「UR」と一致するもの

映画とドラマで学ぶイギリス史入門 - ele-king

古代からエリザベス女王まで、知ってるようであまり知らないイギリスの歴史を人気の映画やドラマから楽しく学べる一冊!

百年戦争とバラ戦争が舞台の「ホロウ・クラウン/嘆きの王冠」
20世紀初頭の貴族と使用人の生活を描いた「ダウントン・アビー」
第二次大戦中の兵士救出作戦「ダンケルク」
エリザベス女王の人生をドラマ化した「ザ・クラウン」など、
人気の映画やドラマをもとにイギリスの歴史が学べます。
これ一冊でイギリス映画/ドラマがもっと面白くなる!

目次

はじめに
序章 英国の概要

第一章 古代のイギリス
1. ローマ侵攻 『第九軍団のワシ』
2. アングロ・サクソンとアーサー王 『キング・アーサー』
3. ウェセックス朝対ヴァイキング 『ラスト・キングダム』
コラム 数奇な運命をたどった女性その1 エマ・オブ・ノルマンディ

第二章 中世のイギリス
4. ノルマン征服とノルマン朝 『1066 ザ・バトル・オブ・ミドル・アース』
5. プランタジネット朝のはじまり 『ダークエイジ・ロマン 大聖堂』
コラム 数奇な運命をたどった女性その2 イングランドの女主人モード
6. ヘンリー2 世と息子たち 『冬のライオン』
コラム 数奇な運命をたどった女性その3 エレノア(アリエノール・ダキテーヌ)
7. リチャード獅子心王と十字軍 『ロビン・フッド』
8. ジョン王とマグナカルタ 『アイアンクラッド』
コラム イングランドのキリスト教
9. エドワード1 世のスコットランド侵攻 『ブレイブハート』
10. イングランドとフランスが戦った百年戦争 『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 シーズン1』
11. ヨーク家とランカスター家が戦った薔薇戦争 『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 シーズン2』
コラム 数奇な運命をたどった女性その4 マーガレット・オブ・アンジュー

第三章 近世のイギリス テューダー朝・スチュアート朝・ハノーヴァー朝
12. テューダー朝のはじまり 『ホワイト・プリンセス エリザベス・オブ・ヨーク物語』
13. ヘンリー8 世とトマス・クロムウェル 『ウルフ・ホール』
コラム 数奇な運命をたどった女性その5 アン・ブーリン
14. ヴァージンクイーン、エリザベス1 世 『エリザベス』
15. エリザベス女王のライバル、メアリー・オブ・スコッツ 『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
コラム 数奇な運命をたどった女性その6 ジェーン・グレイ
16. 英国の至宝シェイクスピア 『シェイクスピアの庭』
17. スチュアート朝のはじまり 『ガンパウダー』
18. イングランド内戦と共和制 『クロムウェル』
19. チャールズ2 世と王政復古 『恋の闇 愛の光』
20. 名誉革命と大ブリテン王国の誕生 『女王陛下のお気に入り』
21. ジャイコバイト蜂起 『アウトランダー』
コラム ウェールズ、スコットランド、アイルランド

第四章 近世のイギリス 大英帝国への道のり
22. ドイツからやってきたハノーヴァー朝 『英国万歳!』
コラム 英国とアメリカの関係
23. 大英帝国の黒歴史、奴隷貿易 『アメイジング・グレイス』
24. 七つの海を制したイギリス海軍 『マスター・アンド・コマンダー』
コラム 数奇な運命をたどった女性その7 エマ・ハミルトン
25. 東インド会社とインド植民地 『TABOO タブー』
26. ヴィクトリア女王と産業革命 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
27. ヴィクトリア朝時代の階級格差 『オリバー!』
28. 選挙制改正と女性参政権 『未来を花束にして』
コラム 選挙法改正への道のり

第五章 近代のイギリス 二つの大戦
29. 貴族と階級社会 『ダウントン・アビー』
30. 貴族の没落 『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』
31. 第一次世界大戦 『1917 命をかけた伝令』
32. 2つの大戦の間の時代 『ピーキー・ブラインダーズ』
33. エドワード8 世とジョージ6 世 『英国王のスピーチ』
コラム 数奇な運命をたどった女性その8 ウォリス・シンプソン
34. ヒトラーの台頭と第二次世界大戦 『ダンケルク』
35. 第二次世界大戦の勝利 『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
コラム アイルランドの独立

第六章 戦後のイギリス
36. 英国が誇るNHS 国民健康サービス 『コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語』
37. エリザベス女王と英王室 『ザ・クラウン』
コラム 数奇な運命をたどった女性その9 エリザベス2 世

索引
あとがき

著者
名取由恵
イギリスを基盤にフリーランスで活動するライター。1993年渡英。UKロック、海外ドラマ、TV、映画などの英国エンタメを中心に執筆を行う。英国エンタメ・英国文化研究家でもある。

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interview with Sorry - ele-king

 シェイムゴート・ガール、HMLTD、それらに続くブラック・ミディブラック・カントリー・ニューロード、振り返ってみるとサウス・ロンドンのインディ・シーンはライヴ・バンドのシーンだったように思える。そのなかにあってソーリーは少し異彩を放っていた。このノース・ロンドン出身のバンドはシーンのなかで一目置かれ中心的な役割を果たしながらもそれと同時にベッドルームのSSWの側面も持ち合わせていた。ギターとヴォーカルを担当するアーシャ・ローレンス、ルイス・オブライエン、ふたりのソングライターの創作のルーツは SoundCloud にあってそこからソーリーははじまったのだ。

 2020年にリリースされ高い評価を得た前作『925』に続きリリースされた 2nd アルバム『Anywhere But Here』はポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーをプロデューサーに迎え、ブリストルのアリ・チャントのスタジオで録音されたそうだが、このアルバムを聞いて頭に思い浮かべるのはソーリーの持つそのもうひとつの側面だ。孤独と虚無感、陰鬱なムードが漂うこのアルバムはしかし絶妙な重さをもって心のなかにえも言えぬ余韻を残していく。このバランス感覚こそがソーリーの持つセンスで、それが深みと奥行きをもたらし、たまらないバンドの魅力を生み出しているのだ。

 あるいはそれはロンドンのコミュニティのなかで育ったソーリーの内側からにじみ出てきたものなのかもしれない。ともにクリエイティヴな活動をしてきた仲間たち、アーシャは彼女の学生時代からの友人フロー・ウェブと一緒に FLASHA を名乗りソーリーのすべてのビデオを作り上げ、音楽の世界にもうひとつのレイヤーを付け加える。1st アルバム後に正式にメンバーとなったエレクトロニクス奏者のマルコ・ピニ(マルコも同じく学生時代からの友人だ)は〈Slow Dance〉のコミュニティを築き、ベース奏者のキャンベル・バウムもロックダウン中にトラディショナル・フォークのプロジェクト〈Broadside Hacks〉を立ち上げた。そこからどんどん矢印が伸びていき、いまのUKのアンダーグラウンド・シーンを盛り上げるインディペンデントなバンドや人物と重なり合う。積極的に前に出るタイプではないのだろうけれど、ソーリーは現在のインディ・シーンのなかで一目置かれ、重なり合うその円のなかで重要な役割を果たしているというのは間違いない(それが刺激になってお互いにどんどんクリエイティヴになっていく。たとえばアーシャの声は今年の夏に出ウー・ルーのアルバムでもスポーツ・チームのアルバムでも聞くことができるし、〈Broadside Hacks〉の活動のなかにキャロラインのメンバーの姿を見つけることもできる)。

