「New Gen」と一致するもの

Special Interest - ele-king

 これほど歌詞を知りたくなるバンドはそうそういない。絶賛ばかりの英語圏のレヴューを読めば読むほど、いったいどんなことを歌っているのか気になってくる。そのダンサブルなパンク・サウンドだけでも十分ひとを惹きつけるスペシャル・インタレストの新作『Endure(耐える/存続する)』は、大変なことがつぎつぎと起こる2022年にこそふさわしい、きわめて時代的なアルバムになった。

 彼らの音楽はひと言でいえば、パンクの鋭利さをディスコやハウスの歓喜へと接続するものだ。両者を結びつけるスペシャル・インタレストのセルフ・プロデュース能力は、この3枚めのアルバムにおいてかつてない高みに達している。
 冒頭の “Cherry Blue Intention” とつづくシングル曲 “(Herman's) House” の昂揚はそうとうなもので、とりわけアリ・ログアウトのヴォーカリゼーションは素晴らしく、(おもにノイズを担当するギターにかわって)メロディアスにグルーヴを紡ぎだすベースは、それぞれの曲で決定的な役目を果たしている。
 パンクとエレクトロニックなダンス・ミュージックの結合それ自体は新しいものではない。ポスト・パンクの時代からあった発想だし、LCDサウンドシステムが注目を集めた、00年代前半に起こったリヴァイヴァルを思い出すひともいるかもしれない。『Loud and Quiet』が指摘しているように、スペシャル・インタレストの特別さは──パンクやハウスが既存の支配的な価値観に対抗的だったように──ストレートに、今日の世のなかに対してメッセージを発しているところにある。

 クィアネスは彼らの音楽の要素のひとつだ。けれども彼らはそれを表看板として掲げることはない。多様性の称揚が企業にとって都合のいいものであること、アイデンティティ・ポリティクスが資本主義を補完するものであるかもしれないことに、彼らは気づいている。『Endure』とは、このきつい時代をなんとか生き延びようということであって、言いたいことを我慢することでなないのだ。彼らは、冷静なまなざしで、現代社会が抱えるさまざまな問題に容赦なく切りこんでいく。
 うまく歌詞が聞きとれているわけではないので間違っているかもしれないが、ぼくがリサーチしたかぎりにおいては、たとえばパンク・チューンの “Foul” は低賃金労働者の惨状を歌っていたり、“Kurdish Radio” はアメリカと中東の非対称な関係を浮き彫りにしたりしているようだ。上述の “(Herman's) House” は冤罪で40年以上も収監されていたブラック・パンサー党員についてのものだし、BLM蜂起の直後に書かれたという “Concerning Peace” では、おなじく元ブラック・パンサーのストークリー・カーマイケルや思想家のフランツ・ファノンが参照されたり、殺される人間よりも割れた窓ガラスを気にする良識派が揶揄されたりしているらしい。

 ともすれば重くなってしまいがちなメッセージを搭載しつつ、しかしスペシャル・インタレストは誰の耳にも親しみやすいサウンドとして飛翔する。彼らの音楽は、ポップ・ミュージックとしての吸引力も持っている。朝の6時にクラブを出ても孤独を感じている女性に捧げた、ラッパーのミッキー・ブランコをフィーチャーした曲 “Midnight Legend” は、クラブ・カルチャーの痛々しいリアルな場面への愛の籠もったオマージュである。
 闇雲に怒り狂うのでもなく、ペシミスティックにふさぎこむのでもなく、喜びに満ちた時間を演出する──無実の罪で放りこまれたハーマン・ウォレスが獄中にあっても活動をつづけたように、スペシャル・インタレストもまた前向きに、現代社会の「外部」を探求しているのではないか。別の世界を想像することはまだ十分可能なのだと、そして──パンクやいくつかのダンス・ミュージックがそうであるように──ポップ・ミュージックのなかにもラディカルな可能性が潜んでいるのだと、そう彼らは素朴に、心から信じているのだろう。
 状況が困難であればあるほど、絶望するのはたやすい。スペシャル・インタレストがやっているのはその絶望を踏まえたうえで明日を生きる活力を醸造し、ぼくたちがついつい忘れがちになってしまう「前向きになること」を思い出させてくれる。

Nouns - ele-king

一枚の写真をヒントに

 Nouns『While Of Unsound Mind』のアートワークは、メンバーの祖父母の結婚式におけるワンシーンを切り取った写真が使われている。アンティーク品のごとく、朽ちた色合い。人びとが祝福し合い、生きていた証。かつて地球上にこのような瞬間があった──その事実を遺す貴重な一枚のヴィジュアルは、多くの示唆を含み私たちを彼方へと連れていく。

 Nouns は元々2013年に、ヴォーカル/ギターの Hunter Clifton Mann を中心に四人組エモ・バンドとしてアーカンソー州からデビューした。当時から個性的なメンバーが集まっており、各々がパンク/ハードコア・バンド Radradriot やスラッシュ・メタル・バンド Cavort Usurp といった場で活動していたようだ。ノー・エイジやコンヴァージへのリスペクトを公言しながら、そのカオティックでルーズな志向性によって鳴らされるローファイな音楽は、エモ・シーンにおいて一定の注目を集めた。しかし2014年以降は長いブランクに突入、昨年7年ぶりに突如として新たなEPをドロップしたのち、今回ついにアルバムが届けられたのである。彼らの音源が途切れたこの数年の間、シーンは大きく変わった。いや、「エモ」という概念それ自体が多大な変容を遂げることになったと言える。Nounsの『While Of Unsound Mind』は、そういった状況に対するひとつの明確な回答を提示しているように思う。

エモの数奇な運命

 エモが辿ることになった数奇な運命について、時間を巻き戻して整理してみる。1980年代のフガジらハードコア・バンドにルーツを持ち、1994年にサニー・デイ・リアル・エステイト『Diary』によってその歴史を開始することになったエモは、3rd wave emo と呼ばれる2000年代のエモ・ブームで一度完成に向かった。アット・ザ・ドライヴ・イン『Relationship Of Command』(2000年)が見せた激情の発散、マイ・ケミカル・ロマンス『The Black Parade』(2006年)が構築した感情の一大絵巻きを象徴とし、次第にエモはロックの手を離れることになる。エモのリアリティはむしろ2010年代に入りヒップホップに援用され、ポップ・ミュージック全般に影響を与えるようになり、2018年にBBCは「Emo never dies: How the genre influenced an entire new generation」と報じた。そしていまや、“All That’s Emo” の時代へ──ロックを超え、ポップ・ミュージックをも超え、あらゆる文化がエモの影響下に置かれている。

 ゆえに、コミュニティを超えてその定義を肥大化させていったエモを横目に、本来のロックにおけるエモが1990年代の作品を参照しコアを見つめ直すことで、2010年代に 4th wave emo として原点回帰していったのは当然の成り行きだったように思う。けれども、同時にそれは何かとてつもない変化のようにも見える。本来エモとは、瞬間的に立ち上がる喜怒哀楽が混在した、得も言われぬ感情を抽象的なまま具現化するものだった。それは、シニフィアンとシニフィエが手をつなぐ以前の状態で、ある種の曖昧さを持った音楽だったはずだ。けれども、歴史化されエモのあらゆる音がリファレンスになることで、音のひとつひとつは意味性と結託してしまう。自己の記憶ではなく、共同体のデータへ。あるいは、共同体のデータに紐づけられた感情へ。だからこそ、4th wave emo の原点回帰は、危ういものに聴こえた。ザ・ワールド・イズ・ア・ビューティフル・プレイス&アイ・アム・ノー・ロンガー・アフレイド・トゥ・ダイの純化されたような普遍性や、モダン・ベースボールの水しぶきをあげるようなフレッシュさが、どれだけの強度でリスナーに響いたのだろう?──エモ・ラップが、哀しいギターリフと泣きだしそうなラップで、陰影のグラデーションを奏でていた時代に。

 感情消費についての研究でユートピアを紐解いていく社会学者のエヴァ・イルーズは、著書『Consuming the Romantic Utopia: Love and the Cultural Contradictions of Capitalism』(University of California Press、1997年、未邦訳)で、そういった状況に通じる話として次のようなことを述べている。「Emotions are activated by a general and undifferentiated state of arousal, which becomes an emotion only when appropriately labeled.(=一般的で未分化な覚醒状態によって感情は活性化され、それが適切にラベル付けされた場合にのみ感情になる)」「Cultural frames name and define the emotion, set the limits of its intensity, specify the norms and values attached to it, and provide symbols and cultural scenarios that make it socially communicative.(=文化的な枠組みは、感情に名前を付けて定義し、強さの限界を設定し、それに付随する規範と価値を特定し、社会的に伝達するシンボルと文化的シナリオを提供する)」(ともに筆者訳)。

