「Nothing」と一致するもの

Coucou Chloe & Meth Math - ele-king

 音楽を中心としたプラットフォーム〈AVYSS〉が立ち上げから5周年を迎え、11月18日(金)の深夜に渋谷WWW Xにて「AVYSS X」を開催。今回はロンドンよりクク・クロエ(Coucou Chloe)、メキシコよりメス・マス(Meth Math)が来日する。国内からはAVYSSに所縁のあるアーティストを中心に30名以上が集結。5年間をそれほど総括せずに、現在と少しの未来を噛み締めたり見据えたりしつつ、出来る範囲で未知のもの(X)に向き合いたい気持ちを込めたアニヴァーサリー・パーティ。

 クク・クロエは、フランス出身でロンドン拠点に活動するシンガー/プロデューサー/ダーク・ロマンティック・アイコン。以前はセガ・ボデガとのユニットY1640としても活動し、セガ・ボデガやシャイガールとともにレーベル〈NUXXE〉を立ち上げたひとり。近年ではレディ・ガガのリミックスを手掛け、コブラ(COBRAH)やアースイーターと共作もおこなっている。

COUCOU CHLOE – DRIFT (Official Video)

 メス・マスはメキシコ・ソノラ州の州都エルモシージョ出身、パンクとレイヴのシーンで育った音楽家。その音楽性は「ラテン・ミュージックのインディ悪魔解体」「デモニック・ネオペレオ」などと呼ばれ、ウィッチ・ハウス以降のモードとラテン・ミュージックがユニークなバランスで溶け合う。これまでにセガ・ボデガ、Dinamarca、マシーン・ガールなどとコラボレーションを果たした。現在デビュー・アルバムの制作が進行中とのこと。

Meth Math - Mantis (Official Video)

 また、AVYSS Xのフライヤーヴィジュアルを反映したゲーム「X散歩」が公開。Windowsのみ対応。〈みんなのきもち〉のKazuma Watanabeが手掛けたヴィジュアルをもとに、JACKSON kakiがゲームプログラムと映像を制作。BGMとして流れる音楽を〈AVYSS〉ファウンダーの音楽家・CVN(ex. Jesse Ruins)が手掛けた。

 当日は会場内でAVYSS X記念Tシャツを販売。ホワイトとブラックの2色展開(サイズ:L/XL)。イベントのメイン・ヴィジュアルを発展させたデザインは、引き続き〈みんなのきもち〉のKazuma Watanabeが手掛けている。さらに入場者には先着でAVYSS X蓄光ステッカーをエントランスで配布(なくなり次第終了)。

 なお、XフロアでのDJとVJの組み合わせを含めたフロア分けやタイムテーブルはAVYSSのSNSにて後日発表される。

イベント詳細

公演タイトル AVYSS X -5th Anniversary-
日時 11月18日(土)
会場 WWW X + 4F https://www-shibuya.jp/
OPEN 23:30

TICKET https://t.livepocket.jp/e/20231118wwwx
ADV: ¥4,000+1d

Live
COUCOU CHLOE
Meth Math
+
BBBBBBB feat. aeoxve, 徳利(video)
CVN feat. DAFTY RORN, Milky, π
cyber milkちゃん
Emma Aibara
skeleton538
UNIT KAI
Yoyou

Shot Live

lllllilbesh ramkooo!!!!
safmusic
Saren

DJ
cityofbrokendolls
divine oracle (Yurushite Nyan×in the pool)
Lily Fury
みんなのきもち
music fm
noripi and seaketa
okadada
Shine of Ugly Jewel
SxC Loser (NordOst×YONEDA)
tomodachi100
Uztama

VJ
fantaneruran
不吉霊二
JACKSON kaki
naka renya

Video
Kenji

POP-UP
MOTHER

FOOD
駒澤零
投擲 food team(anymo, atri, kappa, munéo, Ranz Jigoku, 鬼車, 水母娘娘, 星山星子)

(A-Z)

Staging : yoh
Photo shoot : マ
Staff : yoen
Flyer : Kazuma Watanabe
Direction : CVN

Over 20 only・Photo ID required
20歳未満入場不可・要顔写真付ID
公演詳細はこちら

Road Trip To 全感覚祭 - ele-king

 GEZANが主宰するレーベル〈十三月〉による野外イヴェント、「Road Trip To 全感覚祭」が急遽開催されることになった。これまで「全感覚祭」は入場フリーの投げ銭制という独自のアイディアで運営されてきたフェスだが、パンデミックをはさみ、あらためて「Road Trip To 全感覚祭」としてひさびさに敢行される。
 会場は川崎のちどり公園。今回はチケット制で、明日8日より発売開始。GEZANのほか渋さ知らズ、ゆるふわギャング、踊ってばかりの国などなど、出演者30組も発表されている。マヒトゥ・ザ・ピーポーによるメッセージとともに、下記からご確認ください。

GEZAN主宰レーベル・十三月が主催する野外イベント『Road Trip To 全感覚祭』、開催地詳細や出演者30組を発表! (※マヒトゥ・ザ・ピーポーよりコメントあり)

GEZAN主宰レーベル・十三月が11月18日(土)深夜に開催する野外イベント『Road Trip To 全感覚祭』の現時点での詳細が明らかになった。今回発表されたのはライブアクト15組、展示やマーケットなどで参加する作家/アーティスト16組の計31組で、更なる追加発表も予定されているとのこと。

【全感覚祭】は十三月が “面白さの価値は自分で決めてほしい” というコンセプトで入場フリーの投げ銭制で開催してきた野外フェス。2019年以来、コロナ禍を経て久々となる今回は『Road Trip To 全感覚祭』と題しての緊急開催。
開催地は全感覚祭では初となる川崎・ちどり公園。20時オープン21時スタート、全感覚祭ならではの濃厚ラインナップが明け方まで展開される。

また今回は投げ銭ではなく、金額別のチケット制となることも併せて発表された。チケット金額については先着順で来場者が選べる形となっている。
来場予定の方は特設サイトに掲載されている『Road Trip To 全感覚祭』に向けてのマヒトゥ・ザ・ピーポーからのステートメント、そして注意事項を熟読の上で明日、11月8日(水)21時からPeatixにて販売されるチケットを申し込んでほしい。

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Road Trip To 全感覚祭

act :
GEZAN
渋さ知らズ
ゆるふわギャング
踊ってばかりの国
切腹ピストルズ
moreru
鎮座DOPENESS
Glans
やっほー
KOPY
abos
penisboys
高倉健
YELLOWUHURU
THE GUAYS
and more…

artist :
STANG
飯田団紅
Masahiro Yoshimoto
Teji
高橋盾(UNDERCOVER)
harune.h
とんだ林蘭
前田流星
ソノダノア
北山雅和
YUICHIRO TAMAKI
佐藤円
NAZE
蝉丸
名越啓介
池野詩織

2023.11.18 saturday midnight
Chidori Park, Kawasaki
open/start 20:00/21:00

Ticket : Peatix 【 https://zenkankakusai2023.peatix.com
A : ¥3,000 / B : ¥5,000 / C : ¥7,000
11/8 wed. 21:00 ON SALE

