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野田 努   Dec 25,2013 UP
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 クズだと思われていた音源が何十年後かに突然光沢を帯びるのはいまでは珍しい話ではない。『コズミック・マシーン』は1970年代にフランスで制作された電子音楽を集めたものだが、高尚な現代音楽や芸術分野における成果ではなく、ジョルジオ・モロダーとクラフトワークの衝撃、シンセの普及、そのどさくさに紛れて産み落とされた、ディスコをはじめとするダンス・ミュージック、ライブラリー系の商用音楽や著名なアーティストが電子機材を手にしたばかりの熱にうなされて(さもなければ気まぐれで)作ったかのような楽曲が20曲収録されている。言わばフレンチ・エレクトロの青写真、コズミック・ディスコの視点から編まれたコンピレーションである。これから正月/新年を迎えるにあたって、実にユルくて、最高に腑抜けた音楽なので紹介しよう。
 ジャン=ジャック・ペリー(フランスというよりも、世界史な観点で言って大衆電子音楽の先達)やセルジュ・ゲンズブール、ジャン・ミッシェル・ジャールといった説明不要の大御所に混じって、ディスコ・ファンにはお馴染みのセローン、ベルナール・フェヴレ(ブラック・デヴィル・ディスコ・クラブ)の名前もある。なんとダフト・パンクのトマ・バンガルテルの父親がプロデュースした作品もあるが、これがネタというよりも、本気でなかなか良い。他の収録曲はだいたい面白い。4/4キックドラム、ロボティックな反復、ぶ厚く、ときにキラキラしたアナログ・シンセ音は、きっとあなたをアウタースペースに導いてくれるでしょう。電子機材を大衆音楽に使用するにあたっての「型」が確立していない時代の楽曲なので、テクノの珍品集というか、発想がいまより自由だし、3~40年前のガラクタがアートに見えるといったら大げさだが、聴いて楽しいことはたしかだ。クラウトロックにも似た、どこまでもスマートになりきれない面白さもある。

 とはいうものの、結局、音楽は時代の映し鏡という側面があり、それが電子音楽であれ、レアグルーヴであれ、そして流行のモードが90年代になろうとも、人が70年代の音楽を愛するのは、作品に吹き込まれたオプティミスチックな空気ゆえだろう。今日いかなる電子音楽を聴いても、良くも悪くもここまでお気楽な調子にはならない。ele-kingが好んで紹介しているようなダーク・アンビエントだの、インダストリアル/ゴシックだの、ヤング・エコーなど、とんでもございません! さすがゲンズブールは、電子音を使ってインダストリアルな質感を醸し出しているのだが、それにしても今日のそれとは比較にならない。

野田 努