ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns 音楽、人生、坂本龍一
  2. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  3. 食品まつり a.k.a foodman - HIKARIGASASHIKOMU
  4. interview with Boom Boom Satellites 明日は何も知らない | ブンブンサテライツ(中野雅之+川島道行)、インタヴュー
  5. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  6. Horse Lords - Demand to Be Taken to Heaven Alive!  | ホース・ローズ
  7. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  8. Arca - XXXXX
  9. interview with Kinnara : Desi La 「アートによって、私は世界に満足できるようになりました。アートが、私の孤独の多くを壊してくれたのです」 | ──緊那羅:デジ・ラ、インタヴュー
  10. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  11. Rough Trade ──完売間近、〈ラフ・トレード〉50周年記念公演がいよいよ来週開催、ジェフ・トラヴィスのDJもあり
  12. Till Yawuh ——Till君ことティル・ヤウが自身のレーベルからアナログ盤をリリース
  13. R.I.P. 鷲巣功
  14. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  15. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  16. Cornelius - Refractions | コーネリアス
  17. アンビエント/ジャズ マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜
  18. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  19. 自転車日記 - デヴィッド・バーン 著 / 東辻賢治郎 訳
  20. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum

Home >  Interviews > interview with Unknown Mortal Orchestra - 時間を喪った旅人たち

interview with Unknown Mortal Orchestra

interview with Unknown Mortal Orchestra

時間を喪った旅人たち

――アンノウン・モータル・オーケストラ(UMO)、インタヴュー

橋元優歩    通訳:染谷和美   Feb 15,2013 UP

 いったいいつからそこに洗いざらされていたのかわからない......何十年も風雨を凌いだようにも、またつい昨日そこに置かれたばかりのようにも感じられるUMOのサウンドは、タイムレスという表現ではなく、ロスト・タイムと形容するのがふさわしいかもしれない。
 オープンリール式のテープ・レコーダーやディクタフォンなどを用いながら、丹念に音を作っていくというルーバン・ニールセンは、アリエル・ピンクからえぐみをとったような、ヴィンテージだがトレンドを突いたローファイ感をトレード・マークに、サイケデリックなファンク・ロックを展開し10年代シーンに頭角を現した。今月リリースされたセカンド・アルバムでは、グラム・ロック風の楽曲などUKロック的なアプローチをさらに強め、ポップ・アルバムとしての幅を広げた印象だ。
 しかしUMOの音は、懐古趣味というにはあまりにいびつで、ニュー・スタイルだというにはあまりに時代掛かっている。どこに置いても少しずつ違和感を生んでしまうような、いつの時代からもロストされ、どの思い出にも安住できないような、微量の孤独を感じさせるところに筆者は無限の共感を抱くのだが、その心は実のところは如何ばかりか。

 今回、ホステス・クラブ・ウィークエンダーへの出演のため来日していたメンバーに話をきくことができた。中心人物であるルーバン・ニールセンと、ベースのジェイコブ・ポートレイト。ルーバンはよく知られるように、以前はニュージーランドの老舗インディ・レーベル〈フライング・ナン〉の重要バンド、ザ・ミント・チックスを率いて活躍していた人物でもある。場所をアメリカに移し、ひっそりとこのサイケ・プロジェクトをはじめていたわけだが、ルーバンのソングライティングの底にあるものは、自身が述べているように、どこにも属することなく渡り歩くブルースマンのそれに似通ったところがあるのかもしれない。古今東西の音が審級もなく膨大に蓄積されつづけるネットワークのなかを、静かな光を放ちながら漂泊するUMOの音楽に、そのイメージはいくばくか重なっている。われわれが惹きつけられ、共感を抱くのは、ルーバンのそのようなあり方に対してでもあるだろう。

古い機材にこだわっているわけでもないんだけど、いまの時代、きれいな音を出すほうが簡単だったりするからね。そうじゃないことをやろうとすると、やっぱり時間がかかるよ。でもそもそもそのままでおいしい肉がそこにあるのに、わざわざマヨネーズをつけたりいろいろな手を加えたりしてるだけかもしれないよね。

■“ファニー・フレンズ”(ファースト・アルバム『アンノウン・モータル・オーケストラ』収録)が聴けて感激しましたよ。あの作品が出た頃はレコード屋で働いていたんですが、それはもう毎日店頭でかけて......

ルーバン:それは素敵だね!

