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interview with Jitwam

interview with Jitwam

彼はムーディーマンに見出されたプロデューサー

──ジタム、インタヴュー

取材:Midori Aoyama    写真:小原泰広   Jul 06,2023 UP

 不思議な感覚だった。こんなにも裏表がなくて、ピュアで、正直で、でもどこか計算されている部分もあって、冷静だ。僕がジタムと出会った第一印象はそんなところだ。ムーディーマンが2016年に放った『DJ-KICKS』のミックスにより、彼の名が一躍注目されることになった。その後も立て続けにローファイなビートメイクとプリンスを彷彿とさせるような甘いヴォーカルを武器にEPやアルバムをリリースし、ロックとソウルが絶妙にブレンドされた2019年のセカンド・アルバム『Honeycomb』で一気に火が着いた。ビート・プログラムから、ソングライティングをほぼ自分自身で手がけ、ヴォーカルまで務める彼のDIYなプロダクションはどこか聴いたことあるような懐かしさと、馴染みのないフレッシュさが共存しているように感じられる。つねに自身のバックグラウンドを全面に押し出すスタイルも、共感が持てるポイントだろう。

 そして満を辞して3枚目のアルバム『Third』をリリース。ソロでのビート・メイキングから飛躍して自身と所縁のあるミュージシャンとバンドでのサウンドを追求。より音楽性が高くなり、同時に新たなジャンルのファン層を取り込むことに成功したと思う。今回のジャパン・ツアーでもジタムのプレイを見ようとたくさんのオーディエンスが駆けつけてくれたが、ヒップホップが好きな人、ロックが好きな人、そしてデトロイト・ヘッズなど、日本でもオーディエンスの融合がなされていたのは印象的だった。

 昨今、ビジネスとアートを両立させるのは益々難しい時代になってきた。そんななか、絶妙なセンスと経験値を糧にインディペンデントな音楽史シーンをサヴァイヴし続ける彼の姿は一緒にいるだけで本当に刺激になった。訪れた先々で彼のパフォーマンスを聴いた人はこの感覚がわかると思う。とにかくポジティヴで、ダンス・ミュージックの固定観念を次々と破壊していくポテンシャルを持っている。このインタヴューは彼の生い立ちやバックグラウンド、ニュー・アルバム『Third』についてだけでなく、日々移り変わるシーンのなかでどうやって自由に音楽を表現し続けられるかというヒントも詰まっている。インドにルーツを持ち、オーストラリアで幼少期を過ごし、ロンドン、ニューヨークと拠点を移しながら世界を股にかけて活躍するひとりのアーティストに人生を豊かにする処世術を伺った。

最初のシングル「Whereyougonnago?」をムーディーマンが彼のコンピレーションに入れてくれたんだ。この出来事なしに僕の音楽を語ることはできないよ。

改めてジャパンツアーはどうだった?

J:日本は本当に素晴らしいよ! 食べ物、景色、音楽、文化、アート、ファッション、すべてが映画みたい。実際に体感してみると、それ以上のものだったね。オーディエンスは僕のことを真摯に受け入れてくれて、レコードを持ってきてくれる人もいたんだ。最高の時間を過ごしたね。そして、ここで音楽を共有する機会を得られたことに本当に感謝している。改めてツアーの成功のためにサポートしてくれた皆さん、本当にありがとう。

東京、大阪、京都、広島、金沢、名古屋と6都市を回ったね、ツアーで特別な思い出はある?

J:音楽はもちろんだけど、食べることも好きだから日本で食べた物は全部ハイライトになったね。特に金沢で食べたディナーは信じられなかったよ! 他にも、鉄板焼き、ラーメンに、お寿司、カレーなんかも。でも僕がツアーで得たことの大部分は、人との繋がり。文化をもう少しだけ理解して、自分の世界観を広げ、自分の生活に取り入れていくことで人生をよりよくしていくことだと思う。

素晴らしいね、では音楽について話しましょう。いつから作曲をはじめたの?

J:音楽をやっていなかったっていう時期が一度もないんだ。つまり、生まれてからずっと音楽をやっているってことになるね。

最初に勉強した楽器は?

J:最初の楽器はおそらくキーボードだったと思う。母さんが若い頃に買ってくれた小さなカシオのキーボードでレッスンにも通ったんだけど、まともに弾く感じが自分に合わなくてその後すぐにギターに移ったんだ。それでギターからちょっとしたエフェクトペダルを買ったんだけど、そこにはドラムマシンも付いていて、それでビートを細かく刻んでオーヴァーダビングしはじめたんだ。それが最初のプロデュースになるのかな?

