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interview with ROTH BART BARON

interview with ROTH BART BARON

アンユージュアルなふたり

──ロットバルトバロン、インタヴュー

橋元優歩    写真:小原泰広   Apr 22,2014 UP

「じゃあ外国に行って録ってみたらおもしろいんじゃないか」っていう話を冗談でしていたんですよ。僕は前からそういうところに憧れがあったし、日本語でものを考えない人といっしょに音楽を作ったらどうなるんだろうっていうところにも興味があって。(三船)

■それは曲の作り方というところにも結びついてくると思うんですが、別世界へのアクセス・ポイントという点では、今作のプロダクションについても言えるんじゃないですか。すごくきちんと録られていると思うんです。ぐっとクリアになって洗練された音で、丁寧にミックスされている。『化け物山と合唱団』とかは、もっとロウな感じが出ていたと思うんですよ。ラフというか。その感じが今回は抑えられて、きちんと録られることで、異世界とか幻想世界へのワープが容易になったという気もします。録音について考えていたことをきかせていただけますか?

三船:『化け物山~』のツアーで京都に行って、その帰りに高速道路を走っていたときに、「次はどうしようかなー」っていうことを考えていたんです。

■あ、「次」という意識があったんですね。『化け物山~』の次、という。

三船:ありましたね。といっても、ほぼ最初のアイディアでもありますけれども。それで、「じゃあ外国に行って録ってみたらおもしろいんじゃないか」っていう話を冗談でしていたんですよ。僕は前からそういうところに憧れがあったし、日本語でものを考えない人といっしょに音楽を作ったらどうなるんだろうっていうところにも興味があって。別の言語で思考している人といっしょに仕事をすることがおもしろそうに思えました。前作の反省点もあるし、あのときの車の中では海外録音の話ですごく盛り上がったんですよ。「いいね、行こうよ」って言って。僕はインターネットでそういうスタジオを探したりするのが好きなので、「こことここ!」って15か所くらいを挙げて、選んでいきましたね。

■あ、自分たち発信だったんですね。しかもけっこう絞り込んで。

三船:そうですね。音楽をやっていてよかったな、とか、心がどきどきしたりとか、そういう、魂が震えるような体験を大事にして音楽を作っていこうよって考えたときに、それに忠実であろうとした結果、こうなった(海外録音になった)という感じですかね。
 そしたらなぜか、本当にかたちになっていってしまった(笑)。

■そうなんですね。ブライアン・マクティアーの名前もすでに出ていましたか?

三船:出ていましたね。

■じゃあ、本当に好きなんですね。

三船:ブライアン・マクティアーは、シャロン・ヴァン・エッテンが初めて日本ツアーをしたときに話しかけて、教えてもらってたんです。彼女はべろんべろんに酔っぱらっていましたけどね。ひどい……いや、本当にいいライヴでした。
 僕は、上から下まで埋め尽くすミックスがあんまり好きじゃないんですよ。最初は「おっ!」ってなるけど、ずっと聴いていられない。合理的なんだけど、何か違う。……あんなのは、日本人にアメ車作れって言っているようなものだなと思います。それに、アメ車作りたいなら向こうの人に聴かなきゃなって。

■うんうん、なるほど。……しかし、アメ車の意識があるわけですか。

三船:いや、ないですよ(笑)! たとえです。

■いやいや(笑)、土着の音をつくっているんじゃなくて、どこか外から日本を見つめるような視点があるんだなあと思いまして。

三船:そうですね、それがぶつかったときにどうなるのかなという興味がありますね。


僕たちが録ってもらいたいと思っている人がたまたまアメリカにいたというだけで。海外に行くことが目的ではなくて、録りたい音を録りにいきました。(中原)

■「ガラパゴス」って言葉に顕著ですけど、ある閉塞性のなかで生まれてくる奇形的な表現に対して賛否あるじゃないですか。それは、「外は見なくていい」というヘンな開き直りに結び付く場合もあると思うんですが、対しておふたりの音は、わりと徹底的に日本の音楽を対象化するようなものだなと感じるんですよ。わざとじゃないかもしれませんが。まずもってアメリカ録音ですし。

三船:そうですね、対象化はしていると思います。ガラパゴスっていうのも、悪いだけでもいいだけでもないし。ただ、風通しが悪いなっていうことは感じますね。「世界ふしぎ発見」が好きなんですよ、僕(笑)。単純に、世界のいろんなところに行ってみたいなって思うし、日本にも見ていないところがいっぱいあるし。
 今回だって、たまたまアメリカだっただけで、岩手にしようかとか、今作だって半分は山梨の山小屋で録っているし……日本という国が嫌いということではぜんぜんないんです。ただ、今回外国に行くのは初めてだったんですけど、いろんなことが頭でっかちになっちゃっていて、少しガス抜きをしなきゃということは感じました。

■中原さんはどうですか?

中原:海外に行って初めての体験というのはいろいろあったんですが、僕たちが録ってもらいたいと思っている人がたまたまアメリカにいたというだけで、とくに「海外に行ってきたぞー!」という感じではないんです。海外に行くことが目的ではなくて、録りたい音を録りにいきました。

■なるほど、よくわかります! ところで、ボン・イヴェールだったりスフィアン・スティーヴンスだったりというアーティストたちへの共鳴があると思うんですが、どうですか? 彼らというのは、やっぱり、フォーク──アメリカやカナダというそれぞれの土地の歴史や、土着のものへの愛、あるいはその反転としての憎しみ、なんかの間で歌っていると思うんですね。そういう部分への共感は?

三船:共感はあるんですよ。でも、なんだろう……僕ら東京生まれの東京育ちだしなあ。

■ははは。では山梨には何を求めたんですか?

三船:山梨は、あれです。僕たちはいわゆる「音楽スタジオ」っていうジャンルの部屋が好きじゃないんですよ。ライヴハウスも好きじゃない。なんか、そこの音に鳴っちゃうんですよね。それは避けたいし、音楽を作る環境じゃねえなってふうにも思います。

■オーガ・ユー・アスホールも長野ですよね。

三船:すぐ近くですよ!

■音環境については、ちょっと似たようなお考えを持っていらっしゃるかもしれないですね。

三船:それから、地元愛か……。ジャスティンは、ほんとに地元の兄ちゃん、って感じでしたよ。でも、いま「地元の音」っていうものが日本にあるかといえば、ないような気がするなあ。

■音のアイデンティティって、単にヨナ抜きにすればいいのかっていうような話とちがいますからね。

三船:そうですね。東京に住んでいると、とくにそのへんはコンプレックスだったりはしますね。いろんな人間がたくさんいるし、ウチも3代東京に住んでますけど、アイデンティティっていうのが、あんまりないんですよね。何がここで鳴るべき音なんだろう、この景色に合う音楽ってなんなんだろう、っていうときに、なかなか合うなっていうものが思いつかない。


取材:橋元優歩(2014年4月22日)

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