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Christopher Willits

Christopher Willits

Tiger Flower Circle Sun

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三田 格   Aug 06,2010 UP
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 サン・フランシスコのエレクトロニカ系によるソロ4作目。この10年でグリッチ・エレクトロニカが積み上げてきた蓄積をすべて食い尽くすかのようにポップのクリシェと絡み合い、なかばシューゲイザーと化した曲まで展開した前作『サーフ・バウンダリーズ』(06)と同路線、同じレーベル、さらには同じようにヒドいアートワークでやってくれました。「トラが花のような円をつくっている太陽」というタイトルからして大バカです。たしかに最近の太陽はそんな感じだし、カリフォルニアの科学者たちはいま、地球規模の空気清浄機をつくって(キューティー・ハニーが空中窒素固定装置で大活躍したように)大気中のCO2をエネルギー源に変えて大儲けを企んでいるという流れには合っているかもしれないけれど......。とはいえ、エレクトロニカの10年に対してそれなりに答えを出したといえるフェン・オバーグとはあまりにも対照的で、練り上げられたものはまったくなく、テクノに対するエレクトロクラッシュのようなものになっていることはたしか。にもかかわらず、このようななし崩しともいえるどうしようもなさに惹かれてしまう自分もいて......やはりポップへの意志がアカデミックに勝るということなのか、エレクトロニカから憂鬱の側面だけを抽出したゴルドムントやシルヴァン・ショボーよりはぜんぜん消費意欲を掻き立てられる。

 あくまでも神経質を気取ってきたエレクトロニカに対して、その部分ではすっかり開放されて、感情的にはとても豊か。ネオン・インディアンやエメラルズなどジャンルとは無関係に進行するバリアリック傾向にも同調し、それは前作よりもさらに拍車がかかっている。試行錯誤の形跡も消えつつあり、「トラが花のような円をつくっている太陽」というイメージがはっきりしているからか(笑)、全体に迷いもなくなっている(トロピカル・パーカッションにロバート・フリップがヘタくそなギターを浴びせているような"プラント・ボディ"などはポップへの意志が勝利した瞬間のようにさえ思えてしまう)。"ザ・ハート・コネクツ・トゥ・ザ・ヘッド"や"フラワーズ・イントゥー・スターダスト"などアンビエントにもいい曲が多い。

 ちなみにキッド606やザック・ヒルと組んだフレッシン名義の『リード・シンガー』を録音したことが変化のきっかけだったはずで、それ以降、アンビエント・ドローンにのめり込んでいったキッド606とは転移の関係にあるとしか思えない。お互いがお互いの欲望を交換し合い、人生を通して相手の欲求を満たすようになる--こういうことが起きるから人間は面白い。

三田 格