Home > Interviews > interview with Alex Barck (Jazzanova) - ソウル・ジャズ・ハウスへと
ディスクロージャーに関しては、本当に初期から追いかけていて、いつかビッグな存在になるだろうと思っていたけど、ここまでになるとは思わなかったよ。ディスクロージャーは僕たちのシーンにとってとても重要な存在だと思う。彼らは良いビートと良いプロダクションで良質のポップなハウス・サウンドを生み出して、アルバムはNo.1を取ったわけだからね。
■今個人的に注目しているアーティストはいますか?DJで良くプレイするアーティストなどはいますか?
AB:さっきも言ったようにディスクロージャーはとても良いと思っている。ベルリンではコミックス(Commixxx)がいいと思う。彼はいつか成功するんじゃないかな。まだ出てきたばかりだけれど、トラックは素晴らしいし、ベルリンのシンガーとやったものなどは最高だよ。他にもたくさんあってひとつに絞ることはできないけれど、コミックスは外せないな。あと、また言うけどビア・アヌビスのアルバムは本当に美しい。彼女はとても若いけれど才能があるんだ。彼女をリトル・ドラゴンのマネージメント・チームと一緒に手掛けているんだけど、このプロジェクトが成功すれば、これまでで最大級の仕事になるはずだ。
■ジャザノヴァ自体は今後どういった方向に進むのでしょうか? 現在は生バンド的な方向で、アレックス自身の方向性とは違うように感じますが。
AB:実は次回のアルバムの制作がはじまっているけど、ファーストとセカンドの中間のようなものになると思う。ポップなものというより、よりシリアスなダンス・アルバムになるよ。よりクラブ寄りでアップ・テンポの曲が増えるけれど、ライヴ・ミュージシャンと一緒にやった生演奏も録音していく。ライヴをはじめた初期は、どちらかと言うと静かで大人しい曲が多かった。でも、それから何千人もの観客の入るライヴでは、より力強い演奏が必要だと気づいたんだ。それで、次回のアルバムをよりダンサブルなものにしようと思っている。僕の好みだしね。すでにムラトゥ・アスタケとレコーディングをしたし、ポール・ランドルフに続く新しいシンガーも起用する予定だ。でも、最後の瞬間まで完成形がどうなるのか、それはわからないね。
■プロマー&バークの方も継続していますか?
AB:たくさんのライヴをやっているよ。新しい曲もすでに10曲ほどラフ・スケッチがあるんだ。クリスチャンの仕事はものすごく速いから、30分もあれば1曲作ってしまうんだ(笑)。次の夏までにはアルバムに取り組むと思う。いまはツアーやスタジオ・ワーク、ソナー・コレクティヴでのオフィス・ワークが溜っているから、それが済んだらクリスチャンとスタジオで作業することになると思う。
■最後にファンへのメッセージをお願いします。
AB:僕のメッセージはいつも変わらない。「何かを信じていれば、必ずそこに手が届く」ということだ。それは機材や何かではなく、頭のなかにあるアイデアのことなんだ。資源は頭のなかにある。あとは、ただそれを取りだす術を見つけるだけ。そして、その方法は信じることだと思う。たとえいま、君の作った音楽が売れなかったとしても、もしそれを信じていたら、いつか人に理解されるようになるんだ。過去に渡って素晴らしい仕事をしてきたアーティストを何人も知っているよ。彼らは自費でレコード制作していたけれど、当時は誰もそれを理解していなかった。でも、今では彼らはヴィジョンを持った素晴らしいアーティストと見なされている。それはそのときに評価されるものとは限らない。タイムカプセルに残され、20年後に評価されるかもしれない。そして、そういう考え方が何かを信じる手助けになるだろう。ごくまれに一晩で成功する者もいるかもしれないけど、大半は長い時間を経て花開くものなんだ。だから、あせらずに時間をかけてじっくりやるべきだと思う。
取材・文:小川充(2013年11月08日)