 感情に名前がつくこと。喜怒哀楽に分類できない曖昧な感情を、ラベリングしてしまうこと。

感情が数量化される時代に

 その後2010年代の終盤、エモ・シーンにおいて 5th wave emo と呼ばれる潮流が生まれはじめた頃──感情資本主義が加速し私たちの社会を包囲することによって、エモーションは数量化されるようになった。公的領域における感情は全て可視化され、コントロールすることを求められる。私的領域における感情は効率化/合理化されあらゆるリソースと交換される。一方で、SNS空間では皆が感情を爆発させる。いまこの瞬間も感情は膨張し、タイムライン上でシェア数はスロットのようにくるくると回転し続ける。3,000リツイート、5,000リツイート、1万リツイート……やめて。もう、やめてくれ! 感情はパチンコ玉なのだろうか? ひとつひとつは小さく軽いけれど、1万個集まったパチンコ玉は兵器で……誰かを殺傷する。

 サウンドの特長で言うと、『While Of Unsound Mind』は、5th wave emo に位置づけられるだろう。ノイズ・ロック、マス・ロック、シューゲイザー等のアプローチによりそれぞれの楽曲はより一層エクスペリメンタルに傾き、4th wave をベースにしながらも「いかに多彩な手法を散りばめられるか」という戦いに出ている。けれども、それら音色は多彩と言えどカラフルではない。ひとつひとつの音は錆び、軽くて簡素で、ぶっきらぼうですらある。アニメや漫画からの引用は 5th wave のエモ・バンドに多く見られる傾向だが、本作ではその手法も、無邪気さではない、どこか斜めの視点によって冷静になされている。いくつかサンプリングされるアニメから取り出した台詞、静電気のように小さく弾ける音、コンピュータが制御されず故障した音。荒廃した反理想郷社会のような、無限なるものへの感情の暴走が加速し有限の壁を越えてしまったかのような世界。人間の感情を際立たせ人間らしさを追求していった果てに、人間が消え失せてしまう社会の到来。Nouns の音楽は、そういった廃墟を捉えつつ鳴り響いている。ということは──『While Of Unsound Mind』は感情に突き動かされ朽ち果ててしまった世界を描いた作品なのだろうか? それとも、その世界を受け入れたうえで次の道筋までをも描いた作品なのだろうか?

リミナリティとしての『While Of Unsound Mind』

 ひとつ、ヒントになり得るアングルを提案したい。近年ファッションブランドの HATRA が作品のコンセプトに取り入れている事例があるように、パンデミック以降「リミナリティ」の概念が改めて注目を集めている。文化人類学者のヴィクター・ターナーによって論じられたそれは、社会生活の中での過渡にあたるプロセスを「リミナリティ=境界状態」と呼ぶことで、身分の逆転や無差別な解放などが喚起され、日常の社会構造の対極にある反構造が現出するとした。例えば「祭り」などは、「祭り前の日常」と「祭り後の日常」の過渡に位置づけられるまさに境界状態であり、解放されることによっての日常の秩序からの逸脱を成し得るものだろう。その視点に立った際、『While Of Unsound Mind』のアートワークを、結婚式というリミナリティとして捉えることも可能に違いない。なぜなら、眼を凝らして見てみてほしい──祝福とともに騒ぐ人びと、落書きされた乗用車のボンネット……人びとは、秩序に反旗を翻し反構造を実現するような熱気に満ちているではないか。恐らくその熱気によって、革命は成し遂げられていく。式という、境界状態の乱痴気騒ぎによって。

5th wave emo ではなく、ポスト・エモとして

 5th wave emo は「ポスト・エモ」とも呼ばれており、Nouns が現れた以降のいまのエモ・シーンを形容する際、私はその呼称の方が合っているように思う。なぜなら、数量化された感情が社会を支配したいま、5th wave などという順当な波はやってくるはずはないからだ。この波は「感情によって支配された世界」と「その後の世界」の境界に位置するものであり、その点において秩序を乱し革命を起こすものでなくてはならず、ゆえにポスト・エモとして、あらゆる手段を尽くし瞬間瞬間の美しきノイズを鳴らす。1万リツイートのパチンコ玉の重量に打ち勝つために、スロットの雑音に立ち向かうために、『While Of Unsound Mind』のサウンドはボロボロに錆びたスカスカの軽い音によって、感情の連打をひらりと交わしながら世界を打ちのめしていくものでなくてはならない。私たちを、作為なき剥き出しの状態、物理的なものが意味を失ったリミナリティな状況に連れていくこと──本作は、その力を秘めている。

 ポスト・エモの力を、私は信じる。


※参考文献:ヴィクター・W. ターナー(2020)『儀礼の過程』(冨倉光雄訳)ちくま学芸文庫

今年気に入っているミニ・アルバム - ele-king

 人類全体が正しい方向に行く気がしない今日この頃ですが、皆さんはどうお過ごしでしょうか。僕はワクチンの副反応で左腕が痛みます。4回もワクチンを打つと政府によってチップを埋め込まれたりするのも抵抗がなくなりそうで怖いです。さて、今年はいいなと思うミニ・アルバムが多く、しかし、ミニであるがゆえにレヴューなどで取り上げにくかったので、まとめて紹介してみました。ははは。それにしても藤田ニコルは吉野家には似合わない。


Ben Lukas Boysen - Clarion Erased Tapes Records

 ベルリンからヘック(Hecq)名義で知られるiDMのプロデューサーによる7thアルバム『Mirage』から“Clarion”をカット。優しくゆったりとビルドアップされていく原曲がとてもいい。ミニマル・テクノとモダン・クラシカルを柔軟に結びつけることでシルクのようなテクスチャーを生み出したアイスランドのキアスモス(Kiasmos)によるリミックスはベースを足したトランス風。食品まつりによる“Medela”のリミックスはヨーロッパの黄昏をドタバタしたジュークに改変し、モグワイもタンジェリン・ドリーム調の“Love”を強迫的にリミックス。新曲2曲はポリリズムやリヴァーブを効かせた幸せモード。


Andy Stott - The Slow Ribbon Modern Love

 ウクライナ支援を目的として3月18日から24日まで一週間だけ限定配信された7thアルバム。支援を優先したからか、全体的には未完成の印象もあり、通して聴くのは少しかったるいものの、最後まで仕上げたらすごいアルバムになるのではないかという予感をはらんだ作品。ほとんどすべての曲で逆回転が多用され、極端に遅いテンポ、あるいはベーシック・チャンネルそのものをスロウで再生しているような“Ⅲ”かと思えば無機質さが際立つ“Ⅴ”など、中心となるアイディアは「ベーシック・チャンネルをJ・ディラがミックスしたらどうなるか」というものではないかと。これらにリバーヴのループがしつこく繰り返される。


Mass Amore - Hopeless Romantic Not On Label

 デンマークから謎のドローン・フォーク。いきなり回転数を遅くしたヴォーカルで歌う「私はあなたを愛しているけれど、見返りはなにもいらない~」。そして、そのまま恍惚としたような世界観がずるずると持続していく。今年、最も気持ち悪いのはレヤ(LEYA)の2作目『Flood Dream』だと思っていたけれど、マス・アモーレもかなりなもので、アースイーターが全開にした扉は〈4AD〉リヴァイヴァルを通り越してもはや退廃の極みへと達している。エーテル・ミュージックやドリーム・ポップという範疇はもはや飛び越えてシガー・ロスさえ堅苦しく思えてくる。


33EMYBW & Gooooose - Trans-Aeon Express SVBKVLT

 エイフェックス・ツインとのコラボレートで知られるウィアードコアがロックダウン中に幻想的な新幹線や時空の旅を題材に北京で開いた初エキジビジョン「オリエント・フラックス」で、そのサウンド面を担当したハン・ハンとウー・シャンミン(共に上海の元ダック・ファイト・グース。詳しくは『テクノ・ディフィニティヴ改造版』P245)がその延長線上に作成した7曲入り。2人の曲を交互に並べたもので、いつものブレイクビーツ・スタイルから離れてリスニング・タイプを志向し、とくにグースことハン・ハンが新たな側面を見せている。


Coco Em - Kilumi Infiné

 パリはアゴリアのレーベルからケニヤのエマ・ンジオカによるデビュー作。パンデミックで映像の仕事に行き詰まり、ロックダウン中にショ・マジョジがフリーで提供していたビートを使って行われた「セナ・アラ(Sena Ala)チャレンジ」に手応えを得て音楽制作を本格化。ラテンからアフリカに逆輸入されたリンガラ(ルンバ)に強く影響を受け、60年代にケニヤ東部のカンバで流行っていた音源をサンプリングし、トラップやアマピアノなどとミックスしたハイブリッド・タイプ。不穏な始まりからヒプノティックなドラミングが冴え、伝統とモダンの壁を飛び越えたタイトル曲や“Winyo Nungo”など粒ぞろいの曲が並ぶ。