※18歳未満のお客様は保護者様同伴の上ご来場ください。保護者様がいらっしゃらない18歳未満のお客様の入場はお断りいたします。
※23時~4時の間は18歳未満のお客様は会場内に滞在出来ませんので必ずご退場お願いいたします。
※会場受付にてIDチェックを行います。顔写真付き身分証明書をご持参ください。
※チケットを複数枚ご購入される方は、ご入場時必ずチケット分の人数が揃った状態でご入場ください。

info : zenkankaku@gmail.com

ビジュアルとアーティストと作家の第一弾を公開しました。
2023/11/18、Road trip to 全感覚祭を川崎ちどり公園で20:00から日の出にかけて開催します。期間の限られた中でチーム一丸、火ついた矢のごとく駆け抜けています。
来場する方は下にある注意事項やステートメントを必ず読んでからエントリーお願いします。

会場のキャパは2000人になります。この人数以上は来場できません。
販売方法はPeatixで¥3000¥5000¥7000のチケットを11/8(水) 21:00より販売します。チケット枠にはそれぞれ限りがある購入制で当日はこれにプラス、投げ銭を募集し、2000円以上で全感覚手ぬぐいを手に入れられます。
今日までに事前投げ銭やTシャツなどサポートしてくれた方、本当にありがとう。できることできないこと、たくさんの気持ちがありますが今祭はもちろん、このRoad tripを来年の全感覚祭につなげていきます。

駐車場は使用できないので車は原則禁止です。渋谷駅からJR川崎駅まで約30分、川崎駅よりタクシー 約10分、バスで約20分でこれるアクセスのいい場所になります。都内からタクシーでも8000円くらいでこれるので、相乗りしてくるのも推奨です。

アーティストの告知してから10日前後で本番という興行目線をぶっちぎった開催で、人が集まるのか、集まったとて予算がはまるのか、無事走り切れるのか、億万の不安はありますが全集中力を総動員していい時間をたぐりよせる。
会場で必要な資材やは準備がギリギリなのもあってコストがあがってしまった。とにかく背伸びせずに今やれることの全力をやる。

祭りをはじめると当たり前のことなんて何一つないんだと実感する。ステージ一つ、音響一つ、ゴミ箱一つ、演者や裏方の気持ち一つ、何一つ当たり前のことなんてないのだと気づく。
出演してくれる演者も二つ返事でのってきてくれたアーティストばかりで、同調ではなく同時代を並走する気概に心あおられる。

11/18 レーザーで祭壇をつくろうと思ってる。先日出演したfrueでも色んな人とたくさんOLAibiの話をした。祭りでそんな風に話すことは健全だと思う。距離が近かった人も遠い人もいるだろうけど、音楽を生きてきた人はピュアな意識を世界に溶かしてきたのだから、友達とお客さんも境界もないし、さよならのためじゃない花をそなえたい。きっと笑ってくれると思うんだな。

ルールはルールで、それ以上にその場所その瞬間で想像力と思いやりが交錯するところをイメージしています。
2023年、終わりに向かっていく今、わたしたちがやり残したこと、Road Trip To 全感覚祭よろしくお願いします。

(マヒトゥ・ザ・ピーポー)

CS + Kreme, Kassem Mosse, livwutang & YPY - ele-king

 今年精力的にパーティを開催してきたファッション・ブランドの〈C.E〉。その2023年最後のパーティの内容が発表されている。〈The Trilogy Tapes〉から作品をリリースするメルボルンのCS + Kremeは今回が初来日。
今年充実のアルバムを送り出したカッセム・モッセ。さらにそこに〈C.E〉のパーティには初出演となるlivwutangYPYの2組が加わる。全4組中3組がライヴでの出演とのことで、新しい試みに満ちた〈C.E〉のパーティを堪能しよう。会場はおなじみの表参道VENTです。

[11月27日追記]
 新たに追加出演者が発表されました。ロンドンをベースに活動するDJのCõvcoが登場。また、会場のみ限定で販売されるTシャツについても告知されています。


RP Boo Japan Tour 2023 - ele-king

 これまた見逃せない情報の到着だ。シカゴのフットワークの偉大なる先達、RP・ブーがひさしぶりに来日する。東京・名古屋・大阪の3都市を巡回。今年は、10年前に出たファースト・アルバム『Legacy』の続編となる新作『Legacy Volume 2』をリリースしている彼だ。その最新スタイルがどうなっているのか、この目と耳で確認しにいくしかない。

Wilco - ele-king

 現在アメリカでもっとも高く評価されているTVシリーズのひとつである『THE BEAR』(邦題:『一流シェフのファミリーレストラン』)はシカゴを舞台に地元のレストランを再生させようと奮闘するシェフやスタッフが織りなす人間ドラマで、いまどき珍しく劇中でオルタナティヴ・ロックやインディ・ロックが多く流される。そのなかでも目立っているのがウィルコだ。クリエイターのクリストファー・ストアラーによるセレクトとのことだが、とくにウィルコはシカゴの街との繋がりもあるからだろう。ただそれ以上に、ドラマが描こうとしているインディペンデントで何かを作り上げることの労苦と尊さという主題にシンクロするものとして、彼らの音楽が引かれているように僕は感じる。ウィルコはメジャー・レーベルと渡り合いながら自分たちの表現を追求してきたバンドだが、出自であるインディペンデントの精神を忘れたことはないはずだ。代表作『Yankee Hotel Foxtrot』が当時レーベルから商業的ではないとしてリジェクトされながら曲げずに自主リリースに至ったという話は、いまでは彼らの不屈さを示すものとして語り継がれている。

 そんな風にクリエイティヴィティを貫く姿勢において下の世代のインディ・ミュージシャンにインスピレーションを与え続けているウィルコだが、この13枚めのアルバムで彼らは逆に下の世代の力を借りようと久しぶりに外部プロデューサーを招いている。それも近年、独自の音作りで注目を集めているシンガーソングライター/プロデューサーのケイト・ル・ボンだ。まずこの人選を面白く思う。20年ほど前にはレディオヘッドのアメリカからの回答とも言われ、サウンド・プロダクションの高度なデザインを自分たちで磨いてきたロック・バンドが、明らかに新しい風を求めているのだから。
 前作『Cruel Country』でオーセンティックなカントリーをテーマとしたのと別の方向性を目指したかったのもあるのだろう、実際、『Cousin』はここ10年のウィルコにとってサウンド面でもっとも冒険的なアルバムに仕上がっている。ノイズと調和しない音の重なりで濁りを強調するオープニングの “Infinite Surprise”、ミニマルな反復とシンプルな構成のフォーク・ロック・ソングのなかに不穏な鳴りを仕込んだ “Levee”、打ちこみのビートとジャストではない弦の音の粒のズレで浮遊感を生む “Sunlight Ends”。歌だけ聴けばジェフ・トゥイーディーらしい穏やかなメロディがあるのだが、曲全体から受けるイメージは複雑で着地感がない。ニュアンスに富んでいる……と片づけるには掴みどころがない印象を受ける。揺らぎをつねにどこかに感じさせるのは、ケイト・ル・ボンの作品群と共通するところでもある。
 本作にあるのは豊かな曖昧さだ。ポップなフォーク・ソングを歌っているはずなのに汚れていく音、どうしても落ち着かない感情、乱れていく時間感覚。アシッド・フォークとカントリー・ロックを抽象的な音響とともにゆっくりと攪拌するような “Pittsburgh” はウィルコのサウンドの実験のなかでももっとも手のこんだ部類のもので(後ろのほうでキーキーと不可解な音が鳴っている)、そして本作の最良の瞬間でもある。ここには他者に説明しがたいトゥイーディー個人のメランコリーがあり(「ぼくはいつも歌うのを恐れてきた/それは小さなこと」)、明瞭な輪郭を与えないままアブストラクトな音像の連なりとして表現され共有される。わかりやすいカタルシスにではなく、音のディテールと歌詞の行間にこそ聴き手を静かに導くこと。
「いとこ」というタイトルはトゥイーディーが世界の認識や関わりにおいて抱く微妙な距離感を示すものだそうだが、たとえばそれはアメリカのルーツ音楽に対するウィルコの態度にも通じるものだ。過去に敬意はあるが単純に模倣することはできない……というアンビヴァレントな想いが彼らを繰り返し新たな実験に導くのだろうし、完成を目指すのではなく、本作でより未解決な領域を探求している。このデリケートに揺れるインディ・ロック・ミュージックは、そうであるがゆえに、ウィルコの変わらぬ勇敢さを示すものだ。

