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interview with Silent Poets

interview with Silent Poets

12年分のエモーション

──下田法晴(サイレント・ポエッツ)、インタヴュー

取材:野田努    Mar 07,2018 UP

今回は作っていてミュート・ビートというものに影響を受けたことをあらためてすごく感じたというか。今回はその影響もモロに出しちゃっていますし、しかもこだまさんにも参加してもらっていますし、自分にとって本当に大きな存在だということを改めて感じましたね。


Silent Poets
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Another Trip

DowntempoDub

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■サイレント・ポエツは元々ミュート・ビートに影響を受けたバンドだったんですよね。

下田:そうですね。初期はぼくがドラムを叩いていたし(笑)。ちゃんとメンバーとしてギターもベースもキーボードもいましたしね。

■いまのリトル・テンポですよね。

下田:リトル・テンポのメンバーの数名はそうですかね。

■今回のアルバムにはこだま(和文)さんが参加されていますよね。

下田:そうなんですよ。

■サイレント・ポエツの歴史を考えると、今回のアルバムにおいて重要な客演の一人じゃないかという気がします。

下田:そうですね。今回は作っていてミュート・ビートというものに影響を受けたことをあらためてすごく感じたというか。今回はその影響もモロに出しちゃっていますし、しかもこだまさんにも参加してもらっていますし、自分にとって本当に大きな存在だということを改めて感じましたね。朝本(浩文)さんが亡くなったということもあって、あの後にまたミュートを聴いていたんですよね。それでやっぱりすごいなと思って。

■ミュートのどこが好きですか?

下田:なんですかね。このシンプルで、重くて強くて……。

■悲しみのこもったメロディーは似てると思います(笑)。

下田:哀愁とか(笑)。そこは本当に好きですね。だからバンドでやろうとしたときにあまりに似ちゃって、どうしようもなかったんですよね。似たものが出来ちゃって「これミュートじゃん」って。暗い曲が多かったから、レゲエにしちゃうと本当に全部ミュートになっちゃうみたいな感じで、これはもうできないなと思ったんですよ(笑)。そこからサンプラーを買って、他の音楽も好きだったのでそっちのほうに移行していって、バンドでやる音楽ではなくなったのでぼくが勝手に分裂させちゃったんですけど。

■当時の印象だと、ミュート・ビートの次に影響が大きかったのはマッシヴ・アタックだったんじゃないかなと思います。

下田:そうですね。そのふたつは完全に二大巨頭としてありますね(笑)。

■だから世代的にミュートの最後期を聴いていて、しばらくしてワイルド・バンチやマシッヴ・アタックが出てくるという感じですよね。

下田:そうですね。その流れでぼくもそっち系のものも聴いていましたね。

■とにかく、今回の新譜の情報を最初にもらったときに、まず「お」と思ったのがこだまさんでした(笑)。ぼくがこう言うのもなんですけど、本当によく声かけてくれたなと思いましたよ(笑)。

下田:(サイレント・ポエツの)初期の頃に一度声をかけたことがあるんですよ。そしたら「俺がやったらミュート・ビートになってしまう。これはやらないほうがいいんじゃない?」って間接的に言われたんですよね。たしかにそうだなと思ってやめたんですけど、そのアルバムには松永(孝義)さんとかは参加していただいたんですよ。という経緯があって、それを(こだまさんと)飲んだときに話したら「そんなことあったっけ?」ってあんまり覚えていらっしゃらなくて(笑)。

(一同笑)

下田:でも今回は「お前よく俺を呼んだな」って喜んでらっしゃいました(笑)。最初にお願いしにいくときに吉祥寺に飲みに行ったんですよ。こだまさんの行きつけのお店に行って頼んだでみたら、「お前偉いなあ」って言われて(笑)。「自分でやるのか。よく俺を選んだな」って(笑)。

■今回こそこだまさんの力を借りたいという?

下田:それもそうですね。あとはやっぱり25周年というアニヴァーサリー感もあって(笑)、本当に好きな人にやってもらいたいと思ったんですよね。

■制作は5lackとの曲から始まっていると思いますが、それ以降はどのようにはじまったんですか?

下田:今回は最初からほとんど全部の曲にフィーチャリングを入れようと思っていたので、アルバム全体の感じというよりも1曲1曲を集中して作ったという感じですね。例えばこれは誰にやって欲しいということを念頭に置いて作りながらオファーして、ダメだった人もいたので、そこからちょっと修正しながら作っていきましたね。

■じゃあ例えばホーリー・クックとやろうと思ったらその1曲を作って、その次の人と一曲作って、って感じなんだ。

下田:本当にそうですね。そうしているあいだに次の曲を作ったりしていて、制作期間は1年くらいでしたけど、実際に曲を作っていたのは半年くらいでしたね。意外とやりだしたらするっとできたというか(笑)。溜まっていたんですかね。あとは最初からフィーチャリングを念頭においてやったというのがけっこうイメージしやすくて良かったのかもしれないですね。

■サウンド的にはどんなコンセプトがあったんですか?

