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interview with Mitsuru Tabata

interview with Mitsuru Tabata

アウトサイダーの履歴書――田畑満

大久保潤    photos by Yasuhiro Ohara   Oct 20,2010 UP

それで河端くんがアシッド・マザーズはいつも吉田達也さんにマスタリングやってもらってるからって言うので、じゃあいつもの調子でお願いしますって言ったら「いつもと全然違うじゃん」(笑)。吉田さんも最初困ってたみたいです。だいたいドラムが入ってないし(笑)。

田畑:それだけやったっけ、バンドって。

■まだまだたくさんあるとは思いますけど(笑)、ここらでソロの『ルシファー』の話を聴きたいと思うんですが。


タバタミツル /
ルシファー

map / Compare Notes Records

Amazon

田畑:事前に作ってた曲は1曲しかなかったんですよ。ゼニゲバの関西ツアーを3箇所くらいやった後にアシッド・マザーズの河端くんの家の山寺まで行って録音したんやけど、それまで全然準備してなくて。ツアーの最終日が神戸で、打ち上げが朝まであって、酔っ払ってその時にみんなでしゃべってた話を歌詞にしたんです。「キブンハショウニ」ってヤバい歌があるんですけど、それはライヴ・ハウスの店長が何かの拍子に「気分はショウニや」って言ってたから「これや」とか。

■今回はソロでは初めての歌ものですが、これまでのソロは全部インストでしたよね。

田畑:今回は〈Mapレコード〉からそもそも歌を入れることって言われてたんですよ。いままでソロは海外のレーベルからしか出してなかったから、日本語で歌うのはどうなんかなってのもあったんですよね。まあギタリストやからギターのアルバムを出さないかんのかなって単純に思って何枚か出してたんですけど。

■いままでのソロアルバムと今回のアルバムでは作り方で違いはありましたか?

田畑:まず自分ちで録ってたのと違うのは、帰る日を決めてたんです。だからそれまでにやらなきゃいけない。3日で録ったんですけど、正味2日ですね。毎日終わるたびに鍋とかやってたんでずっと二日酔いで(笑)。声とか擦れてるんですよ。曲はない、アイデアない、ないない尽くしで(笑)。

■とてもそうは聴こえないですけどねえ。仕上がりは割と構築感があると思うんですけど。録音がすごくいいですよね、空間処理とか。音数が少ないのも逆にいい。

田畑:それはもうプロデューサーのおかげです。それで河端くんがアシッド・マザーズはいつも吉田達也さんにマスタリングやってもらってるからって言うので、じゃあいつもの調子でお願いしますって言ったら「いつもと全然違うじゃん」(笑)。吉田さんも最初困ってたみたいです。だいたいドラムが入ってないし(笑)。何か参考になるものないかって言ってCD棚探してたけど、「ないな」って。それでレインコーツ出してきて聞いてたんですけど、全然ちゃうやんけ(笑)。

■ギター以外の楽器が結構少ないながらも効果的に使われてますが、録音するときには河端さんからのアイデアも結構あったんですか。

田畑:そうですね、それはすごくありましたね。あと自分が弾けない楽器をリクエストしたり。ハーディガーディ弾いてくださいよとか。本当にアイデア無かったので。

■「ルシファー」っていうのはどこから来たんですか。

田畑:それは最初から決まってましたね、なぜか。日本語タイトルは"世界最古のヤクザ"で、「ルシファーってヤクザやったんや」っていう(笑)。

■何でルシファーなんですか。

田畑:いや、それが何だったのか......悪魔憑きみたいなのに凝ってたことがあったんですよ。エクソシスト系の映画が好きで片っ端から観てたんです。取り憑くやつ。

■もともとあった曲っていうのは?

