Home > News > Big Thief - ──イスラエルでのライヴ中止を発表したビッグ・シーフ
ビッグ・シーフは、来月イスラエルで予定していたふたつの公演のキャンセルを発表した。バンドはもともと、彼の地でライヴをする予定で、当初のライヴ発表における反対の声に対しては、「家族がいる場所に行って空間を共有し、彼らのために演奏することは重要だ」と声明文を出していた。が、ここに来て、それは「無謀と甘さ(the recklessness and naivete)」だったと認識し、公演を中止することにした。
去る6月9日にポストされたインスタグラム(https://www.instagram.com/p/CelZ64bOh81/)に掲載のあらたな声明では「私たちは、最初の投稿からいくつかのことを明確にすることからはじめたいと思います」とし、「私たちが意見の一致を超えて愛し合い、道徳的な高みがどこにあるかわからないと話したとき、それはBDS(イスラエル文化ボイコットをうながすパレスチナ人主導の運動)がボイコットを求めている時期にイスラエルで公演をおこなうことについて言及していました」、それというのも「マックス(・オレアルチック/ベース)が生まれ育ち、現在も住んでいる場所で、音楽は癒すことができるという単純な信念」によるものだったと。しかしいま、「はっきり言って、私たちはパレスチナの人びとに対する不法占拠と組織的抑圧に反対します」と書いている。これは「友人、家族、BDS支持者、パレスチナ人、そしてパレスチナ人のための戦いに尽力しているイスラエル市民」との対話を経ての結論だという。
『現代思想』の「ウクライナから問う」特集のマウリツィオ・ラッツァラートの原稿では、近年世界でどれだけ戦争が起きているかがリスト化されているが、イスラエルとパレスチナに関しては、そのリストに入らないほど、第二次大戦後からずっと続いている。ウクライナ戦争をきっかけに近年世界で起きている他の戦争(シリア、イエメン、アフガニスタン等々、アメリカがイラクに対してどれほどのことをしてきかたことか……)への関心が高まっているなか、最近もパレスチナ自治区へのイスラエルによる攻撃がニュースになっている。
ビッグ・シーフの公演キャンセルを受けて、彼らが演奏する予定だったテルアビブのヴェニューはバンドを批判し、パレスチナを支援する組織は「私たちはビッグ・シーフの勇気と抑圧された人びとの声に耳を傾けようとする意志に敬意を表する」と発表したという。
ちなみにこれまでも、ブライアン・イーノやマッシヴ・アタック、サーストン・ムーアなど多くのミュージシャンがイスラエル政府への批判を公言している(ツアーをキャンセルしたのはラナ・デル・レイ、タイラー・ザ・クリエイター等々)。また、同じようにイスラエルでライヴをしているミュージシャンも多く、たとえばレディ・ガガやニック・ケイヴ、ジャスティン・ティンバーレイクもそう。5年ほど前にイスラエルでライヴをやったレディオヘッドに対しては映画監督のケン・ローチが厳しく批判した。
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