何歳くらいのエピソードだったの?

J:たぶん10歳くらいの出来事じゃないかな? 思い返すと自分でも驚きだよ。子どもの頃はひとりきりが多かったから、音楽が自分のはけ口になってたね。僕にとって音楽は、いつでも戻ってくることができる唯一の友人のようなものさ。2017年頃からより真剣に音楽に取り組むようになって、最初のシングル「Whereyougonnago?」を出した。それをムーディーマンが彼のコンピレーションに入れてくれたんだ。この出来事なしに僕の音楽を語ることはできないよ。まさしく音楽が僕にたくさんの祝福を与えてくれたんだ。音楽なしの人生は考えられないね。

ムーディーマンとのエピソードについて、もう少し掘り下げてもいいかな?

J:彼とは本当に不思議な縁があって、僕が最初に買ったレコードもムーディーマンだった。白いジャケットにスタンプが押してあるだけだったから、誰のレコードかなんて3年くらい気づかなくて、後で振り返ると本当に驚いたよ。その2年後に僕が最初のレコードをリリースしたときに、〈!K7〉のスタッフから突然連絡が来て、彼が僕の曲を出したいって言ってきたんだ。

本人に直接会ったことはある?

J:ムーディーマンのライヴを初めて見たのはロンドンでのコンサート。そのとき、彼はローラースケート・ツアーのようなものをやっていて、シカゴやデトロイトから15人くらいのの子どもたちを招待して、クロアチア、ロンドン、ポルトガルなどヨーロッパ全体のフェスを一緒に回っていたんだ。子どもたちは国はおろか、自分たちの地域を離れたこともなくて、そんな若者のために新しいコミュニティをもたらして、それを世界と共有している光景が僕にとっても本当に大きなインスピレーションだった。それで僕は彼に自分の絵も描いてあるビート入りのCDを渡して、その何年か後に彼のチームが僕に声をかけてくれたんだ。改めて彼のサポートに感謝したい。彼のコンピレーションに参加したことを思い出すといまでも緊張するよ。最近ベルリンのクラブで僕のトラックをムーディーマンがプレイしているのを聴いて「あぁ、なんてことだろう!!!」ってね。とにかく、感謝してもしきれないんだ。それに、日本からのフィードバックもたくさんあったのを覚えている。日本にはムーディーマンのヘッズがたくさんいるって聞いてたし、日本はいつも……「デトロイト」だよね。

デトロイト好きな日本のオーディエンスは喜ぶと思うよ。

J:あの街が魅力的なのは間違いない理由がある。デトロイトは本当にインスピレーションに満ちた街。多くの異なるジャンルを融合し続けてるし、ひとつのスタイルに束縛されたり、ひとつの演奏方法に固執したりしない土壌があるよね。彼らはつねにヒップホップ、ファンク、ジャズ、テクノ、ソウルの間を難なく行き来してて、それが僕に大きなインスピレーションを与えてくれたんだ。DJや楽曲制作のなかで、僕もいろんなジャンルやリズム、そしてサウンドを行き来するのが好きだからね。デトロイトは僕にとっても本当に大きな影響を与えてくれているよ。

取材:Midori Aoyama(2023年7月06日)

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MIDORI AOYAMAMIDORI AOYAMA
東京生まれのDJ、プロデューサー。12年に自身がフロントマンを務めるパーティー「Eureka!」が始動。Detroit Swindle、Atjazz、Lay-Far、Mad Mats、Ge-Ology、Session Victimなど気鋭のアーティストの来日を手がけ東京のハウス・ミュージック・シーンにおいて確かな評価を得る。Fuji RockやElectric Daisy Carnival (EDC)などの大型フェスティヴァルでの出演経験もあり、活躍は日本だけに留まらず、ロンドン、ストックホルム、ソウルそしてパリなどの都市やアムステルダムのClaire、スペインはマジョルカのGarito Cafeなどのハウスシーンの名門クラブ、香港で開催されるShi Fu Miz Festivalでもプレイ。15年には〈Eureka!〉もレーベルとしてスタート。現在は新しいインターネット・ラジオ局TSUBAKI FMをローンチし、彼の携わる全ての音楽活動にさらなる発信と深みをもたらしている。
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