 そんなソーリーのルイス・オブライエンに 2nd アルバム、DIYのスタイル、敬愛するSSWアレックス・Gの影響、ロンドンのインディ・コミュニティ、SoundCloud の世界についての話を聞いた。遊び心に好奇心、飄々と皮肉とユーモアをそこに交えるソーリーのクリエイティヴなスタイルはなんと魅力的なことだろう。

「シンガーソングライター」という表現は、ここ最近本来の意味が少し失われてきているようにも感じているんだけど、僕たちはシンガーソングライターの本質を意識していたと思うよ。カーリー・サイモンやランディ・ニューマンをよく聴いていたし、エリオット・スミスは僕もアーシャも大好きだから。

2nd アルバムのリリースおめでとうございます。前作『925』から2年半の間が空いてのリリースで、その間ライヴができない状況が続くなどありましたが、2nd アルバムを作るにあたってその影響はありましたか?

ルイス・オブライエン(Louis O’Bryen、以下LO):『925』をリリースした後、全くライヴやツアーができなかったから、(アルバムをリリースしたという)実感があまり湧かなかったんだよね。だから 2nd アルバムの制作に入るときも特に何も期待せずにはじめることができた。おかげで 1st アルバムの重みを感じずに頭でっかちにならないで制作に取り掛かることができたよ。リリースされていたけど、この世には出ていないみたいな気がしてたから 1st アルバムをもう一回作るみたいな感じだったんだ。それでストレスが軽減されたから僕たちにとって良かったと思う。

今作はクラシックなサウンドにモダンなプロダクションを加えることを目指したそうですが、ポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーとアリ・チャントとのレコーディングはいつ頃、どのような形ではじまったのですか?

LO:アルバムの作曲が終わった時点で、アーシャは「今回のアルバムの曲はすべて、昔ふうのソングライティングのスタイルからできたものだったね」と言っていたな。そういう意味でクラシックと言ったんだろうね。今回のアルバムは僕たちがいままでやってきたソングライティングのスタイルに忠実でありつつも、モダンでみんなが共感できるような音楽にしたかった。ポーティスヘッドは僕たちが参考にしていたアーティストのひとつで、エイドリアン・アトリーと連絡を取ったら、意気投合して、彼と一緒にアルバムを仕上げようということになり、エイドリアンがアリ・チャントを紹介してくれた。あのふたりはよく一緒に仕事をしていて、良い作品をいくつも手がけているからね。アルバムの曲には個別じゃなくて、全体でひとつのものとして一体感を持たせたかった。エイドリアンとアリはアルバムのサウンドに一貫性をもたらしてくれたんだ。それぞれの曲が同じソース(源流)からきているような感じにしてくれたよ。

アリ・チャントは今年リリースされたヤード・アクトやケイティ・J・ピアソンのアルバムも手がけていますが、ブリストルのアリ・チャントのスタジオはどのような場所でしたか?

LO:アリ・チャントのスタジオはとてもクールだったよ。彼は父親的存在なプロデューサーで、とても感じの良い人だった。スタジオによっては、コントロール/ルームがひとつ、ドラムの部屋が別にひとつ、さらにバンドがまた別の部屋で演奏するという構造でバラバラな感じがすることもある。でもアリのスタジオはすべてがひとつの部屋に収まっているんだ。だからみんながひとつの場所に一緒にいるという状態。それが素敵だと思った。僕とアーシャは以前ベッドルームをスタジオにしていたからね。いまは僕も自分のスタジオを持っているんだけど、それでも小さな部屋がひとつだ。そういうセッティングに慣れていたからアリのスタジオでもみんなが同じ部屋にいてレコーディングできるというのが良かった。自然な感じがしたんだ。アリのスタジオはその点が素敵だと思った。

先日、アレックス・Gの新しいアルバム『God Save the Animals』のリリースを祝うツイートをしていましたよね?

LO:ははっ(笑って頷く)

〈Domino〉と契約したのはアレックス・ Gのいるレーベルだからとジョーク飛ばしていたこともあったりと、様々な方面から敬愛ぶりがうかがえますが、アレックス・Gのどのようなところに魅力を感じていますか?

LO:僕たちが16、17歳の頃、周りの友だちはみんなアレックス・Gの音楽を聞いていたんだ。それが僕らの共通点だった。アレックスがUKに来たとき、彼は僕たちの友人の家に泊まっていて、それでアレックスと少し仲良くなることができたんだ。彼は本当に多作な人で、〈Domino〉と契約する以前から6枚くらいアルバムをリリースしていた。それが僕たちに大きなインスピレーションを与えてくれたんだ。彼のソングライティングにはつねに一貫性があってメロディや歌詞がもの凄く面白くて、本当にうまく作られているんだ。アーティストである僕にとって彼のそういう点にインスパイアされる。あんなふうに一貫性を保っていられるのは凄いことだと思うよ。

ちなみにアレックス・Gの新しいアルバムはどうでしたか?

LO:良かったよ。最高だった!

Photo by Peter Eason Daniels

子どもの頃MTVばかり観ていたんだけど、その当時のミュージック・ビデオはめちゃくちゃ格好良かった。あのアートは失われてしまいいまでは YouTube の動画などに変わってしまった。YouTube 動画とミュージック・ビデオは全くの別物だよ!

アルバムのなかの1曲 “There’s So Many People That Want To Be Loved” はアレックス・Gの他にもエリオット・スミスの特に『Figure 8』の空気を感じさせるような曲で、孤独感と疎外感、それと虚無感が混ざりあったようなフィーリングがとても印象的でした。2nd アルバムはこうしたシンガーソングライターの影響を強く感じますが、意識していた部分はありますか?

LO:もちろん。「シンガーソングライター」という表現は、ここ最近本来の意味が少し失われてきているようにも感じているんだけど、僕たちはシンガーソングライターの本質を意識していたと思うよ。カーリー・サイモンやランディ・ニューマンをよく聴いていたし、エリオット・スミスは僕もアーシャも大好きだから。それにアルバムのレコーディングに入る前に、作曲が完成している状態で曲をすべて人前で披露できる状態にしておきたいと考えていたんだ。70年代のシンガーソングライターたちは、90年代もそうだったかもしれないけど、みんなそういう状態でスタジオに入っていた。彼らはスタジオに入ってから曲を完成させるという有利な状況にはいない人たちだった。つまりレコーディングに入る時点で曲をすべて完成させていなければならかったんだ。僕たちも今回、サンプルの音なんかでも、スタジオに入ってレコーディングする前に完成させて演奏できるようにした。そういう意味では作曲や構成、メロディが完成されたシンガーソングライターと呼ばれているアーティストたちのアプローチにインスパイアされていると言えるね。

“There’s So Many People That Want To Be Loved” のビデオはロンドンの街の人びとが抱える孤独が、街の風景のなかに投影されているように感じました。このビデオも含めアーシャとフロー・ウェブの作るビデオについてお聞きしたいです。今回ルイスは宇宙飛行士役を演じていましたが、いつもどのような形でビデオの制作ははじまるのですか? アーシャは曲を聞くと色やヴィジュアルが見えるという話をしていましたが、曲作りの段階でそのイメージは共有されているのでしょうか?

