ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Bottom of Tokyo ──今週末はWool & The Pantsのライヴ配信あります (news)
  2. Yunzero - Blurry Ant (review)
  3. interview with AbuQadim Haqq 語り継がれるドレクシア物語 (interviews)
  4. Aru-2 - Little Heaven (review)
  5. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  6. R.I.P. Denise Johnson (news)
  7. Natalie Slade - Control (review)
  8. Freddie Gibbs & The Alchemist - Alfredo (review)
  9. Moodymann - Take Away (review)
  10. interview with Wool & The Pants 東京の底から (interviews)
  11. Drexciya ──なんとドレクシアがついに劇画に! アブカディム・ハック+佐藤大によるアフロ・フューチャリズム (news)
  12. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  13. interview with Kamaal Williams ほらよ、これが「UKジャズ」だ (interviews)
  14. Kassel Jaeger - Swamps / Things (review)
  15. Hiroshi Yoshimura ──入手困難だった吉村弘の1986年作『Green』がリイシュー (news)
  16. Run The Jewels ラン・ザ・ジュエルズは何がすごいのか (interviews)
  17. The Comet Is Coming ──UKジャズのキイパーソン、シャバカ・ハッチングスのザ・コメット・イズ・カミングが新作をリリース (news)
  18. Kenmochi Hidefumi - たぶん沸く〜TOWN WORK〜 (review)
  19. Random Access N.Y. vol.129:PCRは陽性という結果だった (columns)
  20. interview with Bing & Ruth 〈4AD〉が贈る、部屋になじむモダン・クラシカル (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Smerz- Have Fun

Smerz

Glitch HopIndie Pop

Smerz

Have Fun

XL Recordings

Amazon

野田努   May 21,2018 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 クラフトワークとFKAツイッグスが出会ったような……ラジオでたまたま彼女たちの“Worth It(価値がある)”が流れたとき、ぼくはこの音楽にいっきに持っていかれた。ジェシー・ランザDJラシャドからの影響を明かしているようだけれど、“Worth It”はランザよりもずっと尖っている。ビートは重くインダストリアルな質感で、骨太で、歪んでいる。2000年代初頭のオウテカのように歪んでいるし、寒々しくもダークで、歌はサイボーグと化している。ノルウェー出身のふたりの女性によるスマーズ、その8曲入りのEP(!)は、なかなか面白い。“No Harm(傷つけない)”は、触っただけで切れてしまいそうなカミソリのごときビートを有するR&Bで、“Oh My My”もまたサイボーグが夢見る暗いR&Bで……そのエレクトロニック・ノイズの響きにおいて、スマーズときたら、80年代のサイボトロンがイメージしたような、電子空間において変容する人間の姿が男性であったことに抗議しているかのようだ、と思わず言ってしまうのだった。

 まあ、ぶっちゃけて言えば現代っ子ってことなんだろうけど、“Have Fun(楽しんで)”という表題曲もまた暗く沈んだ曲で、恐怖をかき立てるような、セイバース・オブ・パラダイスめいたトリップホップ調だったりするのだが、うまい具合にお洒落にまとめている。“Half Life(半減期)”と“Fitness(フィットネス)”は明らかにシカゴのフットワークからの影響下にある曲だけれど、前者においては感情が排除された抑揚のない歌と悲鳴にも似た男の声がミックスされ、後者においては歌は削除されている。じつに思わせぶりな曲を作っているわけだが、ぼくのような人間はこうしてすぐに引っかかる次第なのだ。じっさいのところ、インスト曲の“Fitness”を聴いていると、彼女たちは商業主義おいて武器となる「女性の歌声」を放棄してもやっていけるんじゃないかと思うのだが、まあ、〈XL〉がそうはさせないだろうね(笑)。

 捻りのあるアートワークも悪くはない。露光不足の、暗い影におおわれた笑顔の少女たち。だが、『スターウォーズ』のレイア姫には心して話せる女友だちがなぜいないのかという20世紀の違和感はここにはない。

野田努