ブライアン・イーノ - ele-king

 グラム・ロック、アート・ポップ、エレクトロニック・ミュージック、前衛、アンビエント等、いくつもの領域にリーチし「万能ポリマス」ぶりを誇ってきたブライアン・イーノにも死角がある。ライヴ・パフォーマンスだ。

 ライヴ活動を完全に回避してきたわけではないが、近年では2009&10年開催の芸術祭向けプログラム「This is Pure Scenius!」、21年にアクロポリスで弟ロジャーと初コンサートと、散発的なのは確かだ。ワークシャイ(仕事嫌い)ならぬツアーシャイ? その意味でも、ロキシー・ミュージックを脱退しソロに転じて50年後に、イーノが「Ships across Europe」と題してヴェニス、ベルリン、パリ、ユトレヒト、ロンドンを初めてツアーすることになったニュースは世界の音楽ファンを驚かせた。

 ヴェネツィア・ビエンナーレで特別功労賞を受賞したイーノは、同ビエンナーレ音楽部門向けのプログラム制作を依頼された。結果生まれたクリスチャン・ヤルヴィ指揮バルト海フィルハーモニーとの共演作『Ships』を、フェニーチェ劇場でのプレミア後、欧州数カ所のコンサート・ホールで披露。2016年のアルバム『The Ship』篇、そして過去の作品からセレクトされた「歌もの/ヴォイスもの」篇から成る二部構成だ。ゲストとして、イーノ組常連リオ・エイブラムス(G)とピーター・チルヴァース(Keys)、そして声楽家/作曲家メラニー・パッペンハイムと俳優ピーター・セラフィノヴィッチ(朗読)も参加した。

 開演前からスモークがうっすら漂う会場内。後方にキーボード、ドラム他の演奏台がひな壇式に組まれただけのシンプルなステージだ。着席しても、イーノの重い腰を上げさせたのは何か? なぜ「今」実現したのか?と素朴な疑問が頭をよぎる。その疑問は、ヤルヴィとバルト海フィルを実際に体験して氷解した。イーノ自身、『The Ship』のライヴ版を構想していく中で浮かんだ「スコアではなくハートから演奏する、若くフレッシュな演奏家を」という要望を彼らはすべて満たしていた、と述べているが(しかも「海」が名前に付くので「船」とも語呂がいいのが決め手だったらしい)、このオケがあってこそ実現可能なパフォーマンスだった。

 客電が落ち、数秒の沈黙の後、フルートの響きがかすかに流れてくる。フルート奏者を先頭に両袖からオーケストラのメンバーがひとり、またひとり……と暗いステージに足を踏み入れ、徐々に増すアンビエンスの中に霧笛を思わせるホーンが寂しげにうなる。ドローンやかすれる弦が生むノイズは「綺麗ではないアンビエント」で、『The Ship』のモチーフのひとつであるタイタニック号の夜間航行の雰囲気。ヴァイオリン他の手持ち楽器を担当するミュージシャンは演奏しながらステージを淡々と歩き回り、その光景は雑踏のようでもあり、幽霊の群れのようでもあり、集団労働の場のようでもある。全員、黒地に様々な色の大きな丸を染め抜いたTシャツ&黒ズボン姿。ひな壇の上の、シンセ他のハードウェアが囲む中央ブースにイーノが立った。

 バルト海沿岸10国(ヤルヴィの出身国エストニアも含む)の音楽家育成のため2008年に設立されたユース・オーケストラを母体とするバルト海フィル(32名)は見たところ20〜30代。ハープやチェロといった大型楽器奏者以外は椅子を使わず譜面台もなしで、リード/弦/金管勢は曲の展開に合わせて持ち場を変え、観客に背を向けたり床に座ったり、コーラスを添える。バスティルとの共演はオーソドックスなスタイルで演奏しているが、今晩の彼らは「バックの楽団」ではなく文字通り「パフォーマー」だ。

 それ以上に目を奪うのがヤルヴィの指揮ぶり。「熱血指導」と形容される彼のスタイルは、クラシック音楽ファンの間ではつとに知られているらしい。一応ステージ前方中央がポジションとはいえ、団員の中に分け入って面前で細かく指示を出し、歩き回り、跳ね、グルーヴにノり、歌い、フレームドラムを叩き、満面の笑顔で観客を煽る――イーノはヤルヴィを「船長」と呼び、かつ「この人はトチ狂ってる!(笑)」と紹介していたが、ここまで「全身を使ってコンダクト」する指揮者にはお目にかかったことがない。ジャズやヒップホップを吸収した室内楽アンサンブルから始まり、スティーヴ・ライシュからマックス・リヒターまで多彩な共演を果たす等、20世紀の重鎮(旧世代)と彼らに影響されたコンポーザー(新世代)を橋渡しする意欲的なこの御仁(作曲家でもある)は、なるほど複数のモードとジャンルが混じった本パフォーマンスのキャプテンにふさわしい。

 ゆえにこの型破りなコンサートをデイヴィッド・バーンの『American Utopia』と比較する声があったのも、ある程度は理解できた。しかし『Ships』は『〜Utopia』のようにガチに振付けされたミュージカルではなく、ストーリー性も「提示」というより「喚起」だ。それは、刻々とモーフしていく音像と抽象的なヴォーカリゼイション――『The Ship』で歌われる/朗読されるのは、第一次世界大戦時の歌やタイタニック号沈没報告書等をアルゴリズムを用いて変換・生成した言葉だ――というコンポジションの性質が大きい。

 20分以上にわたるダーク・アンビエントなタイトル組曲“The Ship”は、冒頭のさざめきがいつしか群青の海に姿を変え、ピンスポットに浮かび上がったイーノが歌い始める。ハーモナイザーで加工しているものの、ロシア正教会聖歌風の歌唱が深々と響く。アルバム版はシンセが基調だが、オケの生音で聴くと立体的な隆起性や重力がそこに加わる。『The Ship』は元々オーディオ・インスタレーションとして創案され、多種多様なスピーカーやチャンネルが用いられた。イーノは「スピーカー群をオーケストラ楽器の一群のように捉える」と語っていたが、このパフォーマンスはその発想を逆転させたものと言える。演奏者が移動し、向きを変え、しゃがんでいた状態から立ち上がるにつれ、サウンドの遠近・高低・バランスも微妙に変化。「動き回るオケ」というのは一見ギミックぽいが、それは『The Ship』を生演奏で体験するための必然だった。