LO:色やヴィジュアルが見えるというのは、何て言うんだっけ……「シナスタジア(共感覚)」って言葉があるんだよね! 僕は、嘘くさいと思うけど(笑)。適当に言ってるだけなんじゃないかな(笑)。

(笑)。アーシャは色が見えると話してくれましたけど。

LO:はは、そうだよね。僕たちの曲はイメージがベースになっているものが多いのは確かだよ、曲にヴィジュアルがついている感じというか。ビデオはすべてアーシャが作っているから僕じゃなくて彼女の言葉を信用するべきだけど。でも僕たちが曲を書いているときにはもうすでに曲のヴィジュアルがイメージできているんだよ。アーシャはそのアイデアを展開して歌詞として浮かび上がらせるのが得意なんだと思う。“There’s So Many People That Want To Be Loved” のビデオに出てくるイメージはすべて曲の歌詞が表現されたものなんだ。僕たちにとってミュージック・ビデオはとても重要なものだから。子どもの頃MTVばかり観ていたんだけど、その当時のミュージック・ビデオはめちゃくちゃ格好良かった。くだらないと思っていた人たちもいるかもしれないけど、僕たちにとっては最高だったんだ。あのアートは失われてしまいいまでは YouTube の動画などに変わってしまった。YouTube 動画とミュージック・ビデオは全くの別物だよ! だから僕たちはミュージック・ビデオに忠実でありたいと思っている。

“Screaming In The Rain” はルイスの物悲しげな歌声がとても魅力的で、理解することができないコミュニケーションの不全を唄っているようで印象に残っています。この曲の背景にあるものはどのようなものなのでしょうか?

LO:この曲は、愛する人と一緒にいる状況で、自分がどうすれば良いのかわからない感覚や、友人が助けを必要としているときに、自分がどう対応すれば良いかわからない感覚を歌っている曲なんだ。そういう絶望感がモチーフになっているけれど、同時に助けになりたいという思いもある。この曲は僕たちのお気に入りで、たくさんのヴァージョンを経てこの形になった。別のヴァージョンとして今後、発表していきたいと思ってるよ。僕とアーシャのヴォーカルが物悲しげなのが特徴的だよね。

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イラストはアーシャが描いているんだけど、僕たちはそれを「曲のロゴ」と呼んでいて。曲それぞれにキャラクターというかロゴがあるようにしているんだ。

この2ndアルバムには収録されていませんが、タイトルとして名前が残った “Anywhere But Here” という曲があって、その曲がアルバムの出発点になったとお聞きしました。その曲はどのような曲なのでしょうか? 今後リリースされることはありますか?

LO:どこから聞いたんだい!?

アーシャが話してくれたんですよ。

LO:そうだったんだ(笑)。けどこれはまだ秘密にしておきたいから、どこまで話せるのかわからないな。でもアーシャが話していたなら、まぁいいか。うん “Anywhere But Here” という曲を書いたんだけど、それがアルバムの焦点となったんだ。それでアルバムをレコーディングしているときに、アルバム名を『Anywhere But Here』にしようと決めたんだ。最終的にこの曲はアルバムにフィットしなかったから収録しなかったんだけど。でも名前だけは残ったんだ。他のアルバム名も考えたけどしっくりこなかったからこの名前のままにした。今後この曲をリリースしたいとは思っているけど、「アルバムのリード・トラック(タイトル・トラック)がアルバムに収録されていない」というのが結構気に入っているんだ。面白いんじゃないかって思って(笑)。

1st アルバムにしてもミックステープにしてもソーリーは作品全体に一貫した雰囲気を持たせるということにこだわっているように思います。それは今回も同様だと感じたのですが音作りに関して、あるいは曲順など 2nd アルバムの制作で意識した点を教えてください。

LO:いままでは自然にそうなっていたんだと思う。でもさっき言ったみたいに今回のアルバムに関しては、ひとつの完全なものとして作り上げたかったんだ。アルバムの曲をレコーディングするとき、僕たちはバンドとして一緒にレコーディングしたんだ。曲の大部分を2週間という期間でレコーディングしたことで、すべての曲が同じソースからきているようなサウンドにすることができたんだと思う。エイドリアンとアリも、サウンドに一貫性を持たせるようにしてくれた。アルバムのソングライティングが完成した時点で一貫した雰囲気が感じられるっていうのは僕たちにとって大切なことなんだ。今作の全体的なサウンドについては、意識した部分もあるけれど、ギターの音だったり、僕たちのソングライティングのやり方もあって自然にそうなっているところもある。あまり考え過ぎると本質が失われてしまうと思うんだ。

前作、『925』もそうでしたがソーリーはアルバムそれぞれの曲についてモチーフ的なイラストをつけていますよね? “Key To The City” の鹿だったり、“Willow Tree” の切られた木に寄りかかる人だったり、それがとても魅力的で。これは音楽だけではなく、ビデオやアートワークを含めヴィジュアルを通した表現としてアルバムをとらえているからなのでしょうか?

LO:アートが音楽と絡んでいるというのが好きなんだと思う。イラストはアーシャが描いているんだけど、僕たちはそれを「曲のロゴ」と呼んでいて。曲それぞれにキャラクターというかロゴがあるようにしているんだ。子どもの絵本とか、いろんなキャラクターがいるアニメみたいだろ? 曲を展開させるひとつの方法というのかな。こういうものがあると曲に独自の世界観を持たせることができると思うんだ。

僕たちは何らかの忘備録的存在になるということが好きなんだと思う。それがインターネット上の YouTube にミックステープをアップすることであれ、ヴァイナルをリリースすることであれ、僕たちの作ったモノが世に出ているということだから。

アルバムのリリースの前に7インチを2枚リリースしましたよね? サブスク全盛時代のいまはアルバムの前にこの様な形でフィジカルのシングルをリリースするバンドも少なくなってきたように思うのですが、リリースのスタイルにこだわっているところはあるのでしょうか?

LO:僕たちは何らかの忘備録的存在になるということが好きなんだと思う。それがインターネット上の YouTube にミックステープをアップすることであれ、ヴァイナルをリリースすることであれ、僕たちの作ったモノが世に出ているということだから。みんなが集めることのできるいろいろなモノのなかに僕たちが作ったモノが加わった感じ。ヴァイナルについてはスタンプを集めるスタンプ帳みたいな感じがあるしね。イギリスでは子どもの頃みんなが夢中になるサッカー選手のカードを集めるゲームがあるんだ。カードを集めてカード帳に入れていく。いちばんの困難は母親にカードを買ってもらうことだったけどね(笑)。カード帳が1ページ埋まったときはすごく嬉しかったよ。ヴァイナルもそれに似たようなものだと思っていて、ヴァイナルを全部集めることができたら見栄え的にもクールだと思うんだよね。それに僕たちはアートワークを重要視しているから、ヴァイナルやヴィジュアル・ミックステープをコレクトするということは、僕たちの芸術性とマッチしていると思うんだ。だからいろいろなモノをリリースするということに関しては今後もどんどんやっていきたいって思ってる。

フィジカルを手に入れなければ見られないイラストに YouTube で公開されるビデオと、このような部分はクラシックなサウンドにモダンなプロダクションを目指した 2nd アルバムのコンセプトと共通しているような感じがします。