Bernice - Bonjourno my friends Telephone Explosion

 トロントからロビン・ダンを中心とする5人組ポップ・バンドが21年にリリースした4thアルバム『Eau De Bonjourno』のリミックス盤。プチ・ダンサブルに仕上げたイヴ・ジャーヴィスを皮切りにヤング・マーブル・ジャイアンツを思わせる“Personal Bubble”をサム・ゲンデルがジューク風にリミックスするなど、インディ・ポップを小さな引き出しからはみ出させず、徹底的にスケールの小さな空間に押し込んだセンスがたまらない。カルベルズによる“Big Mato”はJ・ディラを悪用し尽くし、オリジナルも実にいい”It's Me, Robin”はニュー・チャンス・レトログレードがふわふわのドリーム・ポップにリミックス。


Tentenko - The Soft Cave Couldn't Care More

 元BiSによるレジデンツ・タイプの4曲入り。Aサイドは80年代テクノ・ポップ風。無国籍サウンドを追い求めていた日本人の想像力を完全に再現した感じ。打って変わってBサイドはマーチを複雑にしたような変わったビートの“Stalactite”と控えめなインダストリアル・パーカッションがじわじわと効く“The Fish Stone”は部分的にキャバレー・ヴォルテールを思わせる。実にオリジナルで、まったく踊れないけどなかなか面白い。ハンブルグのレーベルから。


Tsvi & Loraine James - 053 AD 93

 〈Nervous Horizon〉主宰とウエイトレスのルーキーによるコラボレーション。昨年の白眉だったベン・ボンディとスペシャル・ゲストDJによるワン・オフ・ユニット、Xフレッシュ(Xphresh)と同傾向で、刺すようなビートと柔和なアンビエントを明確に対比させ、美と残酷のイメージに拍車をかける。エイフェックス・ツインが切り開いたスタイルにモダン・クラシカルの要素を加えて荘厳さを増幅させている。耳で聴くパク・チャヌク。レーベルは改名した旧〈Whities〉。


Luis - 057 AD 93

 上記レーベルからさらにDJパイソンの別名義2作目。レゲトン色を薄めてアブストラクト係数を高めている。アルバムやシングルに必ず1曲は入れていたウエイトレスを様々に発展させ、ファティマ・アル・ケイデリやロレイン・ジェイムスの領域に接近、無機質でクールな空間の創出に努めている。6年前の1作目「Dreamt Takes」ではパイソン名義とそんなに変わらなかったので『Mas Amable』以降の大きな変化が窺える。


Sa Pa - Borders of The Sun Lamassu

 上記のアンディ・ストットほど大胆ではないにしてもミュジーク・コンクレートを取り入れてダブ・テクノを大きく変形させた例にモノレイクとサ・パがいる。モノレイクは具体音を駆使し、即物的なサウンドに仕上げるセンスで群を抜き、〈Mana〉から『In A Landscape』(19)をリリースして頭角を現したサ・パことジャイムズ・マニングはデッドビートとのジョイント・アルバムから間をおかずにブリストルの新たなレーベル〈Lamassu(=アッシリアの守護神)〉から新作を。ここではミシェル・レドルフィばりにベーシック・チャンネルを水の表現と交錯させ、日本の語りとスラブの昔話に影響を受けたという桃源郷モードに昇華。収益の半分はブリストルのホームレス支援団体(caringinbristol.co.uk)へ。


Daev Martian - Digital Feedback Alpha Pup

 南アからエレガントなビート・ダウン・ハウス。スポエク・マサンボジョン・ケイシーと活動を共にしていたようで、ビートの組み立てに影響が窺えるも、独自のメロウネスはむしろDJシャドウやフライング・ロータスといった西海岸の流れを思わせる(だからレーベルも〈Alpha Pup〉なのか)。LAビート直系といえる“Gratitude”からフィッシュマンズとフィル・アッシャーが混ざったような”Never Changes”まで。陽気なマサンボも昨年は抑制された『Hikikomori Blue(アフリカ人引きこもり低音)』をリリースし、ブリ(Buli)『Blue』など南アのボーズ・オブ・カナダ化が進んでいる?


Daniele Luppi, Greg Gonzalez - Charm Of Pleasure Verve Records

https://ototoy.jp/_/default/p/1358819

 シガレット・アフター・セックスのヴォーカルをフィーチャーしたイタリアの作曲家による5曲入り。ドリーム・ポップのレッテルを貼られてしまったけれど、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド“Sunday Morning”を思わせるオープニングから全体的にはアコギに分厚いストリングス・アレンジなどミシェル・ルグランやバート・バカラックといった60Sポップを正面から受け継ごうとする。キーワードは慈しみ。最近のザ・ナショナルからカントリー色を差し引いた感じかな。ダニエル・ルッピはデンジャー・マウスやレッド・チリ・ホット・ペパーズとの共作などでも知られる映画音楽家。

interview with Strip Joint - ele-king

 自由を我(ら)に。そんなタイトルをデビュー・アルバムのタイトルに冠した、まだ若いインディ・ロック・バンドが現れた。ここ日本からである。いまの閉塞的な日本で生きる若者たちが思い描く「自由」とは、いったいどのような感触をしたものだろうか?

 Strip Joint のファースト・アルバム『Give Me Liberty』には、その感触のようなものがたくさん入っている。溌剌としたギター・ロック・チューン “Leisurely”、“Lust for Life” にはじまり、ウェスタン・テイストのあるトランペットが印象的な “Hike”、ジョイ・ディヴィジョンやギャング・オブ・フォーのリズム感覚を想起させる “Yellow Wallpaper” ……と、アルバム序盤からアレンジメントの多彩さとアンサンブルの完成度の高さに驚かされるが、それらは海外のインディ・ロックからの影響をたっぷりと吸収したものだ。この内向きな国から「自由」を思うとき、海の外のインディペンデントな音楽を聴くことは彼らにとって必然だったのだろうと感じさせる。そしてそれらの曲はすべて、はちきれんばかりにエネルギッシュだ。
 Daiki Kishioka を中心として2017年から Ceremony として活動をはじめ、メンバー・チェンジと改名を経て、ライヴハウス活動をメインに地道な活動を続けてきた Strip Joint。男女6人編成のこのバンドは、トランペットとキーボードを生かした、いわゆるギター・ロックのステレオタイプをはみ出すスタイルをすでに獲得しているところがまずその魅力である。マリアッチに影響されたインディ・ロック・バンドを連想する “Against The Flow” や、ミドル・テンポで鍵盤の響きを生かしながらリリカルに情景を描いていく名曲 “Oxygen”、“Liquid” など、アルバム後半のナンバーは多楽器によるアンサンブル志向の米国インディ・ロックを彷彿させる。歌詞を書く Daiki Kishioka が英米文学の素養があることもあって言葉は英語で(CDには日本語対訳が掲載されている)、積極的に国外の音楽と文化的・感情的に繋がっていかんとする意思が表れている。

 以下のインタヴューでは、最近は同時代のインディ・ロックを意識的に聴き過ぎないようにしていると Daiki Kishioka は話しているが、やはり現行のUKインディ・ロックの活況とシンクロする部分があるのではないかと自分は考えている。ジャンルも編成もスタイルも好き勝手にやっている彼らを指して、もう何度めかもわからない「ポスト・パンク・リヴァイヴァル」ではなく、近年は「ポスト・ブレクジット・ニューウェイヴ」とする表現もあると聞くが、その、「何でもアリ」すなわち「この窮屈な場所からどこへだって行ける」という感性は、海の外のインディ・ロックに影響されていなければ得がたいものだったろう。偉そうな大人たちがめちゃくちゃにした彼らの現在からも、生まれる何かがあるのだと──『Give Me Liberty』のクロージングを飾るアップテンポのロックンロール・チューン “Suddenly I Loved You” の自由な輝きを聴くと、そんなふうに思えてくる。

みんなが同じ音楽に熱狂するっていうことをミュージシャンがしていていいのかなって思うようになって。みんなと違うところを発見するのが俺のやるべきことだと思うようになったので、最近は新しいものを追いかけなくなりました。

今日は、いまの20代がなぜ海外のインディ・ロックに影響を受けたロック・バンドをやっているのかを聞きたいと思っています。岸岡さんはアークティック・モンキーズとの出会いが大きかったとのことですが、彼らに対して「自分の音楽だ」みたいな感覚があったのでしょうか。

Daiki Kishioka(以下、DK):アークティックに関しては、インディ・リスナーとしていろんな音楽を聴くなかで、アレックス・ターナーの音楽性の変化や、言っていることの変化、佇まいの変化を追っていくのが楽しかったんです。そのレベルまで好きになれる唯一のバンドでした。

そういう存在はアークティックが初めてだったんですか?

