Home > Interviews > interview with Evade - マカオで僕たちはゆっくりと殺されていく……
ブランドン
僕たちはフルタイムのミュージシャンではなく、みんな働いていて、だから実際にこのアルバムを完成させるための時間はあまりありませんでした。でも僕たちがやりたかったことは、細部まで気を配った良質なアルバム作りでした。だから時間の問題に打ち勝たなければいけなかったのです。その唯一の方法は睡眠時間を削ることでした...zzzzzzz
Evade Destroy & Dream Kitchen |
■『デストロイ&ドリーム』を仕上げるまでに最も大変だったことは?
フェイ:僕にとって一番挑戦しなければいけなかったことは時間です。僕たちはフルタイムのミュージシャンではなく、みんな働いていて、だから実際にこのアルバムを完成させるための時間はあまりありませんでした。でも僕たちがやりたかったことは、細部まで気を配った良質なアルバム作りでした。だから時間の問題に打ち勝たなければいけなかったのです。その唯一の方法は睡眠時間を削ることでした...zzzzzzz
ブランドン:僕にとって一番難しかった挑戦は、トラックを何度も調整することでした。トラックができあがるたびに、もう数日、時間をかければこのトラックはもっと良くなるのではないかと思いました。だから、何度も何度も細かく調整していました。
ソニア:私に取って一番難しかった挑戦は解体と再生といったテーマの歌詞を広東語で書くことでした。広東語には9つの音の高低があるので。
■韓国のグーゴルプレックスとカナダのピュリティ・リングでは、どっちが気になりますか?
ブランドン;カナダのピュリティ・リング。
ソニア:カナダのピュリティ・リングに興味があります。
フェイ:両方。
■クアラルンプールやジャカルタにもいいミュージシャンはけっこういると思いますけど、なぜ、リミックスは3曲とも日本のミュージシャンに依頼したんでしょう? とくにフィヨーネ(Fjordne)のリミックスはフリージャズのセンスを大胆に持ち込んでいて、イーヴェイドにはない雰囲気を出しているのは面白い広がりでした。
ブランドン:マカオに「ピントムジカ(Pintomusica)」 というCDショップがあって、素晴らしい日本のアルバムをたくさん売っているんです。〈プログレッシヴ・フォーム〉や〈ノーブル〉、〈スコーレ〉、〈フラウ〉などの日本のレーベルのアルバムは簡単に見つかります。そういった日本の素晴らしいミュージシャンたちの音楽を僕たちはずっと聴いていたので、日本のミュージシャンにリミックスをしてもらおうと決めました。フィヨーネの『ザ・セッティング・サン』 は素晴らしいアルバムで、彼のジャズからの影響やアコースティック・ピアノ、それからユニークなサウンドスケープを僕たちの新しいアルバムに持ち込むのは面白いと思いました。同じくサーフ(Serph)やオカモトノリアキもリミックスに誘いました。僕たちは彼らのアルバム『ハートストリングス』や『テレスコープ』が大好きだからです。彼らがリミックスをやってくれてとても嬉しかったです。
ソニア:それからフィヨーネのフリージャズは私たちが作リ出すことができないものなので、この曲はイーヴェイドの違う面を表しています。彼にはとても感謝しています!
■東京でやったライヴは映像だけ観ましたけれど、暗くてノイジーで様子がよくわかりませんでした。演奏の手応えはありましたか? ちなみにいままでで、どこでやったライヴが最もいい感触を得られましたか?
ソニア:あの時、私たちはまだ『デストロイ&ドリーム』の制作中でした。だから、このパフォーマンスは『デストロイ&ドリーム』スタイルの初期段階のようなパフォーマンスでした。実際に暗くてノイジーな感じを表現したかったのです。
ブランドン:これは僕たちの日本での初ライヴでした。すべての準備やスタッフの人たちもプロフェッショナルでした。ハルカ・ナカムラ、kadan、ミヤウチ・ユリ、Ngatariそして Luis Nanookみたいな素晴らしいミュージシャンたちと同じステージをシェアできて、とても光栄でした。
■24時間以内にLAかベルリンのどちらかに移住しなければならないとしたら、どちらを選びますか?
ブランドン:ベルリン。
ソニア:ベルリン。
フェイ:ベルリン。
■『デストロイ&ドリーム』は「関係性(relationship)」がテーマだと聞きましたが、なぜそれをテーマにしようと思ったのですか?
ソニア:2009年に黙示録やUFOといった神秘的なことに興味を持つようになりました。人間の魂や生命、死などに。それらについて曲を作りたいと思ったのです。
■いわゆる中国からの移民は中国人同士でソサエティを築き上げ、他の人種と交流を持たないと聞きます。あなた方はこうした習慣には反対だと考えていいのですか?
ブランドン:私たちは長年、マカオに住んでいるので、移民の人たちの実際の気持ちについてははっきりとはわかりません。自分たちのここでの経験から言うと、世界には異なる人たちや異なる人種いて、ここではそういった異なる文化が受け入れられています。
■アルジャジーラのメリッサ・チャンが国外に追い出された件について意見があれば教えてください。アルジャジーラ・イングリッシュの北京支局が閉鎖されたことにも。この質問はスルーでも可です。
ソニア: メリッサ・チャンさんは素晴らしいジャーナリストだと思います。彼女が中国政府のダークサイドをリポートしこことで、人びとは考えや疑問を持ちはじめました。マカオや香港は幸運で、世界中のニュースや情報にケーブルテレビやチャンネルによって簡単に素早くアクセスできます。一方、これはわたしの個人的な好みですが、電気を生み出すために石油や原子力を使う国々は資源のリサイクルをしないのかとか、なぜ政府はUFOの存在を隠すのかとか、なぜケムトレイルやハープ計画があるのかといった他の問題にも興味を持っています。
■歌詞を書く上で制限を感じたことはありますか?
ソニア:私の問題はひとつの曲にたくさんのアイデアを持ち込み過ぎることです。だからそのことに気をつけないと。
■いま、具体的に「デストロイ」したいことは?
フェイ:法律、政府、社会のシステム。僕たちが必要なのものは"真の"自由です。(了)
文:三田 格(2012年11月16日)