 雅楽的なパーカッションに同期して照明が明滅し、女性と男性のミステリアスなささやき――テープではなく、リアルタイムで加工されてはいただろうが、ブレスやマイクとの距離等々で声の響き方を見事にコントロールしている――が入り混じる。すれ違う記憶、もどかしさ。クリス・マルケルの映画を思わせる瞑想的なムードの中、最後は「Wave, after wave / after wave…」のリフレインが引き潮のように残った。

 続く“Fickle Sun”組曲は、コントラストを強調しドラマ性を高めた演奏だった。“Fickle Sun 1”で、チェロやヴィオラが敷く不気味なドローンの上をイーノの達観した「And on the day the work is done…」の声が流れる。縁の下の力持ち的存在だった管楽器が威力を発揮し出し、弦の刻む重音とねじられうめくヴォーカルも緊迫感を煽る。暗かった舞台をオレンジの照明が煌々と照らし、吹き荒れるスモーク――クレッシェンドの迫力はさながら『地獄の黙示録』の爆撃場面(いや、この楽曲のモチーフを思えば『西部戦線異状なし』か)で、うなり、振動する大音圧が皮膚にじかに感じられる。ドゥームメタルのライヴに近い聴体験だったが、決して耳に負担ではないのはライヴ音響担当者の功績だ。ほんと、とんでもなく良いサウンドだった。

 業火が吹き荒れた後に、「All the boys are falling down…」と歌い始めるイーノ。このパートはマニピュレートしない地声で、無防備なぶん哀感が増す。古い宗教歌や民謡を彷彿させるハーモニーがせりあがり、「テ・テ・テ・テ・テ…」と一音をループする女声が精霊のように飛び交う異界に落ち、舞台は暗転した。しばし間を置き、頭上から黄金色の照明がハープに注がれ、その雅びなメロディとコントラバスのかすかなタッチを伴い、セラフィノヴィッチが美声で朗読を披露。短歌にしろソネットにしろ、詩とは本来こうして「耳で聴く」ものだったのを思い起こす。声は楽器だ。

 ムードが落ち着いたところで舞台全体に少しずつ照明が復活し、フルートの調べに導かれる形でヴァイオリン奏者9名もステージに戻ってくる。デリケートな潮のごとく満ちていく音の海の中から、紛うことなきルー・リードのあのコード感覚が浮上してくる。それだけで筆者は不覚にも涙してしまったが、甘くも芯は太い声でイーノの歌いあげる「And now I'm set free / To find a new illusion」にどうしようもなく情感が高まり、涙腺の堰は決壊。ステージ上の全員が初めて一斉に観客に顔を向け、照らされた観客席と一体となった。「私は自由になった/また新たな幻影(物語)を見つけるために」のフレーズのイーノ解釈は、歴史という名の「物語の累積」から解放され、自分自身で新たな物語を見つける自由を得た歓びだ。未来に希望を捧げるフィナーレ。

 この貴重な機会を無駄にするわけにはいかないとばかりに、「じゃあ、あと何曲かやるよ」と第二部がスタート。「50年近く前に書いた曲だ」のMCに場内にさざめきが走り、照明が緑/青/紫にスイッチしのどかな鳥の歌声と川のせせらぎが響き出す――名曲“By This River”だ。至福。ピアノのパートをハープが紡いだことで、アルカイックとモダンが混ざり合った不思議に根元的で透徹した原曲の味わいに素朴でメルヘンな響きが増している。ピアニッシモな美とメランコリーで内側から輝く素晴らしい演奏だった。

 続いて、最新作『Foreverandevernomore』から“Who Gives a Thought”。「誰が蛍のことを気にかけるだろう」という問いかけから始まる歌詞は、川のテーマ続きで納得だ。ディテールに富んだサウンドでアンビエントなサウンドスケープが構築されており、オケの繊細な演奏を堪能。ヤルヴィが振り始めたシェイカーにのってドラムがリズムを刻み、リオ・エイブラムスが軽やかなフレーズを吹き流す。「まさか、“Spinning Away”!?(だったら嬉し過ぎる!)」――と一瞬思ったが、ソロ・コンサートなのでやはりそんなことはなく、(これまたレアなイーノのヴォーカル・アルバム)『Another Day on Earth』収録の“And Then So Clear”。

 この晩初めて一般的な意味での「グルーヴ」が広がり、前列にじーっと座っていた高校生くらいの少年が嬉しそうに身体を揺らし始める。プロセスされたヴォーカルは『Age of』期のOPNを思わせる響きだったが、イーノらしいリリカルでポジなメロディと歌詞の朝焼けのイメージ、バラ色の照明に包まれ、ステージ上の38名が作り出す「歌」――文字通り全員が合唱し、「演奏」していないプレイヤーも楽器のボディを軽く叩きパーカッション部に貢献していた――はあまりに温かく、「アァァァ〜ッ」の最後のコーラスはゴスペル合唱団を思わせるグロリアスさ。これが普通のコンサートだったら、観客も立ち上がり歌に参加していたことだろう。

 スタンディング・オベイションと鳴り止まないアンコールの喝采を受け、パフォーマーがステージに戻ってくる。ヴィオラとチェロのリズミカルなリフがズン・ズン……と拍動し始めムードは一転、不穏に。マリンバも加わりスティーヴ・ライシュ的なミニマリズムが形成され、パッペンハイムの朗誦がダークなサウンド・ポエトリーを編んでいく。演奏後、この“Bone Bomb”(『Another Day on Earth』収録)の背景についてイーノは以下のように語った:

「新聞を読んでいて、自爆テロ犯になることを決意したパレスチナ人少女と、その逆の立場にいるイスラエル人医師の談話、その両方に出くわした。医師いわく自爆テロ犯の骨片は一種の散弾になり、被害・負傷は悲惨さを増す。一方、少女は自分が役に立つにはそれ以外にない、と考えている。実に悲しいことだ。曲を書いた当時(※第二次インティファーダ期)、私は『この紛争はなんとか解決するだろう』と思っていたが、もちろんそれは甘い考えだった」
「過去12日ほどの間に戦火は激化し、パレスチナ人の子供は4千人近く、おそらくイスラエル人もそれくらい命を落としている。にも関わらず英政府は、イスラエル支援のために軍艦を送り込んでいる。とにかく――停戦しようじゃないか! 今夜のマーチャンダイズ販売の収益はチャリティ団体『Medical Aid for Palestinians』に寄付されます。皆さんもぜひ、停戦を求める次回のデモ(※イギリスでは10月14日以来毎土曜に行進がおこなわれている)に参加ください。それが無理でも、寄付をしてください」

 このツアーの始まる少し前に、パレスチナ・イスラエルの即時停戦を訴えるアート・コミュニティからの公開書状にイーノは署名している。しかしこの真摯な人道的呼びかけに対し、満場一致の大喝采……とはいかず、客席の反応がやや及び腰だったのは軽いショックだった。イーノのファンであるような左派〜リベラル勢の間ですら、パレスチナ・イスラエル戦争に対するスタンスを表明することは一種のタブー、触れられたくない腫れ物なのか、と(もちろん、「純粋に音楽を聴くために来たのであって、政治に関する説教は要らん」と感じる観客がいても当然だが)。ちなみに前労働党党首のジェレミー・コービンも観に来ていたが、彼は「一般市民の犠牲に対する批判」としてパレスチナ支援を表明したことで反ユダヤ主義の疑惑をかけられ、党員資格を一時停止されたことがある。それくらい歴史的・政治的・感情的に複雑に入り組んだ問題であり、分断でささくれたこの時代、おいそれとクチバシを突っ込まない方が無難な「火中の栗」なわけだが、公なプラットフォームを持つ者としての責任を放棄せず、自らの信念をはっきり打ち出したイーノに筆者は感動した。