LO:そうかもしれないね。曲のロゴを YouTube のビデオや他の箇所に登場させたら、面白いと思ったんだ。聞く側にとってはある種のゲームみたいな感じで「あ、曲のロゴ見つけた!」って思ってもらえたら楽しいと思って。

アーシャもコンピレーション・アルバムに参加していましたが、メンバーのキャンベル・バウムが立ち上げた〈Broadside Hacks〉というトラディショナル・フォークのプロジェクトがありますよね? あるいはマルコの〈Slow Dance〉があったりと、ロンドンにはこうしたインディ・コミュニティが根付いているように思いますが、その点についてどのように感じていますか? クリエイティヴな活動が分野を超えて重なりあっているという点で特に〈Slow Dance〉とソーリーは近い部分があるのではないかと感じているのですが。

LO:(ロンドンのインディ・コミュニティは)とてもクリエイティヴなところだと思うよ。一緒に育った仲間の多くがクリエイティヴな活動をする人だったり、あるいはクリエイティヴな人だったっていうのはラッキーだったと思う。それが環境によるものなのかはわからないけれど、クールで面白いことをやっている人たちが周りにいるっていうのは恵まれていることだと思うんだ。僕たちは彼らからつねに刺激を受けているから。それは僕たちのためにもなっているし、僕たちも彼らにも刺激を与えているはずだって思っているし、互いに刺激しあっているんだと思う。ロンドンのような大都市で青春時代を過ごすのはキツいこともあるから、似たような考えや価値観を持つ人たちを求めるようになるんだと思うんだ。だからいまでは周りに才能を持つ仲間がたくさんいるということはとても恵まれていることだと感じているよ。

ルイスにしてもアーシャにしてもソーリーとは別に現在も SoundCloud に個人名義の曲をアップし続けていますよね? ふたりにとって SoundCloud というのはどのような意味を持つプラットホームなのでしょうか?

LO:SoundCloud は僕たちにとってとても重要なプラットホームだよ。SoundCloud をはじめたとき、僕はギターを弾いていたんだけど、ギターに飽きていたというか、ギターに限界を感じはじめていた。その頃から僕とアーシャは、個別にだけど、パソコンを使って音楽を作るようになった。FL Studio というプログラムを僕がダウンロードしたんだ。FL Studio は音楽制作のプログラムだったんだけどビデオゲームみたいな感覚でやっていて。14歳くらいのときだったかな。凄く楽しくてふたりでいろんな音楽を作って SoundCloud にアップして、どっちが友だちからの「いいね!」をたくさん得られるか競い合っていた(笑)。それがはじまりだったね。さっきの話と同じで、インターネット上の隅っこに僕たちのスペース(=音楽)が存在している感じで、みんながそれを見つけることができるみたいなイメージだよ。アレックス・Gもそれと同じ感じで作品を公開している人で、YouTube をチェックすれば YouTube の「アルゴリズム・ホール」(*ブラック・ホールにかけている表現)に入り込んで、アレックス・Gの音楽を無限に発見することができる。ファンである僕にとっては、アレックスの奇妙で面白い世界に足を踏み入れる楽しさがあるし、SoundCloud もそれに似たような架空の世界を拡張できるもののように捉えているんだ。

SoundCloud にアップされているルイスの曲は悲しげなメロディの曲が多く、しみじみと感じ入るようなその感覚が好きなのですが、ルイス個人としてはどのような音楽に影響を受けてきたのでしょうか? あるいはインスピレーションを受けた映像作品やカルチャーなどがありましたら教えてください。

LO:最近はレナード・コーエンをよく聴いているよ。ニーナ・シモンも大好き。あとはエリオット・スミスやソングス・オハイアなど。好きな映画もたくさんあるよ。かなり変わってるかもしれないけど、『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』がすごく好きなんだ。僕はどういうわけか昔の映画が好きでね、強いカタルシスを感じるんだ。特にベトナム戦争を題材にした映画はすごく強烈だし、皮肉だけどクールだと思ってしまう。

今後も以前リリースしたミックステープのような形で曲をリリースすることはありますか?

LO:じつは秘密のミックステープというものがあるんだよ。でも詳しくは教えられない。聞きたい人はそれをどうにかして見つけないといけないんだ。面白いだろう? 今後もミックステープはリリースすると思うけど、前回のは僕たちが昔に作った曲があってそれらをリリースしたかっただけのことなんだ。ヒップホップのミックステープという感じではなくて。昔はよく自分の好きな曲を何曲も入れたCDを作って友だちや好きな人にあげたりしていたよね? 僕たちのはそういう感じのミックステープに近いんだ。好きな曲を集めて好きな人たちにあげる。そういう形のミックステープは今後ももちろん作っていきたいよ!

1st アルバムのリリース時はパンデミックでUSツアーが途中で中止になるなど満足にライヴができなかった状況でしたが、最近のライヴ活動はどのような感じでしょうか? 2nd アルバムの曲はもうライヴで演奏していますか?

LO:今年の夏は少し休みを取っていたからあまりライヴをやっていなかったけど、3月と4月にUSとUKをツアーしたんだ。2nd アルバムからの新曲もたくさん演奏して楽しかったんだけど、まだライヴで披露していない曲がたくさんあるから、今後アルバムの曲を多くの人に演奏して世に広めていくのが楽しみだよ。

ありがとうございます。いつか日本でライヴが見られることを願っています。

LO:こちらこそありがとう! 僕たちも日本でライヴができる日を楽しみにしてるよ!

Alvvays - ele-king

 甘さの中にある苦み、理想と現実、オールウェイズの音楽はいつだって希望が詰まっている。

 振り返ったときに定義される時代の音なんてものがあるとすれば、DIIVと一緒にオールウェイズの名前もきっとそこに記されているに違いない。インディのギター・ミュージック、2010年代の音、シューゲイザーを現代風に解釈したDIIVにドリーム・ポップという言葉を再び強く意識させたオールウェイズ、フォロワーという言葉が正しいのかはわからないけれど、2022年の現代へと続く流れの中でバンドをはじめようとしたときにこれらの音が頭に浮かばないなんてことはほとんどなかったはずだ(その証拠に10年代後半にかけてから22年現在まで、DIIVっぽいバンド、オールウェイズっぽいバンドをたくさん聞いた。それは国を問わず広がっている)。

 2014年のセルフ・タイトル『Allvvays』、3年後、2017年の『Antisocialites』、オールウェイズのそのギターは透き通る色彩を持っていて、光が反射するように柔らかくキラキラと輝いていた。それがノスタルジーを連れてきてモリー・ランキンの歌声が頭の中に存在しない思い出を作り出す。1stアルバムの曲はC86を経由したストレートにインディ・ギターと言ってもいいようなフィーリングがあって、2ndアルバムはそこからより一層シンセの音を強調しドリーム・ポップの要素を強くしたような感じで、意外と違いがあったりするけれど、いずれにしても記憶の中にずっと残り続けるようなそんなアルバムだったというのは間違いない(だからいまもオールウェイズのことを思い出そうとすると頭の中に色彩が広がる)。