DK:じょじょにそういう存在になって。いまに至るまで特別ですね。

野田:アークティックは後追いだよね?

DK:後追いです。4枚目(『Suck It and See』)がすでに出ているときに知って、リアルタイムで聴き出したのは5枚目(『AM』)からですね。

野田:そうなんだ。ぼくはやっぱり1枚目(『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』)をいちばん聴いたけどね。どれがいちばん好きなの?

DK:3枚目(『Humbug』)、4枚目ですかね。

野田:そうなんだ。1枚目はダメ?

DK:ダメじゃないですけど、23、4歳くらいになってくると、聴けないですね。

えー(笑)!(木津は当時21歳)

野田:ぼくは40歳過ぎて聴いてたよ(笑)。

(一同笑)

じゃあ、もうすぐ出る新譜(『The Car』)も楽しみですね。

DK:そうですね、純粋にファンとして。

それまでも岸岡さんは親御さんが持っていたポスト・パンクのレコードを聴いていたということですが、世代的には、海外のインディ・ロックを聴くひとが周りに少なかったんじゃないかと思うんですよ。J-POPはともかくとしても、海外の音楽でもラップやポップスのほうが勢いがあったと思うし。そんななかで、どうやって海外のロックを発見したんですか?

DK:音楽体験の最初期は小学生のときまで遡りますけど、それこそ、クラスメイトがJ-POPのコンピレーションを作って配ってたりしていて。でも、その「キミとボク」みたいな世界観に入りこめなくて。そもそも小学生の恋愛なんて恋愛以下だし、入りこめるわけないじゃないですか。でもみんなが、大人の欲望を模倣するというか、それを自然なものとして受け入れているのにまず違和感がありました。それよりも、言葉はわからないけど、もっとシンプルでパワフルなもののほうがいいじゃんって思っていたのが小中学生のときですね。フー・ファイターズやグリーン・デイからロックに入り……、家にもストーン・ローゼズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、あとシャーラタンズ、オーシャン・カラー・シーンなんかがあったんですよ。

それは充実したレコード・コレクションですね。

DK:ありきたりなポップ・ミュージックじゃなくて、聴きながら陶酔的になれるものですね。高校生のときにギターを買って、そういうのを流しながら自分でアンプ繋いでいっしょに弾いてました。その頃にバンドをはじめましたね。最初はドラマーで。芸術系の高校に行ってたひとに誘われて、彼は若いのにアーティストとしてやっていくことに意識的でした。ザ・ホラーズフランツ・フェルディナンドみたいな、ポスト・パンク・リヴァイヴァルの美学を自分たちに課してやっていたひとたちで。自分で哲学持って音楽をやろうと思ったのは、そのバンドからの影響が大きかったです。

なるほど。僕は自分の経験として、10代のとき音楽のテイストが合うひとを周りに見つけにくかったんですけど、岸岡さんは音楽の話が合うひとやコミュニティとの出会いはスムーズだったんですか?

DK:それは、ツイッターで。

へえー! でも、いまっぽい話かも。

DK:学校では、俺が「アークティックいいぜ」って周りに薦めると2人ぐらい「いいね」って言ってくれたんですけど、いっしょに音楽をやろうとはならないし。自分の世代だと中2か中3ぐらいでみんなツイッターをはじめるので、ネット上でみんなが自分の好きなものにワイワイ言う、みたいなものは見ていました。当時 The 1975 が出てきたとこで、「あいつらはカッコいいのか」みたいな議論があったりして。そこで知り合ったひとに誘われました。

なるほど、ちょっとひねくれた集まりのなかから(笑)。その後、岸岡さんご自身が Ceremony を作って、それが Strip Joint になっていくわけですけど、それも自然と音楽志向の合うひとと出会っていったんですか?

DK:オリジナル・メンバーのうち、いまもいるギターの島本さんは趣味が合う感じでしたね、ザ・スミスとかが好きで。ドラムの西田くんは、もうちょっとオルタナとかエモ寄りです。学生のつながりのなかで、「こいつならいっしょにやれる」って思えるひとを探してきたって感じでしたね。

音楽的なテイストで言えば、インディ・ロック志向の強いひとを集めた感じなんですか?

DK:ポスト・パンク・リヴァイヴァル以降の流れのインディ・ロックは自分にとってはいちばん思い入れがありますが、メンバー全員にとって特別なジャンルかと言われるとそうじゃないと思います。西田はヒップホップやハードコアも好きだし、ジャズやフュージョンなど、それぞれに幅広く聴いてる感じです。

野田:ちなみに Ceremony っていうのはジョイ・ディヴィジョンの曲名から取ったの?

DK:なんとなく頭にはあったんですけど、取ったというわけではないんですよ。

僕の印象としては、とくに活動初期は英国ポスト・パンクからの影響が強いように感じたんですけど、ポスト・パンク・リヴァイヴァルも含めて、惹かれたポイントはどういったところだったんですか?

DK:そもそもオリジナル・ポスト・パンクは通ってなくて、あとから雑誌で得た知識なので、そこについて語るのはちょっと気が引けるんですけど。ただ、機械的で痙攣するようなビートや、ダンス・ミュージックなんだけど不自然なダンス感覚なんかは、ジャンルとしてのポスト・パンクの好きな部分かな。

まずは何よりもサウンドの部分が。

DK:踊れるっていうのが大きいですね。

なるほど。あと、Strip Joint はバンド・アンサンブルとしてはトランペットとキーボードがいることによる個性も大きいですよね。それらが必要だと感じたのはなぜだったんですか?

DK:小さい頃からテレビで演歌が流れるとよく聴いていたんですけど、非ロックの要素がたぶんもともと好きだったんですよ。それこそアークティック・モンキーズも、ある時期から60年代頃のポップスからの影響を受けてますけど──ザ・スリー・ディグリーズやオージェイズみたいなコーラス・グループなんかに──、「こういうの俺も好きだな」と早い段階から思っていたので。本当なら小さいオーケストラを入れたいぐらいで。あとはキング・クルールが出てきたときに、「やべえ」ってなって(笑)。ここ5年ぐらいですかね、いわゆるインディ・ロックが音楽的に広いジャンルになったのと共振したいという想いもありました。

社会からのメッセージをひとつひとつ聞いているとしんどいじゃないですか。自分のナマの感情が死んでいく感じがする。そういったものに対して反抗をしてもいいんだぜ、みたいなところですかね。

いまのキング・クルールの話は象徴的なように思いますね。ここ10年くらいで注目されるUKのインディ・ロックは音楽的により折衷的になっていますが、そういう同時代のバンドの動向はやはり気になっているんですか?

DK:かつては気になってましたが、みんなが同じ音楽に熱狂するっていうことをミュージシャンがしていていいのかなって思うようになって。みんなと違うところを発見するのが俺のやるべきことだと思うようになったので、最近は新しいものを追いかけなくなりました。

そうだったんですね。ただ、メンバー間でいま熱い音楽みたいな話にはなるんじゃないですか?

DK:長谷川白紙が熱いという話はありましたね。あと藤井風とか。

へえ! それは意外かも。

DK:たとえばブラック・カントリー、ニュー・ロードは話題にすら挙がらないですし……。たぶん、みんなチェックはしてると思うんですけど。

えっ、それも意外です。

DK:自分たちとやってることが近いかも、みたいな意識もあまりない気がします。やっぱり背景からすべて違いますからね。

なるほど。バリバリ意識してるのかなと勝手に思っていたので、それは面白いですね。いま名前が出たブラック・カントリー、ニュー・ロードはアンサンブル自体が民主的に作られているという話もありますよね。Strip Joint は岸岡さんがリーダーということですが、サウンド自体はメンバーの意見が反映されてどんどん変化する感じなんでしょうか。

DK:俺がリーダーとして最終判断をする立場にあるので、「これでいいかな」みたいな感じでメンバーが聞いてくるというのはあります。ただ、アルバムに入っている “Hike” と “Against The Flow” って曲は1年半前くらいにリハをしたときに、俺がスタジオに入らず、他のメンバー5人でアレンジを考えてもらったことがあって。

“Hike” と “Against The Flow” はアルバムのなかでも、とくにアレンジが異色の曲ですよね。

DK:それで面白いアイデアが出てきたので。なんとなく西部劇っぽいイメージみたいな話はしてたんですけど、あそこまでドラマティックに大仰な感じになると思っていなかったので、びっくりしました。アルバムは半分ぐらいがメンバーのアイデアを有機的に生かしたもので、残り半分は俺が頭のなかで緻密に組み立てたものをみんなにそのまま演奏してもらった感じです。ゆくゆくは有機的な部分がもっと増えていったらいいなって思ってますけど。

いまのはいい話ですね。“Hike” や “Against The Flow” がアルバムに入っていることによって、Strip Joint の個性が目立っているところがあると思うので。いっぽうで、歌詞の世界観やテーマはどんなふうにメンバー間でシェアしているんですか?