 「この曲を、パレスチナ・イスラエル紛争の犠牲者への一種の鎮魂歌に作り替えました」の言葉に続き、“Making Gardens Out Of Silence”。原曲は寂寥たるアンビエント・ピースだが、コオロギの鳴き声をイントロにサウンドがゆったり膨らんでいき、ヴォコーダー等で処理されたヴォイスの切れ端が織り込まれながら、やがてコズミックな聖歌に発展。宇宙へ――この感覚は、最後に披露された“There Were Bells”の悠久な響きにも流れていた。鳥の声のフィールドレコーディング(空)から始まり、現在のイーノが誇るディープな歌声がおごそかに(地に)降り積もっていく。「Never mind, my love / Let’s wait for the dove」――実に悲痛なメロディは、おそらくこの晩もっともエモーティヴな歌唱で客席に落ちてきた。ミラーボール調の照明はさながら光の祭典で、激しく隆起するサウンドもアナザー・ワールドに向かっていくが、イーノの歌は地に足を着けていた。

 まさに「乗り切った」と言いたい熱演。喝采の中、改めての挨拶でヤルヴィが「皆さん、ブライアン・イーノです!」と紹介し、ライヴ音響エンジニア(3名)&照明スタッフの秀逸な仕事にも謝辞が送られ、熱いねぎらいの喝采が起こる。楽団員、ゲスト・パフォーマーら、全員がステージ前列に並び、そろってお辞儀――これはロック・コンサートでは「お約束」の図式だが、中央のイーノがぼーっと突っ立ったままだったのが印象的だった(ヤルヴィに促され、「あ、そうだっけ!」とばかりに、慌ててお辞儀に参加していた)。ベテランでありながら、この人はどこまでも「素人」だ。

 その微笑ましい姿と、三世代――イーノを最年長に、中年(ヤルヴィ他)、青年(オケ)――が達成感いっぱいの笑顔を浮かべる光景を見ていて、イーノの語った音楽システムの「ヒエラルキー」を思い出した。彼は伝統的な西洋クラシック音楽のオーケストラ構造を、神を頂点に、その声を耳にし記譜した作曲家とそれを指揮するコンダクターが上部に、その下に演奏家が位置し、またそれら演奏家の中でも第一奏者から副奏者までいる……というトップダウン型のピラミッドになぞらえた。対してアフリカ音楽では、実はもっとも大事な基盤を成しているのは単純なビートを淡々と鳴らし続けるいわばヒラの演奏家だ。

 この形容は「音楽はそもそもその成り立ちからして政治的」という話の中で出て来たものだったが、後者の例が民主主義モデルのそれであるのは言うまでもない。この晩の演奏にしても、ポップ〜ロック系コンサートであればヴォーカルが担うフォーカル・ポイントは固定せず、歌う場面でたまにスポットライトが当たる以外はイーノも終始後方に潜んでいた。先述したように、「歌い手」ではない指揮者やオケのメンバーも合唱していた。有機生命体のように全パートが関わり合い、シナプスで連携し、その場の状況に自らの意志・判断でリアクションする集団。それはまさに一隻の大きな船だった。

 アンビエント曲をオケに翻案していく過程で、クラシック音楽界では耳慣れないような、抽象的なリクエストも飛んだことだろう。だが、ヤルヴィとバルト海フィルは「楽譜に書かれた通りの指定を忠実に遂行する」クラシックの伝統に縛られない若さ、そして生き生き自己主張しながらも全体像に貢献するポジなエネルギーで、イーノのアイディアを具現化したと思う。キャリア初期に、イーノはポーツマス・シンフォニアやスクラッチ・オーケストラといった、素人も参加OKの実験的な楽団に加わったことがあった。以降、アートの大海をひとりでボートを漕いで進むことが多かったとはいえ(エゴ云々ではなく、次々生まれるアイディアを形にするのにはその方が速いからだろう)、コラボレーションから生まれるシナジーは常に大事にしてきた。遂に理想的なオケと出会った彼は、75歳にしてこの初体験に果敢に挑んだ。その衰えないチャレンジ精神、サウンドとビジュアルに対する尽きせぬ好奇心、そして過去数年より顕著になっている活動家としての面をひとつにまとめて提示してみせた、まさに「イーノのナウ」が凝縮された素晴らしいコンサートだった。


SET LIST

The Ship
Fickle Sun 1
Fickle Sun 2 - The Hour Is Thin
Fickle Sun 3 - I’m Set Free

By This River
Who Gives a Thought
And Then So Clear
_________________

Bone Bomb
Making Gardens Out Of Silence
There Were Bells

Waajeed - ele-king

 昨年〈Tresor〉から出たワジードの『Memoirs Of Hi-Tech Jazz』は、タイトルどおりデトロイト・サウンドを継承するハウス・アルバムだった。その完成度の高さから、今回の来日公演も非常にいい一夜になるのではないかと胸を踊らせていた。はたして結果は予想どおり。レジェンドいならぶシーンのなかで揉まれてきたのだろう、じつに堂々たるDJプレイをワジードは披露してくれた。
 このデトロイトの才能は00年代初頭、ヒップホップとR&Bをバックグラウンドに浮上してきている。J・ディラ擁するグループ、スラム・ヴィレッジの『Trinity (Past, Present and Future)』にいくつかの曲でプロデューサーとして参加したのが2002年。その後サディークとともにR&B色の濃いプラティナム・パイド・パイパーズを結成、2005年にファースト・アルバム『Triple P』を送り出した。
 そんな彼はここ10年、ハウスやテクノに接近している。マッド・マイクやセオ・パリッシュとコラボしたエレクトリック・ストリート・オーケストラ名義による独特のアシッド・ファンク「Scorpio」(2012年)だったり、『Memoirs~』同様デトロイトらしいシンセを聴かせる初のソロ・アルバム『From The Dirt LP』(2018年)などがその好例だ。こうしたワジードの歩みは、ヒップホップとハウス~テクノがけして断絶したものではないことを教えてくれている。

 おなじみの階段をくだっていくと、ハウス・コレクティヴ CYK の一員、DNG がプレイしている。『HOUSE definitive 増補改訂版』にも寄稿してくれた若手DJだ。トライバルな感じの曲からテクノ寄りのものまで、折衷的でありながらどこか筋の通った端正さを感じさせる流れ。
 終盤になると、出番が近づいてきたワジードがステージ後方に控え、ノリノリで踊っている。そろそろ DNG のプレイが大団円を迎えようかというとき。突如ワジードが背後から手を伸ばし、アドリブでつまみを操作した。あまりに的確なミュートに沸き立つ場内。この「介入」はさりげなくワジード本人のプレイの予告にもなっていた。
 1時半ころ、正式にバトンタッチしいよいよワジードの出番が訪れる。全体としてはソウルフルなヴォーカルの映えるチューン、サックスが耳に残るジャジーな曲、あるいはディスコが中心なのだけれど、中盤にはアシッドだったりシカゴ風のトラックが挿入されたりする瞬間もあり、その卓越した選曲に舌を巻く。けしてPCモニターのまえでヘッドバンギングするようなタテノリのダンスではない。いやおうなく全身を上下左右させる圧倒的なグルーヴ。ただただ、すばらしい。ブラック・ミュージックとしてのハウス、その真骨頂を思う存分堪能できた2時間だった。
 巧みなEQ操作も深く印象に残っている。キックやウワモノの抜き差しだったり、小出しに次の曲の一部分をからませて予示的に音の流れを組み立てていくミックスのうまさは、まだまだクラブ経験の浅いぼくからすればまるで魔法使いか手品師のようだった。
 3時半ころ。次のトーマス・シュー(Thomas Xu)と交代の時間が訪れる。シューは2017年にセオ・パリッシュの〈Sound Signature〉からデビューを果たした、デトロイトの新世代。アナログ・レコードを用いるDJだ。そこでもワジードはしばらくステージに残りつづけ、シューが次にかける盤を探すべく背を向けるたびに卓へと近づき、自身のプレイの延長のようなことをやっていた。ミックスにより音楽がいかようにも変化しうることを心から楽しんでいるのだろう。