 そして2022年、5年振りの3rdアルバム『Blue Rev』がリリースされた。この5年間の間にオールウェイズにあったこと、ムカデの家と名付けられたモリーの自宅の地下室にあるホームスタジオで録音したデモが入ったレコーダーを盗まれた。その翌日の土砂降りの洪水、地下室が浸水してそこにある機材を救い出さなければいけなくなった。ツアーの中での曲作り、パンデミック、ツアーの中断、パンデミックの規制の緩和、カナダのリハーサル小屋でのモリーとケリーの会合、新しいベーシスト(アビー・ブラックウェル)の加入、ロスのショーン・エヴェレットのスタジオでの3rdアルバムの録音。『Blue Rev』の国内盤に入っているモリー・ランキン自ら手によるライナーノーツにそうした出来事が魅力的な文章で書かれていたけれど(それはまるで物語がはじまる前のプロローグのようにもに思えた)オールウェイズのこの3rdアルバムが生み出されるまでの道のりは決して平坦ではなかったのだ。

 だから正直不安があった。あまりに素晴らしい1stアルバム、2ndアルバムの後にオールウェイズはいったいどんなアルバムを出してくるのかと。レコーダーを盗まれ、機材が水浸しになって、そこからやり直してどうなっているのか、5年という時間はアルバムを出すスパンとしてはあまりに長く、その間に時代は変わり、その結果過去のアルバムを繰り返し聞いた方が良かったなんて思うようになってしまうのではないかと。
 でもそれはまったくの杞憂だった。再生ボタンを押して、“Pharmacist” がかかった瞬間に繋がる記憶。まるで5年の不在なんてなかったようにあっと言う間にオールウェイズは散らばってしまった時間を結合する。高校時代の続き、大学時代の続き、あの日の続き、そんなありもしなかった出来事の思い出をいとも簡単にオールウェイズは作り出し時計の針を進めていく。「聞いたよ、帰ってきたんだってね/薬局で君の妹に会ったよ」。そう唄いかけるモリーの声と心象風景を映し出すようにシューゲイズしていくギター、それで準備はOKだ。そうやって止まっていた時間は動き出す。
 “Easy On Your Own?” の広がっていくようなサウンドにかつてのオールウェイズの面影を見て、軽快に弾む “After The Earthquake” に1stアルバムのオールウェイズの姿を重ね合わせる。それらは懐かしくもありそして同時に新鮮に響く。1stアルバムの曲の延長線上にあるみたいだった “After The Earthquake” に2ndアルバムのシンセの音が挿入されて展開が一気に変わる。ギターの音はシューゲイザーの色をより深めノスタルジックな雰囲気を保ったままにドライヴする。それは似ているけれど違う、2022年のオールウェイズだ。
 あるいはいままでとはまったく印象の違う “Very Online Guy” がある。80年代の歌謡曲みたいなシンセの音に引っ張られ、頭の中に薄紫色の照明に彩られた暗い店内のステージで、カラオケセットを前にマイクを握るモリーの姿が浮かんでくる。彼女の声はエフェクトがかけられて落ち着きなく遠くと近くをいったり来たり。それはまるですり切れかかったビデオテープの中に収められた不鮮明な映像のようで、やたらとノスタルジックな気分になる。「いつだってフィルター1つ分先にあいつはいる/いつだってフォロー1つ分、フィルター1つ分先にね」。“Very Online Guy” というタイトルが示す通りにここで唄われているのは現代のSNS事情のはずなのに、頭に浮かぶ映像は80年代のどこかの街の思い出だ。なんてチグハグなんだろう。SNSが存在する80年代、それが収められた架空の映像、でもそれこそがオールウェイズの魅力なのかもしれない。ノスタルジックで新鮮で、すぐ側にあるみたいに感じられる遠くの音楽、「ここではないどこか」、だけどそこにはちゃんと2022年の現実がある。
 そうして最終曲、“Fourth Figure” に辿り着く。吸い込まれるように深く、晴れ間の見える空みたいに広がっていく。オールウェイズのアルバムの最後の曲はいつもこんな感じだ。再び懐かしさが浮かび、トレードマークやお約束、スタイルについて考えて、そうして愛おしさが滲んでくる。3rdアルバム最後の曲はドラムもギターの音も響かない。だから少し荘厳で重力から解放されたみたいな気分になる。

 オールウェイズは再び日々を更新する。エヴァーグリーンなんて言ったって実際には古いアルバムを繰り返し眺めているだけだ。だけどそうじゃない、オールウェイズの3rdアルバムは物語の日々に続きがあるって教えてくれる。もっと「Alvvaysらしさ」を音に出したい、前述のセルフ・ライナーノーツにはプロデューサーのショーン・エヴェレットにバンドがそう求めたという記述があるのだけど、「Alvvaysらしさ」とは同じ事を繰り返すことでは決してない。文学タッチで軽やかに描かれるこの3rdアルバムには不安の吐露が散見されるが、それでも前に進み続ける希望がここには存在する。停滞を突き破って先に進む、オールウェイズの音楽はいつだってほんの少しだけよりよい世界の夢を見させてくれる。

Ryuichi Sakamoto - ele-king

 来る12月2日、〈Milan〉より坂本龍一のトリビュート・アルバムが発売される。題して『To the Moon and Back』。彼の70歳の誕生日を祝してのリリースだ。アルヴァ・ノトフェネスデヴィッド・シルヴィアンコーネリアスに大友良英といったおなじみの顔ぶれに加え、ザ・シネマティック・オーケストラなどが参加しているのだけれど、目玉はやはりサンダーキャットだろう。なんと坂本78年のソロ・デビュー作収録曲 “千のナイフ” をカヴァー。大胆に彼流のサウンドにアレンジしています。要チェックです。

title: To the Moon and Back - A Tribute to Ryuichi Sakamoto
label: Milan
release: December 2nd

Tracklist:

A1. Grains (Sweet Paulownia Wood) - David Sylvian Remodel
A2. Thousand Knives - Thundercat Remodel
A3. Merry Christmas Mr. Lawrence - Electric Youth Remodel

B1. Thatness and Thereness - Cornelius Remodel
B2. World Citizen I Won't Be Disappointed - Hildur Guðnadóttir Remodel
B3. The Sheltering Sky - Alva Noto Remodel
B4. Amore - Fennesz Remodel

C1. Choral No. 1 - Devonté Hynes Remodel (Featuring Emily Schubert)
C2. DNA - The Cinematic Orchestra Remodel
C3. Forbidden Colours - Gabrial Wek Remodel
C4. The Revenant Main Theme - 404.zero Remodel

D1. Walker - Lim Giong Follow the Steps Remodel
D2. With Snow and Moonlight - snow, silence, partially sunny - Yoshihide Otomo Remodel

ryuichisakamoto.lnk.to/tothemoon/

ディガー待望の一冊、2022年だからこそレアグルーヴを特集する!

2020年代になり世界各地でじわじわと盛り上がっている「レアグルーヴ」。ヴァイナル・ブームとあいまって、まさにいまや「レアグルーヴ」の時代。ディガー待望の「レアグルーヴ」特集です!

DJや著名ディガーのインタヴューにディスクガイド、様々な切り口の記事を通し、「レアグルーヴ」の背景や歴史、その現在に光を当てます。

インタヴュー:MURO/Jazzman Gerald/橋本徹
レアグルーヴ・クラシック・ディスクガイド130選/ランダム・ラップやモダン・ソウルの代表盤紹介/〈Tribe〉レーベルやウェルドン・アーヴィンの基礎知識/ヒップホップとサンプリング文化/70年代音楽が90年代以降のクラブ・ミュージックに与えた影響/コンピレーションの果たした役割/レコード・カッティング・レポートなど、盛りだくさん!

