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Yossy Little Noise Weaver

Yossy Little Noise Weaver

Volcano

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野田 努   Mar 10,2010 UP
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E王

 ヴァンパイア・ウィークエンドと音で渡り合えるバンドが日本にいることをご存じか。そう、ヨッシー・リトル・ノイズ・ウィーヴァー(YLNW)である。彼らの3枚目のアルバム『Volcano』は、カリブ海の音楽とミュータント・ディスコのブレンドで、エゴ・ラッピンとザ・ゴシップ・オブ・ジャックスによるあの素晴らしい『EGO-WRAPPIN'AND THE GOSSIP OF JAXX』に続くかのようにポスト・パンクのダンス・サウンドを演奏する。

 実際のところ、YLNWは大雑把に言って日本のレゲエ・シーンから生まれている。中心にいるのは元デタミネーションズ/元ブッシュ・オブ・ゴーストという経歴を持つキーボーディストYossyとトロンボーン奏者のicchieで、またメンバーには菅沼雄太(エゴ・ラッピン他)やThe K(元ドライ&ヘヴィー)もいる。2005年のデビュー・アルバム『Precious Feel』はキングストンの海辺で録音されたエレクトロニカであり、隙を見てはカンの『フロー・モーション』に接近する。2007年の『Woven』はジャッキー・ミットゥーがフォー・テットと一緒にスタジオで作ったミュータント・レゲエである。そうした過去の美しい2枚の抒情主義と打って変わって、3年ぶりの『Volcano』は、リスナーの身体をより大きく、波のように動かせる。

 "スーパー・ラビット"はトーキング・ヘッズがジャマイカ旅行したような曲だ。あかぬけたリズムとディレイの効いたスカのトロンボーン、そして滑らかなエレピのコンビネーションが甘い夢を紡いでいく。"ピース"はプラスティックスのカヴァーで、今回のアルバムにおけるベスト・トラックのひとつ。4/4ビートとジャジーな鍵盤とスカの香気が心地よいミニマル・ポップである。タイトなヒップホップ・ビートを取り入れた"ウォッシング・マシン・ブルース"やドリーミーな"ドラム・ソング"は過去2枚と連なるバンドの抒情性がよく出ている曲で、"ヴォルケーノ"は日差しを浴びたミュータント・ディスコ、"ペイル・オレンジ"はラテンの陶酔に包まれた温かいスロー・ダンスだ。

 こうした彼らの音楽は、とにかくキュートだし、耳障りの良さゆえにその背後にある挑戦が見過ごされがちだが、彼らの目的はジャマイカとディスコを並列させることでもはなく、ワールド・ミュージックのレトリックでもない。それは絶えず変化しながら新しいミュータント・サウンドを創造することに違いない。

 ここ数年続いている欧米のポスト・パンク・リヴァイヴァルとはまるで共振することのない日本の音楽シーンだが、興味深いことにレゲエ系のシーンではそれが起きている、起きていくかもしれない――そう思わせるYLNWの新作で、バンドはこの路線を継続しながら、初期のエレクトロニカ・スタイルをあらためて加味すべきである。何故なら、YLNWの輝きはこの1枚に限ったことではないのだ。

野田 努