ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Sherelle - With A Vengeance | シュレル
  2. 別冊ele-king VINYL GOES AROUND presents RECORD――レコード復権の時代に
  3. Actress - Grey Interiors / Actress - Tranzkript 1 | アクトレス
  4. Columns R.I.P. Max Romeo 追悼マックス・ロミオ
  5. あたらしい散歩──専門家の目で東京を歩く
  6. interview with Nate Chinen 21世紀のジャズから広がる鮮やかな物語の数々 | 『変わりゆくものを奏でる』著者ネイト・チネン、インタヴュー(前編)
  7. Twine - New Old Horse | トゥワイン
  8. Seefeel - Quique (Redux) | シーフィール
  9. Shinichiro Watanabe ──渡辺信一郎監督最新作『LAZARUS ラザロ』いよいよ4月6日より放送開始
  10. Shintaro Sakamoto ——すでにご存じかと思いますが、大根仁監督による坂本慎太郎のライヴ映像がNetflixにて配信されます
  11. Jefre Cantu-Ledesma - Gift Songs | ジェフリー・キャントゥ=レデスマ
  12. interview with Black Country, New Road ブラック・カントリー・ニュー・ロード、3枚目の挑戦
  13. Black Country, New Road - Forever Howlong | ブラック・カントリー、ニュー・ロード
  14. Jane Remover ──ハイパーポップの外側を目指して邁進する彼女の最新作『Revengeseekerz』をチェックしよう | ジェーン・リムーヴァー
  15. Soundwalk Collective & Patti Smith ──「MODE 2025」はパティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴのコラボレーション
  16. Cosey Fanni Tutti ——世界はコージーを待っている
  17. Conrad Pack - Commandments | コンラッド・パック
  18. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  19. 三田 格
  20. 「土」の本

Home >  Regulars >  Tanz Tanz Berlin > #2:ダニエル・ベルとの対話

Tanz Tanz Berlin

Tanz Tanz Berlin

#2:ダニエル・ベルとの対話

浅沼優子 Apr 28,2010 UP

初めて〈Tresor〉に行ったときは、歩いてその草むらを通ったんだけど、コオロギの鳴き声が聞こえていた(笑)。田舎道を歩いているような気分になるんだけど、なかに入ったらジェフ・ミルズがDJしていた(笑)。

あなたがDJとして活動しはじめたのが90年代後半だったということにも驚きました。それまでDJはやっていなかったんですか?

ベル:それまではプロデュースばかりしていたからね。僕はクラブDJとしてこの世界に入ったわけじゃなくて、それまではバンドやヒップホップなんかをやっていた。86年頃かな、初めてハウス・ミュージックを聴いたとき、すごく興味を惹かれたんだ。すごく...... 空っぽな感じがして(笑)。こんなに空っぽな音楽をなぜ作るんだろう? なんて思って、クラブに行ってみたんだ。そしたら、それがクラブという環境では機能するということがわかって、本当に面白いと思ったんだ。当時は純粋なインストゥルメンタルのダンス・ミュージックというもの自体が新しかったし、それまで聴いたことがないものだった。僕もそれまで音楽をやっていたから、どんな機材を使ってどのように作っているかはすぐわかった。だから、自分でもやってみようって。そうやって曲を作りはじめたんだ。DJをはじめたのは、ぶっちゃけてしまうと、レコードを作っているだけでは生活できなかったから。その当時でさえもね。だから、曲作りを補うかたちで、DJもやってみようと思った。だから、それほど真剣に考えていなかったというか、それほど高いモチベーションがあったわけではなかったんだ。当時ブッキングされていたイヴェントにもあまり興味が持てなかったしね。本当にこのミックスCDを出してからだね、「やるなら本気で取り組もう、自分のベストを尽くそう」と思うようになったのは。それからDJとしての腕を上げるために時間も費やしたし努力もした...... それが僕にとってのこの10年だったというわけ。そのあいだあまりリリースをしていない理由だよ(笑)。

初めて〈Tresor〉でプレイしたときのことを覚えていますか?

ベル:うん、覚えているよ。最初に〈Tresor〉に行ったときのこともよく覚えてる。DJとしてでなく、客として行ったとき。たしか91年だ。

91年!オープンしたのはいつでしたっけ?

ベル:たしか、僕が行ったとき、まだオープンして数ヶ月しか経っていなかった。

では、本当に最初から知っているんですね。

ベル:ああ、その頃と比べると本当に(ベルリンが)変わったと思う。クラブのまわりには本当に何にもなくてね、壁があった場所だから、がらんとした巨大な空き地があった。それがいまはポツダム広場になっているんだから! あの頃はただの草むらだった。初めて〈Tresor〉に行ったときは、歩いてその草むらを通ったんだけど、コオロギの鳴き声が聞こえていた(笑)。田舎道を歩いているような気分になるんだけど、なかに入ったらジェフ・ミルズがDJしていた(笑)。強烈な印象だったね、それまでデトロイトでもベルリンのことはあまり知られていなかった。テクノやハウスがあるってことも知らなかった。情報がなかったんだ。本当に、〈Tresor〉が最初のきっかけだった。ジェフ・ミルズが〈Tresor〉レーベルからリリースすることになってからだ。

〈Tresor〉にはジェフ・ミルズの紹介で行ったんですか?

ベル:いい質問だな。どうだっただろう...... たぶん、ジェフではなくてベーシック・チャンネルのふたりだったと思う。モーリッツ・ヴォン・オズワルドとマーク・エルネストゥスだ。ベルリンに来たときはマークの家に泊まらせてもらっていた。

彼らとはレコードの販売などを通して知り合ったんですか?

ベル:いや、よくデトロイトに来ていたからね。デトロイトで出会ったんだ。みんな彼らとは知り合いだったし、いつも歓迎してくれて、家に泊まらせてくれた。とても良くしてくれたから、僕もときどきドイツに来て、マークの家に2週間くらい滞在させてもらっていたね。彼らを通してディミトリ(〈Tresor〉のオーナー)とも知り合った。92~93年のことだね。

 

1234

RELATED

来日情報

4/28 DJ @ 札幌 Precious Hall
http://www.precioushall.com/

5/1 DJ & Live @ 東京 Unit
http://www.unit-tokyo.com/schedule/2010/05/01/100501_cabaret.php

5/2 DJ @ 大阪 SoundChannel
http://www.sound-channel.jp/2010/05/daniel-bell-in-sound-channel/

Profile

浅沼優子浅沼優子/Yuko Asanuma
フリーランス音楽ライター/通訳/翻訳家。複数の雑誌、ウェブサイトに執筆している他、歌詞の対訳や書籍の翻訳や映像作品の字幕制作なども手がける。ポリシーは「徹底現場主義」。現場で鍛えた耳と足腰には自信アリ。ディープでグルーヴィーな音楽はだいたい好き。2009年8月に東京からベルリンに拠点を移し、アーティストのマネージメントやブッキングも行っている。

COLUMNS