目次

[インタヴュー]
MURO (原田和典)
ジャズマン・ジェラルド (原田和典)
橋本徹 (原田和典)
イハラカンタロウ (VINYL GOES AROUND+編集部)

[ディスクガイド]
レアグルーヴ必聴盤130選
(橋本真志、B.V.J.、DJ Pigeon、TOMITA、CHINTAM、秋葉裕介、DJ Yama、長澤吉洋、マサキオンザマイク、水谷聡男、山崎真央)

[ビッグ・レガシー]
ウェルドン・アーヴィン (若杉 実)
トライブ (若杉 実)

[レア盤探勝]
ランダム・ラップの10枚 (DJ BUNTA)
モダン・ソウルの20枚 (Mr. Disco Kid)

[コラム]
ヒップホップとレアグルーヴ (小渕 晃)
クラブ・ミュージックとレアグルーヴ (小川 充)
レアグルーヴとシティ・ソウル (小渕 晃)
レアグルーヴ・コンピレーション10選 (小川 充)
最近のサンプリング事情 (金澤寿和)

書籍『ヴァイナルの時代』を紹介する
Tax Scamレコードとは (葛原大二郎)
日本コロムビアの技師に聞くカッティングの神髄

[エッセイ]
力をくれた2枚のレコード (大塚広子)
米国の若きDJが綴る、レコード・ディギングの思い出 (グレッグ・ナイス)

[アフタートーク]
そもそもVINYL GOES AROUNDって何?

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Taylor Deupree - ele-king

 つねに尖ったエレクトロニック・ミュージックを送り出しつづけてきたNYのレーベル〈12k〉が25周年を迎える。このアニヴァーサリーを祝しレーベル・ショウケースが開催、主宰のテイラー・デュプリーの来日公演が決定した。今年同レーベルより新作を出した Minamo & Asuna に加え、おなじく〈12k〉から作品を発表している Moskitoo も出演。11月13日(日)@SHIBAURA HOUSE、この貴重な機会を逃すなかれ。

12k主宰、テイラー・デュプリーの来日公演が決定。共演にMinamo &
Asuna、オープニングでMoskitooが出演。

ミニマル、エクスペリメンタル、アンビエント・ミュージックシーンにおける最重要レーベル12kを主宰し、坂本龍一氏とのコラボレーションでも知られるTaylor Deupree(テイラー・デュプリー)の5年振りの来日公演が決定。今年で25周年を迎える12kのアニバーサリーショウケースとして、6月に同レーベルより新作を発表したMinamo & Asunaが共演、 またオープニングアクトとしてMoskitooが出演します。会場はルーヴル美術館ランス別館や金沢21世紀美術館などの設計で知られる建築家、妹島和世氏が手掛けたガラス張りのコミュニティスペースSHIBAURA HOUSE。12kアーティスト3組による一夜限りのスペシャルなライブをお楽しみください。

12k 25th Anniversary - Taylor Deupree / Minamo & Asuna

イベントURL:ttp://12k25th.cubicmusic.com/
チケット予約:https://12k25th.peatix.com/

■日時:11月13日(日) OPEN 15:00 / START 15:30
■会場:SHIBAURA HOUSE 東京都港区芝浦3-15-4
(JR田町駅 芝浦口より徒歩7分、地下鉄都営三田線・浅草線 三田駅A4出口より徒歩10分)

■出演:
Taylor Deupree
Minano & Asuna
opening act:Moskitoo

■料金:前売 3,800円 / 当日4,500円

■チケット予約:https://12k25th.peatix.com/
 ※ 定員に達した場合は受付を終了いたします。
■音響:Flysound Co. 
■運営協力・照明:小柳淳嗣(アリオト)
■宣伝美術:Moskitoo
■協力:p*dis、安永哲郎事務室
■主催:株式会社FUMUF
 文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業

■ウェブサイト:https://12k25th.cubicmusic.com/

◆Taylor Deupree プロフィール
テイラー・デュプリー(1971年生)は米NY在住のサウンド・アーティスト、デザイナー、写真家。世界中のレーベルからコンスタントに作品を発表する傍ら1997年にはデジタルミニマリズムに焦点をあてた音楽レーベル〈12K〉を設立し、マイクロスコピックサウンドと呼ばれる電子音響シーンを築く。自身の音楽以外にも、他者とのコラボレーションも大切にしており、坂本龍一やデヴィッド・シルヴィアン、ステファン・マシューなど数々のアーティストと作品を制作。また、YCAMやICCなどの場所でサウンド・インスタレーションや数々の写真展も行っている。アコースティックな音源や最先端の技術を用いながらも、その作品の根底にあるものは自然の不完全さや、エラー、空間性の美学である。

◆Taylor Deupree サイト
https://www.taylordeupree.com/
◆12kレーベル サイト
https://www.12k.com/

◆Minamo プロフィール
1999年、杉本佳一と安永哲郎により結成。これまでに12KやRoom40など多数のレーベルからオリジナル・アルバムを発表するほか、TapeやLawrence Englishとのコラボレーション作品をリリースしてきた。東京を中心に20年に渡り活動を続けながら、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアの各
都市でもツアーを行っている。2022年6月にAsunaとのコラボレーションアルバム「Minamo & Asuna - Tail of Diffraction」を発売。minamoとしての活動の他、杉本はFourColor、FilFla、Vegpherとしてソロ活動、劇判、広告音楽等を制作。安永は「安永哲郎事務室」として多方面の企画製作プロジェクトに参画している。

◆Minamo (杉本佳一)サイト
https://frolicfon.com/
◆Minamo(安永哲郎)サイト
https://www.jimushitsu.com/

◆Minamo & Asuna作品ページ
https://www.12k.com/releases/tail-of-diffraction/

◆Asuna プロフィール
石川県出身の日本の電子音楽家。語源から省みる事物の概念とその再考察を主題として「organ」の語源からその原義である「機関・器官」としてオルガンを省みた代表作『Each Organ』(2002)にてデビュー。近年は、干渉音の複雑な分布とモアレ共鳴に着目した作品『100 Keyboards』で、海外の国際芸術祭や現代音楽祭に多数出演、昨年も米ニューヨークの名門・BAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)からの招待を受け単独公演を行う。並行した音楽制作では、10代の頃から東京の実験音楽/即興/音響シーンに関わり、様々なアコースティック楽器や大量のオモチャ楽器、PCベースによる作曲作品から即興演奏まで行いつつ、録音作品では毎回多岐に渡るコンセプトながらも一貫した作品制作を行う。これまで海外25カ国以上で演奏/展示、CDやレコードなどをリリース。

◆Asuna サイト
https://sites.google.com/site/aotoao3inch/

◆Moskitoo プロフィール
2007年ニューヨークのレーベル『12k』より『DRAPE』でソロデビュー。倍音のような広がりを持つ自身の歌声を基点に、様々なオブジェクトや楽器の音、電子音とを交錯させながら、幻想的でアブストラクトな独自のサウンドスケープを構築している。一音一音の音の探求に始まり、歌唱、トラックメイキング、アートワークまで全て彼女自身によって制作されている。作品は世界中から評判を集めこれまでにフランス、オランダなどのヨーロッパ、北米、オーストラリア、デンマーク、韓国のイベントに招待され、各地で海外ツアーや公演を重ねている。最新作はデジタルシングル『nunc』、minamoとの12インチLP、minamo & moskitoo『superstition』。

