ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Angel-Ho - Death Becomes Her (review)
  2. øjeRum - On The Swollen Lips Of The Horizon (review)
  3. JUST ZINE 3 Book issue ──アンダーグラウンド・シーンが誇る読書家たちをフィーチャーしたZINEが登場 (news)
  4. 追悼・蜷川幸雄(前編) (news)
  5. Emily A. Sprague ──フロリストのエミリー・スプレーグによるアンビエント作が〈RVNG〉よりリイシュー (news)
  6. Ruby Rushton - Ironside (review)
  7. R.I.P. 遠藤ミチロウ (news)
  8. interview with Ralf Hütter(Kraftwerk) マンマシーンの現在 (interviews)
  9. WxAxRxP POP-UP STORE ──〈Warp〉30周年を記念したポップアップ・ショップがオープン (news)
  10. 釣心会例会 ──食品まつり a.k.a foodman がシカゴの RP Boo を迎えパーティを開催 (news)
  11. Anderson .Paak - Ventura (review)
  12. Helado Negro - This Is How You Smile (review)
  13. Amgala Temple ──ジャガ・ジャジストから派生したグループ、アムガラ・テンプルが来日 (news)
  14. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第5回 反誕生日会主義 (columns)
  15. New Order ──ニュー・オーダー、地元マンチェスターでのライヴ盤がリリース (news)
  16. interview with Akira Kobuchi Quiet Wave : 史上もっとも静かな革命 (interviews)
  17. ライター募集! (news)
  18. Columns なぜスコット・ウォーカーはリスペクトされているのか (columns)
  19. Columns UKの若きラッパー、ロイル・カーナーが示す「第四の道」 (columns)
  20. 追悼・蜷川幸雄(後編) (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > School of Seven Bells- Disconnect From Desire

School of Seven Bells

School of Seven Bells

Disconnect From Desire

Ghostly International/Artunion

Amazon iTunes

野田 努   Aug 30,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 はい、彼女たちこそまさに"ウィッチ"系。アルバムの黒いケースのなかにはタロットカードまで入っている。なるほど、たしかにおっしゃるとおり。
 "ウィッチ"とは、そう、先日みんなで"ビッチ"について話していたら出てきたキーワードで、スクール・オブ・セヴン・ベルズはポップにおけるその代表格だと言えよう。アンダーグラウンドでは、以前レヴューしたフューネラル・フォークの妖星、シルヴェスター・アンファングがまさにそれだ。まあ、考えてみればビョークの『メダラ』もジョアンナ・ニューサムの『ハヴ・ワン・オン・ミー』も魔女的だっと言えなくもない。ヒップホップ/R&Bの"ビッチ"が幅を利かせるそのかたわらで、いつの間にか"ウィッチ"はやって来たのだ。
 
 伝説的な南米のスリ養成学校の名前をバンド名にしたスクール・オブ・セヴン・ベルズは、コクトー・ツインズとケヴィン・シールズのほうを向きながら、潔癖性的なエレクトロニカに片足を突っ込んでいる。シークレット・マシンのドラマーだったベンジャミン・カーティスとオン!エアー!ライブラリーのクラウディア&アレヤンドラの双子姉妹を中心に、2007年のニューヨークで誕生したこのバンドは、その年〈ワープ〉からリリースされたプレフューズ73のシングル「ザ・クラス・オブ・73ベルズ」にフィーチャーされたことで注目を集めているが、それはまるで......イースター島のモスラを目覚めさせるために歌うザ・ピーナッツのIDMヴァージョンだった!
 
 タロットカードが入った本作『ディスコネクト・フロム・デザイアー』は彼女たちのセカンド・アルバムで、ポップ・メロディへの挑戦作となっている。シューゲイズとエレクトロニカの撹拌は、水晶の上を軽やかに滑り、そして妖しい光を放ちながらエレガントに展開する。いまこそ魔女の時代、そう言わんばかりの迫力だ。シングル・カットされた1曲目の"ウィズダム"はキュートなポップ・ソングで、彼女たちは歌のなかで暴風や炎を夢想する。10曲目の"ザ・ウェイト"はエレクトロニカをバックに展開する優美なバラードだが、彼女たちは現実感の喪失をきまぐれな絶望感とともに歌う。収録曲のいくつかにはチルウェイヴとも共通するディスコ・ビートがあり、それもまた『ディスコネクト・フロム・デザイアー』を特徴づけている。
 
 魔女の時代は実は、1980年代にもあった。ザ・スリッツやザ・レインコーツのようなポスト・パンクの男女同権主義の熱が下がるのを待っていたかのように、黒い服を着た彼女たちはやって来た。僕のまわりにも多くの魔女がいたし、夜となく昼となくタロット占いをされたものだった......が、初めて心を揺さぶられたのはティム・バートンの『ビートル・ジュース』に登場する若きウィノナ・ライダーだった。

野田 努