■はい(笑)。あの頃は〈ウッジスト〉とか〈メキシカン・サマー〉とかがまさに旬で、そのあたりと部分的に共振しながら、チルウェイヴというトレンドも爛熟期にありました。

ルーバン:そうだよね。

グレッグ:たしかに。

■で、UMOのちょっとガレージーな感じ、ローファイな感じ、こもった感じ、リヴァービーな感じっていうのは、そうした当時のシーンの雰囲気ととてもシンクロしていた部分があると思うのですが、あなたがたのファンクネスは、ちょっとめずらしくて、際立っていました。UMOには、ミント・チックスの体験を引いている部分もあるかとは思うのですが、パンクからファンクへというリズムの変化があるのは、ミント・チックスやパンクに対するひとつの批評なのでしょうか?

ルーバン:基本的には、前のバンドのドラマーがあんまりファンクできる人じゃなかったんだよね(笑)。どっちかというとパワー・プレイが持ち味で。僕自身は、いまやっているような音に昔から興味があったし、父親がジャズ・ミュージシャンだったこともあって、馴染みもあったんだ。でもはじめたのはたまたまパンク・バンドだった。パンクのなかに徐々にファンキーな要素とかを入れていきたかったんだけど、なかなかああいうグルーヴは腕のある人じゃないと出せないんだよね。当時はまあ、無理だったんだ。だからバンドを離れてひとりで音楽を作ることになったときに、どうしてもちょっと古風なグルーヴを持ったものへと変わっちゃったんだよね。

■なるほど、古風なグルーヴという認識なんですね。今作はちょっとグラムっぽいいうか、UKロック的な音楽性が特徴になってるかなと思います。〈ファット・ポッサム〉にはヤックとかロンドンのバンドもいますけど、アメリカでいまUKロックというのはどんなふうに聴かれているんですか?

ルーバン:ヤックとかはたしかに人気があるよね。バンドによると思うけど、「ブレイクした」って規模の話になると、アークティック・モンキーズくらいかな。

ジェイク:でも、イギリスのバンドがいまアメリカで人気を高めているかっていうと、それは疑問だね。いま「きてる」のは、やっぱりサンフランシスコのガレージ・ロック・シーンだと思うよ。ガールズとかタイ・セガールとか......。

ルーバン:アメリカでイギリスのバンドが成功するのは難しいよね。ビッグにはじけるのは、アデルとかエイミー・ワインハウスとかポップなものでさ。

■そうですよね。ガールズやタイ・セガールなんかは、ちょっとヴィンテージな音づくりをしますね。UMOにも共通するところはあると思うんですが、そんなふうにレトロな音楽性に向かうのは、一種のノスタルジーからなんですか? それともいまの時代に疎外感のようなものがあったりするんでしょうか?

ルーバン:ノスタルジーっていうのはぜんぜんちがうかな。その昔を知っていないと感じられないものだからね。僕らがいま好きで聴いているサイケなものっていうのは、実際は僕らが知らない昔のものだ。ここ8年くらい、そういうものが気になってよく聴いてるんだ。僕にとってリアルにノスタルジックなのは、TLC、ブランディ(笑)、あのへんのR&Bだったら若い頃の思い出とともに懐かしむことができるよね。
 サイケデリックな音楽を聴き込めば聴き込むほど思うのは、たとえばピンク・フロイドの『夜明けの口笛吹き』とかが典型だけど、あれですべてが変わったなと思えるぐらいの衝撃度――新たなクオリティ、新たなスタンダードを設定したようなね――を伴っているところがすごいんだ。あの当時の作品のすばらしさはそこにあると思う。バンドとしての僕らのありかたは、機材だって新しいしモダンだと思うんだけど、好みのサウンドはたまたま60年代のものとかが多くなってしまうんだ。

■なるほど。モダンだっていうのはすごくよくわかります。曲についてなんですが、前作も今作も、あなた(ルーバン)がとても優れたソングライターなのだなということがよくわかるのですが、プロダクションについてはどうなんでしょう? ローファイっぽさを大切にしながら、とてもこだわり抜かれた音作りがされていると思うんですね。実際のところどのくらいの時間をかけて、どんなふうにサウンド・メイキングを行っていらっしゃるんですか?

ルーバン:ドモ、アリガトウゴザイマス(笑)。すごく時間はかかるんだ。いっさい妥協しないから。古い機材にこだわっているわけでもないんだけど、いまの時代、きれいな音を出すほうが簡単だったりするからね。そうじゃないことをやろうとすると、やっぱり時間がかかるよ。そもそもそのままでおいしい肉がそこにあるのに、僕はわざわざマヨネーズをつけたりいろいろな手を加えたりしてるだけかもしれないよね。さらにはその料理の方法がすごくアナログだっていう。ローファイじゃなきゃいけないと思っているわけではないんだ。

取材:橋元優歩(2013年2月15日)

123

INTERVIEWS