◆Moskitoo サイト
https://moskitoo.com/

Haruna Yusa - ele-king

 この春に素敵なアルバム『Another Story Of Dystopia Romance』を送り出した遊佐春菜。
 8月頭、江ノ島OPPA-LAにて開催されたリリース・パーティでは、SUGIURUMNなどによる最高に盛り上がるDJの合間をぬって、遊佐本人もキーボードを携えてライヴ・パフォーマンスを披露。アルバム後半で表現されていたような、パーティが持つ楽しさとはかなさが同居したような、覚めたまま見る夢というのか、夢のなかで夢だとわかっている感覚というのか、なんとも不思議な時間を体感させてくれた。
 と、ここへ来て、アルバム収録曲のなかでも「僕はインターネット 世界と繋がってる」のフレーズが印象的な1曲、“everything, everything, everything” のMVが公開されている。7インチとしてシングルカットされる予定で、発売は10月19日、カップリングには “巨大なパーティー(JAH善福寺 from 井の頭レンジャーズ Remix)” が収録されるとのこと。ご予約は下記リンクから。

Aphex Twin and Dave Griffiths - ele-king

 すでにご存じの方も多いかもしれないが、やはりお伝えしておこう。去る9月24日、エイフェックス・ツインがエンジニアのデイヴ・グリフィスとともに、無料のサウンド・デザイン・ソフトウェア「Samplebrain」を公開している。どうやら任意にマッシュアップができるようになるソフトのようだ。
「きみのコンピュータにあるmp3データから元のオーディオを再構築することができたら? アカペラ音源や、泡がぶくぶく言ってる音から303のリフをつくりだせるとしたら? クラシック音楽のファイルを再構成してふざけた曲を歌うことができたら?」とメッセージは告げている。「Samplebrain」ならそれができる、と。
 リチャード・Dの声明によれば、アイディア自体は2002年ころからあったものらしい。ちょうどmp3が普及しはじめ、Shazamがローンチしたころだったという。Shazamのべつの利用法を考えるなかで、今回の「Samplebrain」が発案されたようだ。
 お試しはこちらttps://gitlab.com/then-try-this/samplebrain)から。

Cantaro Ihara - ele-king

 今年2月に発表したウェルドン・アーヴィンの日本語カヴァー “I Love You” が話題となったイハラカンタロウ。70年代サウンドから大いに影響を受けたこのシンガーソングライターのニュー・シングル「つむぐように(Twiny)」がリリースされる。デジタル版は本日10月5日から配信開始、7インチ盤は12月14日に発売。リミックスには edbl をフィーチャー。
 なお、10月26発売の別エレ最新号『VINYL GOES AROUND presents RARE GROOVE──進化するヴァイナル・ディガー文化』には彼のインタヴューを掲載しています。なぜ70年代サウンドに惹かれるのか、ウェルドン・アーヴィンへの思いなどなど、一読の価値アリです。ぜひそちらもチェックを。

70年代からのソウル~AORマナーを踏襲したメロウなフィーリングにグルーヴィーなサウンドで注目のイハラカンタロウ最新シングルは、煌びやかなメロディと爽やかなコーラスが心地良い極上フリーソウルナンバー! c/wには、今サウスロンドンで最も注目を集めているedblによるRemixを収録!

70年代からのソウル~AORマナーを踏襲したメロウなフィーリングにグルーヴィーなサウンドで注目のイハラカンタロウ最新シングルは、軽快なギターにメロウなエレピ、グルーヴィーなベースにキレのあるドラム、そして煌びやかなメロディに爽やかなコーラスが心地良い極上フリーソウル! 全国ラジオ局でのヘヴィ・プレイを経て7インチが即完&争奪戦となったWeldon Irvineによるレア・グルーヴ~フリー・ソウルクラシック “I Love You” 日本語カバーで見せた70’sフィーリングに、さらにシティ・ポップの系譜を受け継いだ現代のジャパニーズ・ソウルと呼ぶに相応しいオリジナルナンバー! 7inchのカップリングには、今サウス・ロンドンで最も注目を集めているedbl(エド・ブラック)によるRemixを収録!

[リリース情報]
アーティスト:イハラカンタロウ
タイトル:つむぐように(Twiny)
フォーマット:7inch / Digital
Digital発売日:2022年10月5日
7inch発売日:2022年12月14日
レーベル:P-VINE
7inch品番:P7-6485
定価:¥2,365(税抜¥2,150)

[Purchase / Streaming / Download]
https://p-vine.lnk.to/Q2mP7w

【イハラカンタロウ】
1992年7月9日生まれ、作詞作曲からアレンジ、歌唱、演奏、ミックス、マスタリングまで手がけるミュージシャン。都内でのライヴ活動を中心にキャリアを積み2018年に1st EP「CORAL」を発表、聴き心地の良い歌声やメロディ、洗練されたアレンジやコードワークといったソングライティング能力の高さで徐々に注目を集めると、2020年4月に1stアルバム『C』(配信限定)、同年12月にはアルバムからの7インチシングル「gypsy/rhapsody」、そして2022年2月には最新7インチシングル「I Love You / You Are Right」をリリースし各方面から高い評価を受ける。またギタリスト、ミックス&マスタリングエンジニアなど他アーティストの作品への参加など幅広い活動を行なっている。

Twitter:https://twitter.com/cantaro_ihara

今年気に入っているミニ・アルバム - ele-king

 人類全体が正しい方向に行く気がしない今日この頃ですが、皆さんはどうお過ごしでしょうか。僕はワクチンの副反応で左腕が痛みます。4回もワクチンを打つと政府によってチップを埋め込まれたりするのも抵抗がなくなりそうで怖いです。さて、今年はいいなと思うミニ・アルバムが多く、しかし、ミニであるがゆえにレヴューなどで取り上げにくかったので、まとめて紹介してみました。ははは。それにしても藤田ニコルは吉野家には似合わない。


Ben Lukas Boysen - Clarion Erased Tapes Records

 ベルリンからヘック(Hecq)名義で知られるiDMのプロデューサーによる7thアルバム『Mirage』から“Clarion”をカット。優しくゆったりとビルドアップされていく原曲がとてもいい。ミニマル・テクノとモダン・クラシカルを柔軟に結びつけることでシルクのようなテクスチャーを生み出したアイスランドのキアスモス(Kiasmos)によるリミックスはベースを足したトランス風。食品まつりによる“Medela”のリミックスはヨーロッパの黄昏をドタバタしたジュークに改変し、モグワイもタンジェリン・ドリーム調の“Love”を強迫的にリミックス。新曲2曲はポリリズムやリヴァーブを効かせた幸せモード。


Andy Stott - The Slow Ribbon Modern Love

 ウクライナ支援を目的として3月18日から24日まで一週間だけ限定配信された7thアルバム。支援を優先したからか、全体的には未完成の印象もあり、通して聴くのは少しかったるいものの、最後まで仕上げたらすごいアルバムになるのではないかという予感をはらんだ作品。ほとんどすべての曲で逆回転が多用され、極端に遅いテンポ、あるいはベーシック・チャンネルそのものをスロウで再生しているような“Ⅲ”かと思えば無機質さが際立つ“Ⅴ”など、中心となるアイディアは「ベーシック・チャンネルをJ・ディラがミックスしたらどうなるか」というものではないかと。これらにリバーヴのループがしつこく繰り返される。