 ちなみにじつはこの日の昼間、編集長とともにワジードに取材していて、いろいろ興味深い話をきいている。近日公開予定なので、お楽しみに。

interview with Nubya Garcia - ele-king


3日連続公演の初日にあたる10月2日、ブルーノート東京でのステージ。向かって左からライル・バートン(キーボード)、ヌバイア・ガルシア、マックス・ルサート(ベース)、サム・ジョーンズ(ドラムス)。

 2010年代後半以降の音楽、その見過ごせない潮流のひとつにUKジャズがある。先日エズラ・コレクティヴがジャズ・アーティストとして初のマーキュリー・プライズ受賞を果たしたのは、かれらの活動だけが評価されたからではないはずだ。それはシーン全体が無視できない成果をあげてきたことの帰結であり、ムーヴメントが成熟に至ったことの象徴だったのではないか。
 さまざまなプレイヤーやグループが切磋琢磨し、それぞれの独創性を追求しつづけている。あまたの才能ひしめくなか、サックス奏者のみに的を絞るなら、筆頭はシャバカ・ハッチングスとそして、ヌバイア・ガルシアということになるだろう。まさにエズラ・コレクティヴとも浅からぬ関係にある彼女だけれど、その音楽を特徴づける要素のひとつにダブがある。ブルーノート東京での3日連続公演の中日、10月3日のステージでもそれはひしひしと感じられた。バンドはサム・ジョーンズ(ドラムス)、マックス・ルサート(ベース)、ライル・バートン(キーボード)からなるカルテットだったが、メンバー紹介では客席後方のダブ・マスターにもしっかり感謝が述べられていた。以下でも語られているとおり、ダブにはなみなみならぬ思い入れがあるにちがいない。
 力強いサックスを支えるドラムスにはエレクトロニック・ミュージックからの影響もうかがえる。最新シングル曲 “Lean In” はUKガラージから触発された曲だという。あるいはパッケージとしての現時点での最新作はクルアンビンとのライヴ盤だ。それら一見ジャズとは異なる文脈に属しているように映るものへの貪欲さこそ、ガルシアの音楽を豊かなものにしているのだろう。
 取材は翌日の10月4日。まだ公演を控えているにもかかわらず、終始気さくな態度で彼女は話に応じてくれた。

すごく自由な空間を与えてくれる場所、というのがわたしにとってのダブかなと思う。自分が解放されるというか。ツアーが終わったとき、いつも最初にやりたいのが、サウンドシステムを組んでいる場所で8時間ぐらい休みなしにそういう音楽を聴きにいくことで(笑)。

昨日のライヴ、すばらしかったです。ふだんロンドンでギグをするときはオールスタンディングの会場が多いのですよね? ブルーノート東京はいかがでしたか?

NG:スタンディングも着座も、わたしは両方好き。ヨーロッパでも座席指定のショウをやることはあって。シートとべつにスタンディング・エリアのような場所を設けてどちらも楽しめるようにするときもある。今回はブルーノートでパフォーマンスができてすごく嬉しかった。東京のアイコニックな場所だし、シート・チェンジがあって、それで場のエナジーが変わる感じも楽しい。光栄でした。

以前ジョー・アーモン・ジョーンズのバンド・メンバーとして来日したことがあるかと思いますが、ご自身がメインの公演としては今回が初来日になります。どこか訪れた場所はありますか?

NG:ちょっと忙しくて、まだあまりいろんな場所には行けてないんだけど……新宿で「ガルシア」っていう(自分とおなじ)名前のバーを見つけて、そこは最高だった! 明日からようやくオフだから、日本のスタイリッシュな洋服を買いに行きたい。あと、アイウェアのお店に行ったり、ボートで東京湾をまわったり、お寺を見に行ったり……いろいろ楽しもうと思ってる。

ぜひ楽しんでいってください。ではまずあなたの音楽キャリアのことからお伺いしたいのですが、初めて学んだ楽器はヴァイオリンだったんですよね。

NG:ええ、そのとおり。

クラシック音楽を学んでいたということでしょうか?

NG:そう、18歳までは。17歳ごろまではジャズを習ったり学んだりした経験はなくて。ティーンエイジャーのとき、週末だけちょっと習いにいったりグループでやってみたりもしたけれど。

現在あなたはサックス奏者/フルート奏者として活躍していますが、それらの楽器を選ぶことになったきっかけ、そしてジャズをやっていくことになったきっかけはなんだったのですか?

NG:じつはサックス自体は10歳のことからやっていて。あとクラリネット、ヴァイオリンも。兄や姉とコンサートに行ってビッグ・バンドの演奏を観たりするようになってから、ほかの楽器にも興味を持つようになった。サックスはひとつのジャンルに限らずさまざまな音楽にとりいれられているから、いろんな楽曲に挑戦できそうだなと思って。そのかわり、ちゃんとグレード(学年、成績)もとって、ほかのことも勉強するという条件でね。17歳まではクラシック音楽のサクソフォンをやってて、それ以降本格的にジャズへ打ちこみはじめた。

今年の9月、エズラ・コレクティヴがジャズ・ミュージシャンとして初めてマーキュリー・プライズを受賞しましたよね。そのスピーチでリーダーのフェミ・コレオソが、これは自分たちだけの力ではなく(無償のプログラムである)トゥモローズ・ウォリアーズをはじめとする多くのサポートのおかげでもある、というような感謝を述べていました。

NG:わたしも16歳か17歳ぐらいのころに(トゥモローズ・ウォリアーズに)入って、そこでエズラ・コレクティヴのメンバーの何人かと出会った。ほんとうに人生を変えてくれた機関だと思ってる。ちゃんと若者の個性を育てて、似たような感性を持つひとが集まっていて。自分たちは移民の二世なんだけど、そういうひとにもチャンスを与えてくれて。そういうひとたちがイギリスで経験してきたことを踏まえて音楽を教えてくれた。だから、ジャズ以上のことも学べたと思う。音楽的にも社会的にも文化的にも金銭的にもそう。それら全部を踏まえて自分たちの音楽活動をサポートしてくれる、すばらしい場所。


Nubya Garcia
Nubya's 5ive

Jazz Re:freshed / Pヴァイン

UK Jazz

Amazon

ファースト・アルバムの『Nubya's 5ive』が2017年ですが、以降はジェイク・ロングのマイシャに参加したり、ネリヤをやったり、ほかのひとたちとのグループでの活動にも積極的ですよね。そういった集団やコレクティヴでの活動は、いまのあなたになにをもたらしていますか?

