的にとくに没入できる曲でもあるのだけれど、作中、もっともポスト・パンク的なささくれだった感覚が聴けるのは表題曲の“Viewfinder”だ。スティル・ハウス・プランツとも充分に通じ合う、2024年の喜ばしきオルタナティヴ・ロック・ソングである。
 「ファシズムに対するもっとも真の反抗は複雑なものを作ること」だとアイゼンバーグは信じている。実際我々の感情は複雑で、紋切り型のラヴソングですべてが解決できるほど人生は簡単ではない(少なくともぼくの場合は)。いろんな感情を込めて孤独な魂を歌う深夜のジャズ・ソング“In the Pines”でアルバムは締めくくられるわけだが、アイゼンバーグの世界をもっと楽しみたい人にとっては、今年は嬉しいことにキャロライン・デイヴィスとの『Accept When』もある。複雑なリズムの曲のなかにもギターとサックスの美しいメロディが交錯し、いくつもの素晴らしい瞬間が待っているこのアルバムには独特の温かみがあって、とくにアイゼンバーグのヴォーカルが聴ける冒頭の“Attention”は2024年のベスト・ソングのひとつ。川沿いを歩くには寒い季節だが、最近の乾燥した空気はこの音楽とうまく調和している。ぜひ聴いて欲しい。

FRUE presents Fred Frith Live 2025 - ele-king

 2024年はフレッド・フリスの初期の金字塔、『Guitar Solo』から半世紀(50周年)ということで、新録を加えたリイシュー盤『Guitar Solos / Fifty』がリリースされている。もし、あなたが実験音楽や即興、デレク・ベイリーや灰野敬二、フリー・ジャズとブルースとクラシックにおける前衛を違和感なく並列に聴ける耳の持ち主であるなら、ヘンリー・カウやアート・ベアーズでの活動、ジョン・ゾーンをはじめとするコラボレーションの数々……などすでにご存じであろう。(ニューウェイヴ世代にはレジデンツのレーベルから出た2枚は忘れがたいですね)
 とにかく、フレッド・フリスの2016年以来となる約8年半振りの来日公演が決定しました。

「フレッドのソロの即興演奏を観たことがないなら、ぜひ見るべきだ。生で演奏を観るためなら何だってすべきだ。それは世界の驚異のひとつだから」 ——マーク・リボ

FRUE presents
Fred Frith Live 2025

DAY 1 “DUO”
Friday, 17th January at BAROOM, Tokyo
Fred Frith / Seiichi Yamamoto
Open: 18:30 Start 19:30 Adv. 6,500yen
*全席指定 / 1ドリンク別 *受付にて1ドリンク代(¥1,000)を別途お支払いいただきます。

DAY 2 “SOLO”
Saturday, 18th January at BAROOM, Tokyo
Fred Frith playing with the film『rereading forest』
Open: 18:30 Start 19:30 Adv. 6,500yen
*全席指定 / 1ドリンク別 *受付にて1ドリンク代(¥1,000)を別途お支払いいただきます。

*1 ドリンクは終演後はご利用いただけませんので、お時間に余裕を持ってご来場ください。
*お座席はご購入順に事前に配席され、当日開場時間より受付にて座席指定券をお渡しいたします。
*開演時間に遅れた場合は曲間までロビーにてお待ちいただき、指定の座席とは異なる座席又は立ち見でのご案内となります。
*会場内にクロークはございません。
*前売チケットが完売の場合、当日券の販売はございません。
*お客様都合によるチケット代の返金/キャンセルは承っておりません。予めご了承ください

前売チケット: 2024年12月18日(水)18:00〜発売
チケット発売 URL:
●1月17日:
https://e5xnd56izdmz8le5-58723696772.shopifypreview.com/products_preview?preview_key=a75ae04eb4192916184f4e5c6ba59e8e
●1月18日:
https://e5xnd56izdmz8le5-58723696772.shopifypreview.com/products_preview?preview_key=a4b8d874f8a0c82cd09789b442e2d80c

BAROOM
東京都港区南⻘山 6-10-12 1F
https://baroom.tokyo/

Fred Frith (フレッド・フリス)
フレッド・フリスは、エクステンデッド・エレクトリック・ギター(extended electric guitar/型にはまらない独創的なテクニックによるエレクトリック・ギターの演奏スタイル)の先駆者である。彼は「ヘンリー・カウ」で作曲を学び、「アート・ベアーズ」で作曲の技術を磨き、「スケルトン・クルー」でマルチ・インストゥルメンタリストとしての才能を開花させ、「マサカー」で観客を熱狂させ、1964年以来、つねに1つまたは複数のバンドに在籍し、現在もそのすべてを継続し続けている。その間、彼の作品は、バロック音楽や現代音楽のアンサンブル、弦楽四重奏団、室内管弦楽団、そして人気とまではいかないまでも、つねに拡大を続ける準ポピュラー音楽の分野におけるさまざまなグループやアーティストによって演奏されてきた。フレッドは映画やダンスのための作曲も幅広く手掛けており、カリフォルニア州オークランドのミルズ・カレッジやスイスのバーゼル音楽院で⻑年即興を教えてきた。即興演奏に対する生涯にわたる情熱は、ブラジルのドラマー、マリア・ポルトガル、チェリストのパウラ・サンチェス、そして非凡なブリコージュ奏者であるスドゥ・テワリなど、必ずしも即興演奏家と名乗っているわけではないアーティストたちとの共演へと彼を導いてきた。フレッドは、ニコラス・ハンベルトとヴェルナー・ペンツェルの様々な受賞歴を誇る映画『Step across the Border』の主題ともなっている。

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