Mass Amore - Hopeless Romantic Not On Label

 デンマークから謎のドローン・フォーク。いきなり回転数を遅くしたヴォーカルで歌う「私はあなたを愛しているけれど、見返りはなにもいらない~」。そして、そのまま恍惚としたような世界観がずるずると持続していく。今年、最も気持ち悪いのはレヤ(LEYA)の2作目『Flood Dream』だと思っていたけれど、マス・アモーレもかなりなもので、アースイーターが全開にした扉は〈4AD〉リヴァイヴァルを通り越してもはや退廃の極みへと達している。エーテル・ミュージックやドリーム・ポップという範疇はもはや飛び越えてシガー・ロスさえ堅苦しく思えてくる。


33EMYBW & Gooooose - Trans-Aeon Express SVBKVLT

 エイフェックス・ツインとのコラボレートで知られるウィアードコアがロックダウン中に幻想的な新幹線や時空の旅を題材に北京で開いた初エキジビジョン「オリエント・フラックス」で、そのサウンド面を担当したハン・ハンとウー・シャンミン(共に上海の元ダック・ファイト・グース。詳しくは『テクノ・ディフィニティヴ改造版』P245)がその延長線上に作成した7曲入り。2人の曲を交互に並べたもので、いつものブレイクビーツ・スタイルから離れてリスニング・タイプを志向し、とくにグースことハン・ハンが新たな側面を見せている。


Coco Em - Kilumi Infiné

 パリはアゴリアのレーベルからケニヤのエマ・ンジオカによるデビュー作。パンデミックで映像の仕事に行き詰まり、ロックダウン中にショ・マジョジがフリーで提供していたビートを使って行われた「セナ・アラ(Sena Ala)チャレンジ」に手応えを得て音楽制作を本格化。ラテンからアフリカに逆輸入されたリンガラ(ルンバ)に強く影響を受け、60年代にケニヤ東部のカンバで流行っていた音源をサンプリングし、トラップやアマピアノなどとミックスしたハイブリッド・タイプ。不穏な始まりからヒプノティックなドラミングが冴え、伝統とモダンの壁を飛び越えたタイトル曲や“Winyo Nungo”など粒ぞろいの曲が並ぶ。


Bernice - Bonjourno my friends Telephone Explosion

 トロントからロビン・ダンを中心とする5人組ポップ・バンドが21年にリリースした4thアルバム『Eau De Bonjourno』のリミックス盤。プチ・ダンサブルに仕上げたイヴ・ジャーヴィスを皮切りにヤング・マーブル・ジャイアンツを思わせる“Personal Bubble”をサム・ゲンデルがジューク風にリミックスするなど、インディ・ポップを小さな引き出しからはみ出させず、徹底的にスケールの小さな空間に押し込んだセンスがたまらない。カルベルズによる“Big Mato”はJ・ディラを悪用し尽くし、オリジナルも実にいい”It's Me, Robin”はニュー・チャンス・レトログレードがふわふわのドリーム・ポップにリミックス。


Tentenko - The Soft Cave Couldn't Care More

 元BiSによるレジデンツ・タイプの4曲入り。Aサイドは80年代テクノ・ポップ風。無国籍サウンドを追い求めていた日本人の想像力を完全に再現した感じ。打って変わってBサイドはマーチを複雑にしたような変わったビートの“Stalactite”と控えめなインダストリアル・パーカッションがじわじわと効く“The Fish Stone”は部分的にキャバレー・ヴォルテールを思わせる。実にオリジナルで、まったく踊れないけどなかなか面白い。ハンブルグのレーベルから。


Tsvi & Loraine James - 053 AD 93

 〈Nervous Horizon〉主宰とウエイトレスのルーキーによるコラボレーション。昨年の白眉だったベン・ボンディとスペシャル・ゲストDJによるワン・オフ・ユニット、Xフレッシュ(Xphresh)と同傾向で、刺すようなビートと柔和なアンビエントを明確に対比させ、美と残酷のイメージに拍車をかける。エイフェックス・ツインが切り開いたスタイルにモダン・クラシカルの要素を加えて荘厳さを増幅させている。耳で聴くパク・チャヌク。レーベルは改名した旧〈Whities〉。


Luis - 057 AD 93

 上記レーベルからさらにDJパイソンの別名義2作目。レゲトン色を薄めてアブストラクト係数を高めている。アルバムやシングルに必ず1曲は入れていたウエイトレスを様々に発展させ、ファティマ・アル・ケイデリやロレイン・ジェイムスの領域に接近、無機質でクールな空間の創出に努めている。6年前の1作目「Dreamt Takes」ではパイソン名義とそんなに変わらなかったので『Mas Amable』以降の大きな変化が窺える。


Sa Pa - Borders of The Sun Lamassu

 上記のアンディ・ストットほど大胆ではないにしてもミュジーク・コンクレートを取り入れてダブ・テクノを大きく変形させた例にモノレイクとサ・パがいる。モノレイクは具体音を駆使し、即物的なサウンドに仕上げるセンスで群を抜き、〈Mana〉から『In A Landscape』(19)をリリースして頭角を現したサ・パことジャイムズ・マニングはデッドビートとのジョイント・アルバムから間をおかずにブリストルの新たなレーベル〈Lamassu(=アッシリアの守護神)〉から新作を。ここではミシェル・レドルフィばりにベーシック・チャンネルを水の表現と交錯させ、日本の語りとスラブの昔話に影響を受けたという桃源郷モードに昇華。収益の半分はブリストルのホームレス支援団体(caringinbristol.co.uk)へ。


Daev Martian - Digital Feedback Alpha Pup

 南アからエレガントなビート・ダウン・ハウス。スポエク・マサンボジョン・ケイシーと活動を共にしていたようで、ビートの組み立てに影響が窺えるも、独自のメロウネスはむしろDJシャドウやフライング・ロータスといった西海岸の流れを思わせる(だからレーベルも〈Alpha Pup〉なのか)。LAビート直系といえる“Gratitude”からフィッシュマンズとフィル・アッシャーが混ざったような”Never Changes”まで。陽気なマサンボも昨年は抑制された『Hikikomori Blue(アフリカ人引きこもり低音)』をリリースし、ブリ(Buli)『Blue』など南アのボーズ・オブ・カナダ化が進んでいる?


Daniele Luppi, Greg Gonzalez - Charm Of Pleasure Verve Records

https://ototoy.jp/_/default/p/1358819

 シガレット・アフター・セックスのヴォーカルをフィーチャーしたイタリアの作曲家による5曲入り。ドリーム・ポップのレッテルを貼られてしまったけれど、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド“Sunday Morning”を思わせるオープニングから全体的にはアコギに分厚いストリングス・アレンジなどミシェル・ルグランやバート・バカラックといった60Sポップを正面から受け継ごうとする。キーワードは慈しみ。最近のザ・ナショナルからカントリー色を差し引いた感じかな。ダニエル・ルッピはデンジャー・マウスやレッド・チリ・ホット・ペパーズとの共作などでも知られる映画音楽家。

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