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洋楽かぶれ──、僕もそのひとりだが彼らもかなりなもの。たくさん聴いたうえで作ることがメインストリームで奨励されることはないが、90年代初頭は邦楽を更新する活力剤にもなっている。
もう5年以上も前の話だが、ニュー・ハウスの名前を知ったのは、やたらマニアックなインディ・ミュージックに特化したレコード店のスタッフに、「日本にアニコレみたいなバンドはいないの?」と訊いたときだった。乱暴な会話だが、これはひとつの喩えで、「たとえばアメリカにおけるアニマル・コレクティヴのような、おもしろいアイデアと因習打破の姿勢を持ったバンドはいないの?」という話である。それでもらった答えのひとつが「ニュー・ハウス」だった。
とはいえ、僕が以下のインタヴューで使っている「アニコレ」は、半分冗談を込めながらも、アニマル・コレクティヴそのものを指している。率直に言って、似ていると思う。模倣だとは言わないが、そのサイケデリアとコーラスの感じが似ている。似てはいるが、ニュー・ハウスなりの発展をしているのが今作『カレイドスコピック・アニマ』である。
60年代のサイケデリック・サウンドの引用、悪戯っぽい音響的な仕掛けと多彩なメロディ、ドゥーワップ、エスニック・サウンド……、シッド・バレット時代のピンク・フロイドが〈サブライム・フリーケンシー〉から出したような、アニマル・コレクティヴがソフト・ロックにアプローチしたような、要するに甘い幻惑を誘う、「面白いアイデアと因習打破の姿勢を持った」作品だ。昼間にコーヒーを飲みながらトリップしよう。
■NEW HOUSE / ニューハウス
2009年あたりに結成され、東京を拠点とするインディ・バンド。現在はYuta(Vo.Gt)、Seiya(Dr)、Punpun(Gt. Cho)、Moro(Ba)、Komuro(key)の5人体制で活動。結成同年の11月にファースト・ミニ・アルバム『Want Alone But Help Me』、2012年にファースト・フル・アルバム『Burning Ship Fractal』をリリース。BLACK LIPS、VIVIAN GIRLSなど海外バンドの日本公演をサポートし、USツアーの敢行、〈SXSW〉への出演も果たした。
流れでルーム・シェアすることになって。一軒家、ボヤ家があるんですけど(笑)、そこに住むようになって。(Yuta)
■まず自己紹介からお願いします。
Punpun:こんにちは、ニュー・ハウスのギターを担当しておりますPunpunでございます。
Yuta:僕はヴォーカルとサンプラーとか、ギターを担当しておりますYutaです。
Moro:僕はベースとサンプラーをやっているMoroっていいます。
■そもそもニュー・ハウスっていつ結成されたんですか?
Yuta:結成は2009年ぐらいに。
■そこそこなキャリアですよね、もう。
Yuta:でもその2009年のときに文化祭の後夜祭? ……みたいなやつに出たいからやりたいっていうような、それで結成っていうよりは1回ライヴやって、そのあと普通に卒業して仕事したくねーなって感じだったよね。
■じゃあメンバーみんな同じ大学なんだ?
Punpun:僕だけ違う大学で。
Yuta:僕がファッション専門学校で、そのときは別にギターがいたんですけど。
■え、ごめんなさい、ちょっと話が前後しちゃうんだけど、みんな東京なんですか?
Moro:僕だけ神奈川です。
Yuta:他は東京ですね。
■なるほど、レーベルの〈セカンド・ロイヤル〉が京都だから、京都のひとなのかなって。
Moro:むしろなんで俺らが京都のレーベルなのか、みたいな(笑)。
■ずっと東京で活動してるんですね。
Yuta:はい、ずっと東京でやってますね。
■それで学生時代にみんな知り合って。
Yuta:僕らは専門学校時代に知り合って、彼(Punpun)は僕の地元の友だちなんですよ。茨城なんですけど。
Punpun:高校生のときからライヴハウスでライヴをやったりとか。
Yuta:バンド友だちみたいな感じで。で、Punpunは大学生のとき出てきていて、僕はファッションの専門学校で出てきていて、流れでルーム・シェアすることになって。一軒家、ボヤ家があるんですけど(笑)、そこに住むようになって。
■そこからニュー・ハウスって名前が来たとかじゃないの(笑)?
Yuta:いやあ(笑)、活動が新宿だったから当て字でただニュー・ハウスってしただけで、意味はまったくないです。ニュー・ホテルだとちょっとラブホすぎるなって(笑)。もう深い意味はまったくないです。
■あまりにも新宿って匂いはしないバンドだよね(笑)。
Yuta:そうですか(笑)。たしかに新宿の闇覗いてないし(笑)。
Punpun:代々木側だったからね。歌舞伎町じゃなくて、南口寄りだったからね(笑)。
Yuta:ライト層です(笑)。
■なるほどね。じゃあ2009年にはいまのメンバーがそろって。
Punpun:最初は違うギターでずっとやっていて、1枚めのEPのときは──
Yuta:まだその子がいたんですけど、リリースしてライヴが忙しくなった時期がありまして、で、俺はライヴやめるぞ、的な……(笑)。
Punpun:リリース・パーティはもう、アルバムに関わってなかった自分だったみたいな感じです。
Yuta:なんかもう、とりあえずギター助けてほしいって(笑)。で、彼はもうひとりで音楽を作っていて、できるのはわかってたんで、ちょっといいすかって(笑)。って言ったら快諾してくれて、芋づる式にこう(笑)、いまだに続いてるっていう。
Punpun:そうですね。
■なるほどね。じゃあすっげー上手かったんだ、関わったときから。
Yuta:そうですね、ハイスタとかブラフマンはもうけっこう弾けてて。かなり。
(一同笑)
Punpun:そこの評価ポイントなんだ(笑)。
Yuta:だって俺うまく弾けないから、こいつ弾けるなってとことはやっぱありましたね。そこで俺の上手いっていう評価が(笑)。それを指標にしてました。これはマジだからね(笑)。
取材:野田努(2014年9月19日)