NG:わたしはサイド・ミュージシャンとして活動するのもすごく好き。グループやコレクティヴとして活動することのよさは、ひとりだとすべて自分自身にかかってくる音楽への責任のようなものを、みんなとシェアできる点だと思っていて。内容や方向性だとか、どんな演奏の機会を選ぶかとかをいろんなひとと話しあって決められるし、さまざまな意見を参考にすることもできる。みんなで一緒に決めていくってすごくいいこと。あと、自分のソロ・プロジェクトではソング・ライティングをだれかとやることはないけど、ひとと一緒に曲を書くということもいい経験だったと思う。そしてなによりも、楽しいんだよね。いろんなスタイル、いろんな楽器を探究できるし。それがほかのプロジェクトで活動することの醍醐味。


Nubya Garcia
Source

Concord Jazz / ユニバーサル

UK Jazz

Amazon

前作『Source』から3年が経ちますが、いま振り返ってみてそれは自分にとってどういう作品だと思いますか?

NG:やっぱり、あれは自分が正直に表現したものが作品になった音楽だったと思う。当時自分が聴いていたジャンルや音楽、世界をめぐって経験したこと、そういったものがそのまま作品に映し出されているような感じのね。

あなたの音楽の見過ごせない特徴のひとつに、ダブがあります。それは昨日のライヴでも感じられました。なぜダブに惹かれるのでしょう?

NG:フリー・スペースのような……すごく自由な空間を与えてくれる場所、というのがわたしにとってのダブかなと思う。自分が解放されるというか。ツアーが終わったとき、いつも最初にやりたいのが、サウンドシステムを組んでいる場所で8時間ぐらい休みなしにそういう音楽を聴きにいくことで(笑)。あのエナジーはすばらしい。たくさんの人びとが、お酒を飲みに来ているわけでもなく、話しに来ているわけでもなく、純粋に音楽を楽しみに来ているあの状況、みんなでダブ・プレートを聴いてインスパイアを受けてひとつになっているあの空間の一体感が大好き。
 やっぱり、ロンドンで暮らしている影響はあると思う。サウンドシステムの文化も60年代にジャマイカから入ってきて、その子どもたちにどんどん受け継がれて、歴史が深まっていったわけだし。それがあるからこそ、ダンス・ミュージックにエネルギーが生まれて、イギリスという土地でどんどん発展していったんだと思う。わたしはロンドンでああいうカーニヴァルを観て育ってきたけど、いまはレイヴやサウンドシステムを体感できる場所も機会も減ってきてるよね。でもやっぱりツアーをしているとすばらしい音楽に出会えたり、それらを聴きたい人びとがたくさんいるんだな、ってことがわかるからほんとうに嬉しい。(そういった体験に恵まれているのは)自分がロンドンにいてさまざまな文化に触れてきたことがいまにつながっているからだと思う。

ネリヤの『Blume』でもご自身の『Source』でも、プロデューサーとしてクウェズ(Kwes)が参加していました。彼は制作にどこまで関わっているのですか?

NG:共同プロデューサーというかたち。わたし自身も彼もプロデューサーだし。だから一緒につくる感じかな。前回の『Source』のときも互いに曲を書いて、スタジオに行ってレコーディングして、一緒にミックスして一緒にポスト・プロダクションをやった。いつもそんな感じ。こないだリリースしたシングル(“Lean In”)もそう。

いまお話に出たシングル “Lean In” ですが、UKガラージにインスパイアされた曲だそうですね。

NG:(これまでのほかの取材でも)ずっとそのことを訊かれてた(笑)。

あなたの音楽的背景にはエレクトロニック・ダンス・ミュージックもあるのでしょうか?

NG:わたし自身はそうだと思ってるし、そう思いたい。エレクトロニック・ダンス・ミュージックのひとたちがそう思ってくれるかはわからないけど。ちなみにいま自分がいっているエレクトロニック・ダンス・ミュージックというのはEDMとはぜんぜんべつのもので。EDMからの影響はまったくないけど、ダンス・ミュージックという観点から(エレクトロニックなダンス・ミュージックは)インスピレイションのひとつだし、バップやフリー・ジャズとおなじぐらいたいせつな存在の音楽。確実に自分の音楽の要素に入っているひとつだと思う。

(エレクトロニックなダンス・ミュージックは)インスピレイションのひとつだし、バップやフリー・ジャズとおなじぐらいたいせつな存在の音楽。

いま注目しているエレクトロニックなダンス・ミュージックのプロデューサーはいますか?

NG:ティーブス。去年ロンドンで初めて観ることができて。ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラとやったショウだったんだけど、オーケストレイションのなかにモダンな感じもあって素晴らしかった。私は彼のアルバムの大ファンだし、それまでとぜんぜん違う空間で彼が活躍してるのを観る体験自体も刺激的だった。それと、キーファー。アメリカのピアノ奏者でビートメイカーでもあるひと。ヒップホップとエレクトロニックの中間的なサウンドをつくりながら伝統的なジャズ・ピアノを弾けるところがほんとうに好きで。ロンドンだと、スウィンドルが好きかな。

ああ! 以前彼のアルバムに参加していましたよね。

NG:いろんな音楽をどんどん拡げていって、ジャンルレスに開拓している姿勢が素晴らしい。

最近だと、春に出た『Bitches Brew』50周年を祝うアルバム『London Brew』にもあなたは参加していました。マイルスが成し遂げた最大の功績はなんだと思いますか?

NG:もちろん全部(笑)。まったく他人に左右されずに、自分の信念を貫いて音楽をやりつづけ、みんなの概念を変えつづけたひとはほかに存在しないと思う。

マイルスでいちばん好きなアルバムは?

NG:うーん……ライヴ・アルバムだったと思うんだけど、1966年の。たしか1年間で4枚のアルバムを出してて、その最後のリリース(注:1966年リリースのライヴ盤であれば『Four & More』だが、4枚の発言から推すに、1956年録音のマラソン・セッション4部作のことかもしれない)。でもお気に入りといえるかはわからない。それぞれべつの魅力があるし。『Nefertiti』はトップ・リストに入るかな。……選ぶのは難しいな。(『Nefertiti』を)最初に聴いたときは「なにこれ?」って感じで、子どものころは理解できなかった。でも歳を重ねるごとにあの作品のすごさに気づくことができた。

今後の予定で話せることはありますか?

NG:ニュー・シングルについてなら少し。1月にリリースするんだけど、それはみなさんが楽しみにしている内容だと思う。

最後の質問です。レコーディングやライヴに臨むうえで、あなたがもっともたいせつにしていることはなんですか?

