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Various

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Santic + Friends : An Even Harder Shade Of Black

Pressure Sounds/Beat

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野田 努   Mar 23,2010 UP
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 1995年にロンドンの、当初は〈ON-U〉傘下に設立された〈プレッシャー・サウンズ〉が記念すべき第一弾としてリリースしたのが1974年に編集されたこのアルバムで、だから今回の再発は"再発の再発"ということになる。長らく絶版となっていたが、ファンから再発のリクエストがとくに多かったそうだ。今回の再発のアートワークはオリジナル盤のものを再現したそうだが、〈プレッシャー・サウンズ〉がこのアルバムを皮切りにはじめたリリースの(プリンス・ファー・アイ、イスラエル・ヴァイブレーション、リー・ペリー......etc)、しばらくのあいだ統一性をもたしていたデザインを僕は好きだった。あのデザインは明らかにソウルIIソウル、もしくはアシッド・ジャズの流れを継承するもので、レーベルがどんなリスナーに目を向けていたのかがわかる。ジャングルのシーンを除けば、あの時代、移民文化との接続を積極的に果たしていたのはクラブ・ジャズのシーンだったからだろう。あるいは90年代にヴィンテージ・レゲエを求めて街を彷徨い、再発見を望んでいたのは僕のようなクラブ世代だったからだろう。

 『ハーダー・シェイド・オブ・ブラック』――よりハードな黒い影――などという威勢の良いタイトルのこのアルバムは、1974年にキングストンからロンドンにやって来たレナード・アンソニー・チンによって編集され、そして彼のレーベル〈サンティック〉からリリースされている。レナード・チンはレゲエにおける第二世代のプロデューサーのひとりで、第一世代を1960年代後半にピークを迎えるビッグ・スリー――コクソン・ドッド、デューク・リード、そしてプリンス・バスターとするなら、第二世代のグループとは彼らに続いた世代――ジョー・ギブス、リー・ペリー、クランシー・エクルズ、リンフォード・アンダーソン、ウィンストン・ライリー、バーニー・リー......つまり初期レゲエからルーツへと、もしくはダブへと発展する、その時代にかけて大活躍をするプロデューサーたちである。1968年から1974年にかけてのジャマイカ音楽の発展がどれほどエキサイティングであったのかは識者の言葉に委ねようと思うが、レナード・チンはその偉大なる第二世代におけるもっとも若いひとりだった。1953年生まれのチンは10代半ばで歌手として音楽業界に入り、そして1973年からプロデューサーとして手腕を振るっている。若干20歳のルードボーイのプロデューサーである。『ハーダー・シェイド・オブ・ブラック』のオリジナル・アートワークの写真に写っている格好いい美女は当時のチンの妻だというが、なるほど彼女のスタイルを見ても彼の音楽のルードな姿勢がうかがえるというものだ。

 シンガーや演奏者の顔ぶれを見てもいい。ホレス・アンディ、グレゴリー・アイザックス、アイ・ロイ、ジャー・ウーシュ、ベースはファミリー・マンとリロイ・シブルス、ドラムはカールトン・バレットにティン・レグス、キーボードはオジー・ヒバート、そしてこのアルバムにおけるキーパーソンのひとり、オーガスタス・パブロ。ミキシングはエロール・トンプソン。パブロはチンと同じ歳で、ホレス・アンディやグレゴリー・アイザックスはそのふたつ上だから、録音された頃はみんな20歳そこそこだった。若いエネルギーが集結して、まだ控えめなエフェクトによるダブが出はじめたこの時代のレゲエの、ほんの一握りの煌めきが生まれたのだ。

 僕のお気に入りはホレス・アンディの"プロブレム"と"チルドレン・オブ・イスラエル"(まあ、誰にとってもキラーな曲だが)、グレゴリー・アイザックスの"アイル・ビー・アラウンド"とローマン・スチュワートの"ピース・イン・ザ・ヴァリー"(これらのダブ・ヴァージョンもまた最高である)、そしてアイ・ロイの素晴らしいディージェイの"ヤマハ・ライド"、そしてオーガスタス・パブロの"ラヴァーズ・ムード"と"ハーダー・シェイド・オブ・ブラック"......それからもちろん、チンがザ・ビートルズのノルウェイの森"を知らずにザ・ソウル・ヴェンダーズのカヴァーから入ったという"ベター・シェイド・オブ・ダブ"も忘れるわけにはいかない。今回新たに収録された曲――オーガスタス・パブロの"コロンボ"とそのダブ・ヴァージョンである"スペシャル・ブランチ"、サンティック・オール・スターズによる"ヘル・ボート"と"メキシカン・ロッキング"も良い曲で、アルバムの最後に追加されたキング・タビーのダブも嬉しい限りだ。

 オリジナルは10曲。1995年の再発盤は16曲、今回の再発の再発は21曲もある。曲順も変えてある。自分のコレクションに加えない理由がない。

野田 努