DK:みんなでアレンジを練るっていうのはありつつも、まずはデモを俺が渡しているので、そのときに歌詞を見てもらう感じですね。

歌詞が英語なのは自然な選択だったんですか?

DK:最初にはじめたバンドが英語だったので、その延長でしかできてないっていうのはあります。いつか日本語でも書けるように、もっと幅を広げていく必要があるんだろうなとは思ってるんですけど。聴いてきたものの影響を素直に出したというのもあったし、リズム感が好きというのもあります。

サウンド的にもフィットする?

DK:それはそうですね。英語できちんとポップスを作ることも、日本人がやってできないわけがないじゃないかという想いはあります。

あと、岸岡さんが英米文学の素養があるのも関係しているのかなと僕は想像しているんですけど。

DK:そこは出したかったんでしょうね。こういうのを知ってるぞ、というのは(笑)。

(笑)具体的に、アルバムに入っている文学からの影響はありますか?

DK:“Yellow Wallpaper” って曲は、シャーロット・パーキンス・ギルマンの同名の小説(邦題『黄色い壁紙』)から取ってます。それがすごく面白い小説で、いまはフェミニズムの文脈で評価されている短編なんですけど。女性が主人公で、医者の夫に「あなたは安静にしてなければならない」と言われて、言われたとおりにしていたら頭がおかしくなって、壁紙からひとが出てくる妄想を抱くという内容のホラーです。現代で生きることの抑圧みたいなものを、そこから着想を得て自分なりに書いてみようと思いました。

そうだったんですね。アルバム・タイトルの『Give Me Liberty』はエミリー・ブロンテの同名の詩からの引用ということでしたが、フェミニズム文学からの影響は意識的にあったんですか?

DK:うーん、それは偶然だと思います。

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自分たちがやってることの意味を話し合おうよっていう時間があって。で、大事なのは自由なんじゃないかって話が出たんですよ。そのときは「Liberty」って言葉は出てないですけど、たぶんそのことが頭にあって

最近は変わってきていますけど、インディ・ロックは長らく白人男性中心の文化でもありましたよね。いまの話って、偶然にせよ Strip Joint にフェミニズム文学の影響が入っているのが面白いと思ったんですよ。Strip Joint はメンバーの男女比が自然に半々になっているのもいいなと個人的は感じています。

DK:それは自然な成りゆきでしたね。まあでも、俺の性格的に男友だちよりも女友だちのほうができやすいというのもあります。

へえー! いいですね。

DK:最初、島本さんを誘ったのも話しやすかったし、音楽の趣味があったというのがあって。はじめサポートで入ったトランペットの雨宮さんとキーボードの富永さんは、島本さんのサークルの友人だったので、それも自然な流れでしたね。

日本のインディ・ロックのシーンもまだまだ「男子」が中心の文化なのかなと、僕は個人的には感じてしまうところがあるんですけど、Strip Joint は自然と男女が混ざっている感じがあって現代的だなと思います。ただ、メンバーがやや多いなかで苦労することはありますか?

DK:うーん……ステージが狭い。

(笑)でも、それはカッコいいと思いますよ。

DK:そうですか(笑)。ギターとか当たりそうになりますね。

逆に、6人いることの強みは感じますか?

DK:面白い音楽をやっているなってパッと伝わりますし、そう言われることも多いですね。サウンドの幅も広がりますしね。ギター、ベースだけじゃできないオーケストレーションがあるので、作曲者としてのやりがいはあります。面白いバンドのコンポーザーでいられるのは楽しいですね。

岸岡さんはピアノを学ばれていたということもあると聞きましたが、コンポーズしたい気持ちも強いんですね。

DK:そうですね。

そのコンポーザーとしての姿勢もあって『Give Me Liberty』はアレンジメントの幅が広いのがいいと思います。こういうファースト・アルバムにしたいというのは事前にあったんですか?

DK:これまでもアルバムを作ろう作ろうと言ってたんですけど、自分たちにアルバムを作る能力があるんだろうかと不安に思ってたんですよ。で、曲がいろいろあるなかでどうやってレコーディングしようか悩んでいたところを、〈kilikilivilla〉の与田さんに出会って。それでいろいろ相談できて、レコーディングのこともわかっている方がいてっていうところで、ようやく自分たちのベストを尽くすのを心置きなくできる状況になりました。時間があったのでデモを作りためることもできて……、だから純粋に自分たちにできるベストをやろうっていうのがいちばん大きかったですね。

それはファースト・アルバムらしい話ですね。与田さんからリクエストはあったんですか?

kilikilivilla与田:とりあえず4年ぐらい活動していたなかからベストを選ぼうって感じですね。アルバムとしてのイメージというよりは、この曲は入れてほしい、この曲はこういう感じにしてほしいというようなリクエストはけっこうしました。

なるほど。ちなみに最高のファースト・アルバムと言われて思いつくのは?

DK:まあアークティックでしょうね(笑)。

野田:やっぱり1枚目もいいよね(笑)。

DK:MGMTのファースト(『Oracular Spectacular』)も最高ですね。あとはやっぱりオアシスじゃないですか。あとさっき与田さんとも話してたんですけど、プライマル・スクリームのファーストも最高ですね。

それらに共通するものってありますか? なぜ最高なのか。

DK:瑞々しさ、ですね。自分たちのファーストがどんな価値があるのかわからないので、並べていいのかわからないですけど(笑)。

いや、全然並べてだいじょうぶだと思いますよ。とくに達成感があるのはどんな部分ですか?

DK:時間かけて準備したのもあって、同じような曲ばかりじゃなくて、バラエティのあるものにできたとは思います。あと、昔の曲を突っこむこともしたんですけど、そのままでは入れたくなくて、歌詞の書き換えもしたんですよ。英語圏のひとに読まれても、文学的な意味で言いたいことが何かというのは伝わるものになっていると思います。

なるほど。これは野暮な質問ですが、その「言いたいこと」をあえて説明するとどういうものになりますか?

DK:そうですね……まともに生きていて、社会からのメッセージをひとつひとつ聞いているとしんどいじゃないですか。自分のナマの感情が死んでいく感じがする。そういったものに対して反抗をしてもいいんだぜ、みたいなところですかね。

いまの社会の閉塞感に対する苛立ちがある?

DK:ボーッとしてると、自分のなかにある感受性や、心を動かす想像力がだんだん薄れていくのがわかるし。そうじゃないときの自分のほうが好きだから、それを忘れないという決意表明として曲を書いているところはあります。

ギター、ベースだけじゃできないオーケストレーションがあるので、作曲者としてのやりがいはあります。面白いバンドのコンポーザーでいられるのは楽しいですね。

アルバム・タイトルのなかの「Liberty」というのも、社会的な言葉でもありますよね。このタイトルにした理由をあらためて教えてください。

DK:メンバーで自分たちがやってることの意味を話し合おうよっていう時間があって。で、大事なのは自由なんじゃないかって話が出たんですよ。そのときは「Liberty」って言葉は出てないですけど、たぶんそのことが頭にあって、パラパラと詩集をめくってるときに目に留まった言葉です。自分が大事にしていることを端的に表したいい言葉だと思ったし、バンド・メンバーと共有できるとも思ったし。メッセージ性があるのもいいと思いました。

そういうところも含め、Strip Joint はインディらしいDIY精神があるバンドだと思います。そういったインディペンデント精神はライヴハウスでの活動ともつながっていると感じますが、Strip Joint にとってライヴ活動を続けていく意義はどういうところにありますか? かなり頻繁にライヴをすることを自らに課しているそうですが。

DK:バンドの数が多いなかで、きちんと存在をアピールしないとあっという間に忘れられるっていうのを、一年くらい活動しなかった時期に体感してるので。そこは責任を持ってライヴを続けていきたいと思っています。いまやっている規模よりももうちょっと集客できるようになって、これまでお世話になってきた小さなライヴハウスに恩を返したい気持ちもあります。ただ、自分たちのやりたいことをやって、自主企画をやって、ってしていてもなかなかうまくいかないことが多くて。これからどんどん大人になっていくなかで、不安や自信の持てなさのほうが正直大きい。圧倒的に売れなかったとしても健全にバンドを続けていくあり方を探すというのは、今後のシリアスな課題ですね。

その不安のなかでもとにかく動く、っていう時期なんでしょうか。

DK:そうですね。月イチで必ずライヴをして、次のアルバムも作って、みんなで協力していきたいというところですね。

そんななかで、自主企画イベント〈iconostasis〉では多様なミュージシャンが出演されているとのことですが、ああいったイベントをするモチベーションはどんなものですか?

