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借りパク音楽反省会

借りパク音楽反省会

第6回:多様なホルストさん。パクられ過ぎの『惑星』。

文:アサダワタル Apr 01,2016 UP

 春です。春が来ましたよ! 皆さん、新年度、元気にスタートされましたか?

 いやぁ、しばらく更新がないから「ひょっとして借りパクネタがもう尽きてしまったのでは?」と勘ぐられているみなさん、とんでもございません。まだまだあります。

 年の瀬にちょっとわたくしめの新著新譜のWリリースがあったりで、しばらくドタバタとイベントライフを過ごしておりましたが、いつ何時も借りパクにまつわる深い反省の気持ちと貸してくれた恩人一人ひとりの残像への想起が途切れることはなかったのです。そして、今回からは、僕だけの借りパク音楽だけでなく、僕の友人や仲間たちからいただいたエピソードも踏まえて紹介していければと思います。

 では、本日はあの曲。誰もが一度ならず耳にしたことがあり、平原綾香も「ひとりぃじゃあ?なぁ?いぃ??」と日本語歌詞をつけて熱唱した「Jupiter(ジュピター)」が収録されている、G・ホルストの組曲『惑星』の3連発です! いちばん上が僕。そして次が高校時代の友人、森下くん、そして最後が同じく高校時代の友人、河井さん。




2012年時のもの

 もうお気づきかと思いますが、僕も含めてこの3人はみんな同じ高校の同じブラスバンド部に所属していました。こんなに身近すぎるブラバン友人をリサーチしただけでも、このホルスト『惑星』借りパク・エピソードが重複しているなんて、いったい、全国のブラスバンド青少年たちの何十人、何百人、いや、何千人がこの作品を借りパクしてるんだ……って話ですよね。しかも指揮者や楽団、レーベル別に多様な名盤があるからもうその借りパクヴァリエーションの芳醇さは計り知れない……。

 まず僕はと言えば、パートは打楽器だったんですね。日々、メトローム60で4分音符、8分音符、3連符、16分音符とスティックを振るわけですよ。もちろん一人に一台ずつスネア(小太鼓)なんてないから、机です。あの教室にある木の机。放課後誰もいなくなった教室にパーカッション・パートが陣取り、誰か知らないやつの机をバカスカ傷だらけにする。いま思えば、何気にけっこうひどいことをやっていたなと思います。そして、この名盤は、そのパートリーダーだった一つ上のT先輩から借りた気が。で、カバーするのはやはり『ジュピター』ですわな。そこで、はっきり覚えているのはグロッケン(小さい鉄琴ね)担当だったこと。あとはたしかシンバルも兼務していたような……。で、何よりも入部してたしか最初に演奏会への出演が決まった課題曲だったんですよ。もう、ただでさえ楽譜読むの苦手(いまでもだけど)なのにいきなり初見演奏とかさせられて結果はさんざんだったのは言うまでもなく。曲をディスクマン(CDのウォークマンね)で日々聴いてとにかく身体に覚え込んでキンコンコンキンコンコンと演ってましたね。こういう課題曲のCDってなかなかなんというかズルズルと返すタイミング逃してしまうもので、しかもうちの高校はいちおう進学校だったためか部員の引退が早くてね(みんな受験勉強するから)。よけいに返しそびれ……ともう言い訳でしかないけど20年たったいまも手元にあるというわけです。

 森下くんは、テナーサックスでしたね。やつはどうも同期のユーフォニウム(いまアニメの影響で脚光浴びてますね)担当のGさんに借りたらしく、オカン的頼られキャラのGさんがゆえにドーンと貸してくれて、そのままドーンと快く借りパクを受け入れてくれたのかもしれませんが。森下くんいわく、同窓会の幹事を引き受けた際に「これを機に返そう」と思っていたらしいですが、結局のその幹事の仕事すらさぼってしまってさらに顰蹙を買い深い反省に包まれたことを、後日僕に報告してくれています。

 そして河井さんは、トロンボーン。やっちゃんというニックネームで呼ばれていた彼女は中学時代からブラスバンド部だったこともあり、課題曲などの知識も豊富でしっかり者だったんですが、そんな彼女にもこんな借りパクエピソードがあるとはリサーチするまで知る由もありませんでした。まさに「お前もホルスト借りパクかよ!」って感じです。しかも中学当時貸してくれた先輩がタバコ事件で部活出入り禁止になって返すタイミング逃したってのが、なかなか時代も感じる味わい深い話ですよね。しかもその先輩が指揮者だったって、そりゃもう楽団ごとしょっぴかれそうな勢い。

 と、まぁ、今日は「ブラバン」という文化ならではの借りパクエピソードをお届けしました。
 みなさんからの多様な借りパク投稿、引続きお待ちしております~!!



■借りパク音楽大募集!

この連載では、ぜひ皆さまの「借りパク音楽」をご紹介いただき、ともにその記憶を旅し、音を偲び、前を向いて反省していきたいと思っております。
 ぜひ下記フォームよりあなたの一枚をお寄せください。限りはございますが、連載内にてご紹介し、ささやかながらコメントとともにその供養をさせていただきます。

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Profile

アサダワタル/Wataru Asadaアサダワタル/Wataru Asada
1979年大阪生まれ。作家、ミュージシャン。2000年代初頭より「越後屋」(NMR)や「SjQ」 (HEADZ)でのドラム担当、「大和川レコード」名義でのソロ活動にて、ライブやリリースを行う。その後、表現活動を"音"から"場/事"に拡張し、スペースの運営や教育・福祉現場における音楽ワークショップの実施、それらに纏わる文筆活動を開始。著書に『住み開き 家から始めるコミュニティ』(筑摩書房)、『コミュニティ難民のススメ 表現と仕事のハザマにあること』(木楽舎)など。2013年に、ドラムを担当する「SjQ++」が、アルス・エレクトロニカ2013デジタルミュージック部門にて準グランプリ受賞。

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