ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 別冊ele-king 坂本慎太郎の世界
  2. shotahirama ──東京のグリッチ・プロデューサー、ラスト・アルバムをリリース
  3. Flying Lotus ──フライング・ロータスが新作EPをリリース
  4. ロバート・ジョンスン――その音楽と生涯
  5. interview with Shinichiro Watanabe カマシ・ワシントン、ボノボ、フローティング・ポインツに声をかけた理由
  6. Shintaro Sakamoto ——坂本慎太郎LIVE2026 “Yoo-hoo” ツアー決定!
  7. ele-king presents HIP HOP 2025-26
  8. IO ──ファースト・アルバム『Soul Long』10周年新装版が登場
  9. Thundercat ──サンダーキャットがニュー・アルバムをリリース、来日公演も決定
  10. CoH & Wladimir Schall - COVERS | コー、ウラジミール・シャール
  11. 坂本慎太郎 - ヤッホー
  12. KEIHIN - Chaos and Order
  13. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  14. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか
  15. DIIV - Boiled Alive (Live) | ダイヴ
  16. Autechre ──オウテカの来日公演が決定、2026年2月に東京と大阪にて
  17. Columns 1月のジャズ Jazz in January 2026
  18. interview with Sleaford Mods 「ムカついているのは君だけじゃないんだよ、ダーリン」 | スリーフォード・モッズ、インタヴュー
  19. Geese - Getting Killed | ギース
  20. Stereolab ——日本でもっとも誤解され続けてきたインディ・ロック・バンド、ステレオラブが15年ぶりに復活

Home >  Regulars >  Turning British > #2 DJ Krush & Prefuse 73 @KOKO- ――モダンと伝統の狭間で

Turning British

Turning British

#2 DJ Krush & Prefuse 73 @KOKO

――モダンと伝統の狭間で

Anchorsong
photos:TAKAHIRO NAKAYAMA
Oct 28,2010 UP

photos : TAKAHIRO NAKAYAMA

 去る10月16日(土)、SOUNDCRASH presents 〈DJ Krush & Prefuse 73@KOKO〉にて、両ヘッドライナーのサポートを務めさせてもらいました。

 トップバッターとして登場したのは、DMCチーム部門の決勝戦に出演するために日本から訪英していた、YASA & HI-CによるKIREEK。バトルDJとして、世界中のヘッズから支持される彼らですが、当日はそのスキルを無理に見せつけることなく、ゆっくりと、しかし確実に、温まりはじめたばかりだったフロアの温度を上げていき、彼らが単なるバトルDJではなく、ミックスを中心としたオーソドックスなパフォーマンスでも力を発揮できることを、集まったオーディエンスの前で証明しているようでした。また、彼らは翌日に同会場で開催された〈DMC黴€Team World Championship 2010〉にて、再度世界チャンピオンの座の防衛に成功し、フランスのC2Cが持つ記録と並ぶ、4連覇を達成しました。

 続いて登場したのは、The Cinematic OrchestraのギタリストであるStuart McCallum。当日は同じくThe Cinematic Orchestraで活動するドラマーのLuke Flowersと、シンガーHeidi Vogelによるトリオ編成として出演。その技術とたしかなセンスに裏打ちされたジャジーかつパワフルなパフォーマンスは、当日のラインナップの中で異彩を放ちつつも、ほろ酔いのオーディンエンスを大いに湧かせていました。


アンカーソングのライヴ風景。

 ちょうど日付の変わった深夜0時に、僕は3番手として出演させてもらいました。冒頭の2曲をソロとして演奏した後、弦楽四重奏をステージに迎え入れ、新曲の"Ornaments""と"Plum Rain"を含む、合計6曲を演奏しました。前者はダブステップのビートを、後者はUKガラージの要素を取り入れ、どちらも自分なりに新しいことにチャレンジした楽曲で、フロアの反応に多少の不安もありましたが、蓋を開けてみれば、どちらも好意的に受け止めてもらえたようでした。宮殿のような造りをした会場の〈KOKO〉は天井が非常に高く、場合によっては弦楽器の音が分離し過ぎて、一体感のないものになってしまうこともあるのですが、すでにフロアを埋め尽くしていたオーディエンスの熱意あるレスポンスを目の当たりにして、胸を撫で下ろすとともに、後に控えるふたりのヘッドライナーにうまくバトンタッチできたことを、とても嬉しく思いました。


いまだ根強い人気のあるPrefuse 73

 ヘッドライナーとして先陣を切ったのはPrefuse 73。普段はドラマーやターンテーブリスト等をゲストに迎えて、バンドとして演奏することが多い彼ですが、当日はラップトップとMPC1000を中心とした、ややチルアウト気味のソロセットを披露していました。エレクトロニカ/ヒップホップのシーンの中心人物として数多くの作品を発表し、確固たる地位を築いている彼の曲群は、ただモダンなだけでなく、音楽的な深みに満ちていて、自身の音楽に対する深い愛情が現れているように思えます。集まったオーディエンスも、広く知られた『One Word黴€Extinguisher』などの作品からの楽曲のみならず、未発表だと思われるものに対しても、ゆっくりと身体を動かし、そしてじっくりと耳を傾けているようでした。完成したばかりだという、女性ヴォーカリストたちとのコラボレーション作品となるニュー・アルバムへの期待を、大いに膨らませてくれるセットでした。


DJ Krushへのリスペクトは変わらない

 そして当日のトリを飾ったのはもちろんDJ Krush。フロアの温度も最高潮に達し、彼の登場にフロアからは大きな歓声が沸き起こって、彼の名を世界に轟かせる発信地となったここロンドンで、いまでも変わらず多くのファンが彼を待っているということを、改めて目の当たりにしました。
 当日は来年発表予定だという新作からの楽曲と、過去のクラシックを織り交ぜたセットを披露して、フロアのオーディエンスの期待にがっちりと応えているようでした。ロンドンのダンス・ミュージックのシーンは非常にサイクルが早く、新しいもの好きというイメージが強くありますが、そのいっぽうで彼の楽曲のような、風化してしまうことのないタフさを備えた音楽に対する理解と情熱も、この街のオーディエンスには、たしかに備わっているように思えます。またステージ脇には、そのパフォーマンスをまじまじと見つめるPrefuse 73の姿がありました。DJ Krushとの競演は初めてだったそうで、いち音楽ファンとして彼のパフォーマンスを堪能しているようで、その演奏を終えたときに、フロアのオーディエンスとと同様に、惜しみない拍手を送り続けていました。
 すべてのミュージシャンにとって、自分の尊敬するアーティストと競演することほどエキサイティングなことはないのだと、改めて思い出すことができた一夜でした。


Profile

AnchorsongAnchorsong
MPC2500とキーボードを駆使し、オーディエンスの目の前でリアルタイムに楽曲を打ち込んでいくという独特のライヴ・パフォーマンスを武器に、2004年9月より活動を開始。Youtubeにアップされた数々のライヴ映像が驚異的なアクセス数を記録するなど、その個性は国内外で大きな話題を呼んでいる。2007年10月に活動の場をロンドンに移している。2010年6月9日には、3作目となる「The Lost & Found EP」を〈Lastrum Music Entertainment〉からリリースしている。 http://anchorsong.com

COLUMNS