DK:10代のときに東京に出てきて、インディ・ロック・バンドの出てるイベントにテクノやトランスのアクトが出演し、彼らがジャンルの垣根なく情報交換していたりしていたのを見てたんですよ。そういうパーティがすごくカッコよかったんですよね。バンドが順番に出てきて、終わったらライヴハウスのひとに頭下げて、打ち上げして、みたいなのじゃなくて、アーティストそれぞれが主体的にやっているのがいいと思ったし。自分がバンドをやるなかでも、いわゆるバンド・イベントみたいなものじゃないものをイチからやりたいと思っていましたね。今回はずっと続けていたことの集大成として企画しました。

いやほんと、アーティスト主体であるのが伝わってくるイベントですね。では最後に、Strip Joint としての今後の最大の目標は何でしょう?

DK:10年後、20年後にも、自分の書いた曲に誇りを持って演奏できていればそれでいいと思います。

そのためにもっとも必要なことは何だと思いますか?

DK:日々めげずに、前向きに、やるべきことをやっていくことかなと思います。

それはストイックな。これからの地道な活動に期待しています。

DK:ありがとうございます。

 インタヴューの後日、小岩のBUSHBASHで開催されたStrip Joint主催のイベント〈iconostasis#7〉に足を運んだ。そこには洒落ているが自然体のインディ・キッズたちが集まっていて、思い思いに個性的なインディ・ミュージシャンたちの音を楽しんでいた。
 6人には狭く見えるステージに登場した Strip Joint は、生演奏でも高いアンサンブル力を発揮し、集まったオーディエンスの熱を上昇させていた。アルバム収録曲以外にもジャジーな揺らぎが感じられる実験的な曲も披露され、バンドのさらなるポテンシャルを思わせる一幕もあった。が、何より重要なのは、大きな場所でなくとも、確実に自分たちの手で音楽をシェアする空間を作り上げようとする意思が漲っていたことだ。Strip Joint がより多くのひとに発見されるのは、そう遠くのことではないだろう。

Zettai-Mu“ORIGINS” - ele-king

 大阪の KURANAKA a.k.a 1945 が主宰するパーティ、《Zettai-Mu “ORIGINS”》最新回の情報が公開されている。今回もすごい面子がそろっている。おなじみの GOTH-TRAD に加え、注目すべき東京新世代 Double Clapperz の Sinta も登場。10月15日土曜はJR京都線高架下、NOONに集合だ。詳しくは下記よりご確認ください。

Zettai-Mu “ORIGINS”
2022.10.15 (SAT)

next ZETTAI-MU Home Dance at NOON+Cafe
Digital Mystikzの Malaが主宰する UKの名門ダブステップ・レーベル〈DEEP MEDi MUSIK〉〈DMZ〉と契約する唯一無二の日本人アーティスト GOTH-TRAD !!! ralphの「Selfish」 (Prod. Double Clapperz) 、JUMADIBA「Kick Up」など(とうとう)ビッグチューンを連発しだしたグライムベースミュージックのプロデューサーユニット〈Double Clapperz〉Sinta!! CIRCUS OSAKA 人気レギュラーパーティー〈FULLHOUSE〉より MileZ!!
大阪を拠点に置くHIPHOP Crew〈Tha Jointz〉〈J.Studio Osaka〉から Kohpowpow!!
27th years レジテンツ KURANAKA 1945 with 最狂 ZTM Soundsystem!!
2nd Areaにも369 Sound を増設〈NC4K〉よりPaperkraft〈CRACKS大阪〉のFENGFENG、京都〈PAL.Sounds〉より Chanaz、DJ Kaoll and More!!

GOTH-TRAD (Back To Chill/DEEP MEDi MUSIK/REBEL FAMILIA)
Sinta (Double Clapperz)
MileZ (PAL.Sounds)
Kohpowpow (Tha Jointz/J Studio Osaka)
and 27years resident
KURANAKA a.k.a 1945 (Zettai-Mu)
with
ZTM SOUND SYSTEM

Room Two
Paperkraft (NC4K)
FENGFENG (CRACKS)
Chanaz (PAL.Sounds)
DJ Kaoll
Konosuke Ishii and more...
with
369 Sound

and YOU !!!

at NOON+CAFE
ADDRESS : 大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線高架下
3-3-8 NAKAZAKINISHI KITAKU OSAKA JAPAN
Info TEL : 06-6373-4919
VENUE : https://noon-cafe.com
EVENT : https://www.zettai-mu.net/news/2210/15

OPEN/START. 22:00 - Till Morning
ENTRANCE. ADV : 1,500yen
DOOR : 2,000yen
UNDER 23/Before 23pm : 1,500yen
※ 入場時に1DRINKチケットご購入お願い致します。

【予約はコチラから】
>>> https://noon-cafe.com/events/zettai-mu-origins-yoyaku-7
(枚数限定になりますので、お早めにご購入ご登録お願い致します。
 LIMITED枚数に達した場合、当日料金でのご入場をお願い致します。)

【新型コロナウイルス感染症拡大防止対策】
・マスク着用での来場をお願いします。
・非接触体温計で検温をさせて頂き、37℃以上の場合はご入場をお断り致しますので、予めご了承ください。
・店内の換気量を増やし、最大限換気を行います。
・体調がすぐれないとお見受けするお客様がいらっしゃいましたら、スタッフがお声がけさせて頂きます。

【お客様へご協力のお願い】
以下のお客様はご来場をお控え頂きますようお願い申し上げます。
・体調がすぐれないお客様
・37℃以上の発熱や咳など風邪の症状があるお客様
・くしゃみや鼻水などによる他のお客様にご迷惑をかけする可能性があるお客様
・60歳以上の方のご入店をお断りしています 。

その他、会場 WEB SITE : https://noon-cafe.com を参照下さい。

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● Special Supported by Flor de Cana

Special Interest - ele-king

 先日限定7インチ「(Herman’s) House」を送り出したニューオーリンズのスペシャル・インタレスト。ついにアルバムのリリースがアナウンスされた。現在、ミッキー・ブランコをフィーチャーした先行シングル “Midnight Legend” が公開されている。声明によれば同曲は、朝クラブを出るすべての女の子たちへのラヴ・ソングであり、まわりに愛を抱けない(孤独な)すべての人びとへのラヴ・ソングだという。バンドにとっての3枚めのアルバムとなる新作『Endure』は、11月4日に〈ラフトレード〉より発売。

SPECIAL INTEREST
この社会からログアウトする!

ニューオーリンズ在住の4ピース・バンド、
スペシャル・インタレストが、最新アルバム『Endure』を11月4日に発売!
ミッキー・ブランコを迎えたリード・シングル「Midnight Legend」を公開!

ニューオーリンズのノー・ウェイブ・パンクバンド、スペシャル・インタレストは本日、〈Rough Trade Records〉から初となる、バンドにとっての3rdアルバム『Endure』を2022年11月4日(金)にリリースすることを発表した。この発表は、アイコニックなラッパー、パフォーマンス・アーティスト、詩人、活動家のミッキー・ブランコをフィーチャーしたリード・シングル「Midnight Legend」と、スペシャル・インタレストのボーカリスト、アリ・ログアウトが監督した素晴らしいミュージック・ビデオとともに公開された。最新アルバム『Endure』はセルフ・プロデュースされたアルバムで、エンジニアはジェームス・ウィッテン、ミックスはコリン・デュピュイ(エンジェル・オルセン、イヴ・トゥモア、ラナ・デル・レイ)、マスタリングはロンドンの〈Metropolis〉でマット・コルトンが担当した。

11月4日に発売となる、アルバム『Endure』CD/LPは本日より随時各店にて予約がスタートする。

“Midnight Legend” は、午前6時にクラブを出るすべての女の子へのラブソング、自分の周りで愛情が感じられないすべての人へのラブソング。孤立感や孤独感を感じるゆえに、自分自身を麻痺させたり、危険な行動に走ったりするのは、クラブやさまざまな娯楽施設、そして「パーティー友達」に助長されている部分もあると思う。この曲は、実際には決して聞かれることのない人々の声に耳を傾けている歌。このビデオで描かれている3人のレジェンドたちは、一人の人間でありながら、それぞれ異なる悲しみのプロセスを表現している。一人は、頭がおかしくなりすぎていっちゃってるやつ。もう一人は、体の関係を持つことで自分の心を麻痺させているアバズレ。そして、三人目は、ある瞬間、世界に心を再び開いて、愛情を受け入れられるようになる自分。ビデオの最後で、その三人は一つになり、元の自分自身に戻ることを意味している。──アリ・ログアウト

