Home > Interviews > interview with Unknown Mortal Orchestra - 時間を喪った旅人たち
ゾンビーズの『オデッセイ・アンド・オラクル』はとっても好きなアルバムだけど、あれだとちょっとロックさが足りない。キャプテン・ビーフハートも好きだけど、そうするとちょっとプリティさが足りない。そのちょっとの足りなさを自分で補いながらアルバムを作っていくんだよ。
■うーん、なるほどなあ。では曲についてなんですが、 “フェイデッド・イン・ザ・モーニング”などのブルージーなサイケ・ナンバーがある一方で、“ドーン”のようなシンセ・アンビエントが収録されていることは、この作品の持つサイケデリアが単純なものではないことを証明するようにも思います。“ドーン”はどのようにでき、どのような意図で収録されているのでしょうか?
ルーバン:いじりかけの曲を、すごくたくさんPCのフォルダにまとめてるんだけど“ドーン”はそのなかのひとつだったんだ。すごくいい感じにできてるから、もったいないし何かに使いたいって思ってた。今回はアルバムをぶっ通しで聴いてもらうんじゃなくて、何か箸休めというか、ブレイクがあるといいかなと考えてもいたんだよね。そんなときだよ、“フェイデッド・イン・ザ・モーニング”の詞のなかに「徹夜明けで日差しがまぶしい」って部分があるんだけど、あの時間で日がまぶしいってことは、その前に夜明けが来てなきゃおかしいよなって思って、いじりかけの曲に“ドーン”って名前をつけて、そこに入れることにしたんだ。ちょうどね(笑)。
とにかく好きなレコードがたくさんあるから、それに触発されて作りたいと思った音を、自分のレコードのなかに落とし込んでいく、そういうやり方なんだ。ゾンビーズの『オデッセイ・アンド・オラクル』はとっても好きなアルバムだけど、あれだとちょっとロックさが足りない。キャプテン・ビーフハートも好きだけど、そうするとちょっとプリティさが足りない。そのちょっとの足りなさを自分で補いながらアルバムを作っていくんだよ。
■ああー。プリティさは大事ですね。UMOにはありますよ。“ソー・グッド・アット・ビーイング・イン・トラブル”“ノー・ニード・フォー・ア・リーダー”などは、ダックテイルズやジェイムス・フェラーロなどともどこか共鳴するような、どろっとして白昼夢的な音作りがされていると思います。〈ウッジスト〉や〈ノット・ノット・ファン〉〈ヒッポス・イン・タンクス〉といったようなレーベルに共感する部分があったりしますか?
ルーバン:いやー、ほんとにいまは才能ある人々に囲まれている時代だなという気がして、いま言ってくれたようなレーベルとか、この時代の人たちといっしょに名前を語られるのはうれしいよ。ただ、新しく出るレコードをチェックしきれてない部分はあるから、ほんとに新しいものは追いきれてなかったりはするんだよ。で、ふと気がつくと友だちのレコードだったり。
■友だちのレコード、教えてくださいよ。
ルーバン:ええとね、フォキシジェン(Foxygen)、彼らはレーベル・メイトでもあるけどね。あと、ワンパイア。ジェイクがプロデュースしたんだ。
■ああ!
ジェイク:仲良しなんだよね。ポートランドのバンドなんだ。
■うわあ、やっぱりポートランドはいいですね。
ルーバン:なんか力になれればなって思って、ツアーに連れて行ったりしてる。
取材:橋元優歩(2013年2月15日)