下田:いままで聴いてくれていた方を裏切りたくないというのもあったんですけど、5lack以降はちょっと広がって新しく聴きはじめてくれた方もいたというのも意識して、古くも新しくもないサイレント・ポエツというのをイメージしたかなあ。

■ではとくにひとつテーマを設けたということでもなく?

下田:そうですね。全体のテーマというよりは1曲1曲で作っていったので。あとはとにかく復活とか、そういうキーワードはいっぱいありましたけどね(笑)。

■とにかくかたちにしていくという?

下田:25周年ということで、26年目になっちゃうとダメだという締め切りもあったので(笑)。

■自分でやってみてどうですか? 作るだけじゃないところというか、それこそ制作費とかお金に関するところまで全部自分でやってみて。

下田:そういうことをなんとなくごまかされながらケツを叩かれてやっていたような感じだから、それがわかってやったほうがスッキリできるのかなと思いましたね。めんどくさいこともありますけど、でもいろいろとサポートしてもらったのでわりと(制作に)集中できたと思います。だからやっぱり自分でやるほうがいいのかなと。手伝ってもらわないとできないんですけどね(笑)。

■この櫻木大悟(D.A.N.)も下田くんは好きだったんですか?

下田:好きでしたね。いまの新しい世代で本当にかっこいいと思えるのはD.A.N.くらいじゃないかなと思って(笑)。

■ちゃんと若い世代の音楽を聴いているんですね。

下田:聴きましたね。ただ最初はやっぱり日本語のヴォーカルにちょっと違和感はありましたね。すごく良かったんだけど、いままでの自分にはなかったものだったからちょっと戸惑ったというか。でもだんだん馴染んできいって最終的には良かったと思っていますね。本当に初の試みだったので。

■年齢的には一番離れていますよね。

下田:そうですね。まだ24才くらいですもんね。

■彼はサイレント・ポエツは知っていました?

下田:いや、知らなかったですね。それもけっこうショックでした(笑)。

(一同笑)

■あんな物知りっぽい感じなのにね(笑)。

下田:音とかスタイルとかシンパシーを感じるところがあったので、名前くらいは知っているかなと思ったんですけど知らなかったんですよね。事務所の社長さんがすごく知っていてくれて。だからたぶん説得してくれたのかなと(笑)。でもちゃんと音を聴いての判断だとは思うので、やってくれて良かったですよ。

■ニップスさんはやっぱりって感じですよね(笑)。

下田:そうですね(笑)。

■ニップスさんはある意味サイレント・ポエツとは対極ですよね。

下田:本当にそうですよね。でもやりたがってくれるんですよね。それが本当に嬉しくて。このアルバムでもあの曲はかなり効いていますもんね(笑)。いい意味で変わっていなかったですね。

■そうですよね。意外と90年代にサイレント・ポエツを聴いていた人たちもこういうアルバムが聴きたかったんじゃないのかなと思ったんですよ。

下田:ああ、たしかにね。

■90年代のポエツはもっとスマートな存在で、海外志向が強かったじゃないですか。リミキサーやフィーチャリングのシンガーもだいたい海外勢だったし、あんまり日本のことは考えていなかったでしょう?

下田:そうなんですよ。自分が洋楽で育ったこともあるんですけど CDやレコードを出したときに海外のレコード屋さんの「S」の棚に入っているものを作るというのが当たり前に思ってやっていたので、邦楽とか日本でどうのということは全然考えていなかったというか(笑)。でもいまはもうあっちでも(日本の音楽は)なんでも聴けちゃうじゃないですか。だからそこまで思わなくなりましたけどね。今回はいままで周りで応援してくれていた人とか、「まだ出さないの?」ってずっと言ってくれていた人に向けてというところはけっこうあります。その人たちに「やっとできました」と言えるものを作りたいなという気持ちもけっこうあって、だから人選の幅も広がったのかもしれないですね。

■ご自身でもそこは抜けた感じはありますか?

下田:やっと抜け出せた感じはありますね(笑)。

(一同笑)

下田:やっとちょっと顔を出せたかなと。本当に潜っていましたからね。これからは潜らないようにちょっと顔を出していきたいと思います(笑)。でもなんとなく今回やってみて次のこととかを考えるようになったので、次はこんなことをしようとか、今回やり残したことがあるなとか、いろいろ思っているので次はやれそうな感じがします(笑)。前は出したらしばらくはいいやって感じだったんですけど、あまりにも(出さない期間が)長かったので。ちょっと頑張ります(笑)。

取材:野田努(2018年3月07日)

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