NG:やっぱり、自分に正直にありつづけることかな。誠実で、リアルでありつづけることがたいせつだと信じてる。その日の自分のベストを引き出せるよう努力しつづけること、それがキーだと思う。あとは、自分自身の境界線上に立ちつづけることかな。質問してくれてありがとう。

EXPE WA NO WA - ele-king

 ギターとハンドチャイムがクロスし、互いを引き立てる──YOSHITAKE EXPEとWA NO WAによるコラボ・プロジェクトEXPE WA NO WAの作品がおもしろそうだ。
 YOSHITAKE EXPEはギタリストで、南米に渡りモノ・フォンタナやフェルナンド・カブサッキといったいわゆるアルゼンチン音響派の面々とセッションしたり、山本精一のPARAで活動したりしたことのある奏者。
 一方のWA NO WAは、ハンド・クワイア・チャイムを用いる音楽グループだ。使われるチャイムの音は、奈良県山添村にある障がい者支援施設「大和高原 太陽の家」のメンバーが無作為に奏でたもので、昨年音源化されたアルバム『Wa No Wa』が一部のあいだで注目を集めた(J.A.K.A.M.主宰〈Crosspoint〉とChee Chimizu主宰〈17853 Records〉の協力によりリリース)。
 両者のサウンドがみごと融合したアルバム『未来予知 FORESIGHT』は新たな感覚を呼び起こすニューエイジ作品に仕上がっている模様。パッケージも見開き・箔押しなど凝っていて、モノとしての味わいを堪能させてくれるリリースとなっている。ぜひチェックしてみて。

アーティスト:EXPE WA NO WA
タイトル:未来予知 FORESIGHT
カタログ番号:PRHYTHM-001
発売日:2023年11月11日
小売価格:3,000円+300円(TAX)
フォーマット:国内CD
仕様:E式見開きジャケット/全面ホログラム箔押/8Pライナーノーツ封入
サイズ(mm):縦135×横135×厚さ5
JAN:なし
レーベル:PRHYTHM
発売/販売元:PRHYTHM.ORG

https://www.prhythm.org/expe-wanowa

WA NO WA という自然的存在と一体化していく EXPE の音楽に無心で身を委ねていると、音が毛細血管を通じて全身を巡り、振動している感覚が訪れた。その振動は微細なエネルギーとなり、ふたたび身体から放出されているようでもあった。すべては振動し、揺れ繋がっている。そして、あらためて気づかされる。私たちも自然であるということを。 (Chee Shimizu)

Meitei - ele-king

 今夏は初の日本国内リリース・ツアー「怪談 TOUR 2023」を敢行、さらに海外公演も成功させるなど、いまめきめきと名をあげている広島のプロデューサー、冥丁。「失われつつある日本の雰囲気」=「失日本」をテーマに活動する彼だが、ニュー・アルバム『古風 Ⅲ』が12月1日にリリースされる。『古風』シリーズの完結編だ。今回は「夢十夜」「江戸川乱歩」「刺青」など文学が多く題材になっているようで、どんな趣向が凝らされているのかいまから楽しみ。ちなみにマスタリングは畠山地平です。

 ※別エレ最新号『アンビエント・ジャパン』には冥丁による特別エッセイを掲載しています。ぜひそちらもお手にとってみてください。
 ※シリーズ第1作『古風』リリース時のインタヴューはこちらから。

日本の古い文化をモチーフにした唯一無二のオリジナリティーで、世界のエレクトロニック〜アンビエントシーンで脚光を浴びる広島在住のアーティスト冥丁が『古風』篇三部作の最終章となる『古風 Ⅲ』をリリース。冥丁の解釈に基づいた、文学的で私的な香りが漂う日本の心象風景の琥珀。

【商品情報】
発売日:2023年12月1日(金)
アーティスト:冥丁(メイテイ)
タイトル:古風 Ⅲ(コフウ・スリー)
レーベル: KITCHEN. LABEL
ジャンル:CLUB / ELECTRONIC / AMBIENT / J-INDIES
流通 : Inpartmaint Inc. / p*dis

フォーマット①:国内流通盤CD
品番:AMIP-0345 / 本体価格:3,000円(税抜)/ 3,300円(税込)
フォーマット②:国内流通盤LP
品番:AMIP-0346LP 本体価格:5,000円(税抜)/ 5,500円(税込)
フォーマット③:デジタル配信

https://www.inpartmaint.com/site/38551/

◆ライブ情報
11/15(水)東京・WWW『絵夢 〜 KITCHEN. LABEL 15 in Tokyo』(KITCHEN. LABEL15周年記念イベント)
出演 : 冥丁、Kin Leonn、ASPIDISTRAFLY、Hiroshi Ebina
詳細 : https://www.inpartmaint.com/site/38321/

11/19(日)京都・METRO『COLLABORATIONS : AMBIENT KYOTO × night cruising』
出演:冥丁、Kin Leonn、moshimoss、RAIJIN、Tatsuya Shimada
詳細 : https://www.metro.ne.jp/schedule/231119/


【『古風 Ⅲ』作品紹介】
「失日本」(LOST JAPANESE MOOD) = “失われつつある日本の雰囲気”をテーマに、アンビエント・ミュージックやミュージック・コンクレートを融合させて、時とともに忘れ去られる日本の古い歴史や文化をノスタルジックな音の情景に再構築した作品群で高い評価を得てきた冥丁。本作『古風Ⅲ』は、『古風』(2020年)、『古風Ⅱ』(2021年)に続く、『古風』シリーズ3部作の完結編となるアルバム。この最新作では、日本文化の本質を深く掘り下げながら、静けさや自己発見を通して心の闇を克服した冥丁の精神的な旅路にリスナーを誘っている。

『古風』篇とその前身である『怪談』は、冥丁の故郷である広島の尾道で制作が行われた。当時、精神的な不調を抱えていた冥丁は、賑やかな京都から尾道の田舎に移り住み、孤独に身を置きつつも尾道の静かで穏やかなエネルギーに安らぎを覚えながら、失われつつある神秘的な日本の本質を具現化させる「失日本」(LOST JAPANESE MOOD)をテーマとした音楽制作を始めた。本作『古風Ⅲ』には、その時期に経験した故郷の心象風景が特に色濃く映し出されており、また自己の内なる探求が深い癒しへと発展したことが示されている。

故郷の広島と冥丁自身の複雑な関係や思いと共に、刻々と変化する日本の姿を考察した「黎明」「廣島」、そして、広島の平和教育に対する冥丁の深い考察と歴史的悲劇を認識することの重要な意義が凝縮された「平和」など、冥丁の内なる心象風景を描き出した楽曲や、江戸川乱歩、谷崎潤一郎、夏目漱石たちの日本文学からの影響を題材にした「江戸川乱歩」「刺青」「夢十夜」他、全9曲を収録。

「古風 III』は、冥丁の心の奥底にある不思議な風景を通して、私たちを見えない糸で過去へと結びつけ、日本のベールに包まれた匿名の歴史や私的な痕跡の残る隠された宝物へと導くだろう。

【冥丁(メイテイ)・プロフィール】
日本の文化から徐々に失われつつある、過去の時代の雰囲気を「失日本」と呼び、現代的なサウンドテクニックで日本古来の印象を融合させた私的でコンセプチャルな音楽を生み出す広島在住のアーティスト。エレクトロニック、アンビエント、ヒップホップ、エクスペリメンタルを融合させた音楽で、過去と現在の狭間にある音楽芸術を創作している。これまでに「怪談」(Evening Chants)、「小町」(Métron Records)、「古風」(Part I & II)(KITCHEN. LABEL) などによる、独自の音楽テーマとエネルギーを持った画期的な三部作シリーズを海外の様々なレーベルから発表し、冥丁は世界的にも急速に近年のアンビエント・ミュージックの特異点となった。

日本の文化と豊かな歴史の持つ多様性を音楽表現とした発信により、The Wire、Pitchforkから高い評価を受け、MUTEK Barcelona 2020、コロナ禍を経てSWEET LOVE SHOWER SPRING 2022などの音楽フェスティバルに出演し、初の日本国内のリリースツアーに加え、ヨーロッパ、シンガポールなどを含む海外ツアーも成功させる。ソロ活動の傍ら、Cartierや資生堂 IPSA、MERRELL、Nike Jordanなど世界的に信頼をおくブランドから依頼を受け、イベントやキャンペーンのためのオリジナル楽曲の制作も担当している。

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