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Your Song Is Good

Your Song Is Good

B.A.N.D.

カクバリズム/Nayutawave Records

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岩崎 一敬   Mar 30,2010 UP

 ますますトロピカル・ムードが盛んなインディ・ロックおよびダンス・ミュージック・シーン。ここ日本でも「ヴァンパイア・ウイークエンドに影響を受けました」と語るような若いバンドが出はじめてきたが、ぼくにとって「トロピカルなバンド」と言ったとき、まず筆頭に挙がるのがユアソングイズグッドだ。

 3月3日にリリースされた5枚目のアルバム『B.A.N.D.』は、以前からスカやカリプソなどに取り組んできた彼らに染み付いている部分と、リスナー体質として敏感に反応してしまう現行のインディ・ロック感が混ざり合った内容。トロピカルなニューウェイヴで......とか、ハイテンションでモンドなジャズ・ファンクな感じは......と、いろんな要素がミックスされた曲の面白さを追っていくのも楽しいが、新しモノ好きで飽きっぽいメンバーたちがバンドのアイデンティティを模索、葛藤している姿こそが、今回の面白さの焦点である。

 その面白さを知ってもらうには、彼らの概略が必要だろう。
 1998年に結成した彼らは、東京のアンダーグラウンドなハードコア・シーンから登場した。後のスカ・パンク第二世代以降やショボ&空回り系パンクにカルト的な影響力を誇るフルーティとナッツ&ミルク、その2バンドのメンバーらがはじめたスクール・ジャケッツが前身。スクール・ジャケッツは、当時流行していたファスト・コアに、ジャクソン5などポップなソウル・ミュージックの要素を無理やり融合させたような音楽性で、周囲を驚かせた。ユアソングイズグッドのユニークなミクスチャー感覚とパンキッシュなステージングは、この時代からのものだ。

 ユアソングイズグッドになってからは12年。その時間の分だけ音楽性の変遷があって、ワシントンDCあたりのポスト・ハードコアに影響を受けたエモ・コア→シカゴ音響派に影響されたインスト→ルーツ・カリビアンなダンス・ミュージックでCDデビュー。そしてメジャー展開してからは実験精神が再燃して独自のトロピカル・インストを次々生んでいくのだが、ライヴでのテンションの高まりが頂点に達し、まさかのパンク回帰を果たしたのが2008年、前作『THE ACTION』だ。スカやカリプソの要素はあれど、ザ・スペシャルズやザ・ポップ・グループ、ビッグ・ボーイズなどにも通じるポスト・パンク・サウンドで世間を驚かせた。さて、そんな『THE ACTION』の後に来る作品、あなたはどんなものを想像しますか?

 あれこれやりたいミクスチャー魂、止まらない実験精神、収まりのつかないパンク魂、なんだかんだ気になる最新モード、まだまだやっていないルーツ・サウンド、これまで積み上げてきたバンドのカラー、メンバー6人それぞれのやりたいこと......。選択肢がありすぎてどれが正解かわからなくなってしまい、全部やってしまった(笑)──そんなまさかの結論(の先延ばし? 笑)が、『B.A.N.D.』なんだと思う。一発録りで、メンバー全員がうごめく演奏をそのままパック。実に節操なくさまざまなタイプの楽曲が並んでいるが、すべて上記のような変遷を経てきた彼らにしかできない個性溢れるものばかりだし、それらひとつひとつは、フレッシュな刺激を求めるリスナーにとって絶好の興味の対象になると思う。
 日本人がカリブ海の音楽をやる──その時点でエキゾな宿命を背負っているわけだが、おそらくバンドが新しいものを追い求めていくなかでは、こういう時期も必然なんだろう。そう、ザ・クラッシュの『ロンドン・コーリング』や『サンディニスタ!』のように(次作にも期待を込める意味で今作は『ロンドン・コーリング』かな?)。

岩崎 一敬