Special Interest - Midnight Legend ft. Mykki Blanco
https://www.youtube.com/watch?v=jss7mRU67e8

label: Rough Trade / Beat Records
artist: Special Interest
title: Endure
release: 2022.011.4 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD RT0303CDJP(解説付)¥2,200+税
輸入盤CD RT0303CD
通常LP RT0303LP
LP 限定盤 RT0303LPE(Yellow/LTD)
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12984

TRACKLISTING
01. Cherry Blue Intention
02. (Herman’s) House
03. Foul
04. Midnight Legend
05. Love Scene
06. Kurdish Radio
07. My Displeasure
08. Impulse Control
09. Concerning Peace
10. Interlude
11. LA Blues

Larry Heard - ele-king

 ビヨンセの新作はハウス・ミュージックに焦点を当てたものだったが、ハウスの故郷であるシカゴで、1980年代後半に生まれた大名曲のほとんどは〈トラックス〉レーベルからリリースされていた。しかしながら、このレーベルは早くから黒い噂に包まれていた。レコード製造のために中古盤を溶かして再利用した話はその有名なひとつで、もうひとつ有名な話は、アーティストへの印税の支払いがなく、また許可もなくがんがんに再プレスやらライセンス契約をしていたことが挙げられる。(初期のシカゴ・ハウスのシーンは、まだ業界のことなくど何も知らない純粋な若い人たちの集まりだったので、それが商売になることなど考えてもいなかった)
  
 ディープ・ハウスの先駆的作品であり、クラシック中のクラシックとして名高い“Can You Feel It?”や“I'll Be Your Friend”、あるいはアシッド・ハウスの名曲“Washing Machine”や“Beyond The Clouds”などといった、これまでいったいどれほどの枚数が売られ、どれほどの人たちに聴かれてきたのか計り知れないような曲を制作しながら、これまでいっさいのロイヤリティを支払ってもえなかったラリー・ハードとロバート・オウェンスのふたりは、この度、著作権侵害に関する2年におよんだ〈トラックス〉との法廷闘争の末に勝訴したことを昨日『ガーディアン』が報じた。かくして36年目にしてラリー・ハードとロバート・オウェンスのふたりは自分たちの曲の権利を自分たちのものにすることができたのだった。アドニスも2年前から35年以上前の未払いをめぐって法廷闘争の準備をはじめているという。
 
 とはいえ、決して晴れ晴れしい勝利というわけでもない。ラリー・シャーマンが他界し、現在その権利を継承した妻と〈トラックス〉にはすでに支払い能力がなかったため、ディープ・ハウスのオリジネイター2人はこの勝訴によっていっさいの金銭を受け取ることはできなかった。〈トラックス〉は、初期シカゴ・ハウスで何百万ドルの収益を得ているというのに、だ。それでも記事を読む限りでは、ラリー・ハードの態度はさばさばしており、昨今のハウス・ブームに素直に喜んでもいる。また、いまは自身の初期音源を整理していくことにも情熱を持っているようだ。
 今年ラリー・ハードは、〈Alleviated〉からディープ・ハウスの大名盤『Ammnesia』を再リイシューし、また、新作「Around the Sun Pt 1,」もリリースしたばかり。ビヨンセやドレイクのファンにもぜひチェックしてもらいたい。
 

 

FESTIVAL FRUEZINHO 2022 - ele-king

 ご存じ新作をリリースしたばかりの坂本慎太郎や、cero、折坂悠太に加え、つい最近11歳の新人とのコラボがアナウンスされたサム・ゲンデルとベーシストのサム・ウィルクスによるコンビ、そしてジャズを出自とするポルトガルの音楽家ブルーノ・ペルナーダス──3都市で開催され、豪華なラインナップをじっくり堪能できるフェス《FESTIVAL FRUEZINHO 2022》のタイムテーブルが発表されている。

 東京公演ではペルナーダスとゲンデル&ウィルクスがそれぞれ70分、坂本慎太郎とceroがそれぞれ60分のパフォーマンスを披露。大阪公演ではペルナーダスが70分、ゲンデル&ウィルクスが60分、折坂悠太が30分のセットを予定している(名古屋公演のみタイムテーブル非公開)。詳細はこちらから。

FESTIVAL FRUEZINHO 2022、東京と大阪のタイムテーブルを公開!
名古屋のタイムテーブルは非公開で、19時スタートとなります。

FRUEZINHO@立川は、演奏時間はできるだけたっぷり、転換の時間も比較的長めにとっています。
今回、おいしいワインやお酒、食事の提供はありません。その代わり、会場を出るとテイクアウトできるお店やアルコールを販売しているお店、コンビニなどがあり、再入場ができますので、適宜、利用してください。晴れれば芝生スペースで寛ぐこともできますので、節度を持ってお楽しみください。
ただし、会場内へ飲食物を持ち込むことはできません。例外として、水筒やペットボトル等キャップが付いているものであれば会場内へ持ち込めますので、これを機にマイボトルの購入など検討してください。
なお、大阪ユニバースでの公演は、再入場不可となります。

■FESTIVAL FRUEZINHO 2022

*開催日
6月26日(日)

*開催時間
開場 13:00 / 開演 14:30 / 終演 21:30 

*開催地
立川ステージガーデン

*ラインナップ
Bruno Pernadas
cero
Sam Gendel & Sam Wilkes
Shintaro Sakamoto

*チケット
前売:14,000円
当日:16,000円

------------

SOLDOUT!!

*開催日時
6月27日(月)

*開催時間
開場 18:00 / 開演 19:00 

*開催地
TOKUZO

*ラインナップ
Sam Gendel & Sam Wilkes
Yuta Orisaka

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*開催日時
6月28日(火)

*開催時間
開場 18:00 / 開演 19:00 

*開催地
ユニバース

*ラインナップ
Bruno Pernadas
Sam Gendel & Sam Wilkes
Yuta Orisaka

*チケット
前売:9,000円
当日:11,000円

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*詳細
https://fruezinho.com/

*Flyer Image
Yuriko Shimamura

*後援
在日ポルトガル大使館

*協力
infusiondesign inc. / KIMOBIG BRASIL / Eastwood Higashimori / ハタケスタジオ / イマジン / FLATTOP / SPREAD / melting bot / 水曜カレー / BLOCK HOUSE

*主催
FRUE

 ラッパーの Moment Joon が初めてソロ曲としてドロップした楽曲 “BAKA”。名作『失点 in the park』とおなじ2003年に ECD が発表した重要曲 “言うこと聞くよな奴らじゃないぞ” をサンプリングした同曲は、その後あっこゴリラと鎮座DOPENESS を迎えたヴァージョンが制作されているが、このたびさらなるリミックス・ヴァージョン “BAKA (Mega Remix)” が公開されている。新たに GAGLE の HUNGER、ACE COOL、Jinmenusagi をフィーチャー。強力さを増したメッセージに注目しましょう。

Moment Joon - BAKA feat. あっこゴリラ, 鎮座DOPENESS, HUNGER (GAGLE), ACE COOL & Jinmenusagi (Official Video)
https://youtu.be/bRMCFxx2C2E

Title: BAKA (Mega Remix)
Artist: Moment Joon / feat. あっこゴリラ & 鎮座DOPENESS & HUNGER (GAGLE) & ACE COOL & Jinmenusagi
Music: NOAH
Producer: NOAH
Mixing & Mastering :Sota Furugen
Directed by Udai Yabuta
Label: GROW UP UNDERGROUND RECORDS

https://linkco.re/489d21cB

「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ!!」――6人のラッパーがステージで前のめりになりながら声を合わせてくり返し大声で歌っている。その迫力にただただ圧倒される。2021年12月8日、Moment Joonのワンマンライヴ「White Lies & Blue Truth」でのワンシーン。その場面を目撃した少なくない人が強い衝撃を受けたのではないだろうか。このパンチの効いたことばは、Momentが敬愛するいまは亡きラッパー・ECDの曲名で、偉大な先達が曲のなかで力を振り絞ってくり返したものでもあった。ECD はその楽曲を、2003年のイラク戦争に抗する反戦デモの参加者たちを鼓舞するために作っている。日本における“少数派”を勇気づけるためだった。Momentは最初にソロ曲として発表した「BAKA」で、そんな約17年も前の日本のヒップホップをサンプリングしたのだ。その後、鎮座DOPENESSとあっこゴリラが参加したヴァージョンがリリースされ、さらにHUNGER、ACE COOL、Jinmenusagiが加わったメガ・リミックスが完成した。そして、この6人の怒りのこもったマイク・リレーが初めて披露されたのが例のワンマンライヴだった。Momentは曲の冒頭で「血は繋がってないけど、シスター/ブラザー」と言う。それはきっとあなたのことであり、私のことでもある。「BAKA」という曲は、“言うこと聞かないBAKAな奴ら”のためのヒップホップにちがいない。(二木信)

