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編集後記

編集後記

編集後記(2018年7月2日)

野田努 Jul 02,2018 UP

 カタルーニャ州で磨かれた美しきポゼッション・フットボールは、その楽園の対岸にあるPK戦という暗黒郷に引きずり込まれた時点でやばいなと思った。120分のあいだ74%ボールを支配していたスペインが負けたこと、ガーディアンいわく“ディナー・ジャズ・フットボール”、フットボールの戦術を再定義した華麗なスタイルが過去の幻影となったことのショックは小さくない。しかし、そもそも今回の代表にもうシャビはいなかったのだ。そして日曜日の夜(日本時間の月曜日の明け方)、決勝戦の舞台に立つ1チームは、ロシア、コロンビア、クロアチア、スウェーデン、スイス、イングランドのなかのどれかということが決まった。

 土曜日の試合は、素晴らしかった。選手入場前の表情をカメラがとらえたとき、いかにも重たいものを背負っている神妙な顔つきのメッシとは対照的に、エムバペ(※紙エレではムバッペと誤読しておりました)ときたらこれからサッカーすることに喜びを隠せない少年のようだった。フランスとアルゼンチンの一戦は、いまのところぼくのなかではベスト・ゲームだ。あの試合を観た人は、この先も忘れられないであろう、不滅のプレーを目撃した。一陣の風がフィールドを駆け抜ける。この試合のあとに悲しみがあるとしたら、つねにスタジアムを埋め尽くす12人目のプレイヤー(アルゼンチン・サポーター)が見れなくなること、そしていつになっても子供のようなマラドーナの喜ぶ姿が見れなくなったことだ。

 で、何を聴けばいいかって? まさかアストラッド・ジルベルトの“So Nice”というわけにはいかないので、ここはフレンチ・テクノの王様、ロラン・ガルニエとルドヴィック・ナヴァールによるアンセム、“アシッド・エッフェル”で決まりでしょう。

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