ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Okada Takuro 眠れぬ夜のために (interviews)
  2. Sugai Ken - UkabazUmorezU (不浮不埋) (review)
  3. Mura Masa - Mura Masa (review)
  4. Quit Your Band! ──イギリス人ジャーナリストによるJポップ批評、『バンドやめようぜ!』刊行のお知らせ (news)
  5. interview with Takuro Okada 眠れぬ夜のために (interviews)
  6. East Man ──ベーシック・リズムが新名義で〈プラネット・ミュー〉よりアルバムをリリース (news)
  7. New Sounds of Tokyo 東京でもっとも尖っている音楽をやっているのは誰だ? (interviews)
  8. AFX - London 03.06.17 [Field Day] / AFX - Korg Trax+Tunings for falling asleep / AFX - Orphans (review)
  9. 光 - (review)
  10. Melanie De Biasio - Lilies (review)
  11. Nicola Cruz ──エクアドルの電子音楽家、ニコラ・クルース初来日決定 (news)
  12. Matthew Herbert Brexit Big Band - @Blue Note Tokyo (review)
  13. interview with doooo マッドでファニー、盛岡からやって来た気鋭のビートメイカー (interviews)
  14. Lee Gamble - Mnestic Pressure (review)
  15. 音楽と建築 - ヤニス・クセナキス 著 高橋悠治 編訳 (review)
  16. interview with Yukio Edano つまり……下からの政治とはいったい何なのか (interviews)
  17. L.A. Witch - L.A. Witch (review)
  18. interview with Cosey Fanni Tutti スロッビング・グリッスルを語る (interviews)
  19. interview with Mount Kimbie 生き残ったのは誰だ (interviews)
  20. パーティで女の子に話しかけるには - (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Various Artists- Riddim Box

Album Reviews

Various Artists

Various Artists

Riddim Box

Soul Jazz Records

Amazon

野田 努   Mar 07,2011 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 以前、三田格がロスカのことを「ありゃ、ケヴィン・サンダーソンだ」と言っていたけれど、UKファンキーとはなんぞやといろいろと考えていくと、とどのつまりハイブリッドなハウス・ミュージックであるという当たり前の結論に達した。だから「UKハウス・ミュージックの現在」という風に思えば、人に伝えやすい。それはアフロとソカ、あるいはダンスホールといった、この10年のトレンドがブレンドされたハウスであると。当初はパリのDJグレゴリーがルーツだと言われていたが、いまとなってはその源流はマスターズ・アット・ワークにまで遡っているのもなるほどなーという感じである。
 あるいはまた、昔からデリック・メイがセットの中盤あたりでほぼ毎回かけているトライバル・ハウスの路線ともかなり重なる。......が、UKファンキーがハウス・ミュージックだとしても、これはディスコから派生したものではない。これは、UKガラージ/グライムから派生したハウス・ミュージックなのだ。
 で、風の噂では、今年はロスカが来日するかもしれないと聞いて、それはちょっと無理してでも行きたいなーと思っていたところ、昨年末にリリースされたこのUKファンキーのコンピレーションはずっと売れ続けていると下北沢ZEROの飯島直樹さんも言ってるし、いまからでも遅くはないので紹介しようと思った次第である。

 UKガラージ/グライムにおけるアフロ・ディアスポラのダンスへの情熱がこの音楽を発展させた。コード9は、2006年~2007年あたりからリズムの変化に気がついていたというが、USヒップホップとジャングルのあいだでスパークしていたUKガラージ/グライムがハウスのテンポに接近したとき、アフロビートやソカのリズムが表出したというわけだ。実際、UKファンキーとは、(ひと昔まえのタームで言えば)UKブラックの現在のことでもある。
 イースト・ロンドンの貧民街のグライム一派、ナスティ・クルーがその初期における大きな影響だと言われている。そのクルーを代表する、ゴッドファーザー・オブ・ファンキーと呼ばれるDJマーカス・ナスティこそ、ガラの悪いガラージを上品なハウス・ミュージックとブレンドした張本人である。
 ファンキーのオリジネイター連中はすべてガラージ/グライムのシーンから来ている。ドネイオーとロスカはガラージのMCで、ジーニアスはワイリーといっしょにやっていたDJだ。ゼロ年代にわりとグライムを聴いていた人は、あのハードコアな感覚が、よりアフロ色を強めながらハウスと接続したと思えばよい。むせかえるように豪快なアフロビート、ものすごく大雑把なソカのビート、すなわちディアスポリックなアフロカリビアン・ビートこそがこの音楽の魅力であり、ハウス世代のダンサーや若いダブステッパー、デトロイト・テクノのリスナー、もしくは大阪のレゲエ・ダンサーがある日突然ファンキーで踊っていたとしてもなんら不思議ではない。実に寛容なダンス・ミュージックだ。

  本作『リディム・ボックス』はUKファンキーを知りたいという人には最適なコンピレーションである。エクスクルーシヴなトラックはないが、有名どころはほとんど押さえてある。

野田 努