ダンスの夏へ - ele-king

 ダンス・ミュージックの良いところは、幅広い人にアプローチできるところであり、基本ピースなところであり、また、サウンドの実験場としても機能するところ。海の向こうは、いよいよダンスの夏を前に準備万端といった感じだけれど、日本はどうなるのでしょうか。先週末、ぼくは京都のイーノ展を観にいって、稲岡健とオキヒデ君と文字通り浴びるように呑んだ翌日、静岡に寄って、小さなクラブ〈Rajishan〉にて、CMTほか地元のDJたちがかけるハウスやテクノでダンスしました。当たり前だけど、音を身体に感じながら踊るって、いくつになっても楽しいよね。


Ron Trent presents WARM - What Do The Stars Say To You Night Time Stories /ビート

Deep House

 シティ・ポップが世界で大流行だって? いい加減なことを書いてしまう人がいるものだ。南米やアフリカのクラブでも、日本の70年代末〜80年代のポップスが種々雑多にかかっているならそう言えるだろうけど。つまりレゲトンやダンスホールのように、アマピアノのように。ぼくが知る限りでは、世界で大流行する音楽はだいたいダンス・ミュージックだ。ハウス・ミュージックは、そういう意味では30年前に世界で大流行した音楽のひとつで、いまでもこの音楽は老若男女問わずに踊らせてくれる。
 ロン・トレントは、1980年代なかばの彼が10代のときに作ったデビュー曲によって一世を風靡し、1990年代のシカゴ・ディープ・ハウスのもっとも輝かしい存在として影響力をほこったDJ/プロデューサーだ。トレントのような人は、ダンスフロアが歓喜の場であり、同時に魂を洗浄する場であることにも自覚的だった(彼の伝説的なレーベル名は〈処方箋〉=〈Prescription〉という)。ほとんど外れ無しだった彼が90年代に残した音楽は、いまでもその深さを失っていないが、トレントは年を重ねるなかで、柔軟に変化を受け入れて彼の音楽に磨きをかけている。
 今年49歳のベテラン・ハウス・プロデューサーの新作には、共演者として(驚くべきことに!)ヒューストン出身のクルアンビンがいる。そして、79歳のフランス人ヴァイオリニストのジャン=リュック・ポンティ、66歳のイタリア人ジジ・マシン、ブラジリアン・ジャズ・ファンクの大御所、アジムスのリズム隊=アレックス・マリェイロス(ベース)とイヴァン・コンチ(ドラム)がいる。トレントはこうした豪華ゲスト陣を的確な起用法をもってフィーチャーし、スムーズで快適なアルバムに仕上げている。大人のハウス・ミュージックだが、この音楽の奥深さに興味のある若い世代にも聴いて欲しい。


Joy Orbison - Pinky Ring / Red Velve7 XL Recordings

UK GarageTechno

 昨年アルバムを出したUKベース世代の人気DJによるキラー・チューン。いや〜、カッコいいです。もうすぐ限定で10インチも出るそうで、君がDJならゲットしよう!


Various Artists - The Assurance Compilation

AmapianoAfrobeatHouseTechnoBaile FunkGqom

 ベルリン在住のDJ、Jubaは欧米以外の国々で活動する女性DJの音源をコンパイルしてリリースした。ベトナム出身DJ/プロデューサーのMaggie Tra、ブラジル出身プロデューサーのBadsista、南アフリカ出身DJ/プロデューサーのDJ IV、台北出身のSonia Calico、ナミビア共和国出身のGina Jeanzなどなどによるマルチ・カルチュアラルなコンピレーションで、なおかつ女性アーティスト限定。これもまた、ブラック・ライヴズ・マター(創始者の金のスキャンダルには失望したが、しかしそれ)を引き金とした、ポスト植民地主義時代の大きな波(ムーヴメント)に乗って生まれた作品と言える。


Phelimuncasi - Ama Gogela Nyege Nyege Tape

GqomGhetto

 南アフリカのゴム3人衆。DJ MP3、DJ Scoturnといった以前からの仲間のほか、韓国のIDMアーティスト、 NET GALA。ダーバンのDJ Nhlekzinらも曲を提供している。激しいことこのうえないが、DJ MP3によるドローンの“uLalalen”には至福の境地が、NET GALAによる“ Dlala Ngesinqa”ではゲットーテック、DJ Scoturnによる“Maka Nana”ではヒプノティックなアフロ・ハウス……といった具合に、じつにヴァラエティー豊かな内容になっている。4つ打ちのキックドラムが入る“Kolamula Ukusa”も推進力がある曲で、ウガンダのアンダーグラウンド・シーンの勢いと濃密さをしたたかに感じる。ドミューンでイーノについて喋った翌日、浅沼優子とそこそこ呑んで、ネゲネゲ・フェス体験談を聞かされたばかりなんで、とくに。


Slikback - 22122

Experimental

 ケニアのクラブ・カルチャーにおける実験精神を負っているひとり、スライクバックによる最新作で、bandcampからは定価無しでゲットできる。なので、この機会にぜひ聴いて欲しい。彼のユニークな音楽の背後には、いろんなもの(テクノ、ノイズ、Gqom、グライム等々)があるのだろうけれど、咀嚼され、はき出されるサウンドはきわめて因習打破的だ。君が好む好まざるとに関わらず、彼のようなサウンドの挑戦者がいるからこそクラブ・カルチャーは風俗にならず、文化としての強度を保っているということもどうか忘れずに。


Dopplereffekt - Neurotelepathy Leisure Systems

Electro

 ドレクシア(最近弟がWavejumpers名義でシングル出しました)のオリジナル・メンバーだったジェラルド・ドナルドによるプロジェクトとはいえ、ドップラーエフェクトはデトロイト・エレクトロにおける異端だ。黒人男性と白人女性によるデュオによる電子音楽という点では、ハイプ・ウィリアムスの先達でもあるのだが、そのコンセプチュアルな作風においても先を行っていた。ただし彼らは少し風変わりで、ある種病的なテーマ(ファシズム、エロス、科学者、遺伝子学等々)を扱いつつ、それらはつねに冷酷なマシン・サウンドによって形作られている。新作においても、その美学が1995年からブレていないことが確認できるだろう。ドップラーエフェクトは非人間性=機械のなかにエロティシズムを見いだし、人工物と人間との融合を夢みているかのようだ。ドレクシアの感情をかき立てる激しさとは対極の、人気のない病院のような、静的でひんやりとした感触が広がっている。


Compuma - A View Something About

AmbientDubExperimental

 日本からは、欧米の物まねではない独自のセンスを持ったおもしろい表現者がポツポツと生まれるわけで、最近でいえば食品まつりなんかがそう。で、Compumaもまた、オリジナリティを持ったDJ/プロデューサーのひとりだ。食品まつりは、いちぶの欧米人から見ると横尾忠則のナンセンスなサイケデリアを彷彿させるそうだが、それに倣って言えば、Compumaは(京都のお茶の老舗店からCDを出しているし)千利休のダブ・ヴァージョンだ……というのは冗談です。が、彼には独特のダブ・センスがあって、それは派手にかまさないからこそにじみ出る魅力を持っている。その抽象化された音像と間の取り方は、じつに独特だ。
 Compumaのソロ・アルバム『A View』は、アンビエント、フィールド・レコーディング、ダブ、シンセサイザー音楽、エレクトロ、そういったものからヒントを得て作られた立体的かつ空間的な音楽で、題名が示すようにサウンドスケープ(音で描く風景)作品とも言えるのだろう。山っ気やエキセントリックな要素はまったくない。その代わりここには、強固な意志によって創出された「ゆるさ」というものがある。Compumaは息苦しいこの時代のなかで、みごとなシェルターを立ち上げているように見える。音素材自体は演劇のために制作されたものだという話だが、そうした予備知識を抜きに聴いてぜんぜん楽しめるし、さすがベテラン、抽象的であるがゆえになんど聴いても飽きない。


Overmono - Cash Romantic   XL Recordings

Techno

 とりたてて目新しくはない、でも、とにかくカッコいい。こういうトラックを聴くとオーヴァーモノがUKのダンス・シーンで幅広く支持されているのが理解できる。ミニマルなテクノにソウルフルなヴォーカルが若々しい感性によってミックスされる。いかにもUKらしいトラックというか、君がDJでテクノが好きなら、フロアの熱を上げたいとき、これをスピンすれば間違いないよ。


Petronn Sphene - Exit The Species

No Wave RaveExperimental

 以前紹介した衝撃のジ・エフェメロン・ループの変名によるなかばガバの入ったハードコア・レイヴ・アルバム。日本は、梅雨が終われば参院選かぁ。サマー・オブ・ヘイトにならなければいいけれど……。とまれ。この音楽、ダンスフロア向きかどうかは議論の余地がありますが、ライヴハウスで暴れたい人にはコレでしょう。

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