田畑:"海の藻屑"って曲。あとは全部その場で作りました。

■"月の石"あたりは結構ちゃんと曲になってるというか、もとからあったのかと思ってたんですけど。

田畑:あれは録る5分前に作った(笑)。かなり焦ってましたね。

■歌もので3日間ってすごいですよね。昔のノイ!とかも3日とかで作ってるけど、あれはほとんどインストだから。

田畑:そういうノリで作ってますよ、たぶん。歌は入ってるけど何かワケがわからん音楽なんで(笑)。

■たしかにフォーク的な歌ものとは違いますけど、でも歌詞は書いたわけですよね。

田畑:メモ帳が残ってますよ。よく聴くとわかるんですけど、書いて歌ってるのと、頭の中だけでやってるのがあって、書いてないのは歌がちょっと出遅れてるんです。自分だからわかりますけど。よくそんなんで出してくれたな(笑)。

■〈Map〉から田畑さんの歌もののソロが出るって話を最初に聞いたのは実は1年以上前なんですけど、随分かかりましたよね。

田畑:だからやるぞって締め切りを作らないとやらないですよ。それまでに準備しとけよって感じですけど(笑)、何かと忙しくて。たくさんバンドやってるのも余裕でやってるように見えるけど結構いっぱいいっぱいなんです。もうわけがわからない(笑)。Pagtasも「パグタスノート」っていうのがあって、そこに自分の演奏メモが書いてあるんです。覚えられないくらい難しいし、それがないと演奏できない。もうそんな状態ですよね。ゼニゲバだけは長くやってるんで身体で覚えこんでますけど、あとは最近やり出したバンドばっかりなんで、曲があるバンドは苦労してますね。

■あれだけたくさんのバンドを掛け持ちするっていうのはどういう感じなんですか。

田畑:わけがわからないですよ。

■意図して増やそうと思ってたわけでもないんですね。

田畑:まだ楽は楽かもしれないですね。バンド・リーダーとかじゃないんで。

■そうか、リーダー・バンドはあまりないですね。

田畑:リーダー・バンドはないけど社長やってるバンドはありますよ。

■社長?

田畑:物販の(笑)。リーダーではないけど物販業はずっとやってますね。アシッド・マザーズでもそうだし。

■アシッド・マザーズの物販はメルティング・パライソ・UFOのほうは津山篤さんがずっとやってますよね。

田畑:津山さんはたとえマジソン・スクエア・ガーデンでやっても、物販は俺がやるって言ってますね(笑)。

■出番までにステージに行くのが大変ですよね(笑)。それでは今後のリリース予定とかを最後にお聞きしたいと思いますが。

田畑:まずこないだ『ルシファー』の後に『Mankind Spree』っていうソロアルバムが出ました。それはインストゥルメンタルで。

■いろいろゲストが入ったりしてますよね。

田畑:そうですね、山本達久くんとか、一楽誉志幸くん(FRATENN他)とか、アシッド・マザーズのシンセの東洋之くんとか。あとはPagtasが出たところで、11月に20ギルダーズ。それとGREEN FLAMESを録音するかも。ゼニゲバは今月、イギリスのバーミンガムでスーパーソニックっていうフェスに出ます。対バンがスワンズにゴッドフレッシュにナパーム・デス(笑)。「いつやねん」っていう、どれも微妙に古い(笑)。メルト・バナナもいっしょですね。あ、そのときノイ!も出るんですよ。ミヒャエル・ローターがノイ!の曲をやるっていう。20ギルダーズのレコ発ツアーもやりますね。それは国内ですけど。帰ってきてすぐなんですよ、ゼニゲバのツアーから。かなり音楽性が違うんで頭切り替えんと。その後、11月25日にゼニゲバで初のワンマン・ライヴが新大久保のアースドムであります。

文:大久保潤(2010年10月20日)

Profile

大久保潤大久保潤/Jun Okubo
1975年東京生まれ。書籍編集者として菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』、佐々木敦『「批評」とは何か』、『アメリカン・ハードコア』『ブラック・メタルの血塗られた歴史』、ミック・ファレン『アナキストに煙草を』などを担当。ポストパンクバンド「大甲子園」、即興ドゥームロックバンド「Filth」、即興ハードロックバンド「Filth Iconoclast 666」等のギター。
ブログ:http://www.noiznoiznoiz.com

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